- 英
- congenital biliary atresia CBA, congenital atresia of bile duct
- 関
- 閉塞性黄疸、先天性胆道閉鎖、新生児黄疸
概念
- 肝外胆管が生来あるいは生後まもなく完全閉鎖し、未治療では胆汁性肝硬変により死にいたる
病型
症状
- 黄疸、白色便、肝脾腫、腹部膨満、肝硬変、ピリルビン尿
- 初発症状は黄疸である。
- 生後1ヵ月以上の遷延性黄疸であり、黄疸の増強、無胆汁性白色便(無胆汁便、白色便)を認める。 ← 生来完全閉塞していることもあれば、次第に閉塞してくることがあるため。
- 生後4-5ヵ月以後は栄養障害と肝硬変をきたす。
検査
- 血液生化学:血中コレステロール高値、リン脂質高値、トリグリセリド高値。異常リポ蛋白(リポプロテインX)の出現。コレステロールの胆汁への排泄が低下するため
- 尿検査:尿中ビリルビン上昇、尿中ウロビリノゲン低下
- 胆道シンチグラム:99mTc-PMTの腸管内排泄が認められない
- 経腹超音波検査:胆嚢内に胆汁を認めない。
- その他:十二指腸に胆汁を認めない
診断
- 新生児黄疸との鑑別が難しい
治療
- YN. A-134 SSUR.687
- 肝障害は進行性であるため生後60日以内に手術を行わなければ予後不良となる。
- 1. 手術療法:吻合できる肝外胆管が残存すれば(症例の10%)、瘢痕組織を切除し胆管と空腸を吻合する。吻合できる肝外胆管が残存しなければ(症例の90%)、空腸を切除し肝門部に縫合する手術(葛西手術)を行う。口側の空腸断端は空腸壁に端側吻合する。
- 2. 肝移植 :肝実質の障害が進行し、肝硬変、肝不全に至る例では肝移植が行われる。
- 葛西手術 シェーマ
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予後
- 生後60日以内の外科治療が必須。そうでなければ予後不良
症例
- 1ヶ月の新生児。検診で黄疸を指摘され来院。便は黄白色である。腹部超音波エコーで胆嚢の腫大は認められない。
- →遷延性黄疸→便の色を確認する。先天性胆道閉鎖症では黄疸、灰白色便、濃黄色尿、肝脾腫、超音波エコーで胆嚢が描出されない(萎縮している)、尿が濃褐色、直接ビリルビン上昇。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/18 23:04:52」(JST)
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胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう、英: BA; biliary atresia)とは、肝臓と十二指腸を結ぶ胆道が閉鎖している病気のことである。肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れないため、黄疸を引き起こし、放置すると胆汁性肝硬変に進行して死亡してしまう危険性が高い。出生9,000人から10,000人あたりに1人の割合で発症するとされており、女児の発症率は男児の発症率の約2倍。出産前に検査する方法は見つかっていない。 平成24年度より、全国の母子手帳に便色カードが収載される事が決まっており、便色カードによる早期発見の試みが行われている。[1]
この病気は完治することはない。葛西手術の術後黄疸消失率は平均70-80%とされているが、再燃しやすく、肝移植が一般的になる以前では、10年生存率は約50%、20年生存率は20%とも報告されている。また、葛西手術後に減黄しても、胆管炎・食道静脈瘤などの合併症を引き起こすことがある。 自己の肝臓での長期生存は難しく、現在ではほぼ半数の患者が肝移植を受ける。
目次
- 1 症状
- 2 原因
- 3 検査
- 4 治療
- 5 脚注
- 6 外部リンク
- 7 関連項目
症状[編集]
黄疸、灰白色便・淡黄色便(十二指腸に胆汁が流れないため)、尿の茶褐色化(胆汁の分解物が尿に混じるため)が見られる。
