経尿道的前立腺摘除術
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/10 20:10:12」(JST)
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経尿道的前立腺切除術(けいにょうどうてきぜんりつせんせつじょじゅつ、Trans-urethral resection of the prostate: TUR-P, TURP)は前立腺肥大症における標準的治療法の一つ。
手技
全身麻酔・脊椎麻酔・硬膜外麻酔のどれかを前処置として施す。
体位は砕石位とし、膀胱鏡手術器を尿道より挿入し、尿道の閉塞原因の前立腺肥大症を電気メスで削る。電気メスは出力100ワット~200ワットの高周波装置である。
手術中は視野を確保するために、特殊な等張液で還流しながら前立腺を切除する。手術時間は正味1時間以内が最良とされている。熟練した泌尿器科医で切除速度が1分間に1gの前立腺を切除する。したがって、50gの前立腺肥大症の場合、完全に切除するためには少なくとも50分の手術時間が必要になる。
合併症
- 穿孔:削りすぎて前立腺被膜に穴を開けてしまうことがある。
- 水中毒:長時間手術していると、切除断面から還流液が体内に吸収されて肺水腫・心不全状態になる。
- 出血:手術後に止血した血管から出血することがある。
- ED(勃起不全):長時間の手術で電気メスの電流が勃起神経に流れ、一時的に勃起不全になる。
- 尿失禁:尿道括約筋の近辺を電気メスで切除するために、尿道括約筋が一時的に麻痺を起こすためである。
- 使用する電解質溶液により低ナトリウム血症を引き起こす危険性があり、術中の患者の観察に注意が必要。
低ナトリウム血症を起こすと循環障害、高血糖、不穏などの症状が現れる。
- 対策:術者は無理をせずに、なるべく短時間に丁寧な手術を心がける。
症例
症状は1時間に1回の日中の頻尿、夜間3回の頻尿、下腹部疼痛であった。排尿直後の残尿量測定検査結果は172mlと、大量の残尿を認めた。
小さな半球のドームが精丘(精液の発射口)である。正常であれば、この位置から膀胱の内腔が見える筈であるが、前立腺肥大症により尿道が完全に閉じている。
電気メスの金属製ループで前立腺肥大症の組織を削る事により、前立腺肥大症の圧迫がなくなり、膀胱内腔(暗い部分)を見通すことが出来る。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- PP-490 経尿道的前立腺切除術におけるTURisの使用経験(一般演題ポスター発表・討論,一般演題ポスター,第99回日本泌尿器科学会総会)
- 癌と鑑別を要する病変 (前立腺癌(第2版)--基礎・臨床研究のアップデート) -- (前立腺癌の病理)
- 前立腺の手術 経尿道的前立腺切除術(TURP) (見ること・することリストで一目瞭然! 術式別泌尿器科の術前・術後ケア) -- (泌尿器科手術の術前・術後ケア)
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★リンクテーブル★
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- 52歳の男性。排尿困難を主訴に来院した。 6か月前から夜間に尿意で目が覚めるようになった。 1か月前から頻尿となり、 2週前から排尿の開始までに時間がかかることを自覚している。身長 172 cm、体重 68 kg。体温 36.4℃。脈拍 72/分、整。血圧 134/82 mmHg。呼吸数 12/分。腹部は平坦、軟。直腸指診で小鶏卵大で弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。尿所見:蛋白 (-)、糖 (-)、沈渣に赤血球 1~4 / 1視野、白血球 1~ 4 / 1視野。血液生化学所見: PSA 2.8 ng/ml(基準 4.0以下 )。国際前立腺症状スコア 18点 (軽症 0. 7点、中等症 8.19点、重症 20.35点 )。腹部超音波像 (別冊 No.28A、B)を別に示す。前立腺体積は 46 ml、残尿量は 80 mlであった。
- まず行う対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108I067]←[国試_108]→[108I069]
[★]
- 64歳の男性。人間ドックでPSA値の異常を指摘され来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長164cm、体重63kg。体温36.3℃。脈拍72/分、整。血圧138/78mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知せず、圧痛や抵抗を認めない。下肢に浮腫を認めない。直腸診でクルミ大の前立腺を触知するが、硬結は認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈さに赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球460万、Hb15.1g/dl、Ht45%、白血球6,300、血小板26万。PSA7.3ng/ml(基準4.0以下)。前立腺生検で中分化型の前立腺癌を認める。腹部造影CTでリンパ節腫大を認めない。骨シンチグラフィで異常集積を認めない。患者は治療を希望している。
