- 英
- aldosteronism
- 同
- アルドステロン過剰症 高アルドステロン症 hyperaldosteronism
- 関
- コン症候群 (アルドステロン産生腺腫) 80-90%
- 特発性アルドステロン主要 副腎皮質球状層の過形成 10%程度
-
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/21 23:59:46」(JST)
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アルドステロン症(あるどすてろんしょう)は、血中のアルドステロン(鉱質コルチコイド)濃度が高い病態。尚、便宜上、偽性アルドステロン症も本稿で扱う。
目次
- 1 概念
- 2 病態
- 3 分類
- 4 原因
- 5 検査
- 6 診断
- 7 診療科
概念[編集]
以下、アルドステロン(aldosterone)をAld、血圧(blood pressure)をBP、ナトリウム(ラテン語、ドイツ語: Natrium)をNa、カリウム(ラテン語・ドイツ語: Kalium)をK、上昇を↑、低下を↓、因果関係を(原因)→(結果)、血漿アルドステロン濃度(plasma aldosterone concentration)をPAC、血漿レニン活性(plasma renin activity)をPRA、と表記する。 本症はNa↑、K↓、BP↑が典型像である。これを踏まえて各種バリエーションを見ると見通しが良い。
病態[編集]
- 高Na血症: Aldの鉱質コルチコイド作用によって血中Na濃度↑
- 低K血症 : Na↑の代わりにK↓
- BP↑ : Na↑→血漿浸透圧↑→循環血漿量↑→BP↑。
基本的にレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系が亢進する場合は低カリウム血症、代謝性アルカローシスがおこる。これはアルドステロンの腎への作用、すなわちナトリウムの再吸収、カリウムの排泄、重炭酸イオンの再吸収、などを考えれば明らかである。一部の例外を除き、アシドーシスと高カリウム血症、アルカローシスと低カリウム血症は並行するという経験則があり、代謝性アルカローシスと低カリウム血症は原則どおりである。なお、低カリウム血症と代謝性アシドーシスを合併する珍しい疾患とは腎尿細管性アシドーシスである。
分類[編集]
原因によって原発性、続発性、偽性に分けられる。
- 原因 : 病気 : 説明
- 原発性 : 原発性アルドステロン症 : 本来の分泌組織である副腎皮質球状帯の異常
- 続発性 : バーター症候群、等 : 他臓器の障害によって続発するもの
- 偽性 : 偽性アルドステロン症 : 一見本症の様に見えて実は違うもの
原因[編集]
- 原発性
- 副腎皮質からアルドステロンが自律的に過剰分泌されることによる。球状帯の過形成や腺腫などによる。本来の分泌組織である副腎皮質の異常なので原発性アルドステロン症と言う。
- 続発性
- 他臓器の障害によりレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の亢進によってアルドステロンが高値となる病態。他臓器の障害によって続発するので続発性アルドステロン症と言う。
- 肝臓 : 肝硬変 : 浮腫による循環血漿量の低下から腎血流量が低下するため
- 腎臓 : 腎血管性高血圧症、バーター症候群、ネフローゼ、ギッテルマン症候群 、等
- 偽性
- 病態として一見アルドステロン高値であるかの様であるが、アルドステロン値は高値でないもの。
- リドル症候群
- グリチルリチンの副作用(甘草に多く含まれる)
検査[編集]
- 身体基本検査
- 血圧 : AldはRAA系を介して血圧を上昇させる働きがある。PAC↑→BP↑。
- 血液検査
- レニン : Aldは血圧を上昇させるホルモンであるレニンによって分泌される(正確に言うと、アンジオテンシンⅡを介する)。PRA↑→PAC↑。
診断[編集]
アルドステロン症の共通症状として、低カリウム血症、高HCO3を予めあげておく。
PRA |
PAC |
BP |
診断 |
理由 |
↓ |
↑ |
↑ |
原発性アルドステロン症 |
PAC↑→BP↑→PRA↓ |
↑ |
↑ |
↑ |
腎血管性高血圧 |
PRA↑→PAC↑→BP↑ |
↑ |
↑ |
→ |
バーター症候群 |
|
↓ |
↓ |
↑ |
リドル症候群 |
|
↑ |
↑ |
↑ |
レニン産出腫瘍 |
|
↓ |
↓ |
↑ |
偽性アルドステロン症 |
BP↑→PRA↓→PAC↓ |
診療科[編集]
循環器内科、代謝内分泌内科、泌尿器科、等
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 本田 謙次郎,大瀬 貴元,須藤 裕嗣,上田 浩平,鮎澤 信宏,正路 久美,藤乘 嗣泰,関 常司,藤田 敏郎
- 日本透析医学会雑誌 44(5), 455-461, 2011
- 症例は62歳,女性.生来健康だったが3年前から両手指ソーセージ様腫脹,指尖潰瘍とRaynaud症状が出現,口周囲皺の減少もみられ,1年前から労作時呼吸困難も出現した.近医で漢方薬を処方されたが症状に改善はみられなかった.起座呼吸を主訴に前医に入院,乳頭浮腫を伴う高血圧,大量心膜液,うっ血性心不全,肺線維症,破砕赤血球像と腎機能障害を認めた.入院後は降圧治療を行い血圧は150/80 mmHg程度まで …