医学書の記述では、灰白色便と記される事が多いが、実際には白だけでなく、淡黄色・クリーム色・薄緑色も見受けられる。 これは腸壁より滲み出すビリルビンによって、少量ではあるが着色したものと考えられ、注意が必要である。 脂溶性ビタミンの吸収障害により、頭蓋骨内出血して発覚し、後遺症を残したり、死亡例も後を絶たないため、早期発見が望まれる。
原因[編集]
はっきりとした原因は判明していないが、以下のような説が存在する。
- 先天的器官発生異常説
- サイトメガロウイルスやレオウイルス3型などによるウイルス感染説
- これらのウイルスは肝内胆管に影響を与えるが、全ての患者に存在するという研究結果は出ていない。
- 膵胆管合流異常説
- 胆汁酸障害説
- 血行障害説
- 免疫異常説
検査[編集]
治療節に記載の通り、生後60日以内の手術が望ましいため、早期の検査が重要とされている。新生児期から黄疸が続く場合は、類似症状の他の病気との切り分けのための検査を実施する。シュミットテストで便中のビリルビンが検出されなければ本症の疑いがある。超音波所見としては胆嚢の萎縮が特徴的。
治療[編集]
胆道の閉鎖を取り除く手術(葛西式)を行う治療法がある。但し、この治療法を実施するには生後60日以内が望ましく、生後60日を超えると肝臓の線維化が進むために、手術後の胆汁排泄効果が弱まってしまうとされている。
予後因子として肝内胆管の形成の程度、胆汁鬱滞の程度がある。術後合併症として胆管炎が予後に大きく影響するため、抗生剤・利胆剤の投与、ステロイドパルス療法が行われる。
術後に脂溶性ビタミンの吸収障害に注意する必要がある。
手術をしても胆汁排泄が行われない場合や、既に肝機能障害が進行している場合は、さらに肝移植が有効とされる。今日の肝移植は目覚ましい進歩を遂げ、一般的な治療手段として位置づけられるようになった。 肝移植を受けたほぼ全ての患者は、生涯免疫抑制剤を服用する必要があり、免疫の抑制により感染性やリンパ増殖症などのリスクが残る治療方法である。
肝移植の有無に関わらず、一度起こった肝機能障害は改善までに時間が掛かる。
脚注[編集]
- ^ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001u2ad.html
外部リンク[編集]
- 国立成育医療研究センター:胆道閉鎖症早期発見のために(便色カードについてのQ&A)
- 肝ったママ’s早期発見(胆道閉鎖症の情報提供、及び便色カードによる早期発見の活動をしている)
- 胆道閉鎖症の子どもを守る会
関連項目[編集]
- 先天性胆道拡張症
- 新生児黄疸
- さと子の日記
- 移植_(医療)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 3.先天性胆道閉鎖症に対する生体肝移植後にEBウイルス関連リンパ増殖性疾患を発症した2例(第32回東北小児がん研究会)
- 新妻 秀剛,堀野 智史,齋藤 由佳,渡辺 庸平,小沼 正栄,力石 健,笹原 洋二,土屋 滋,風間 理郎,仁尾 正記,里見 進,吉野 裕顕
- 小児がん : 小児悪性腫瘍研究会記録 48(1), 32-33, 2011-02-25
- NAID 110008608580
- PO-013 先天性胆道閉鎖症術後27年目に胃静脈瘤破裂をきたした1例(胆道閉鎖症,ポスターセッション,病気の子供達に笑顔 小児外科に夢そして革新を,第47回 日本小児外科学会学術集会)
- 症例 硬膜下血腫を機に先天性胆道閉鎖症が発見された小児の1例
- 症例 急性硬膜下血腫を契機に診断された先天性胆道閉鎖症の1症例
Related Links
- 胆道閉鎖症(たんどうへいさしょう、英: BA; biliary atresia)とは、肝臓と十二指腸を結ぶ 胆道が閉鎖している病気のことである。肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れないため 、黄疸を引き起こし、放置すると胆汁性肝硬変に進行して死亡してしまう危険性が高い ...
- 胆道閉鎖症とはどんな病気か 肝臓と十二指腸を結ぶ管(総胆管(そうたんかん)を含む 肝外胆管(かんがいたんかん))が閉塞して ... 先天的発生異常説、レオウイルス3など によるウイルス感染説、膵胆管(すいたんかん)合流異常説、血行障害説、胆汁酸障害説 、 ...