- 治療法として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D057]←[国試_102]→[102D059]
[★]
- 67歳の男性。人間ドックで血中PSA値の異常を指摘され来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長167cm、体重65kg。体温36.2℃。呼吸数14/分。脈拍72/分、整。血圧148/80mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診でクルミ大の前立腺を触知するが、硬結を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球 480万、Hb 15.0g/dl、Ht 45%、白血球 6,600、血小板 23万。PSA 6.8ng/ml(基準4.0以下)。前立腺生検で高分化型の前立腺癌を認める。腹部造影CTでリンパ節腫大を認めない。骨シンチグラフィで異常集積を認めない。患者は治療を希望している。
- 治療法として適切なのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D050]←[国試_105]→[105D052]
[★]
- 68歳の男性。排尿困難と頻尿とを主訴に来院した。1か月前から尿意切迫感と夜間頻尿とを認めた。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない.身長164cm、体重64kg、脈拍68/分、整。血圧128/82mmHg。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で表面平滑で腫大した弾性硬の前立腺を触知し、圧痛を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。PSA 1.6ng/ml(基準4.0以下)。国際前立腺症状スコア 14点(軽症0-7点、中等症8-19点、重症20-35点)。残尿量 30mg。腹部超音波写真(別冊No.13A)と尿流測定の結果(別冊No.13B)とを別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I055]←[国試_105]→[105I057]
[★]
- 71歳の男性。 6か月前からの排尿困難と夜間頻尿とを主訴に来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。身長162cm、体重60kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧154/82mmHg。呼吸数14/分。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直腸指診で超鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈渣に赤血球と白血球とを認めない。血清PSA3.5ng/ml(基準4.0以下)。国際前立腺症状スコア22点(軽症0-7点、中等症8-19点、重症20-35点)。腹部超音波検査で推定前立腺体積58ml。尿流測定で排尿量120ml、最大尿流率3.8ml/秒、残尿量210ml。
- 対応として誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A020]←[国試_106]→[106A022]
[★]
- 60歳の男性。 1年前からの頻尿と排尿困難とを主訴に来院した。直腸診で前立腺は鶏卵大で、硬結を認めない。尿所見と血液所見とに異常を認めない。PSA 2.4ng/ml(基準4.0以下)。排尿日誌で1回排尿量 200-250mg、昼間排尿回数 10回、夜間排尿回数 2回。国際前立腺症状スコア15点(軽症0-7、中等症8-19、重症20-35)。QOLスコア 4点(軽症0-1、中等症2-4、重症5-6)。腹部超音波写真(別冊No.12)を別に示す。前立腺の長径は53mm、短径は51mm及び前後径は52mmである。
- 次に行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I053]←[国試_104]→[104I055]
[★]
- 65歳の男性。排尿困難と夜間頻尿とを主訴に来院した。直腸診で鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結は認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、沈瘡に赤血球0~2/1視野、白血球1~3/1視野。PSA1.2ng/ml(基準4.0以下)。1回排尿量200~250mg。国際前立腺症状スコア(軽症0~7、中等症8~19、重症20~35)とQOLスコアとを以下に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D056]←[国試_102]→[102D058]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098D038]←[国試_098]→[098D040]
[★]
- (1) 術中用いる灌流液は生理食塩液が適している。
- (2) 術中合併症として外科的皮膜の穿孔がある
- (3) 術中合併症として低ナトリウム血症がある。
