- 英
- Rotor syndrome RS
- 同
- (国試)Rotor症候群、ローター型高ビリルビン血症 Rotor hyperbilirubinemia、Rotor型過ビリルビン血症
- 関
- 黄疸、高直接ビリルビン血症
概念
- 軽度の直接ビリルビン血症を呈する疾患で体質黄疸の一つである。
検査
- HIM.1913 参考1
参考
- 1. [charged] Inherited disorders associated with conjugated hyperbilirubinemia - uptodate [1]
体質性黄疸 (IMD.875)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/05/10 21:43:27」(JST)
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ローター症候群
Rotor syndrome |
ビリルビン
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
E80.6 |
ICD-9 |
277.4 |
OMIM |
237450 |
DiseasesDB |
11671 |
MeSH |
D006933 |
ローター症候群(英語:Rotor syndrome、ローター型高ビリルビン血症とも呼ばれる)[1]は、比較的良性で希少な常染色体劣性遺伝[2]のビリルビン異常疾患である。この疾患はデュビン・ジョンソン症候群[1]とははっきり区別できるものの、いずれも抱合型ビリルビン値の上昇を引き起こすという点でよく似た疾患である。
目次
- 1 特徴
- 2 遺伝
- 3 名称の由来
- 4 関連記事
- 5 注釈
- 6 外部リンク
特徴
ローター症候群はデュビン・ジョンソン症候群と共通点が多いが、異なる点として肝細胞に色素が沈着しない点がある。主な症状は、掻痒感を伴わない黄疸である。患者の血漿中には、抱合型を主とするビリルビン値の上昇がみられる。
ローター症候群は、デュビン・ジョンソン症候群と以下の点で鑑別できる。
|
ローター症候群 |
デュビン・ジョンソン症候群 |
肝臓の見た目 |
肉眼的にも組織学的にも正常 |
肝に黒色色素が沈着している |
胆嚢の造影 |
経口胆嚢造影で造影できる |
胆嚢は造影できない |
総尿コプロポルフィリン含有量 |
高値で、アイソマー1は70%未満 |
正常で、80%以上がアイソマー1(正常な尿にはアイソマー1よりもアイソマー3の方が多く含まれる) |
遺伝
ローター症候群は常染色体劣性遺伝で形質が伝わる。[2]
SLCO1B1遺伝子とSLCO1B3遺伝子がローター症候群に関与している。両方の遺伝子に変異があることが、この疾患の発現に必要である。SLCO1B1遺伝子とSLCO1B3遺伝子はそれぞれ、有機アニオントランスポーター(OATP)1B1 (OATP1B1)、1B3 (OATP1B3)と呼ばれる、同じようなタンパク質を合成する命令を与える。いずれのタンパク質も肝細胞中に見られ、ビリルビンなどの物質を血液中から肝臓に輸送して体内から除去する働きを担う。肝臓では、ビリルビンは胆汁と呼ばれる消化液中に分泌され、体外へ排出される。ローター症候群を発症させるようなSLCO1B1遺伝子とSLCO1B3遺伝子の変異は、異常に短く、機能を持たないSLCO1B1タンパクとSLCO1B3タンパクを産生するか、これらのタンパク質を欠失するかという結果になる。いずれかの輸送タンパクの機能が欠失することで、ビリルビンの肝臓への取り込みや体外への排出は効率が悪くなる。ローター症候群の患者にこの物質が蓄積すると、やがて黄疸を呈するようになる[3]。
名称の由来
ローター症候群は、フィリピンの内科医のアルトゥーロ・ベレザ・ローター (en:Arturo Belleza Rotor)にちなんで名づけられた。
関連記事
- 黄疸
- ビリルビン
- デュビン・ジョンソン症候群
- ジルベール症候群
- クリグラー・ナジャール症候群
注釈
- ^ a b Online 'Mendelian Inheritance in Man' (OMIM) 237450
- ^ a b Wolkoff AW, Wolpert E, Pascasio FN, Arias IM (February 1976). “Rotor's syndrome. A distinct inheritable pathophysiologic entity”. The American Journal of Medicine 60 (2): 173–179. doi:10.1016/0002-9343(76)90426-5. PMID 766621. 編集
- ^ http://ghr.nlm.nih.gov/condition/rotor-syndrome
外部リンク
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Related Links
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- bromsulphalein test, bromsulphalein excretion test
- 同
- (国)BSP試験 BSP test
- 関
- ICG試験
概念
- 肝機能検査の一つであり、肝の異物排泄機能検査である。
- 色素の血中消失率(fractional disappearance rate)と血中停滞率(retention rate)を算出する。
- ブロムスルファレインはショックなどの副作用があるため、インドシアニングリーンに取って代わられている。
- それでも、デュビン・ジョンソン症候群の診断には有用である。
生理、動態
- BSPは血中で血漿蛋白質と結合し、70-80%は肝臓に接種され、グルタチオン抱合を受け、胆汁中に大部分が排泄される。(LAB.1356)
- 約2%は腎臓から排泄され、その他は網内系で分解される。(LAB.1356)
- BSP試験は注射後、30分、または45分後の血中停滞率をみるのが一般的。(LAB.1356)
副作用・合併症
- BSPの静注時に血管痛、嘔気、胸痛、めまいなどを来すことがある。
- まれにショック症状をきたすことがある。
方法=
- 体重に応じた量のBSP液を静脈注射。30分後/45分後に対側から採血し、血清を分離。
判定
血中停滞率
基準値
- LAB.1356
- 30分値:0-5%:正常
- 45分値:0-2%:正常
- 45分値の法が用いられる。
LAB.1356
- 5%以上、肝障害
- 15%まで、軽度肝障害
- 15%以上、高度肝障害
5-15%(中等度上昇)
- 検査値の本参考
15%以上(高度上昇)
- 検査値の本参考
疾患との関連
デュビン・ジョンソン症候群
- デュビン・ジョンソン症候群の診断に有用な検査である。
- (おそらく)30, 45, 60, 90, 120分後の採血を行う。
- 45分前まではブロムスルファレインの血中濃度は低下傾向にあるが、45分以降血中濃度が再上昇していく。
- この所見はデュビン・ジョンソン症候群に特徴的な所見とされている
まとめ
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ICG試験
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BSP試験
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その他
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血中消失率 (K)
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15分血中停滞率 (R15)
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血中停滞率 45分値
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健常者
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0.168-0.206
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0-10%
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正常