- NAID 130000859986
- 漢方と副作用 (特集 明日の診療に漢方をいかす--西洋医学と漢方医学の融合) -- (漢方の理解を深めるためのステップアップ)
- こむらがえり--芍薬甘草湯 (特集 明日の診療に漢方をいかす--西洋医学と漢方医学の融合) -- (日常診療でまず使ってみたい漢方ベストチョイス15)
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- 原発性アルドステロン症(げんぱつせいアルドステロンしょう、英: primary aldosteronism ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- primary aldosteronism, PA
- 同
- コン症候群 Conn syndrome Conn's syndrome、コン-ルイス症候群 Conn-Louis syndrome
- アルドステロン産生腺腫 aldosterone producing adenoma APA
- 関
- 特発性アルドステロン症 ← 原発性アルドステロン症の下位概念。原発性アルドステロン症の約10%を占める
- アルドステロン症
概念
疫学
- 30-50歳に多く、女性に多い。(YN.D-59)
病因
病因に基づく分類
- SURO.277
病理
- 2cm以下の小さなものが多い、らしい。 ⇔ クッシング症候群の原因となる副腎腺腫は2-4cmのものがおおい、らしい。
病態
- 参考2
- 浮腫は生じない:aldosterone escapeによる。
- 高血圧
- 低カリウム血症:アルドステロンの影響で皮質集合管で排泄される。正常な場合もある。詳しくは資料2
- 代謝性アシドーシス ← 低カリウム血症による
- 高ナトリウム血症:中等度。volume expansionの持続により浸透圧調節中枢のセットポイントが数meq/Lだけ上昇する。けっかとして血中ナトリウム濃度が143-147mEq/Lに維持される。
- 低マグネシウム血症:アルドステロン過剰による。ヘンレのループ上行脚でマグネシウムの再吸収が行われるが、aldosterone escapeが持続している場合、マグネシウムの再吸収が抑制される。
症状
検査
診断
- 血清アルドステロン濃度の高値、血漿レニン活性の低値、コルチゾール分泌正常
治療
治療目標
- 血漿中のアルドステロン濃度を正常化、あるいは鉱質コルチコイド受容体を阻害すること。
治療法の原則
- 参考1
- 片側の病変は手術療法で治療可能である。
- 特発性高アルドステロン症は鉱質コルチコイド受容体拮抗薬で治療する。
- 糖質コルチコイド反応性アルドステロン症は生理的な量の糖質コルチコイドの投与で治療する。
疾患別治療法
参考
- 1. [charged] Treatment of primary aldosteronism - uptodate [1]
- 2. [charged] Clinical features of primary aldosteronism - uptodate [2]
[★]
- 英
- hypokalemia, hypopotassemia
- 同
- 低K血症
- 関
- カリウム。高カリウム血症。電解質異常
定義
- 血清カリウム <3.5mEq/l ⇔ 基準範囲:3.4-4.5 mEq/l (臨床検査法提要第32版)
原因
- 周期性四肢麻痺発作時、インスリン・グルコースの投与(細胞のNa-K ATPaseを活性化するため)
-
-
病因
- ぽけめ
- アルカレミア、インスリン使用、カテコラミン使用、低下リウム性周期性四肢麻痺、急激な造血(VB12で治療中の巨赤芽球性貧血、AMLの急性転化)、低体温
- 消化管からのK喪失:(Uk<25mEq/日または15mEq/L、またはTTKG<3)
- 消化管からの喪失+代謝性アシドーシス:下痢、緩下薬乱用、絨毛腺腫
- 嘔吐とNGTドレナージによるカリウム喪失
- 腎性K喪失:(Uk>30mEq/日または15mEq/L、またはTTKG>7)
-
- アシドーシス:DKA、RTA(近位RTA(2型)と多くの遠位RTA(1型))
- アルカローシス
- 利尿薬、嘔吐、NGTドレナージ(続発性高アルドステロン症)
- Bartter症候群(HHenleのループ機能異常:フロセミド様効果)
- Gitelmann症候群(遠位曲尿細管の機能異常:サイアザイド様効果)
- Mg欠乏:遠位でのK分泌亢進が原因の可能性
- 原発性高アルドステロン症:Conn症候群など
- 続発性高アルドステロン症:腎血管性疾患、レニン分泌性腫瘍
- 非アルドステロン性ミネラルコルチコイド(Cushing症候群、Liddle症候群、外因性ミネラルコルチコイド、肝臓)
病態生理
検査
鑑別診断のために
- 検査としては尿検査(Uk,UCl,Uosm),血液検査(Bosm,Mg,K),血ガス
心電図
- ECGの変化は心室の再分極が遅延し、心筋細胞内のK+濃度をうまく補正できないことによる。
- QT延長:細胞外K濃度が低い→静止膜電位が低下→再分極に時間がかかる?
