- 23歳の女性。喘鳴と息切れとを主訴に来院した。1年半前から風邪をひくと喘鳴と息切れとが出現し、風邪が治るといつも消失していた。1週前にも同じ症状が出現し、息切れがこれまでで最も強かったが、週末を挟んで症状が軽減してから受診した。身長154cm、体重46kg。体温36.5℃。呼吸数16/分。脈拍80/分、整。血圧112/64mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.41、PaO2 86Torr、PaCO2 39Torr。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102H026]←[国試_102]→[102H028]
★リンクテーブル★
[★]
- 50歳の男性。病気に対する不安感を主訴に来院した。20歳から喫煙を開始し、1日20本吸い続けてきた。最近、親戚が肺癌にかかったことで心配になり、自分も近いうちに肺癌にかかるのではないかと質問してきた。説明で適切なのはどれか。
- a. 「毎年肺癌検診を受ければ大丈夫です」
- b. 「直ちに禁煙しないと肺癌にかかります」
- c. 「食事に気をつければ肺癌は予防できます」
- d. 「これから禁煙すれば肺癌にかかる可能性は減ります」
- e. 「喫煙を続けても肺癌にかかる可能性は小さいので安心してください」
[正答]
※国試ナビ4※ [102H027]←[国試_102]→[102H029]
[★]
- 40歳の男性。仕事中、大量に吐血して搬入された。意識は清明。体温36.1℃。脈拍120/分、整。血圧76/50mmHg。顔面は蒼白。腹部は平坦、軟。上腹部に圧痛を認めるが、筋性防御は認めない。血液所見:赤血球260万、Hb8.4g/dl、Ht26%、白血球12,000、血小板23万。
- 対応として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102H025]←[国試_102]→[102H027]
[★]
[★]
- 英
- bronchial asthma
- 同
- 喘息 asthma
- 関
- 喘息発作(喘息の急性増悪)
概念
- 気道の慢性炎症、気道過敏性、可逆性の気道閉塞を呈する
疫学
病型
- アトピー型:小児に多く、60-70%は成人になる前に寛解
- 感染型
- 混合型
病態生理
- 遺伝子素因を背景とした気道過敏性が存在し、ある誘因により気道閉塞が起こる。これが喘息症状を引きおこす。
- ここに気管炎症が加わると、気道過敏性亢進、気道閉塞を直接引きおこすほか、気道リモデリングを促してさらに気道過敏性亢進・気道閉塞を亢進させる。
- この病態の中で、気道に起こっている変化は次のようにまとめられる。
- 可逆的変化 :気道上皮細胞の剥離、粘液栓、炎症細胞(好酸球など)の浸潤、粘膜・粘膜下の浮腫、うっ血
- 不可逆的変化:平滑筋の肥厚、気道上皮下の線維性肥厚、気道上皮での杯細胞の過形成、気道粘膜下の血管新生
気流制限をきたす機序
- 気流制限は4つの機序により成立
- (1)気道平滑筋収縮、(2)気管壁の浮腫、(3)気道粘液分泌、(4)気道壁リモデリング
気管炎症
- 好酸球性気道炎症:好酸球、肥満細胞、リンパ球などの炎症細胞がサイトカインと化学伝達物質などを介して炎症を惹起する。
- リンパ球
- 肥満細胞
- 好酸球
- 気道上皮細胞
- 気管支平滑筋
- 気管支分泌腺
気管壁リモデリング
- 慢性の炎症状態 → 永続的な気道壁の肥厚 → 不可逆的な気流制限
- (1) 基底膜下にコラーゲンが沈着 → 気道粘膜の線維化
- (2) 気管支平滑筋の肥厚、過形成
- (3) 粘膜下線過形成
気道過敏性
- 非特異的な刺激により気管支平滑筋が容易に収縮する状態
- ヒスタミン、アセチルコリン、メサコリンの希釈系列を投与してFEV1.0が20%以上低下する閾値を測定して評価
- 気道過敏性と喘息の重症度が相関する。
検査
- 高値であることが多く、その場合には抗原の同定を行う。
- IgEの値と症状には相関関係がない。
症状
身体所見
診断
成人喘息での診断の目安
- 参考1
- 成人喘息の診断基準はない
- 1.発作性の呼吸困難、喘鳴、咳(夜間、早朝に出現する傾向)の反復
- 2.可逆性気流制限:自然に、あるいは治療により寛解する。PEF値の日内変動20%以上、β2刺激薬吸入により1秒量が12%以上増加かつ絶対量で200mL以上増加
- 3.気道過敏性の亢進:アセチルコリン、ヒスタミン、メサコリンに対する気道収縮反応の亢進
- 4.アトピー素因:環境アレルゲンに対するIgE抗体の存在
- 5.気道炎症の存在:喀痰、末梢血中の好酸球数の増加、ECP高値、クレオラ体の証明、呼気中NO濃度上昇
- 6.鑑別診断疾患の除外:症状が他の心肺疾患によらない
治療
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- β2受容体に結合→Gsα活性化→[cAMP]i↑
- 副作用:振戦、動悸
- PDE阻害→[cAMP]i↑。抗炎症作用もあるらしい(T細胞、好酸球に対する作用(SPU.241))
- 安全域(有効安全治療濃度閾)が狭いので、血中濃度モニタリングが必要。5-15μg/ml
- 副作用:悪心、嘔吐、頻脈、不整脈
- M3受容体に拮抗して作用を発現。作用力、即時性ともにβ2作動薬より劣る。(SPU.242)
- β2作動薬と併用するらしい。
- イプラトロピウム
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- 化学伝達物質遊離抑制薬、ヒスタミンH1機構薬、ロイコトリエン拮抗薬、トロンボキサンA2阻害薬。
薬物療法に用いられる薬剤
長期管理薬 (コントローラー)
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・ステロイド薬(吸入、経口)
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・テオフィリン徐放製剤
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・長時間作用性β2刺激薬(吸入、経口、貼付)
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・抗アレルギー薬
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・ロイコトリエン受容体拮抗薬
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・メディエーター遊離抑制薬
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・ヒスタミンH1拮抗薬
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・トロンボキサン阻害薬
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・Th2サイトカイン阻害薬
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発作治療薬 (リリーバー)
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・ステロイド薬(注射・経口)
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・短時間作用性β2刺激薬(吸入・経口・注射)
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・アミノフィリン点滴静注
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・短時間作用性テオフィリン製剤(経口)
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・抗コリン薬(吸入)
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ガイドライン
- 1. 一般臨床医のための喘息治療ガイドライン2007
- http://www.jaanet.org/medical/guide.html
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