出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/04/08 20:03:57」(JST)
バーキットリンパ腫 | |
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バーキットリンパ腫細胞(細胞質に空胞をもつ)
|
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分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 |
血液学 |
ICD-10 | C83.7 |
ICD-9-CM | 200.2 |
ICD-O | M9687/3 |
OMIM | 113970 |
DiseasesDB | 1784 |
MedlinePlus | 001308 |
eMedicine | med/256 |
Patient UK | バーキットリンパ腫 |
MeSH | D002051 |
バーキットリンパ腫(バーキットリンパしゅ、Burkitt lymphoma: BL)は、c-myc遺伝子と免疫グロブリン遺伝子の相互転座によって生じる高悪性度B細胞性腫瘍である。WHO分類第4版[1]では、遺伝子異常と、定型的な組織学的形態および免疫学的マーカーを有する、という条件をすべて満たすものをBLと定義している。いずれかの条件に違うものはびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、あるいはDLBCLとBLとの中間的なリンパ腫としている。
急性リンパ性白血病のFAB分類L3は、骨髄原発のバーキットリンパ腫である。
病名は、外科医のデニス・バーキット(Denis Parsons Burkitt)が1958年にアフリカで小児に発症する腫瘍を報告したことに由来する[2][3]。
臨床的特徴からは以下のように分類される。
c-myc遺伝子と免疫グロブリン遺伝子の相互転座によりc-myc遺伝子が過剰に発現し、細胞分裂を異常亢進させることによるもの考えられている。
相互転座が生じる原因ははっきりしていない。
日本、欧米ともに成人の悪性リンパ腫の1~2%である[4]。一方小児の悪性リンパ腫の40~50%を占める。
特徴としては、腫瘍が急激に増大するため腹部膨満や、鼻咽頭病変では気道狭窄を生じることがある。中枢神経浸潤も多いので中枢神経症状(意識障害など)を来たすことも多い。いずれの症状の進行が早い。
悪性リンパ腫細胞で以下のような形態学所見・免疫学的マーカー・遺伝子異常を確認できれば確定診断となる。
フローサイトメトリーや組織標本の免疫染色で以下の所見を認める。
FISH法やサザンブロット法でc-myc遺伝子[注釈 3]と免疫グロブリン遺伝子[注釈 4]の相互転座を検出する。以下のような相互転座が認められる
t(8;14)とt(14;18)が同時に出現することがある。またc-myc遺伝子、免疫グロブリン重鎖遺伝子、BCL1がすべて転座融合している場合がある[7]。いずれも予後が極めて不良となる。
他の非ホジキンリンパ腫で多く用いられるCHOP療法は古い治療法ということもあり、本疾患には歯が立たない(長期生存は10%程度、一度奏功しても後に劇症化するなど)。高用量抗がん剤を含む治療(大量投与法)を行う必要がある。
国によって治療方法に違いがある。それらを直接比較した臨床試験は無いが各治療方法での成績に大きな差はない。日本で多く行われる治療は以下の通り。
中枢神経浸潤が多いため、上記の治療のいずれも血液脳関門を通過する大量シタラビン・メソトレキセート投与と髄注併用を行っている。
リツキシマブの併用は、Hyper-CVAD療法やDA-EPOCH療法に併用した場合はしないよりも有用性が報告されている[13][14]が、CODOX-M/IVAC療法での併用の明らかな(有意差のある)有用性は示されていない[15]。 初回治療で寛解に至った場合には、放射線療法の追加や造血幹細胞移植は推奨されていない[注釈 5]。
再発・難治例の救済療法は標準療法が確立していない。初回治療の、実施していない方を行う、またはDAHP療法、R-ICE療法、ドキソルビシン+トポテカン併用療法などが報告されている。
上記の救済療法に感受性がある場合は自家造血幹細胞移植の効果が期待される[18]。救済療法不応性に対する同種造血幹細胞移植は選択肢としてはあるが、有効性を支持するデータはない[注釈 6][注釈 7]。
分類が暫定的なため一概には言えないが、上記の典型的なバーキットリンパ腫に準じた治療になる。
