- 英
- imidapril
- 化
- 塩酸イミダプリル imidapril hydrochloride
- 商
- タナトリル、ノバロック
- 関
- 降圧薬
- 降圧薬;アンジオテンシン変換酵素阻害;プロドラッグ
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/01/28 18:28:46」(JST)
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イミダプリル
|
IUPAC命名法による物質名 |
(4S)-3-[(2S)-2-{[(2S)-1-ethoxy-1-oxo-4-phenylbutan-2-yl]amino}propanoyl]-1-methyl-2-oxoimidazolidine-4-carboxylic acid
|
臨床データ |
法的規制 |
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態データ |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
約2時間 |
排泄 |
尿中 |
識別 |
CAS番号 |
89371-37-9 |
ATCコード |
C09AA16 |
PubChem |
CID: 5464343 |
化学的データ |
化学式 |
C20H27N3O6 |
分子量 |
405.444 g/mol |
イミダプリル(英: imidapril)とは、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の一つ。
目次
- 1 概要
- 2 開発の経緯
- 3 製品の特徴
- 4 副作用
- 5 脚注
- 6 参考文献
概要
- 開発国:日本
- 開発会社:田辺製薬(現 田辺三菱製薬)、日本シエーリング(現 バイエル薬品)
- 商標名:タナトリル®錠(英: TANATRIL®Tablets)
- 基準名:日本薬局方イミダプリル塩酸塩錠
開発の経緯
イミダプリル塩酸塩は田辺製薬において合成された。その化学構造中にSH基を有さないプロドラッグ型のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤。
1983年よりタナトリルの開発を開始、当初は田辺製薬において進められ、1990年より日本シエーリングも加わり、以降両社共同で進められた。当初タナプリルの名称であったが、中央薬事審議会名称調査会から「…プリル」の名称は一般名と紛らわしいのではないかとの指摘があり、タナトリルへの変更となった。
1993年、「高血圧症及び腎実質性高血圧症」の治療薬剤として承認を得、田辺製薬から「タナトリル錠2.5,錠5,錠10」[1][2]、日本シエーリングから「ノバロック錠2.5,錠5,錠10」の商品名で発売された(ノバロックは2004年販売中止)。
2002年、「1型糖尿病に伴う糖尿病性腎症」の治療剤として承認を得た(タナトリルはこの適応症を有する唯一のACE阻害薬である)。
製品の特徴
タナトリルはACE阻害活性を有するイミダプリラートのエチルエステル体であり、経口投与後にイミダプリラートとなり作用を発現するいわゆるプロドラッグである。
- 日本で初めて糖尿病性腎症の効能・効果を取得したACE阻害薬―有意に尿中微量アルブミンを減少させるー
- 糖尿病合併高血圧症でも良好な血圧コントロールを示す
- 組織、血管において、強力かつ持続的なACE活性阻害作用を示す(ex vivo,マウス、ラット)
副作用
脚注
- ^ a b “「タナトリル錠2.5/錠5」 添付文書 (PDF)”. 医薬品医療機器総合機構 (2009年11月). 2010年1月27日閲覧。
- ^ “「タナトリル錠10」 添付文書 (PDF)”. 医薬品医療機器総合機構 (2009年11月). 2010年1月27日閲覧。
参考文献
- 弘田雄三 他:臨床医薬 1992; 8(3):507-522
- 弘田雄三 他:基礎と臨床 1992; 26(4):1457-1468
- 鈴木 伸 他:臨牀と研究 1992; 69(2):636-648
- 石井當男 他:臨床医薬 1992; 8(2):299-313
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Japanese Journal
- CKD患者におけるイミダプリルの尿蚕白減少効果 : 日本-インドネシア共同研究
- 柘植 俊直,プロドジョスドジャジ ウィグノ,ヨギアントロ モハマド [他],来栖 厚,大澤 勲,小林 則善,清水 芳男,スハードジョノ,ダルメイザー,ナインゴラン ジノヴァ,リージャ アイーダ,プラナワ,モハニ チャンドラ,サントソ ジョーコ,ウィドド,リザニアンシャ,堀越 哲,富野 康日己
- 順天堂医学 = Juntendo medical journal 56(2), 100-106, 2010-04-30
- NAID 10029498087
- 原田 岳,坂口 孝宣,稲葉 圭介,中村 利夫,倉地 清隆,深澤 貴子,中村 光一,沢柳 智樹,原 竜平,井田 勝也,今野 弘之
- 日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology 107(3), 432-441, 2010-03-05
- … 門部とドーム下に肝腫瘍を指摘され受診された.門脈腫瘍塞栓をともなうStage IVの肝細胞癌と診断し,近医経過観察の方針となった.その後は症状の増悪なく経過し,初診から28カ月後の画像診断で腫瘍は著明に縮小していた.退縮に関わる因子として,門脈腫瘍塞栓による腫瘍血流の減少と,イミダプリル,補中益気湯の抗腫瘍効果が考えられた.肝細胞癌の自然退縮症例はまれであり,文献的考察を含め報告する. …
- NAID 10026135376
- アデノウイルス感染症により肉眼的血尿を呈した膜性腎症の1例
- 松倉 裕喜
- 日本小児腎臓病学会雑誌 = Japanese journal of pediatric nephrology 21(2), 91-94, 2008-11-15
