- 英
- autoimmune disease
- 関
- [[]]
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自己免疫疾患(じこめんえきしっかん、英:Autoimmune disease)とは、異物を認識し排除するための役割を持つ免疫系が、自分自身の正常な細胞や組織に対してまで過剰に反応し攻撃を加えてしまうことで症状を起こす、免疫寛容の破綻による疾患の総称。
自己免疫疾患は、全身にわたり影響が及ぶ全身性自己免疫疾患と、特定の臓器だけが影響を受ける臓器特異的疾患の2種類に分けることができる。関節リウマチや全身性エリテマトーデス(SLE)に代表される膠原病は、全身性自己免疫疾患である。
目次
- 1 歴史
- 2 一覧
- 2.1 臓器特異性自己免疫疾患
- 2.2 全身性自己免疫疾患
- 3 原因
- 4 脚注
- 5 関連項目
歴史
20世紀初めには、パウル・エールリヒ(Paul Ehrlich)により提唱された、免疫系は自分自身を攻撃しないとする「自己中毒忌避説(Horror autotoxicus)」を代表とする考え方が主流であった。しかし、その後の研究により自分の体の構成成分を抗原とする自己抗体が発見されるにつれ、自己免疫疾患の存在が明らかになっていった。
炎症性腸疾患を除き、多くの自己免疫疾患は女性に多い(炎症性腸疾患については男女差はほとんどない)。理由は明らかになっていないが、ホルモンが関与しているという説がある。また、マイクロキメリズムと呼ばれる「妊娠中に胎児と母体との間に胎盤を通して起こる微量の細胞のやり取り」があり、出産後(誕生後)、数十年を経過しても他者由来の細胞が存在していることが明らかになっている。「自己免疫疾患」と呼ばれている疾患の中にはマイクロキメリズムにより他者由来の細胞の影響で発生しているものも存在するとの研究結果がある[1]。ブタの脳のエアロゾルを粘膜から吸収してしまい、自己免疫疾患を発症した例も存在する (en:Progressive inflammatory neuropathy)[2]。
一覧
臓器特異性自己免疫疾患
罹患臓器 |
疾患 |
標的臓器・組織 |
自己抗体 |
備考 |
神経・筋 |
ギラン・バレー症候群 |
ガングリオシド |
抗ガングリオシド抗体 |
カンピロバクターなど細菌やウイルスの先行感染が関与 |
重症筋無力症 |
アセチルコリンレセプター |
抗アセチルコリンレセプター抗体 |
|
消化器 |
慢性胃炎
慢性萎縮性胃炎 |
胃壁細胞 |
抗壁細胞抗体 |
巨赤芽球性貧血に合併 |
自己免疫性肝炎 |
肝実質細胞 |
抗核抗体
抗平滑筋抗体
抗肝腎ミクロソーム抗体 等 |
|
原発性胆汁性肝硬変 |
肝小葉間胆管 |
抗ミトコンドリア抗体 |
|
潰瘍性大腸炎 |
大腸 |
p-ANCA(抗HMG1/HMG2抗体)
リンパ球親和性抗体など |
炎症性腸疾患 |
クローン病 |
食道~大腸 |
原発性硬化性胆管炎 |
胆管 |
|
IgG4関連疾患 |
自己免疫性膵炎 |
膵実質 |
循環器 |
高安動脈炎 |
大動脈 |
抗大動脈抗体 |
|
肺 |
グッドパスチャー症候群 |
肺胞・腎 |
抗基底膜抗体 |
急速進行性糸球体腎炎を合併 |
腎臓 |
急速進行性糸球体腎炎 |
腎糸球体 |
抗基底膜抗体
抗MPO-ANCA抗体
抗DNA抗体
抗P-ANCA抗体 等 |
|
血液 |
巨赤芽球性貧血 |
赤芽球系 |
抗内因子抗体 |
慢性萎縮性胃炎を合併 |
自己免疫性溶血性貧血 |
赤血球 |
抗赤血球抗体 |
|
自己免疫性好中球減少症 |
好中球 |
抗好中球抗体 |
特発性血小板減少性紫斑病 |
血小板 |
抗血小板抗体 |
|
内分泌・代謝 |
バセドウ病 |
甲状腺ホルモンレセプター |
抗甲状腺ホルモンレセプター抗体 |
|
橋本病 |
甲状腺ミクロソーム
サイログロブリン |
抗甲状腺ミクロソーム抗体
抗サイログロブリン抗体 |
原発性甲状腺機能低下症 |
甲状腺 |
抗ペルオキシダーゼ抗体
抗甲状腺刺激抗体 等 |
特発性アジソン病 |
副腎 |
抗副腎抗体 |
1型糖尿病 |
ランゲルハンス島 |
抗ランゲルハンス島抗体 |