高年齢(40歳以上)、骨髄や中枢浸潤、10cm以上の摘出不能な巨大腫瘤、高LDH血症、+7qやdel(13)染色体異常は予後不良因子とされる[15][22]。
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リンク元 | 「EBウイルス」「悪性リンパ腫」「生活習慣病」「ヘルペスウイルス科」「非ホジキンリンパ腫」 |
関連記事 | 「リン」「腫」「リンパ」「バーキット」「トリ」 |
VCA IgG | VCA IgM | EBNA | EA IgG | |
感染前 | ー | ー | ー | ー |
急性期 | + | + | ー | +/ー |
回復期 | + | +/ー | +/ー | +/ー |
感染既往 | + | ー | + | +/ー |
再活性化 | + | +/ー | + | + |
VCA IgG | VCA IgM | EBNA | EA IgG | VCA IgA | |
伝染性単核症 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
EBV再活性化の疑い | ○ | ○ | ○ | ||
既往確認 | ○ | ○ | |||
バーキットリンパ腫 | ○ | ○ | ○ | ||
上咽頭癌 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
慢性活動性EBV感染症 | ○ | ○ | ○ | ||
上記以外でのEBV感染疑い | ○ | ○ | ○ | ○ |
sIg | CD5 | CD10 | CD19 | CD20 | CD23 | CD43 | bcl | cyclin | TdT | その他 | 転座 | |
小リンパ性リンパ腫 small lymphocytic lymphoma 慢性リンパ性白血病 chronic lymphocytic leukemia |
+ | + | + | + | + | - | - | - | ||||
濾胞性リンパ腫 FL |
+ | - | + | + | bcl2 + | - | ||||||
MALTリンパ腫 |
- | - | + | |||||||||
マントル細胞リンパ腫 MCL |
+ | + | - | + | + | |||||||
びまん性大細胞性B細胞リンパ腫 DLBL |
+ | - | +/- | + | + | bcl6 + | ||||||
前駆Bリンパ芽球性リンパ腫 急性Bリンパ球性白血病 LBL/ALL |
- | + | + | |||||||||
バーキットリンパ腫 BL |
+ | - | + | + | + | Myc, Ki-67 | t(8,14)Myc;IgH ~80% t(2,8)κ;Myc ~15% | |||||
ホジキンリンパ腫 |
CD15, CD30, CD45 - | t(8,22)Myc;λ ~10% | ||||||||||
成人T細胞白血病 ATL |
CD2, CD3, CD4, CD25, HLA-DR, CD8 - |
疾患 | 危険因子 | 防御因子 | |
悪性腫瘍 | 胃癌 | 塩辛い食品、喫煙、くん製製品、ニトロソアミン土壌、腸上皮化生、Helicobacter pyroli | ビタミンC、野菜、果実 |
食道癌 | 喫煙、飲酒、熱い飲食物 | 野菜、果実 | |
結腸癌 | 高脂肪食、肉食、低い身体活動、腸内細菌叢の変化、遺伝(家族性大腸腺腫症) | ||
肝癌 | HBVキャリア・HCVキャリア、アフラトキシン、住血吸虫、飲酒 | ||
肺癌 | 喫煙(特に扁平上皮癌)、大気汚染、石綿(扁平上皮癌、悪性中皮腫) | 野菜、果実 | |
膵癌 | 高脂肪食、喫煙 | ||
口腔癌 | 喫煙(口唇・舌-パイプ)、ビンロウ樹の実(口腔、舌)、飲酒 | ||
咽頭癌 | EBウイルス(上咽頭癌)、飲酒 | ||
喉頭癌 | 喫煙、男性、アルコール | ||
乳癌 | 高年初産、乳癌の家族歴、肥満、未婚で妊娠回数少ない、無授乳、脂肪の過剰摂取、低年齢初経、高年齢閉経 | 母乳授乳 | |
子宮頚癌 | 初交年齢若い、早婚、多産、性交回数が多い(売春)、貧困、不潔]、HSV-2、HPV、流産、人工妊娠中絶回数が多い | ||
子宮体癌 | 肥満、糖尿病、ピル、エストロゲン常用、未婚、妊娠回数少ない、乳癌後のタモキシフエン内服 | ||
膀胱癌 | 喫煙、鎮痛剤乱用、ビルハルツ住血吸虫、サッカリン、防腐剤 | ||