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ジルベール症候群
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正常(1)
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デュビン・ジョンソン症候群
|
正常~軽度異常(2)
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低下後再上昇
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ローター症候群
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>70% 70-80(3)
|
異常値 45-50%(3)
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黄疸
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ICG排泄異常症
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>70%
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肝機能検査正常
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慢性肝炎
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0.1-0.15
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10-30%
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肝硬変
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0.077
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>30%, 平均35%
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肝臓での処理
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代謝されない
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グルタチオン抱合
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(1) 正常のことが多い(QB.B-267)、正常か時に中等度の異常(LAB.1358)
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(2)(QB.B-267)、正常(LAB.1358)
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注意
- 肝細胞での処理がビリルビンと競合するので、血中ビリルビンが3-5mg/dlの場合、検査の意義はない。
[★]
- 英
- indocyanine green test, ICG test
- 同
- インドシアニングリーン負荷試験、インドシアニングリーン排泄試験。(国)ICG試験 ICG test、ICG負荷試験
- 関
- インドシアニングリーン、ブロムスルファレイン試験、肝予備能評価
[show details]
概念
- 暗緑色の色素であるインドシアニングリーンを用いた肝機能検査の一つであり、肝の異物排泄機能検査である。
- 色素の血中消失率(fractional disappearance rate)と血中停滞率(retention rate)(15分停滞率, R15)を算出する。
- 肝血流と肝細胞の色素摂取機能を反映し、肝硬変の診断や肝予備能の評価などに用いられる。
- 肝血流 : 肝細胞ICG摂取能力: ICGの胆汁への排泄能力 = 3 : 1 : 1 (QB.B-268)
- 肝外排泄がほとんどなく、肝臓の初回通過効果が大きいので、R15、KICGは有効肝血流量の良い指標となる
- 肝硬変の診断や肝予備能の評価などに用いられ、肝切除術の術前検査としては必須である。
- BSPと比べて、色素の肝外処理の比率、測定誤差、副作用が少ないなどの利点を有する(LAB.LAB.1357)
動態
- 血液中ではアルブミン(LAB.1357)・α1-リポ蛋白(医学事典)と結合する。
- ICGの90%以上が肝細胞に摂取され、抱合などの代謝を受けずに胆汁中へ排泄される。
判定
基準範囲
- LAB.1358
- 15分血中停滞率(R):0-10%
- 血中消失率(K):0.168-0.206
- 最大除去率ICG Rmax:3.18±1.62 mg/kg/分
10-30%(中等度上昇)
30%以上(高度上昇)
- [高頻度・可能性]肝硬変 → 80%以上では黄疸、腹水をしたきた重篤な肝不全状態が想定される
疾患・病態との関連
まとめ
|
ICG試験
|
BSP試験
|
その他
|
血中消失率 (K)
|
15分血中停滞率 (R15)
|
血中停滞率 45分値
|
健常者
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0.168-0.206
|
0-10%
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正常
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ジルベール症候群
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正常(1)
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デュビン・ジョンソン症候群
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正常~軽度異常(2)
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低下後再上昇
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ローター症候群
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|
>70% 70-80(3)
|
異常値 45-50%(3)
|
黄疸
|
ICG排泄異常症
|
|
>70%
|
|
肝機能検査正常
|
慢性肝炎
|
0.1-0.15
|
10-30%
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肝硬変
|
0.077
|
>30%, 平均35%
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肝臓での処理
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代謝されない
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グルタチオン抱合
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(1) 正常のことが多い(QB.B-267)、正常か時に中等度の異常(LAB.1358)
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(2)(QB.B-267)、正常(LAB.1358)
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国試
[★]
[★]
- 英
- hereditary hyperbilirubinemia
- 関
- ローター症候群、先天性ビリルビン代謝異常症
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候
[★]
- 英
- rotor
- 関
- 回転子、ローター
[★]
- 英
- rotor
- 関
- 回転子、ロータ