- QRS幅延長
- T波の平低化、U波出現
- ST低下
- 期外収縮
- (最初に)T平坦,U出現,ST低下,QT延長 → (重度になれば)PR延長, QRS減高, QRS幅拡大 → VFリスク↑
症状
- <3mEq/Lでなければ症状が出現することはほとんどない。(HIM.282)
- 神経系:感覚鈍麻、傾眠傾向、無関心
- 心血管系:心筋壊死、心筋線維症、、末梢血管収縮
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐、イレウス
- 筋骨格:筋力低下、呼吸筋麻痺
- impaired muscle metabolism and the blunted hyperemic response to exercise associated with profound K+ depletion increase the risk of rhabdomyolysis.(HIM.282)
- 泌尿器:多尿、腎濃縮力低下、糸球体濾過量・腎血漿流量低下、尿細管間質性腎炎、慢性腎盂腎炎
- 内分泌:糖忍容力低下(インスリンと共にカリウムが細胞に入っていかない、インスリン分泌能↓+インスリン抵抗性↑(HIM.282))、その他の代謝異常(負の窒素バランス、代謝性アルカローシス)
低カリウム血症による腎機能不全
- uptodateより
- 尿濃縮能の低下:impaired urinary concentrating ability:≦3.0mEq/Lの低カリウム血症が慢性的に持続すると中等度の腎機能低下が起こる。集合管におけるADHに対する反応性低下と関連づけられている(The concentrating defect is associated with decreased collecting tubule responsiveness to antidiuretic hormone)が、完全によく分かっていない。2つのことは少なくとも寄与している;アクアポリン2の発現の減少、Na-K-2Cl共輸送対の活性の低下。
- increased ammonia production
- increased bicarbonate reabsorption
- altered sodium reabsorption
- hypokalemic nephropathy
合併症
治療
国試
[★]
- 英
- hypoaldosteronism, aldosterone hypo function
- 関
- 低レニン血症性低アルドステロン症、4型尿細管性アシドーシス、腎尿細管性アシドーシスIV型 renal tubular acidosis type IV RTA IV
- アルドステロン症
概念
- 尿細管においてアルドステロンの作用が低下した病態。アルドステロンは接合尿細管や集合管でナトリウム再吸収、カリウム排泄、酸排泄を促進するので、低アルドステロン症ではこのアルドステロンの作用が減少することで本病態を引き起こす。
病因
- 1. 副腎皮質からのアルドステロンの分泌低下
- 2. 尿細管におけるアルドステロンに対する反応性低下
副腎皮質からのアルドステロンの分泌低下
ホルモンによる分類
- アルドステロン分泌調節に対する刺激因子の低下:低レニン性
- 副腎皮質球状層におけるアルドステロン生合成の低下:高レニン性
尿細管におけるアルドステロンに対する反応性低下
症状
検査
- 低ナトリウム血症、高カリウム血症
- 尿中ナトリウム高値、尿中カリウム低値
- 血中HCO3-低下
- 糖尿病性ケトアシドーシスに糖尿病性腎症による低アルドステロン症が合併している場合、アニオンギャップの低下以上に重炭酸イオン濃度が低下する。この差が低アルドステロン症による過剰の重炭酸イオンの消費となる。
参考
- http://enotes.tripod.com/hypoaldosteronism.htm
- http://www.endotext.org/adrenal/adrenal24/adrenal24.html
- Wikipedia:Hypoaldosteronism
uptodate
- 1. [charged] 高カリウム血症患者の評価および低アルドステロン症(4型 RTA)の診断 - uptodate [3]
- 2. [charged] 低アルドステロン症(4型RTA)の病因および治療 - uptodate [4]
[★]
- 同
- 131I-アドステロール副腎皮質シンチグラフィー
- 関
- アドステロール
「アドステロール-I131注射液」添付文書より
- 本品の有効性についてのモニター調査の結果、読影できたものを有効例とした場合の有効率(有効例数/症例数)は次のとおりであった。
- 本品の原発性アルドステロン症の腺腫への集積率はホルモン産生能と腺腫の大きさとに関係すると考えられており、通常、直径が1cm以下の腺腫では診断が困難とされている。また、たとえ直径が1cm以上の場合でも、ホルモン産生能が低い場合、陽性描出不可能な場合がある。
参考
[★]
- 英
- polyuria
- 関
- 尿量
定義
3,000 mL/dayを超える場合 ← 文献は?