皮膚 |
慢性円板状エリテマトーデス |
|
抗核抗体 |
播種型で高い力価 |
限局性強皮症 |
抗1本鎖DNA抗体 |
斑状強皮症で高い力価 |
天疱瘡 |
表皮 |
IgG抗表皮細胞抗体 |
|
膿疱性乾癬 |
TNF-α抗体 |
|
尋常性乾癬 |
表皮 |
TNF-α抗体 |
|
類天疱瘡 |
表皮基底膜 |
IgG抗表皮基底膜部抗体 |
|
妊娠性疱疹 |
線状IgA水疱性皮膚症 |
IgA抗表皮基底膜部抗体 |
後天性表皮水疱症 |
IgG抗表皮基底膜部抗体 |
円形脱毛症 |
毛母細胞 |
毛包周囲へのCD4陽性リンパ球浸潤 |
全頭型・悪性型で顕著 |
尋常性白斑
サットン後天性遠心性白斑・サットン母斑 |
メラノサイト |
抗メラノサイト抗体 |
汎発型(A型)に顕著、サットン母斑の場合は色素性母斑の周りに白斑が、出現、母斑が消えることがある |
眼 |
原田病 |
ブドウ膜・皮膚・神経 |
病変部のリンパ球浸潤 |
|
自己免疫性視神経症 |
視神経 |
抗核抗体
抗カルジオリピン抗体 等 |
各種疾患に合併 |
耳 |
自己免疫性内耳障害 |
内耳 |
68kDa内耳自己抗体 |
他の自己免疫疾患の一部としても発症 |
男性生殖器 |
特発性無精子症 |
精巣 |
抗精子抗体 |
|
産婦人科 |
習慣性流産 |
|
抗β2-GPI抗体
抗カルジオリピン抗体 等 |
全身性自己免疫疾患
疾患 |
標的臓器・組織 |
自己抗体 |
備考 |
関節リウマチ |
関節滑膜 |
リウマトイド因子
抗CCP抗体 |
|
全身性エリテマトーデス |
多臓器 |
抗二本鎖DNA抗体
抗核抗体 等 |
|
抗リン脂質抗体症候群 |
動脈・静脈・子宮 等 |
抗リン脂質抗体 |
|
多発性筋炎
皮膚筋炎 |
皮膚・筋・肺 等 |
抗アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)抗体
抗Jo-1抗体
抗Mi-2抗体
抗155/140抗体
抗CADM-140抗体 |
|
強皮症 |
皮膚・肺・腎臓 等 |
抗トポイソメラーゼI抗体
抗RNAポリメラーゼIII抗体
抗セントロメア抗体 等 |
|
シェーグレン症候群 |
涙腺・唾液腺・多臓器 |
抗Ro/SS-A抗体 等 |
|
IgG4関連疾患 |
多臓器 |
|
|
血管炎症候群 |
血管 |
抗好中球細胞質抗体(ANCA関連血管炎) |
一部公費対象 |
混合性結合組織病 |
多臓器 |
抗U1-RNP抗体 |
|
(注)桃色の欄は厚生労働省特定疾患研究対象疾患、いわゆる難病であり公費負担の対象となる。
原因
テトラサイクリン系抗生物質の中でも、特にミノサイクリンが関連を示している[3]。
青少年のニキビ治療でミノサイクリン使用中に自己免疫性甲状腺炎が報告されている[4]。
脚注
- ^ 『日経サイエンス』(2008年5月号) - J.L.ネルソン(J. Lee Nelson)「マイクロキメリズム あなたの身体に潜む“他者”の細胞」(原題名:Your cells Are My Cells(SCIENTIFIC AMERICAN February 2008))
- ^ 「ブタの脳」を吸い込んだ労働者たちに謎の神経疾患 WIRED.jp 2009年3月17日
- ^ Lebrun-Vignes B, Kreft-Jais C, Castot A, Chosidow O. (June 2012). “Comparative analysis of adverse drug reactions to tetracyclines: results of a French national survey and review of the literature”. British Journal of Dermatology (BJD). 166 (6): 1333-41. doi:10.1111/j.1365-2133.2012.10845.x. PMID 22283782. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1365-2133.2012.10845.x/abstract.
