- 70歳の女性。自宅近くの診療所で初めて受けた血液検査で異常を指摘され来院した。飲酒歴はない。輸血歴はない。常用薬はない。意識は清明。身長158cm、体重74kg.腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 310万、Hb 10.9g/dl、Ht 31%、白血球 4,200、血小板 9.7万、PT 68%(基準80-120)、血液生化学所見:HbA1c 6.8%(基準4.3-5.8)、アルブミン 3.3g/dl、IgG 2,614mg/dl(基準739-1,649)、IgM 82mg/dl(基準46-260)、総コレステロール 122mg/dl、トリグリセリド 140mg/dl、AST 84IU/l、ALT 98IU/l、γ-GTP 62IU/l(基準8-50)。免疫学所見: HBs抗原、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性。腹部超音波検査で肝表面の凹凸不整、肝腎コントラストの明瞭化および軽度の脾腫を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I045]←[国試_105]→[105I047]
★リンクテーブル★
[★]
- 62歳の女性。貧血を主訴に来院した。高血圧症の治療中、血液検査で貧血を指摘され、消化管の精査のために紹介された。意識は清明。身長168cm、体重57・kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧136/86mmHg。甲状腺と頭部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝・脾を触知しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 302万、Hb 7.9g/dl、Ht 26%、白血球 8,100、血小板 15万。血液生化学所見:総蛋白 6.6g/dl、アルブミン 3.4g/dl、尿素窒素 19mg/dl、クレアチニン 0.5mg/dl、総ビリルビン 1.8mg/dl、AST 26IU/l、ALT 34IU/l、LD 540IU/l(基準176-353)、ALP 286IU/l(基準115-359)、Na 138mEq/l、K 4.0 mEq/l、Cl 102mEq/l。免疫学所見: CRP 0.8mg/dl、CEA 2.8ng/ml(基準5以下)、CA19-9 26U/ml(基準37以下)。上部消化管内視鏡検査で胃内に病変を認める。胸腹部CTでは胃の病変以外に異常を諦めない。上部消化管内視鏡写真(別冊No.10)を別に示す。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I046]←[国試_105]→[105I048]
[★]
- 71歳の男性。上腹部不快感を主訴に来院した。2週前に上腹部の不快感が出現し徐々に増悪してきた。意識は清明。身長165cm、体重54kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 440万、Hb 14.1g/dl、Ht 41.2%、白血球 6,200、血小板 26万。血液生化学所見:総蛋白 6.6g/dl、アルブミン 4.0g/dl、総ビリルビン 0.6mg/dl、直接ビリルビン 0.2mg/dl、AST 14IU/l、ALT 5IU/l、LD 267IU/l(基準176-353)、ALP 79IU/l(基準115-359)、γ-GTP 15IU/l(基準8-50)、Na 144mEq/l、K 4.1mEq/l、Cl 106mEq/l。免疫学所見:CEA 8.4ng/ml(基準5以下)、CA19-9 1,772U/ml(基準37以下)。腹部造影CT(別冊No.9A、B)と内視鏡的逆行性胆管膵管造影写真(ERCP)(別冊No.9C)とを別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I044]←[国試_105]→[105I046]
[★]
[★]
- 英
- non-alcoholic steatohepatitis、nonalcoholic steatohepatitis、NASH
- 同
- 非アルコール性脂肪肝炎
- 関
- 脂肪性肝炎、非アルコール性脂肪性肝疾患
[show details]
- 090716IV
概念
- 飲酒歴がないのに、簡素式所見がアルコール性肝障害に類似する疾患。中年女性に好発し肝硬変まで進行。(Ludwig 1980年)
疫学
- 脂肪肝の10%にNASHをみる (出典不明)
- 西欧諸国の一般人口の20-40%が非アルコール性肝障害(NAFLD)を発症している。アメリカ軍の兵士とその家族を対象として、FAFLDのスクリーニングを腹部超音波で行った結果、有病率は46%であった。超音波所見陽性者に生検を行い、30%がNASHであった。アジア・太平洋におけるNASHの有病率は5-30%と推定される。(参考3)
NAFLDのリスク因子
- 中心性肥満、2型糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドローム
発症機序
- 参考1
- 1st hit インスリンの抵抗性などが背景にあり、脂肪酸の代謝異常、遊離脂肪酸の増加、中性脂肪の蓄積をきたして脂肪肝となり、さらに脂肪性肝炎をきたす
- 2nd hit 抗酸化物質の欠乏、肝臓への鉄の蓄積、レプチン、腸内細菌などによる酸化ストレス、あるいはエンドトキシンによりNASHをきたす。
病理
- 肝細胞障害(風船様腫大、変性壊死)
- アルコール性肝炎で見られるマロリー小体が認められることがある。
- 大滴性脂肪肝
- 小葉内炎症細胞浸潤
検査
- 肝生検:臨床像や検査データでNASHを確診できない場合は、肝生検が唯一の確定・除外診断できる方法である。(参考3)
治療
参考
- 1. [charged] Pathogenesis of nonalcoholic fatty liver disease - uptodate [1]
- 2. [charged] Natural history and treatment of nonalcoholic steatohepatitis - uptodate [2]
- 3. [charged] Epidemiology, clinical features, and diagnosis of nonalcoholic steatohepatitis - uptodate [3]
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