- … 経口プレドニゾロンと塩酸イミダプリルの併用にて治療を開始したところ,蛋白尿は速やかに消失した。 …
- NAID 10025170269
Related Links
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- イミダプリル塩酸塩とは。効果、副作用、使用上の注意。アンジオテンシンは生理的昇圧物質で、全身の末梢の動脈を収縮させて血圧を上げるほか、ナトリウムを体内に蓄積させ、昇圧ホルモンを副腎(ふくじん)から分泌させる ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
イミダプリル塩酸塩錠2.5mg「ファイザー」
組成
1錠中:
有効成分
添加物
- 乳糖水和物、軽質無水ケイ酸、タルク、硬化油、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム
禁忌
- 本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者
- 血管浮腫の既往歴のある患者(アンジオテンシン変換酵素阻害剤等の薬剤による血管浮腫、遺伝性血管浮腫、後天性血管浮腫、特発性血管浮腫等)[呼吸困難を伴う血管浮腫を発現することがある。]
- デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスを施行中の患者[ショックを起こすことがある。(「相互作用」の項参照)]
- アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜(AN69)を用いた血液透析施行中の患者[アナフィラキシー様症状を発現することがある。(「相互作用」の項参照)]
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
- 高血圧症、腎実質性高血圧症
- 通常、成人にはイミダプリル塩酸塩として5〜10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、重症高血圧症、腎障害を伴う高血圧症または腎実質性高血圧症の患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
- クレアチニンクリアランスが30mL/分以下、又は血清クレアチニンが3mg/dL以上の重篤な腎機能障害のある患者では、投与量を半量にするか、若しくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。[排泄の遅延による過度の血圧低下及び腎機能を悪化させるおそれがある。(「慎重投与」の項参照)]
慎重投与
- 両側性腎動脈狭窄のある患者又は片腎で腎動脈狭窄のある患者[「重要な基本的注意」の項参照]
- 高カリウム血症の患者[「重要な基本的注意」の項参照]
- 腎機能障害のある患者[「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「重大な副作用」の項参照]
- 脳血管障害のある患者[過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
血管浮腫(頻度不明)
- 呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと。
血小板減少(頻度不明)
- 重篤な血小板減少があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全、腎機能障害の増悪(頻度不明)
- 急性腎不全、また、腎機能障害の増悪があらわれることがあるので、腎機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
高カリウム血症(頻度不明)
- 重篤な高カリウム血症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。
紅皮症(剥脱性皮膚炎)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡様症状(頻度不明)
- 紅皮症(剥脱性皮膚炎)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、天疱瘡様症状があらわれることがあるので、紅斑、水疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- プロドラッグであり、経口投与後、加水分解により活性代謝物のジアシド体(イミダプリラート)に変換され、このイミダプリラートがアンギオテンシン変換酵素阻害薬として働く。アンギオテンシン変換酵素阻害薬は、生理活性を持たないアンギオテンシンIから強力な昇圧活性を有するアンギオテンシンIIへの変換を阻害することにより、血圧降下作用を示す。なお、アンギオテンシン変換酵素はキニナーゼIIと同一の酵素であり、変換酵素阻害薬はブラジキニンの分解をも抑制する。これによるブラジキニンの増加は、血圧降下に関与すると共に、副作用である咳にも関与すると考えられる7)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- イミダプリル塩酸塩(Imidapril Hydrochloride)
化学名
- (4S)-3-{(2S)-2-[(1S)-1-Ethoxycarbonyl-3-phenylpropylamino]propanoyl}-1-methyl-2-oxoimidazolidine-4-carboxylic acid monohydrochloride
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶である。
メタノールに溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。