- ^ Pollock AJ, Seibert T, Allen DB. (2016-4-5). “Severe and Persistent Thyroid Dysfunction Associated with Tetracycline-Antibiotic Treatment in Youth”. The Journal of Pediatrics. (J. Pediatr.) S0022-3476 (16): 415-7. doi:10.1016/j.jpeds.2016.03.034. PMID 27059913. http://www.jpeds.com/article/S0022-3476(16)00415-7/abstract.
関連項目
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Japanese Journal
- 分子標的治療 (第1土曜特集 ヒト免疫学の新機軸) -- (治療に関する解析)
- 細胞表面分子に対する生物学的製剤と免疫学 (第1土曜特集 ヒト免疫学の新機軸) -- (治療に関する解析)
- ヒトヘルパーT細胞サブセットの多様性と病態における役割 (第1土曜特集 ヒト免疫学の新機軸) -- (リンパ球解析)
Related Links
- 主な自己免疫疾患 疾患名 主に損傷を受ける組織 症状と経過 自己免疫性溶血性貧血 赤血球 赤血球が減少して貧血が起こり、疲労感、脱力感、立ちくらみが現れる。
- 自己免疫疾患は、身体にとって異物である物に対して、働く免疫系が、自分の細胞や臓器に反応してしまい、それを排除する為に抗体を作り出してしまう疾患です。よく知られている自己免疫疾患には、関節リウマチ ...
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[★]
- 英
- Graves' disease, Graves disease
- 同
- バセドー病 バセドウ病 (国試)Basedow病 Basedow disease Basedow's disease、グレーヴス病 Graves病、exophthalmic goitre、中毒性びまん性甲状腺腫 toxic diffuse goiter、パリー病 Parry disease
- ラ
- morbus Basedowii
- 関
- 甲状腺中毒症
概念
病因
- 甲状腺刺激免疫グロブリン thyroid stimulating immunoglobulin
- 甲状腺増殖刺激免疫グロブリン thyroid re-growth-stimulating immunoglobulin (TGI)
- TSH結合阻害免疫グロブリン TSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBIIs)
- 自己抗体であるTSH受容体抗体の産生 → 甲状腺濾胞上皮細胞のTSH受容体に結合して活性化 → 甲状腺ホルモン分泌↑
- 抗TSH受容体抗体は95-98%の症例で出現する。
疫学
頻度
- 住民検診などで見つかる Basedow病は、1,000人に対し 1-6人と報告されている。
- 男女比は1:4で女性に多い。特に、20-50歳の女性に多い。
- 家族内集積が高い。
病変形成&病理
- 自己抗体により、濾胞のホルモン産生が刺激され、甲状腺は瀰漫性に腫大(正常の数倍から200gまで)。
症状
- 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等
- 心臓肥大、リンパ組織過形成、真皮の肥厚
- 2. びまん性甲状腺腫大(表面は平滑で柔らかい、血管雑音)
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 未治療or適切な治療が行なわれていなかった状態、感染、外傷などの誘因が加わった時に機能亢進症が急速に増悪する状態。頻脈、ショック。
合併症
検査
- 1. FT4、FT3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値
- 3. TSH受容体抗体陽性、または甲状腺刺激抗体陽性
- 4. 放射線ヨード甲状腺摂取率高値 ← 甲状腺ホルモンの生合成が亢進
エコー
診断
(Basedow病の診断ガイドライン(日本甲状腺学会 第7次案))
- 所見
- 1. 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
- 2. びまん性甲状腺腫大
- 3. 眼球突出または特有の眼症状
- 1. 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
- 2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
- 3. 抗TSH受容体抗体(TRAb,TBII) 陽性、または刺激抗体(TSAb) 陽性
- 4. 放射線ヨード(またはテクネシウム) 甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性
- 診断
- a) の1つ以上に加えて、b) の4つを有するもの
- a) の1つ以上に加えて、b) の1、2、3を有するもの
3) Basedow病の疑い
- a) の1つ以上に加えて、b) の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3カ月以上続くもの
- 付記
- 1. コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い.
