セルトラリン
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セルトラリン
IUPAC命名法による物質名
IUPAC名
(1S ,4S )-4-(3,4-dichlorophenyl)-N -methyl-1,2,3,4-tetrahydronaphthalen-1-amine (1S ,4S )-4-(3,4-ジクロロフェニル)-N -メチル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-アミン
臨床データ 販売名
ゾロフト(Zoloft)[1] Drugs.com
monograph MedlinePlus
a697048 胎児危険度分類
法的規制
AU : 処方箋薬(S4)
UK : 処方箋のみ (POM)
US : ℞ -only
℞ (Prescription only) 投与方法
経口 薬物動態データ 生物学的利用能
44% 血漿タンパク結合
98.5% 代謝
肝臓(CYP2B6でN-脱メチル化)[2] 半減期
~23-26時間 (66時間 [低活性代謝物質ノルセルトラリン[3] (norsertraline)])[4] 排泄
腎臓 識別 CAS番号
79617-96-2 ATCコード
N06AB06 (WHO ) PubChem
CID: 68617 IUPHAR/BPS
4798 DrugBank
DB01104 ChemSpider
61881 UNII
QUC7NX6WMB KEGG
D02360 ChEBI
CHEBI:9123 ChEMBL
CHEMBL809 化学的データ 化学式
C 17 H 17 Cl 2 N 分子量
306.229 g/mol
SMILES
ClC1=CC=C([C@H]2C3=C([C@H](CC2)NC)C=CC=C3)C=C1Cl
InChI
InChI=1S/C17H17Cl2N/c1-20-17-9-7-12(13-4-2-3-5-14(13)17)11-6-8-15(18)16(19)10-11/h2-6,8,10,12,17,20H,7,9H2,1H3/t12-,17-/m0/s1
Key:VGKDLMBJGBXTGI-SJCJKPOMSA-N
セルトラリン (英語: Sertraline )は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI) と呼ばれる抗うつ薬の一つである。アメリカでは1991年に承認され、ゾロフト の商品名でファイザーより発売されている。日本では、ジェイゾロフト の商品名で2006年より薬価収載。2016年から後発薬が発売された。適応はうつ病・うつ状態、パニック障害、心的外傷後ストレス障害。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における劇薬である。
他害行為と抗うつ剤との因果関係が否定できない症例が確認されたことから、2009年5月に厚生労働省より添付文書の改定を指示され、[重要な基本的注意]「自殺企図」の中に「攻撃性」のリスクが明示された。パロキセチン(パキシル)とともに添付文書の改訂が指示され、「慎重投与」の項の「躁病の既往歴のある患者」が「躁うつ病患者」となった。
適応
アメリカではうつ病、強迫性障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害 (PTSD)、社交不安障害、月経前不快気分障害の適応がある。
性質
セルトラリンは無臭白色でやや水に溶ける結晶である。
セロトニン再取り込み阻害作用はSSRIの中で強い部類である。
薬物動態
セルトラリンは主にCYP2D6で代謝され、活性代謝物にはN -脱メチル体があるが、濃度や活性価が低く、臨床では問題にならない。
また、セルトラリンのチトクローム P450 (CYP450) の阻害能はSSRIの中で最も弱く[5] 、薬物相互作用も比較的少ないとされる。
本剤は肝臓で代謝されるため、肝機能障害は体内から本剤の排出に影響を与えることがある。肝機能に障害を持つ者への投与は、より少ない量を投与するか、頻度を減らすべきである。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
モノアミン酸化酵素阻害薬を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者
セルトラリンは軽いながらもドパミンとノルアドレナリンの再取り込み阻害効果を有している[6] [7] 。そのため、モノアミン酸化酵素阻害薬を併用すると、脳内モノアミン(セロトニン、ドパミン、ノルアドレナリン)の代謝が阻害されて濃度が高まるおそれがある。
ブチロフェノン系抗精神病薬のピモジド(商品名オーラップ)を投与中の患者
併用により血中薬物濃度が延長された結果、心電図でQT延長をきたすおそれがある。
併用注意
電気けいれん療法との併用における有効性・安全性は確立していない。
セントジョンズワート。併用するとセロトニン作用が増強されるおそれがある(眠気、吐き気、神経過敏、動悸(心臓拍動がはげしくなる)などが起きる可能性がある)。
グレープフルーツやグレープフルーツジュースを食べたり飲んだりしたら、セルトラリンを服用することは避けるべき。グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類が薬物代謝酵素の作用を阻害するので、服用者の血液中にとりこまれる薬効成分の量が、医薬品製造会社が本来想定している量よりもかなり増えてしまう。その結果、眠気、吐き気、神経過敏、動悸(心臓拍動が激しくなる)などが起きる可能性がある[8] 。
また、本剤を服用中の患者は、飲酒を避けることが望ましいとされる(本剤との相互作用は認められていないが、他の抗うつ薬で作用の増強が報告されているため)。
副作用
胃腸障害(悪心、下痢など)、傾眠、頭痛、口渇、浮動性めまい、振戦などがある。また患者の0.5%に躁病や軽躁病を誘発することがありうる。特に吐き気はもっとも多くみられる副作用。
重大な副作用
セロトニン症候群
精神症状として意識障害、不安など。神経症状としてミオクローヌス、腱反射亢進、筋強剛など。自律神経症状として発熱、発汗、下痢、頻脈などが生じる。治療にはセロトニン拮抗薬のシプロヘプタジンが有効とされるが、重度の場合、後述の悪性症候群との判別が重要になる。
悪性症候群 (NMS)
発熱を伴う錐体外路症状 (EPS) が主な症状であり、意識障害や自律神経症状やEPSによる筋強剛が生じるためにセロトニン症候群と誤診されることがある。一般的にCK値の上昇が見られ、ミオクローヌスや腱反射亢進などの神経症状は稀である。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH)
抗うつ剤の口渇による多量の水分補給と利尿ホルモン (ADH) の不適合分泌により、低ナトリウム血症を起こす。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、セルトラリン に関連するカテゴリがあります。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI)
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRI)
出典
^ drugs.com drugs.com international Sertraline Page accessed May 11, 2015
^ Obach RS, Cox LM, Tremaine LM (2005). “Sertraline is metabolized by multiple cytochrome P450 enzymes, monoamine oxidases, and glucuronyl transferases in human: an in vitro study”. Drug Metab. Dispos. 33 (2): 262–70. doi:10.1124/dmd.104.002428. PMID 15547048.
