- 英
ovarian cyst?, ovarian cystoma
- ラ
- cystoma ovarii
概念
- 卵巣に発生する嚢胞性の良性腫瘍の総称。腫瘍であり、卵巣嚢胞とは異なる(はず)。
卵巣嚢腫
臨床関連
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/04/25 05:20:19」(JST)
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卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ、ovarian cyst)とは、卵巣に生ずる嚢胞状の病変の総称であり、腫瘍性のものを含め多種多様な疾患が包括される。
ヒトにおいては婦人科学の対象となる。
獣医学的には特に機能性嚢胞に分類されるものが重要である。牛、豚で主要な卵巣疾患であり、馬、羊、山羊にも発生する。卵胞嚢腫と黄体嚢腫に区別される。症状として無発情あるいは思牡狂を示す。
卵胞嚢腫と嚢腫様黄体の比較
|
卵胞嚢腫 |
嚢腫様黄体 |
排卵 |
なし |
あり |
触診 |
突起なし |
突起あり |
目次
- 1 分類
- 1.1 機能性嚢胞
- 1.2 皮様嚢腫
- 1.3 チョコレート嚢腫
- 1.4 嚢胞腺腫
- 2 関連項目
- 3 参考文献
分類
機能性嚢胞
月経の過程に関係するものである。
卵胞嚢腫
卵胞が排卵することなく長期間(2週間以上、多くは数ヶ月以上)存続し、質的に変性した異常卵胞であり、片側性のものと両側性のものとがある。牛では濃厚飼料を多給する畜舎や、乳量の多い乳牛、肥育牛で多発し、直接の原因としてFSHの分泌過剰、LHの分泌低下によるものとされていたが、近年ではFSH、LH双方の分泌機能低下が原因として指摘され始めている。直径25mm以上の卵胞が存在すれば本病と考えてよい。黄体嚢腫、嚢腫様黄体、顆粒膜細胞腫との鑑別が必要。治療にはhCGの投与を行う。
黄体嚢腫
卵胞が排卵しないで、その壁の一部あるいは全面が黄体化し、中心部の腔に内容液を貯留し長く存続するもの。牛では原因としてはLHの分泌不足が考えられ、卵胞嚢腫から移行することが多い。直腸検査では正常な黄体、卵胞嚢腫との鑑別が困難であるため、超音波検査、血液あるいは乳汁のプロゲステロン濃度の測定を行う(プロゲステロン濃度1.0ng/ml以上で本病を疑う)。治療にはPGF2α、あるいはその類縁物質の投与を行う。
皮様嚢腫
詳細は「奇形腫」を参照
チョコレート嚢腫
卵巣に生じた子宮内膜症によるもの。
嚢胞腺腫
腺腫の中でも上皮の乳頭状増殖が乏しいものは、画像診断上「嚢腫」として捉えられる。
関連項目
参考文献
- 山内亮監修 『最新臨床家畜繁殖学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460201
|
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Japanese Journal
- P2-32-8 子宮内膜症性卵巣嚢腫に対する腹腔鏡下手術術前ジェノゲストの使用経験 : Gn-RHaとの比較検討(Group134 子宮内膜症・薬剤,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 久 毅,尾上 昌世,吉見 佳奈,小玉 美智子,大塚 博文,橋本 奈美子,佐伯 典厚,般渡 孝郎
- 日本産科婦人科學會雜誌 63(2), 902, 2011-02-01
- NAID 110008510127
- P1-10-9 当院における妊娠合併卵巣嚢腫に対する腹腔鏡手術の検討(Group12 良性卵巣腫瘍・症例1,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
- 松岡 正造,北出 真理,菊地 盤,熊切 順,地主 誠,島貫 洋太,竹田 省
- 日本産科婦人科學會雜誌 63(2), 497, 2011-02-01
- NAID 110008508919
- P1-9-10 破裂後の粘液性卵巣嚢腫との鑑別に苦慮した子宮原発adenomatoid tumorのMRI所見(Group10 良性腫瘍・その他・症例,一般演題,第63回日本産科婦人科学会学術講演会)
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 55歳の女性。右下腹部痛を主訴に来院した。
- 現病歴: 5日前から毎日就寝前に右下腹部痛が出現したが、中途覚醒はせず、起床時には軽快するため放置していた。本日朝は腹痛が軽快しないため来院した。経過中発熱はない。便通1回/日。
- 既往歴: 18歳時に卵巣嚢腫で右卵巣摘出術、28歳時に帝王切開で出産、37歳時に急性虫垂炎で虫垂切除術。
- 生活歴: 特記すべきことはない。
- 家族歴: 特記すべきことはない。
- 現 症: 意識は清明。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧102/68mmHg。頭頚部と胸部とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない McBurney点の約4cm頭側を中心に圧痛があり、同部位に限局して筋性防御と反跳痛とを認める。かかと落としにて腹痛は増強する。
- 検査所見: 尿所見: 潜血(-)、白血球反応(-)。血液所見: 赤血球 421万、Hb 12.2g/dl、Ht 38%、白血球 13,000(桿状核+分葉核好中球71%、好酸球2%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球22%)、血小板 26万。血液生化学所見:血糖 107mg/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 8.6mg/dl、クレアチニン 0.8mg/dl、総ビリルビン 0.6mg/dl、AST 13IU/l、ALT 12IU/l、LD 196IU/l(基準176-353)、ALP 289IU/l(基準115-359)、Na 136mEq/l、K 4.6mEq/l、Cl 106mEq/l。CRP 4.8mg/dl。腹部造影CT(別冊No.2)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104C028]←[国試_104]→[104C030]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 55歳の女性。右下腹部痛を主訴に来院した。
