出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/03 12:39:02」(JST)
この項目では、発酵の作用を使って生産される食品について説明しています。酒や調味料・味噌などの加工の過程については「醸造」をご覧ください。 |
発酵食品(はっこうしょくひん)とは、食材を発酵させることにより作成する食品である。
発酵食品は、採れたままの食材に対して、何らかの発酵に基づく加工が成された食品である。なお、発酵については、近代における微生物学など科学の発達によって、主に微生物などの働きであることが理解されるようになってきたものの、古くは「理由はわからないが所定の工程を行うことで概ね同じような状態に変化する」という現象を利用することで連綿と行なわれてきた。このため、一概に発酵食品とはいっても微生物の存在が理解される以前から行なわれていることにも絡んで、微生物の作用以外に酵素の働きによるものや生物の自己消化(→自己融解)作用による変化などもその類型に収まる。
こういった発酵食品の製造では、所定の微生物が働きやすく、逆に望まれない微生物(いわゆる雑菌)の繁殖が起きないよう、環境を整えてやることが行なわれる。これによって、所定の微生物だけが食品の加工を行うことになるが、これと同時に腐敗など食用に適さない状態変化を起こすことが防がれ、結果的に保存性が高まる。このため発酵食品の一部には、冷蔵庫など食料保存に便利な道具の発達以前より、食料資源を長く持たせるための保存食としての側面も見られ、こと乳酸菌による乳酸発酵では発酵の過程で生産される乳酸が雑菌の繁殖を抑えるため、比較的様々な地域に根付いた郷土料理中に乳酸発酵による発酵食品が見出される。
また発酵食品は、そのままでは食用が難しかったり風味の面で素材そのままでしかなかったものを、微生物に分解させることで食用に適するようにしたり、新たな風味を創出するという意味がある。良くある発酵食品の方向性としては、タンパク質を分解させてアミノ酸とし、これが食品の風味となるもの、あるいは糖(炭水化物)を分解させアルコールにする(アルコール発酵)などが見られる。なおアルコール発酵の過程では、ビールやウイスキーに見るように、麦芽に含まれるアミラーゼによって糖化する工程が含まれ、この段階では微生物ではなく植物自身が作り出した酵素によって加工が成されている。
なお、発酵食品の範疇からは外れるが、自己消化の作用は食肉の熟成段階でも利用されており、適切な温度・湿度管理と所定の期間を置くことによって、屠畜直後とは異なる風味を持つようになる。これを積極的に行う乾燥熟成肉も一般的に食べられている。
発酵食品は人類の歴史において、有史以前から存在していた長い歴史がある。
現時点で確認されている考古学的に最古の発酵食品は、8000年前のコーカサス地方のワインである。また、イランでも7000年前のワインを作成した証拠が確認されている。
カッコ内は発祥地もしくは特産地(以下同様)
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リンク元 | 「グルコン酸」 |
グルコン酸(—さん、gluconic acid)はグルコースの1位の炭素を酸化することによって生成するカルボン酸で、化学式 C6H12O7 で表わされる。光学活性化合物であり、天然には D体が存在、そのIUPAC命名法は (2R,3S,4R,5R)-2,3,4,5,6-ペンタヒドロキシヘキサン酸と表される。水に溶かすとグルコン酸イオン C6H11O7− となる。アルドン酸の一種。
6個の炭素鎖からなり、末端にカルボキシル基を、また2番目から6番目の炭素原子に1個ずつ計5個のヒドロキシ基を持つ。カルボキシル基はプロトン H+ を失うことによってアニオンになる性質を持つ。
酸性の溶液に溶かしたり、溶液から遊離の酸の単離を試みたりすると、容易に脱水して環状エステルであるグルコノデルタラクトン(D-(+)-グルコン酸-δ-ラクトン)へと変化する。水溶液中ではこの化合物との平衡混合物として存在するため、塩の形でしか不純物を含まないものは得られない。
グルコン酸は強力なキレート剤であり、特にアルカリ性の溶液中でよく作用する。カルシウム、鉄、アルミニウム、銅やその他の重金属イオンにキレート配位する。
天然には蜂蜜やワイン、果物の中に少量存在する。紅茶キノコや清涼飲料水のビオナーデ (Bionade) など、発酵食品にも含まれる。
化学的には D-グルコースを臭素水やヨウ素のアルカリ溶液で穏やかに酸化することによって得られる。生化学的には、Aspergillus Niger による D-グルコースの微生物酸化で生成する。グルコースを酸化する酵素はグルコースオキシダーゼと呼ばれる。
金属塩の沈殿の除去や、金属を洗浄する際に弱い酸として使われるほか、以下のような用途がある。
グルコン酸およびその塩はpH調整剤として用いられる (E番号)。カルシウム塩は安定剤 (E578) として、カルシウムの乳酸との複塩(乳酸グルコン酸カルシウム)はカルシウム剤として使われる。グルコン酸鉄はオリーブの黒味を出すのに利用される (E579)。グルコノデルタラクトンも食品添加物として使われる (E575)。
鉄の欠乏症に対する薬として利用される。グルコン酸亜鉛など他の金属イオンの塩も同様であるが、グルコン酸塩は体に吸収されやすい性質を持つ。また、取り込まれたグルコン酸イオンは体内の金属イオンを効果的に吸収されやすくする。この作用は皮膚からの吸収の場合でも同様であるため、フッ化水素で薬傷を受けた際にはグルコン酸カルシウムの軟膏が有効である。グルコン酸塩として取り込まれたカルシウムイオンは、溶解性のフッ化物イオンと結合して不溶性のフッ化カルシウムを形成し、これを無毒化する。
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