- 1日の尿量が2500mlを越える病態 (YN.E-5)
- 24時間尿量が40ml/kg以上 (参考1)
病因
- OLM.17 YN.E-5
-
-
標準的な尿量
- 男性:1500 mL/day
- 女性:1200 mL/day
参考
- 夜間多尿、夜間頻尿についての講演内容
- http://www.kanazawa-med.ac.jp/~urol/lecture.pdf
[★]
- 英
- selective hypoaldosteronism, isolated hypoaldosteronism
- 関
- アルドステロン症、低アルドステロン症、低レニン性低アルドステロン症、アルドステロン
[★]
- 英
- glucocorticoid suppressible hyperaldosteronism, GSH
- 同
- デキサメタゾン抑制性高アルドステロン症 dexamethasone suppressible hyperaldosteronism DSH
[★]
- 同
- glucocorticoid-remediable aldosteronism, GRA
- 関
- 原発性アルドステロン症
[★]
- 英
- glucocorticoid-remediable aldosteronism GRA
[★]
- 英
- glucocorticoid-suppressible hyperaldosteronism
[★]
- 英
- aldosterone
- 関
- 尿細管
基準値
- 血漿濃度は35-240 pg/ml, EDTA加血漿 安静臥位 30-160 pg/ml
- 30-160 pg/ml (LAB.715)
- 35.7-240 pg/ml (随時), 29.9-159pg/ml (臥位), 38.9-307pg/ml (立位) (SRL)
分類
性状
産生組織
標的組織
生理作用
- 1. 腎の接合尿細管と集合管、唾液腺、乳腺、汗腺等に働いてNa+の再吸収を促進し、K+の排出(分泌)を促進する (SP.791,792 によれば、腎接合尿細管を含む)
- 2. 腎集合管でH+の排出(分泌)を促進する。
- Na+/K+-ATPase活性↑@遠位尿細管・皮質集合管 → 管腔側K↑ → K再吸収/H+分泌 (QB CBT vol2 p.360) ← 成書での裏付けがないが、確かにアルドステロン↑によりK+分泌が↑となれば、管腔側にK+があふれるのでα間在細胞上の管腔側にあるK+/H+交換輸送体担体によりH+管腔側にくみ出されるな。
作用機序
- アルドステロンは何らかの経路を経て、ある遺伝子(アルドステロン誘導タンパク質 AIP)の転写・発現を促進する。これにより、以下の作用を及ぼす (2007年度後期生理学授業プリント)
- (1)Na+-K+ATPaseの発現
- (2)基底膜面積の増加
- (3)Na+チャネルの活性化
- (4)K+チャネルの活性化
- Na+-K+ ATPase活性を上昇させる(SP.792)
- ミトコンドリアのエネルギー産生系が活性化される(SP.792)
分泌調節
- 1. 体液↓、血圧↓→レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系でアンジオテンシンIIが生成→P450scc↑、P450aldo↑
-
- →レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系
- 2. 血漿K+↑→アルドステロン分泌↑ ← direct action on the adrenal cortical cells.
- 3. ドパミン、ソマトスタチン→アルドステロン分泌↓ (出典不明)
- 4. ACTH
- アルドステロン分泌作用は弱い。only a short-term effect(NEL.2351).
分子機構
生合成
臨床関連
[★]
- 英
- sis, pathy