- 2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある.
- 3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid
Graves’diseaseまたはeuthyroidophthalmopathyといわれる.
- 4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする.
- 5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める.
- 6. 遊離T3(pg/ml) /遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる
治療
の二種類である。薬効の高さや作用持続時間の長さの利点からMMIを第一選択とするが、胎盤移行や乳汁移行、副作用の出現頻度を考慮しPTUを用いることもある。治療中止の時期は甲状腺機能の正常化はもちろんのこと、抗TSH受容体抗体が陰性であることも必要である。
- 治療期間:長い。1-2年維持量でコントロールし、TSH受容体抗体が陰性化したら減量し、さらに6ヶ月したら休薬(YN.D-31)
治療の中止
- 4点がそろえば中止。中止後、10-25%が再発する。
- 1. メルカゾール1錠/日-1錠/隔日で甲状腺機能が正常 (TSH, FT4の両方が正常)
- 2. 投薬継続期間が2年以上
- 3. 甲状腺腫が小さくなった
- 4. TSH受容体抗体が陰性
βブロッカー
- 脈拍、動悸、振戦を軽減 ← 甲状腺ホルモンの「心筋細胞のカテコールアミン受容体を増加させる作用」に対して
放射性ヨード療法
- 131Iのβ線により甲状腺組織を破壊
- 効果は2-3週後に出現し、最大効果は6-12週後。
外科的治療法
比較
|
放射性ヨード療法 131療法
|
外科的治療法
|
抗甲状腺薬
|
長所
|
治療法が簡単
|
|
どの年代の患者でも可能(妊娠・妊娠中も可能)
|
成人合併例でも治療可能
|
|
通院での治療可能
|
比較的短期間で寛解
|
短期間に治癒
|
|
永続寛解率が高い
|
高い寛解率
|
|
侵襲が少ない
|
|
不可逆的な甲状腺機能低下は稀
|
短所
|
特別な施設が必要
|
手術侵襲
|
副作用(無顆粒球症・肝障害)
|
永続的甲状腺機能低下症が年ごとに増加
|
永続的甲状腺機能低下症
|
|
妊娠、授乳期では禁忌
|
瘢痕
|
治療期間が長い
|
|
術後合併症(反回神経麻痺、テタニー)
|
永続寛解率が低い
|
|
術後再発
|
|
回避・禁忌
|
30歳以下は避ける
|
|
|
妊娠予定、妊娠中、授乳中は禁忌
|
|
|
適応
|
欧米の第一選択
|
|
日本の第一選択
|
老人で早期治療を望む場合
|
早期治癒を望む場合(社会的・妊娠希望)
|
小児、妊婦
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
抗甲状腺薬で副作用の例
|
外科的療法、放射性ヨード療法の明らかな適応外
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
抗甲状腺薬で永続治癒の可能性低
|
FT4軽度上昇例
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
服薬・治療コンプライアンス低
|
|
手術適応だが合併症、患者の意志により回避される場合
|
通院が困難
|
|
手術後再発例
|
甲状腺腫が大
|
甲状腺腫が小
|
病理
- 濾胞上皮の著明な過形成、上皮細胞の丈が増して円柱上となる、濾胞上皮が乳頭状に濾胞腔に突出する、間質の軽度の線維化、リンパ球集簇、リンパ濾胞、腫大した上皮細胞は濾胞中央部のコロイドを活発に吸収するため、コロイドの辺縁部に空泡が見える。
グレーブス病、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎の比較
- YN.D-40改変
参考
- 1. D.産科疾患の診断・治療・管理 8.合併症妊娠の管理と治療 - 日産婦誌60巻3 号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/60/6003-041.pdf
