- 67歳の女性。不眠を主訴に来院した。1か月前から夜になると両足に虫が這うような不快な感覚を自覚していた。この不快感は安静にしていると増強するが、足を動かすことで軽減する。かかりつけ医からは経過をみるように言われたが良くならず、足を動かしたい欲求が強く寝つけなくなり受診した。四肢の筋トーヌスは正常で筋力低下を認めない。腱反射は正常で、Babinski徴候は陰性である。感覚障害と小脳性運動失調とを認めない。歩行に支障はなく、日常生活動作にも問題はない。血液生化学検査では血清フェリチンを含めて異常を認めない。
- 適切な治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A025]←[国試_112]→[112A027]
★リンクテーブル★
[★]
- 25歳の男性。歩行障害を主訴に来院した。13歳ごろから、重いカバンを持ったときやタオルを強く絞ったときに手を離しにくいことに気付いていたが、運動は問題なくできていた。20歳ごろからペットボトルのふたを開けにくいと感じるようになった。半年前から歩き方がおかしいと周囲から指摘されるようになったため受診した。父方の従兄弟に同様の症状を示す者がいる。意識は清明。身長 172cm、体重 62kg。体温 36.2℃。脈拍 92/分、整。血圧 112/72mmHg。呼吸数 24/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側の側頭筋と胸鎖乳突筋は軽度萎縮している。両下肢遠位筋は萎縮しており、筋力は徒手筋力テストで3である。四肢の腱反射は低下しており、病的反射を認めない。血液所見:赤血球 493万、Hb 14.2g/dL、Ht 44%、白血球 5,900、血小板 16万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 4.1g/dL、AST 40U/L、ALT 49U/L、LD 282U/L(基準 176~353)、CK 528U/L(基準 30~140)、血糖 103mg/dL、HbA1c 6.2%(基準 4.6~6.2)、Na 142mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 103mEq/L。CRP 0.2mg/dL。この患者の母指球をハンマーで叩打する前後の写真(別冊No. 6)を別に示す。叩打後、この肢位が数秒間持続した。
- この所見はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A024]←[国試_112]→[112A026]
[★]
- 30歳の女性。下腹部痛を主訴に来院した。3日前、左下腹部の痛みで目覚めた。その後、同じ強さの痛みが持続したため本日(月経周期の17日目)受診した。今朝から痛みは軽減している。悪心と嘔吐はない。4週間前に受けた婦人科健診では子宮と卵巣とに異常を指摘されなかったという。最終月経は17日前から5日間。月経周期は28日型、整。身長 160cm、体重 52kg。体温 36.5℃。脈拍 72/分、整。血圧 108/68mmHg。呼吸数 18/分。腹部は平坦、軟で、筋性防御を認めない。内診で左卵巣に軽い圧痛を認める。子宮と右卵巣には異常を認めない。血液所見:赤血球 380万、Hb 10.4g/dL、Ht 31%、白血球 5,800、血小板 16万。血液生化学所見:総蛋白 7.3g/dL、アルブミン 4.3g/dL、総ビリルビン 0.3mg/dL、AST 18U/L、ALT 16U/L、LD 195U/L(基準 176~353)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.6mg/dL。CRP 0.3mg/dL。妊娠反応陰性。左卵巣の経腟超音波像(別冊No. 7)を別に示す。
- 適切な対応はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A026]←[国試_112]→[112A028]
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[★]
- 英
- restless legs syndrome, RLS
- 同
- 下肢静止不能症候群、ムズムズ脚症候群、レストレスレッグ症候群
- 関
- 下肢静止不能、エクボム症候群。睡眠障害
概念
- 入眠前の不快な足の感覚によって特徴づけられ、足を動かさずにはいられなくなるような衝動を生じる
疫学
- 40-50歳で急激に上昇する
- 20歳(10%)-90歳(30%)まで漸増する
病型
- 鉄欠乏性貧血
- 終末期腎疾患
- 妊娠
- 末梢神経障害
- パーキンソン病
- その他
診断
診断基準
- 2003 NIH International RLS Study Group(IRLSSG)による
- 1.脚を動かしたいという強い欲求が存在し、また通常その欲求が、不快な下肢の異常感覚に伴って生じる
- 2.静かに横になったり座ったりしている状態で出現、増悪する
- 3.歩いたり下肢を伸ばすなどの運動によって改善する
- 4.日中より夕方・夜間に増強する
診断を補助する特徴
- 1.家族歴
- 2.ドパミン作動薬による効果
- 3.睡眠時のperiodic leg movementsが睡眠ポリグラフ検査上有意に多く出現
鑑別診断
- 鉄欠乏、パーキンソン病、人工透析患者、妊娠、リウマチ性疾患、糖尿病、多発ニューロパチー
- 抗精神病薬に伴うアカシジア:落ちつきのなさが特徴であり、じっとしていることができないが、不快な異常感覚を伴わず、概日リズムもなく、運動も全身性であることなどから鑑別
- 夜間の有痛性筋痙攣
- painful legs and moving toes syndrome 痛む脚と動く趾症候群:足趾に出現し、痛みに伴いゆっくりとした指の動きを不随意に呈し、概日リズムもなく、動かしたい衝動ではないことから鑑別
治療
- 確立された治療法はない
非薬物療法
薬物療法
- 日本神経治療学会 - 標準的神経治療より
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- ベンゾジアゼピン系薬物:クロナゼパム
- 抗けいれん薬:ガバペンチン
- オピオイド
- 鉄剤
- KPS.835
- ベンゾジアゼピン系薬、レボドパ、あへん類、プロプラノロール、バルプロ酸、カルバマゼピン
参考
- https://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/restless.pdf
国試