- 21歳の女性。突然の左下腹部の激痛を主訴に来院した。子宮は後傾後屈正常大で可動性は良好、左卵巣に超驚卵大の腰痛を触知し、強い圧痛を認める。腹部エックス線単純写真で左側小骨盤腔に歯状の石灰化を認める。直ちに腹腔鏡下手術を行った。摘出腫瘤のH-E染色標本を以下に示す。
- 正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D058]←[国試_102]→[102D060]
★リンクテーブル★
[★]
- 64歳の男性。人間ドックでPSA値の異常を指摘され来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長164cm、体重63kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧138/78mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛や抵抗を認めない。下肢に浮腫を認めない。直腸診でクルミ大の前立腺を触知するが、硬結は認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈さに赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球460万、Hb15.1g/dl、Ht45%、白血球6,300、血小板26万。PSA7.3ng/ml(基準4.0以下)。前立腺生検で中分化型の前立腺癌を認める。腹部造影CTでリンパ節腫大を認めない。骨シンチグラフィで異常集積を認めない。患者は治療を希望している。
- 治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D057]←[国試_102]→[102D059]
[★]
- 40歳の女性。以前から過多月経があり、人間ドックで小球性低色素性貧血を指摘され来院した。便潜血反応陰性。子宮頸部細胞診クラスII。骨盤部単純MRIのT2強調矢状断像を以下に示す。
- 薬物療法として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D059]←[国試_102]→[102E001]
[★]
[★]
- 英
- mature cystic teratoma
- 同
- 皮様嚢胞腫
- 関
- 卵巣腫瘍、未熟奇形腫
概念
- 良性の胚細胞腫瘍である。
- 妊娠時に合併する卵巣腫瘍の中で最も多い
- 大きくなっても可動性は保たれており、頚捻転を来しうる。。
- チョコレート嚢胞との鑑別が必要になることがある。
疫学
検査
- NGY.99
- 超音波検査:様々な像を認める(皮脂、毛髪、歯などが混在するため。
- MRI:脂肪はT1で高信号、T2で中等度の高信号を呈する
- T1:高信号
- T2:中等度の信号
- 脂肪抑制画像:低信号 ⇔ チョコレート嚢胞では抑制されて低信号にならないので鑑別に有用(T1,T2では信号強度の振る舞いは同じ)
[show details]
合併症
- 卵巣茎捻転(卵巣嚢腫茎捻転):急性腹症の原因。卵巣腫瘍の中で成熟嚢胞性奇形腫や線維腫(最も重い)は重く周囲の癒着がないために茎捻転を起こしやすい。卵巣茎捻転でみられる最多の原因が成熟嚢胞性奇形腫である。(G9M.177)
治療
- 治療方針:病理組織的に確定診断を行うため、また卵巣頚捻転、破裂、あるいは悪性転化のリスクを下げるために手術による摘出を行う。
- 卵巣嚢胞摘出術
- 卵管卵巣摘出術:妊容性温存が必要ない場合
予後
- 35歳以上で約1%の確率で悪性転化する。ほとんどが扁平上皮癌である。(G9M.176)
- 0.2-2%の例で悪性転化(malignant transformation)する。悪性転化した奇形腫は全悪性胚細胞腫の2.9%を占める。(参考1)
参考
- 1. [charged] Ovarian germ cell tumors: Pathology, clinical manifestations, and diagnosis - uptodate [1]
国試