[★]
- ☆case34 てんかん発作
- ■症例
- 23歳 アフリカ-カリブ系 女性 銀行の店員
- 主訴:てんかん発作
- 現病歴:強直間代発作を2回起こしたところを母親が目撃していた。娘の行動は次第におかしくなり、また娘は自分のことを話している声が聞こえていた(幻聴)。最近、頭痛を訴えていた。体重が減少し、脱毛があった。盗汗と主に足と手の小関節に及ぶflitting 関節痛を訴えていた。服用薬なし。タバコ1日5-10本、アルコール10 unit/week(缶ビール(350ml)6本弱)
- 既往歴:特記なし(medical or psychiatric history)
- 家族歴:
- 生活歴:
- ・身体診断
- 意識:眠そうだが痛みに反応。頚部硬直:なし。頭髪:薄く斑状。体温38.5℃。リンパ節:たくさんの部位で触知。
- 心拍:104/分、整。血圧:164/102 mmHg。心血管系、呼吸器系、腹部:異常なし。
- 神経所見:focal anormalityなし(局所性異常)。乳頭浮腫:認めず。
- ・検査
- (血液生化学)
- 上昇:erythrocyte sedimentation rate、urea、creatinine
- 低下:hemoglobin、white cell count、platelet
- 正常:mean corpuscular volume、sodium、potassium、glucose
- (腰椎穿刺)
- 上昇:leukocytes、CSF protein
- 正常:CSF glucose
- (尿検査)
- 蛋白:+++。血尿:+++。赤血球:++。赤血球円柱:あり。
- (その他)
- 胸部X線:異常なし。ECG:洞性頻脈。頭部CT:正常。CSFグラム染色:陰性(光顕レベルで細菌なし)
- ■glossary
- fall out (毛髪などが)抜ける
- night sweat 盗汗、寝汗
- tonic-clonic generalized seizure 全般性強直間代発作
- flit vi (鳥・蝶など)すいすい/ひらひら飛ぶ、飛び回る、飛翔する。(人が)軽やかに通る、行き交う。(時が)(飛ぶように)すぎる。(幻想など)去来する、よぎる、(表情が)かすめる
- drowsy adj. 眠い。眠そうな。眠気を誘う。ものうい。眠ったような
- stiffness n. 堅いこと、堅ぐるしさ、がんこさ
- delirium tremens 振戦譫妄
- hypertensive encephalopathy 高血圧性脳症
- alopecia 脱毛症
- African-Caribbean アフリカ-カリブ系
- fit n. (病気の)発作。引きつけ、痙攣。(感情の)激発、一時的興奮、気まぐれ
- chorea n. 舞踏病
- recreational drug 耽溺性があり乱用される脱法薬物
- urgent adj. (物・事が)急を要する、緊急の、背拍質(pressing)。(~を)緊急に必要とする(in)。(S is ~ (with O1) for [in] O2)(人が)(O1(人)に)O2(物・事)をしつこく求める。(人に/~するように)催促する(for/to do)。(要求などが)執拗な。
- □てんかん発作
- ・新規発生したてんかん発作の原因(ICU.805-806)
- ・薬物中毒(テオフィリンなど)
- ・薬物からの離脱(アルコールなど)
- ・感染症(髄膜炎、膿瘍など)
- ・頭部外傷
- ・虚血障害(虚血あるいはびまん性)
- ・占拠性病変(腫瘍あるいは血腫)
- ・代謝性障害(肝性脳症、尿毒症性脳症、敗血症、低血糖、低ナトリウム血症、低カルシウム血症など)
- ・合併症(ICU.805-806)
- ・全身性てんかん発作の場合:高血圧、乳酸アシドーシス、高体温、呼吸障害、誤嚥、肺水腫、横紋筋融解、自傷、不可逆性の神経学的障害(30分間以上てんかん発作が持続した場合)
- ■可能性の高い診断
- 全身性エリテマトーデス systemic lupus erythematosus(SLE)
- ■鑑別診断のポイント
- 自己免疫疾患は多彩な症状を示す。そのため、個々の症状に着目して鑑別診断をあげるのではなく、症状や検査値の異常を総合的に見て判断する必要がある。