皮膚癌 | 日光(紫外線)、ヒ素(Bowen病) | ||
白血病 | 放射線、ベンゼン、地域集積性(ATL)、ダウン症(小児白血病) | ||
骨腫瘍 | 電離放射線 | ||
甲状腺癌 | ヨード欠乏または過剰 | ||
バーキットリンパ腫 | EBウイルス | ||
循環器疾患 | 脳出血 | 高血圧、重筋肉・夜勤労働、蛋白摂取不足、低アルブミン血症、食塩、家族歴、初老期の男、過度の習慣性飲酒、ストレス、寒冷 | |
脳梗塞 | 高血圧、運動不足、糖尿病、肥満、食塩、喫煙、家族歴、加齢、高脂血症 | 有酸素運動 | |
虚血性心疾患 | 高血圧、高脂血症、喫煙、HDLコレステロール低値、糖尿病、肥満、過度の飲酒、運動不足、年齢、性、ストレス | 適度の飲酒 | |
高血圧疾患 | 寒冷、食塩、肥満、飲酒、カリウム(野菜、果物)の摂取不足、ストレス | 減量 | |
2型糖尿病 | 家族歴、肥満、脂肪の過剰摂取、運動不足、喫煙、薬剤(降圧薬etc.) | ||
肝硬変 | HCV、HBV、飲酒(多量) |
ヘルペスウイルス亜科 ヘルペスウイルス亜科 ヘルペスウイルス亜科 |
ヘルペスウイルス | 潜伏部位 | 初感染における 顕性感染率 |
主な疾患 | |
α | 単純ヘルペスウイルス1型 | HSV-1 | 知覚神経節 | 低 | 口唇ヘルペス、口内炎、角膜ヘルペス、ヘルペス脳炎、性器ヘルペス、新生児ヘルペス |
単純ヘルペスウイルス2型 | HSV-2 | 低 | 性器ヘルペス、新生児ヘルペス、ヘルペス?疽、殿部ヘルペス | ||
水痘・帯状疱疹ウイルス | VZV | 高 | 水痘、帯状疱疹、ラムゼイ・ハント症候群 | ||
β | サイトメガロウイルス | CMV | 顆粒球/マクロファージ前駆細胞 | 低 | 先天性巨細胞封入体症、輸血後CMV単球症、臓器移植後間質性肺炎、肝炎 |
ヒトヘルペスウイルス6型 | HHV-6 | マクロファージ | 高 | 突発性発疹、脳炎 | |
ヒトヘルペスウイルス7型 | HHV-7 | 唾液腺? | 低 | 突発性発疹 | |
γ | エプスタイン-バーウイルス | EBV | 骨髄Bリンパ球 | 低 | 伝染性単核症、バーキットリンパ腫、上咽頭癌、日和見リンパ腫 |
ヒトヘルペスウイルス8型 | HHV-8 | Bリンパ球 | 低 | カポジ肉腫、キャッスルマン病 |
年齢 | 子供における頻度 | 男性(%) | ステージI,II vs III,IV(%) | B症状(%) | 骨髄浸潤(%) | 消化管浸潤(%) | 5年生存率(%) | |
B細胞CLL/小リンパ球性リンパ腫 | 65 | まれ | 53 | 9 vs 91 | 33 | 72 | 3 | 51 |
マントル細胞リンパ腫 | 63 | まれ | 74 | 20 vs 80 | 28 | 64 | 9 | 27 |
MALT型の節外辺縁域B細胞リンパ腫 | 60 | まれ | 48 | 67 vs 33 | 19 | 14 | 50 | 74 |
濾胞リンパ腫 | 59 | まれ | 42 | 33 vs 67 | 28 | 42 | 4 | 72 |
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 | 64 | ~25% | 55 | 54 vs 46 | 33 | 16 | 18 | 46 |
バーキットリンパ腫 | 31 | ~30% | 89 | 62 vs 38 | 22 | 33 | 11 | 45 |
前駆T細胞リンパ芽球性リンパ腫 | 28 | ~40% | 64 | 11 vs 89 | 21 | 50 | 4 | 26 |
未分化大細胞型リンパ腫 | 34 | よくある | 69 | 51 vs 49 | 53 | 13 | 9 | 77 |
末梢型T細胞非ホジキンリンパ腫 | 61 | ~5% | 55 | 20 vs 80 | 50 | 36 | 15 | 25 |
進行スピードによる分類 | 該当する非ホジキンリンパ腫の種類 |
低悪性度(年単位で進行) | 濾胞性リンパ腫 MALTリンパ腫 |
中悪性度(月単位で進行) | びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫 未分化大細胞リンパ腫 |
高悪性度(週単位で進行) | リンパ芽球性リンパ腫 バーキットリンパ腫 |
近位尿細管 | 70% |
遠位尿細管 | 20% |
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