1.0gを水100mLに溶かした液のpHは約2である。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- angiotensin receptor blocker, ARB, angiotensin II type 1 receptor blocker
- 同
- アンジオテンシン受容体拮抗薬
- 関
- 降圧薬
概念
- PHD.408
- アンジオテンシンIIの受容体はAT1とAT2がある。アンジオテンシンIIの生理作用としては血管収縮、アルドステロンの分泌、腎臓におけるNa+再吸収促進、交感神経系の刺激などがある。これらの作用はAT1受容体を介している(AT2受容体は胎児期の発生の際には豊富にあり、成人の一部臓器にも分布しているが、生理機能は不明)。アンジオテンシンII受容体拮抗薬はこのAT1受容体に競合的に結合して降圧をはかる薬剤である。血液中のアンジオテンシンIは循環血液中のACE以外の酵素によってアンジオテンシンIIに転換されうるので、アンジオテンシンII受容体拮抗薬の方がアンジオテンシン転換酵素阻害薬よりRAA系をより阻害するとされている。
1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT1受容体拮抗薬)
配合錠
CaB
妊婦に禁忌である理由
- コディオ配合錠MD添付文書より引用
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤並びにアンジオテンシン変換酵素阻害剤で、妊娠中期~末期に投与された患者に胎児死亡、羊水過少症、胎児・新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全、羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、脳、頭蓋顔面の奇形、肺の発育形成不全等があらわれた。
比較
- http://koccr.ame-zaiku.com/dousyudoukouyaku40.htmlより改変
半減期比較
[★]
- 英
- angiotensin-converting enzyme inhibitor angiotensin converting enzyme inhibitor , ACE inhibitor, ACEI
- 同
- アンジオテンシン変換酵素阻害剤 アンギオテンシン変換酵素阻害薬 アンギオテンシン変換酵素阻害剤 アンジオテンシン転換酵素阻害薬、ACE阻害薬 ACE阻害剤 ACE inhibitor、アンギオテンシン変換酵素拮抗薬, アンギオテンシン変換酵素拮抗薬, angiotensin-converting enzyme antagonist
- 関
- アンジオテンシン, アンジオテンシン転換酵素 ACE, 1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬 アンジオテンシンII受容体拮抗薬 ARB
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
=粉砕可能性
一般名
|
製品名
|
規格
|
剤形
|
用法
|
粉砕
|
アラセプリル
|
セタプリル
|
12.5,25,50
|
錠
|
1日
|
25-75mg
|
1日
|
1-2回分服
|
|
イミダプリル
|
タナトリル
|
2.5,5,10
|
錠
|
1日
|
2.5-10mg
|
1日
|
1回
|
○
|
エナラプリル
|
レニベース
|
2.5,5,10
|
錠
|
1日
|
2.5-10mg
|
1日
|
1回
|
|
カプトプリル
|
カプトリル
|
12.5,25
|
錠,細粒
|
1日
|
37.5~75mg
|
1日
|
3回
|
|
キナプリル
|
コナン
|
5,10,20
|
錠
|
1日
|
5~20mg
|
1日
|
1回
|
|
シラザプリル
|
インヒベース
|
0.25,0.5,1
|
錠
|
1日
|
0.25~2mg
|
1日
|
1回
|
○
|
テモカプリル
|
エースコール
|
1,2,4
|
錠
|
1日
|
1~4mg
|
1日
|
1回
|
|
デラプリル
|
アデカット
|
7.5,15,30
|
錠
|
1日
|
15~120mg
|
1日
|
1-2回分服
|
|
トランドラプリル
|
オドリック
|
0.5,1
|
錠
|
1日
|
0.5~2mg
|
1日
|
1回
|
○
|
トランドラプリル
|
プレラン
|
0.5,1
|
錠
|
1日
|
0.5~2mg
|
1日
|
1回
|
○
|
ベナゼプリル
|
チバセン
|
2.5,5,10
|
錠
|
1日
|
2.5~10mg
|
1日
|
1回
|
|
ペリンドプリル
|
コバシル
|
2,4
|
錠
|
1日
|
2~8mg
|
1日
|
1回
|
○
|
リシノプリル
|
ロンゲス
|
5,10,20
|
錠
|
1日
|
2.5~20mg
|
1日
|
1回
|
○
|
リシノプリル
|
ゼストリル
|
5,10,20
|
錠
|
1日
|
2.5~20mg
|
1日
|
1回
|
○
|
副作用
- 咳嗽:ACEはブラジキニンを分解するキニナーゼIIと同一の酵素である。ACE阻害薬はこの酵素を阻害するが、ブラジキニンは血管拡張、血漿滲出、発痛作用に関わっている。このため咳を誘発することがある。
- 高カリウム血症:間接的に血漿中のレニン濃度が低下するためにナトリウム取り込みとカリウム排泄が低下して高カリウム血症を来す
- 低血圧
- 腎不全
空咳の頻度
禁忌
- 腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれ。アンジオテンシンIIによる輸出細動脈の収縮作用がblockされ、両腎共に腎血流が減少しているためにGFRの低下を代償できず腎機能の悪化をきたす。
参考
- http://www.naoru.com/ace.htm
- http://kanri.nkdesk.com/drags/arb.php
[★]
イミダプリル。塩酸イミダプリル