- ■解答
- (第1パラグラフ)SLEの病態
- 精神症状:(SLEは脳で血管炎を呈することで生じる)うつ(depression)、統合失調症様の精神病、痙攣(fits)、舞踏病(chorea)、脳梗塞/脊髄梗塞
- 脳脊髄液:白血球増多(leukopenia)、蛋白増加
- 血液:自己免疫性溶血貧血(Coombs'-positive hemolytic anemia)がありうる。白血球減少と血小板減少症は普通にみられる。
- 腎症状:ループス腎炎は普通に見られ、顕微鏡的血尿・タンパク尿、ネフローゼ、あるいは腎不全が現れるかもしれない。
- 関節症状:変形を伴わない関節痛(PIP関節(近位指節間関節)、MP関節(中手指節関節)、手関節)
- (第2パラグラフ)SLEの確定診断のための検査・治療
- ・すぐにすべきことは降圧薬、抗痙攣薬の投与
- ・確定診断のために次の検査を行っていく(もっとも、症例の提示された所見で(日本の?)SLEの診断基準を満たすけど)
- ・検疫血清検査:抗DNA抗体、C3、C4
- ・腎生検:ループス腎炎の程度を把握
- ・治療:活動性の感染がないことを確認 ← 薬物療法ではステロイドや免疫抑制薬を使うため
- ・ステロイド静脈内投与、あるいはシクロホスファミドなどの細胞毒性薬(cytotoxic agents)の投与
- ・重症、治療抵抗性だったら血漿交換を行う。
- ■鑑別診断 頭痛/精神病的様態(psychiatric features)/痙攣
- ・髄膜炎、脳炎
- ・レクリエーショナルドラッグの中毒(例えばコカイン)
- ・脳腫瘍
- ・急性のアルコール禁断症状:振戦譫妄
- ・高血圧脳症
- ■KEYPOINT
- ・SLEは特に若いアフリカ系-カリブ系に普通に一般的
- ・SLEでは主に神経症状と精神症状をを伴って現れることがある
- ・白血球低下と血小板の低下はしばしばSLEを示唆する
- □tonic-clonic seizure 強直間代発作
- 意識消失とともに全身の随意筋に強直痙攣が生じ(強直痙攣期tonic convulsion)、次いで全身の筋の強直と弛緩とが律動的に繰り返される時期(間代痙攣期clonic convulsion)を経て、発作後もうろう状態を呈する一連の発作。
- □350ml アルコール5%
- 350x0.05/10=1.75 unit
- □細胞毒性薬
- 免疫抑制薬や抗腫瘍薬として用いられる。
- antimetabolites
- アザチオプリン azathioprine
- メトトレキセート methotrexate
- ミコフェノール酸 mycophenolic acid, ミコフェノール酸モフェチル mycophenolate mofetil
- レフルノミド leflunomide
- alkylating agents
- シクロホスファミド cyclophosphamide
[★]
- 英
- soluble interleukin-2 receptor sIL-2R
- 同
- 可溶性インターロイキン2レセプター
- 関
- IL-2
概念
- (2)(3)
- 免疫機構活性化の一指標
- 分子量70kdのp70(β鎖)と分子量55kdのTac抗原(α鎖)と呼ばれている2種類のサブユニットからなる蛋白
- 前者が休止期のリンパ球にも発現しているのに対して後者はリンパ球活性化の後に初めて見出される。
- 造血器悪性腫瘍、ウイルス感染、リウマチ等において上昇し、病勢を反映する指標として用いられており、臨床的には腫瘍マーカーとして用いられている。
- リンパ球活性化状態においてTac抗原が末梢血中に可溶性の形でも存在することが明らかになり、可溶性インターロイキン2受容体と名付けられた。
- sIL-2RはIL-2との結合性を保持することから、生体の免疫調節にも関与していると推定されている。
測定方法
基準値
- (2)
- (3)
- 122~496 U/ml(平成21年10月1日より)
- 190~650 U/ml(平成21年9月30日まで)
鑑別
LAB DATA2017-2018
基準値:220-530U/ml
臨床検査ガイド2015
基準値:122-496
- 497-1000:悪性リンパ腫。成人T細胞性白血病、血球貪食症候群
