出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/07/30 13:35:32」(JST)
フッ化水素 | |
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IUPAC名
フッ化水素 |
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別称
フッ化水素酸(水溶液)
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 7664-39-3 |
特性 | |
化学式 | HF |
モル質量 | 20.01 g/mol |
外観 | 無色気体または液体 |
密度 | 0.922 kg m-3 |
融点 |
-84 ℃ |
沸点 |
19.54 ℃ |
水への溶解度 | 任意に混和 (沸点以下) |
酸解離定数 pKa | 3.17 (希薄水溶液) |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
-272.1 kJ mol-1(気体)[1] -299.78 kJ mol-1(液体) |
標準モルエントロピー S |
173.779 J mol-1K-1(気体) |
標準定圧モル比熱, Cp |
29.133 J mol-1K-1(気体) |
危険性 | |
関連する物質 | |
その他の陰イオン | 塩化水素 臭化水素 |
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
フッ化水素(フッかすいそ、弗化水素、hydrogen fluoride)とは、水素とフッ素とからなる無機化合物で、分子式が HF と表される無色の気体または液体。水溶液はフッ化水素酸 (hydrofluoric acid) と呼ばれる。フッ酸とも呼称される。毒物。
目次
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フッ化水素は、蛍石(フッ化カルシウム CaF2 を主とする鉱石)と濃硫酸とを混合して加熱することで発生させる。
水にフッ素を反応させると、激しく反応してフッ化水素と酸素が生じる(この反応様式は、塩素や臭素と異なる)。
常温で気体または液体。塩化水素などの他のハロゲン化水素の場合に比べて性質が異なる点がある。まず、F-H の結合エネルギーが大きいために電離し難く、希薄水溶液においては弱酸として振舞う。これはフッ化物イオンのイオン半径が小さいため、水素イオンとの静電気力が強いことによるとも解釈される。また、水素結合により分子間に強い相互作用を持つことから、分子量の割りに沸点が高くなっている。また、フッ素の電気陰性度があまりに大きいために、フッ化水素同士で二量体あるいはそれ以上の多量体を生成する。80℃以上の気体状態では単量体が主となる[2]。
液体フッ化水素はプロトン性溶媒であり、水などと同様に自己解離が存在するが、フッ素のあまりの陰性の為にフッ化物イオンは更に一分子のHFと結合して溶媒和し、0℃のイオン積は以下の通りである[3]。
フッ化水素の水溶液(フッ化水素酸、弗酸)は濃度により酸性度は著しく変化し、純粋なフッ化水素ではハメットの酸度関数は H0 = -11.03 を示し、純硫酸に近い強酸性媒体である[4]。さらに純フッ化水素に1mol%の五フッ化アンチモンを加えたものは H0 = -20.5 という超酸としての性質が現れる。
0℃における比誘電率は83.6と、水の87.74(0℃)に近く、イオン解離に有利な溶媒としての性質を持つが、強い酸性度のためフッ化水素中で強酸としてはたらく物質は少なく、水、アルコールなど多くの分子がプロトン化を受け強塩基として振る舞う[3]。
フッ化物イオンの高い求核性によるケイ素原子との強い結合形成と、ケイ酸骨格へのプロトン化の相互作用により、ガラス等に含まれるケイ酸 SiO2 と反応して、ヘキサフルオロケイ酸 (H2SiF6·nH2O) を生じ、これらを腐食させる。この反応は、半導体の製造プロセスにおいて重要である。
ちなみに、気体のフッ化水素は、ガラス等に含まれる二酸化ケイ素 SiO2 と反応し
となる。
その他、ほとんど全ての無機酸化物を腐食する。そのため、容器としてポリエチレンやテフロンのボトルが使用される。
フロンガスの製造、ガラスの彫刻、電球・ブラウン管のつや消し、フッ化物の製造原料、金属の洗浄、鋳造物の洗浄、フッ素樹脂の中間原料、半導体物質のエッチング剤等
フッ化水素酸(濃度50%換算値)の2008年度日本国内生産量は 132,244 t、消費量は 108,150 t である[5]。
ヒトの経口最小致死量 = 1.5 g、または 20 mg/kg(体重あたり)。スプーン一杯の誤飲(9%溶液)で死亡の事例もある[6]。 吸引すると、灼熱感、咳、めまい、頭痛、息苦しさ、吐き気、息切れ、咽頭痛、嘔吐。症状は遅れて現われることがある 又、眼に入った場合は発赤、痛み、重度の熱傷を起こす。 皮膚に接触すると、体内に容易に浸透する。フッ化水素は体内のカルシウムイオンと結合してフッ化カルシウムを生じる反応を起こすので、骨を侵す。濃度の薄いフッ化水素酸が付着すると、数時間後にうずくような痛みに襲われる。生じたフッ化カルシウム結晶の刺激によるものである。また、浴びた量が多いと死に至る。これは血液中のカルシウムイオンがフッ化水素によって急速に消費されるために、血中カルシウム濃度が低下し、しばしば重篤な低カルシウム血症を引き起こすためである[7]。この場合、意識は明晰なまま、心室細動を起こし死亡する[8]。