- (4) 晩期合併症として尿道狭窄がある
- (5) 切除組織では病理診断はできない。
[★]
- 同
- TUR反応
- 関
- 低ナトリウム血症
[show details]
概念
- TUR 症候群は発生頻度が2%程度といわれるが、発症が手術時間の長さと関係し,ひとたび発症すれば生命に危険が及
ぶこともある(文献1)
病因
症状
- 本態は低ナトリウム血症
- あくび、不穏、冷汗、悪心、嘔吐、徐脈、低血圧、ショック、意識消失など(SURO.316)
治療
- 手術中止、浸透圧利尿薬、糖質ステロイド、昇圧薬、生理食塩水投与(SURO.316)
予防
- 1. 灌流液圧を低くする(SURO.316)
- 2. 穿孔しない(SURO.316)
- 3. 手術を1時間以内とする(SURO.316)
- 4. TURisの採用
参考文献
- 1. TURis(TUR in saline:生理食塩水を灌流液に用いたTUR)技術解説
- http://www.me-hon.ne.jp/meb/bin/downloadfile_sample.asp?sku=2000003211869600200P
- TURis(TUR in saline)開発の動機は、TUR で問題になる閉鎖神経反射とTUR 症候群を解決すべきと考えたからである。TURではループ先端部に気泡ができて放電を起こすとすぐに切れ始めるが,TURisではループ全体が気泡に包まれないと切れ始まらないという両者の違いを解説した。それに起因するTURis での切れ始めのタイムラグの改良目的で、放電起動性を迅速にすべく出力時波形を間欠波にした。これによりタイムラグも解消し、大きなループも使用できるように改良できた。
- http://www.medicaltown.net/urostation/tech_info/pdf/turis.pdf
- http://shutoku.fc2web.com/digital_textbook/urology/urology_general.html
-TUR反応
[★]
- 英
- transurethral prostatectomy (一体どういう使い分け?)
- 同
- (国試)経尿道的前立腺切除術(国試的にはこちらの用語), transurethral resection of prostate, TURP
- 関
- 前立腺、前立腺肥大症。経尿道的前立腺摘除
[show details]
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経尿道的前立腺切除術
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経尿道的前立腺切除術
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経尿道的前立腺切除術
[★]
- 英
- prostate (KL,KH,N,Z), prostate gland
- ラ
- prostata
- 同
- 前位腺、摂護腺
解剖
- くるみ大の大きさ。体積は5ml(??)程度が普通で、大きい場合、前立腺肥大症や前立腺癌などが考えられる
- 膀胱の直下にある栗の実に似た固い器官
- 内腺と外腺からなる。現在では、central zone CZ,transitional zone TZ,peripheral zone PZという分け方が一般的。
組織
- 円柱上皮と立方上皮が2相構造を呈している → 多列円柱上皮? : 前立腺肥大症ではこの構造が保たれ、前立腺癌ではこの構造が乱れる。
- 30-50個からなる複合管状胞状腺の集合体からなる。(HIS.427)
- 管状胞状腺の内腔に前立腺石(アミロイド小体)を認める。(HIS.428)
機能 (KL.446)
- 特有の臭気を有する乳白色の液で、クエン酸や、デヒドロゲナーゼ、亜鉛を含み、精液の15-30%を構成する。
- 分泌はジヒドロテストステロンに制御されている(HIS.428)
発生学的な関係 (KH.258,264 N.362,368)
臨床関連
- inner, periurethral glandsに見られる。肥大はinner region(central and transitional region)で著明
- outer region(peripheral) glandsで起こる → 尿路の閉塞は初期に出づらい。
参考
- http://img4.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/2d/5d/zr750soyokaze/folder/1188086/img_1188086_27786171_0?1242055767
[★]
- 英
- urethra (Z)
- 関
- 膀胱、尿管、腎臓、男性生殖器系
発生
部位による分類 (KL.432, M.215)
- 1. 膀胱頚内の尿道(前立腺前部)
- 2. 前立腺部
- 3. 隔膜部
前立腺部
[★]
- 英
-
- 関
- 横切、横切開、横断、横断面、消失、切除術、切除法、切断、摘出、摘出術、摘除、摘除術、離断、アブレーション、切り取る、焼灼、焼灼術
[★]
- 英
- excision, resection
- 同
- 捻除術 exeresis
- 関
- 切除、切除法、摘出、摘出術、摘除、摘除術
[★]
- 英
- prostatectomy、prostatectomize
- 関
- 前立腺切除術、前立腺摘除術、前立腺摘除