- 否定できない疾患:慢性骨髄性白血病の急性転化、自己免疫疾患、肝炎、肺結核、サルコイドーシス、間質性肺炎、臓器移植後、固形腫瘍
異常値を示す疾患
参考
- 1. Plasma soluble interleukin-2 receptor (sIL-2R) levels in patients with acute leukemia.
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15648782
- 2. 細胞性免疫検査 細胞機能検査 可溶性インターロイキン-2レセプター
- http://data.medience.co.jp/compendium/main.asp?field=07&m_class=02&s_class=0011
- http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/hotai/ir-2r.htm
[★]
- 英
- moyamoya disease, moya-moya disease
- 同
- モヤモヤ病、ウイリス動脈輪閉塞症 大脳動脈輪閉塞症 occlusive disease in circle of Willis, Willis circle occlusion syndrome、脳底部異常血管網症 abnormal vascularnet at the brain base, vascularnet of cerebral basal area、西本-竹内-工藤病 Nishimoto-Takeuchi-Kudo disease、脳血管もやもや病
- 関
- 難病
概念
徴候
- 過換気により血中PaCO2が低下し脳血流が低下することが発作の誘因となりうる。
- 小児:片麻痺、知覚障害、不随意運動、頭痛、痙攣発作。
- 成人:頭蓋内出血(脳出血・クモ膜下出血)
検査
- 認定基準上はMRIとMRAで十分であり、血管造影は施行しなくとも良い
- MRI
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- 血管造影
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除外診断
治療
- 間接的血行再建術:組織・血管を移植(側頭筋、浅側頭動脈、大網など)
- 直接的血行再建術:浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/47
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/115z_s.pdf
国試
[★]
- 英
- autoallergy、autoallergic
- 関
- 自己免疫疾患
[★]
内分泌 自己免疫性甲状腺疾患
(橋本病、Basedow病)
血液 自己免疫性溶血性貧血
消化管 潰瘍性大腸炎
肝臓 原発性胆汁性肝硬変(PBC)
腎臓 Goodpasture症候群
神経筋肉 重症筋無力症
心筋 リウマチ熱
皮膚 尋常性天疱瘡
[★]
- 英
- nervous system autoimmune disease、autoimmune disorders of the nervous system、autoimmune diseases of the nervous system
[★]
- 英
- experimental nervous system autoimmune disease
[★]
- 英
- CNS demyelinating autoimmune disease
[★]
- 英
- immunity, immune
- 関
- 免疫系
免疫の種類 (PT.246-251)
T細胞の種類
ヘルパーT細胞の種類
[★]
- 英
- disease, disorder, disturbance, illness, sickness, malady
- 同
- 疾病、病気
- 関
- 疾病、障害、病、乱れ、無秩序、病害、病気、病弊
[★]
- 英
- immune disease、immunologic disease、immunological disease
- 関
- 免疫病、免疫不全、免疫系疾患
[★]
- 英
- autoimmunity
- 関
- 免疫
[★]
- 英
- self, oneself, ego