なお、歯科治療にては、人工歯(義歯)の製造工程にフッ化水素が使われる一方で、虫歯予防にフッ化ナトリウム (NaF) が使われることがある。実際に、両者のとり違いによる死亡事故が報告されている[9][10]。皮膚に接触した場合の応急処置としては、直ちに流水洗浄し、グルコン酸カルシウムを患部に塗布する。
ゴーグル 要/ マスク 酸性ガス用防毒マスク/ 防護服 要/ フッ化水素/ タイケムC 即時 透過性について/ タイケムF 即時 透過性について/ タイケムTK JIST8115 >480分 6等級 透過性について/ フッ化水素(48%~51%)/ タイケムC JIST8115 >480分 6等級 透過性について/ タイケムF JIST8115 >480分 6等級 透過性について/ タイケムTK JIST8115 >480分 6等級 透過性について/ フッ化水素(70%)/ タイケムF JIST8115 39分 2等級 透過性について/ タイケムTK JIST8115 >480分 6等級 透過性について/ フッ化水素(92%90℃)/ タイケムTK JIST8115 67分 3等級 透過性について/ 化学手袋 要/ フッ化水素(50%)/ シルバーシールド >6時間 パーミエーションガイド/ 測定器具 北川式ガス検知管*{http://www.bougofuku.com/goods/ap20/156.html} / ガステック検知管*{http://www.bougofuku.com/goods/gv100/17.html}/
管理濃度 0.5ppm
火災 不燃性。多くの反応により、火災や爆発を生じることがある。/ {対処方法} 火災:周辺の火災時:適切な消火薬剤を使用する。(保護具を使用し、ソーダ灰または石灰で中和した後、水洗する。等)/ 爆発:水を噴霧して圧力容器を冷却するが、’’’水が直接かからないように’’’する。 安全な場所から消火作業を行う。
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グルコン酸(—さん、gluconic acid)はグルコースの1位の炭素を酸化することによって生成するカルボン酸で、化学式 C6H12O7 で表わされる。光学活性化合物であり、天然には D体が存在、そのIUPAC命名法は (2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸と表される。水に溶かすとグルコン酸イオン C6H11O7− となる。アルドン酸の一種。
6個の炭素鎖からなり、末端にカルボキシル基を、また2番目から6番目の炭素原子に1個ずつ計5個のヒドロキシ基を持つ。カルボキシル基はプロトン H+ を失うことによってアニオンになる性質を持つ。
酸性の溶液に溶かしたり、溶液から遊離の酸の単離を試みたりすると、容易に脱水して環状エステルであるグルコノデルタラクトン(D-(+)-グルコン酸-δ-ラクトン)へと変化する。水溶液中ではこの化合物との平衡混合物として存在するため、塩の形でしか不純物を含まないものは得られない。
グルコン酸は強力なキレート剤であり、特にアルカリ性の溶液中でよく作用する。カルシウム、鉄、アルミニウム、銅やその他の重金属イオンにキレート配位する。
天然には蜂蜜やワイン、果物の中に少量存在する。紅茶キノコや清涼飲料水のビオナーデ (Bionade) など、発酵食品にも含まれる。
化学的には D-グルコースを臭素水やヨウ素のアルカリ溶液で穏やかに酸化することによって得られる。生化学的には、Aspergillus Niger による D-グルコースの微生物酸化で生成する。グルコースを酸化する酵素はグルコースオキシダーゼと呼ばれる。
金属塩の沈殿の除去や、金属を洗浄する際に弱い酸として使われるほか、以下のような用途がある。
グルコン酸およびその塩はpH調整剤として用いられる (E番号)。カルシウム塩は安定剤 (E578) として、カルシウムの乳酸との複塩(乳酸グルコン酸カルシウム)はカルシウム剤として使われる。グルコン酸鉄はオリーブの黒味を出すのに利用される (E579)。グルコノデルタラクトンも食品添加物として使われる (E575)。
鉄の欠乏症に対する薬として利用される。グルコン酸亜鉛など他の金属イオンの塩も同様であるが、グルコン酸塩は体に吸収されやすい性質を持つ。また、取り込まれたグルコン酸イオンは体内の金属イオンを効果的に吸収されやすくする。この作用は皮膚からの吸収の場合でも同様であるため、フッ化水素で薬傷を受けた際にはグルコン酸カルシウムの軟膏が有効である。グルコン酸塩として取り込まれたカルシウムイオンは、溶解性のフッ化物イオンと結合して不溶性のフッ化カルシウムを形成し、これを無毒化する。
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