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★リンクテーブル★
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;英:α-fetoprotein AFP, alpha fetoprotein, alpha-fetoprotein
- 同
- αフェトプロテイン、α胎児性タンパク
- 関
- トリプルマーカーテスト。腟分泌液中α-フェトプロテイン、AFP-L3分画
産生部位
- 出生後の産生はほとんどみられない。
- 肝細胞癌、肝細胞の再生局面で再び産生されるようになることがある
- 妊娠初期の異常高値は、胎児の中枢神経系異常を疑わせる所見となる。
- 本蛋白質は胎生期初期には卵黄嚢で、その後は内胚葉、肝臓で産生された後血清中に放出される。
意義
- 肝細胞癌、卵黄嚢腫瘍、肝芽腫の腫瘍マーカー、炎症性肝疾患における肝再生の指標
先天異常の診断
破水の診断
- 羊水中に多量に存在するため、膣分泌物のAFPを同定することで破水の診断に利用される
腫瘍マーカー
- 腫瘍径:腫瘍径とAFP値との間に相関はない。3cmの以下の早期肝癌では陽性率は25%。
- 組織型:(高分化・未分化)産生能低い、(中分化)産生能高い。
QB.Q-14
基準値
- 高値
- 臨床検査データブック
AFPの分画
- レクチンとの親和性により、L1,L2,L3の分画に分けられる。
- L1分画上昇:肝硬変
- L3分画上昇:肝細胞癌
AFP-L3分画、PIVKA-IIとの関係
- AFP-L3分画、PIVKA-IIと相関関係は見られない。
- 肝細胞癌において、AFPとPIVKA-IIとの間に相関関係が見られないため、併用により診断率の向上が期待できる(LAB.631)
- AFP, AFP-L3分画, PIVKA-IIが高い例では予後不良である。(参考1,2)
妊婦の生理的な変動
- 妊娠3ヶ月以降上昇、8ヶ月でピーク(300-800ng/ml)。
乳児の生理的な変動
参考
- 1. AFP・AFP-L3・PIVKA-IIの3因子陽性例は脈管浸潤が多く予後不良【肝癌研究会2011】
- http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201107/520980.html&cnavi=1
- 3マーカーがいずれも陽性の場合、組織学的に脈管浸潤が多く認められ、Edmondson分類グレードIII、IVの頻度が高い
- 2. Triple Positive Tumor Markers for Hepatocellular Carcinoma Are Useful Predictors of a Poor Survival.
- Kiriyama S, Uchiyama K, Ueno M, Ozawa S, Hayami S, Tani M, Yamaue H.SourceFrom the Second Department of Surgery, Wakayama Medical University, School of Medicine, Wakayama, Japan.
- Annals of surgery.Ann Surg.2011 May 20. [Epub ahead of print]
- OBJECTIVE: To determine the importance of the expression pattern of multiple tumor markers for hepatocellular carcinoma (HCC) with regard to the tumor malignancy and patient survival.BACKGROUND: Several studies have indicated that HCC tumor markers, including alpha-fetoprotein (AFP), Lens culinaris
- PMID 21606837
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発症時期
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- 英
- prenatal diagnosis, antenatal diagnosis
方法
可能な疾患
- 染色体異常:ダウン症候群
- 遺伝疾患
- 奇形:先天性水腎症、二分脊椎
- 代謝異常:ティ・サックス病
- 感染症
- 血液型不適合妊娠
できないもの
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- 英
- extrahepatic biliaryatresia
- 関
- 先天性胆道閉鎖症
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- 英
- acholic white stool
- 関
- 先天性胆道閉鎖症
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- 英
- bile duct
- 関
- 胆管系
胆道の正常計測値
- 腹部超音波テキスト p.88
- 胆嚢径 :長径8cmx短径4cm以下
- 胆嚢壁圧:3mm以下
- 総胆管径: 8mm以下 9mm以上 10mm以上
- 総肝管径: 6mm以下 7mm以上 8mm以上
- 肝管径(右・左):4mm以下
- 肝内胆管径: 1mm以下
[★]
- 英
- biliary atresia
- 同
- 良性胆道狭窄 benign biliary stricture
- 関
- 胆道閉鎖、先天性胆道閉鎖症
[★]
- 英
- closure
- 同
- 縫合
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- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- congenital、congenita、congenitally
- 関
- 先天、先天的