- 現病歴: 5日前から毎日就寝前に右下腹部痛が出現したが、中途覚醒はせず、起床時には軽快するため放置していた。本日朝は腹痛が軽快しないため来院した。経過中発熱はない。便通1回/日。
- 既往歴: 18歳時に卵巣嚢腫で右卵巣摘出術、28歳時に帝王切開で出産、37歳時に急性虫垂炎で虫垂切除術。
- 生活歴: 特記すべきことはない。
- 家族歴: 特記すべきことはない。
- 現 症: 意識は清明。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧102/68mmHg。頭頚部と胸部とに異常を認めない。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない McBurney点の約4cm頭側を中心に圧痛があり、同部位に限局して筋性防御と反跳痛とを認める。かかと落としにて腹痛は増強する。
- 検査所見: 尿所見: 潜血(-)、白血球反応(-)。血液所見: 赤血球 421万、Hb 12.2g/dl、Ht 38%、白血球 13,000(桿状核+分葉核好中球71%、好酸球2%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球22%)、血小板 26万。血液生化学所見:血糖 107mg/dl、アルブミン 3.9g/dl、尿素窒素 8.6mg/dl、クレアチニン 0.8mg/dl、総ビリルビン 0.6mg/dl、AST 13IU/l、ALT 12IU/l、LD 196IU/l(基準176-353)、ALP 289IU/l(基準115-359)、Na 136mEq/l、K 4.6mEq/l、Cl 106mEq/l。CRP 4.8mg/dl。腹部造影CT(別冊No.2)を別に示す。
- a 消化管粘膜固有層
- b 消化管筋層
- c 消化管漿膜(臓側腹膜)
- d 壁側腹膜局所
- e 壁側腹膜全体
[正答]
※国試ナビ4※ [104C027]←[国試_104]→[104C029]
[★]
- 23歳の女性。卵巣嚢腫の精査を目的に来院した。月経は28日型、整。2週前の職場の健康診断で腹部超音波検査を受け右卵巣嚢腫を指摘された。自覚症状はない。内診で径5cmの軟らかい右付属器腫瘤を触知し、可動性は良好で圧痛を認めない。右卵巣の経腟超音波像(別冊No. 20)を別に示す。
- この腫瘤への対応として最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A042]←[国試_109]→[109A044]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109E024]←[国試_109]→[109E026]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- 英
- mature cystic teratoma
- 同
- 皮様嚢胞腫
- 関
- 卵巣腫瘍、未熟奇形腫
概念
- 良性の胚細胞腫瘍である。
- 妊娠時に合併する卵巣腫瘍の中で最も多い
- 大きくなっても可動性は保たれており、頚捻転を来しうる。。
- チョコレート嚢胞との鑑別が必要になることがある。
疫学
検査
- NGY.99
- 超音波検査:様々な像を認める(皮脂、毛髪、歯などが混在するため。
- MRI:脂肪はT1で高信号、T2で中等度の高信号を呈する
- T1:高信号
- T2:中等度の信号
- 脂肪抑制画像:低信号 ⇔ チョコレート嚢胞では抑制されて低信号にならないので鑑別に有用(T1,T2では信号強度の振る舞いは同じ)
[show details]
合併症
- 卵巣茎捻転(卵巣嚢腫茎捻転):急性腹症の原因。卵巣腫瘍の中で成熟嚢胞性奇形腫や線維腫(最も重い)は重く周囲の癒着がないために茎捻転を起こしやすい。卵巣茎捻転でみられる最多の原因が成熟嚢胞性奇形腫である。(G9M.177)
治療
- 治療方針:病理組織的に確定診断を行うため、また卵巣頚捻転、破裂、あるいは悪性転化のリスクを下げるために手術による摘出を行う。
- 卵巣嚢胞摘出術
- 卵管卵巣摘出術:妊容性温存が必要ない場合
予後
- 35歳以上で約1%の確率で悪性転化する。ほとんどが扁平上皮癌である。(G9M.176)
- 0.2-2%の例で悪性転化(malignant transformation)する。悪性転化した奇形腫は全悪性胚細胞腫の2.9%を占める。(参考1)
参考
- 1. [charged] Ovarian germ cell tumors: Pathology, clinical manifestations, and diagnosis - uptodate [1]
国試
[★]
- 英
- ovarian cyst
- ラ
- cystis ovarii
- 同
- 卵胞嚢胞
概念
- 卵巣に発生する貯留性の嚢胞性腫瘤であり、腫瘍ではない。
分類
鑑別すべき疾患
[★]
- 英
- serous cystadenoma
- 同
- 漿液性嚢胞腺腫
- 関
- 嚢腫、卵巣嚢腫
[★]
- 英
- resection of ovarian cystoma, enucleation of ovarian cystoma, oophorocystectomy
- 同
- 卵巣嚢腫切除術
- 関
- 卵巣嚢腫
[★]
- 英
- ovarian cystectomy
- 関
- 卵巣
[★]
- 英
- ovary
- ラ
- ovarium
- 関
- 子宮
解剖
卵巣の固定
- 卵巣提索:卵巣の上端と骨盤側壁を結ぶ。卵巣動脈、卵巣静脈、リンパ管、腹大動脈自律神経叢からの自律神経が通る
- 固有卵巣索
卵巣の上皮
- 腹膜には覆われず、胚上皮(表層上皮)に覆われている。
血管
重量
疾患 (NGY.201)
発生 L.307
[★]
- 英
- cystoma
- 同
- 嚢胞性腫瘍 cystic tumor
- 関
- シスト、嚢胞、被覆体、水滑性嚢腫、嚢胞性リンパ管腫、水滑性嚢胞、滑液嚢水腫、腫瘍性嚢胞
[★]
- 関
- がん、腫瘍、腫瘤、良性新生物