^ Sertraline FDA Label. http://www.fda.gov/ohrms/dockets/ac/04/briefing/4006b1_06_zoloft-label.pdf
^ Brunton L, Chabner B, Knollman B. Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Twelfth Edition. McGraw Hill Professional; 2010.
^ Stahl, Stephen M. (2000). Stahl's Essential Psychopharmacology Neuroscientific Basis and Practical Applications 3rd Edition . Cambridge University Press. ISBN 0521646154.
^ 2ページ目上段のグラフ (PDF)
^ 「セロトニン作動薬におけるSSRIの位置づけ」『PROGRESS IN MEDICINE』第19巻第11号、ライフ・サイエンス、1999年、 pp. 2558-2562。
^ Sertraline/Grapefruit Juice Interaction Interactions WebMD
抗うつ薬 (N06A)
再取り込み阻害薬
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン エスシタロプラム
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
デュロキセチン ミルナシプラン ベンラファキシン
ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
アトモキセチン
ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
ブプロピオン
受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬
セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
トラゾドン
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
アゴメラチン フリバンセリン
三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs)
三環系 : アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系 : マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
アザピロン と 5-HT1A 阻害薬
アリピプラゾール タンドスピロン
サプリメント
ω-3脂肪酸 S-アデノシルメチオニン
UpToDate Contents
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Japanese Journal
〈一般演題抄録〉今冬期間 自死(未遂)した外来患者の3例
町田 光司,町田 裕子,松本 一仁,寺田 明功
弘前医学 69(1-4), 208, 2019
… <br>バキシルCR(12.5)1T/日 → バキシル(20)1T 1X 日 → ジェイゾロフト (25)1T<br> …
NAID 130007656002
抗うつ薬 (特集 これだけあれば大丈夫! Common diseaseのエッセンシャルドラッグ)
ドクターのための薬物相互作用とマネジメント(第8回)今回の併用禁忌・注意薬 チモロール含有点眼薬(チモプトール,リズモンTG,そのほか配合点眼薬など)+CYP2D6阻害薬 +パロキセチン(パキシルなど) +キニジン(硫酸キニジン) +セルトラリン(ジェイゾロフト )など
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジェイゾロフト錠25mg
組成
有効成分
塩酸セルトラリン28mg (セルトラリンとして25mg)
添加物
結晶セルロース、リン酸水素カルシウム水和物、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、ポリソルベート80、マクロゴール
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者[「相互作用」併用禁忌の項参照]
ピモジドを投与中の患者[「相互作用」併用禁忌の項参照]
効能または効果
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。[「その他の注意」の項参照]
通常、成人にはセルトラリンとして1日25mgを初期用量とし、1日100mgまで漸増し、1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により1日100mgを超えない範囲で適宜増減する。
本剤の投与量は、予測される効果を十分に考慮し、必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。[「臨床成績」の項参照]
慎重投与
肝機能障害のある患者[血中濃度半減期が延長し、AUC及びCmax が増大することがある。(「薬物動態」の項参照)]
躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣発作を起こすことがある。]
出血の危険性を高める薬剤を併用している患者、出血傾向又は出血性素因のある患者[鼻出血、胃腸出血、血尿等が報告されている。]
緑内障又はその既往歴のある患者[眼圧上昇を起こし、症状が悪化するおそれがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
小児[「小児等への投与」の項参照]
重大な副作用
セロトニン症候群(頻度不明注) )
不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクロヌス、自律神経不安定等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
悪性症候群(頻度不明注) )
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合がある。抗精神病剤との併用時にあらわれることが多いため、特に注意すること。異常が認められた場合には、抗精神病剤及び本剤の投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発現時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
痙攣(頻度不明注) )、昏睡(頻度不明注) )
痙攣、昏睡があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害(頻度不明注) )
肝不全、肝炎、黄疸があらわれることがあるので、必要に応じて肝機能検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明注) )
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Lyell症候群)(頻度不明注) )
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Lyell症候群)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様症状(頻度不明注) )
アナフィラキシー様症状(呼吸困難、喘鳴、血管浮腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注:自発報告又は海外での報告のため頻度不明
薬効薬理
塩酸セルトラリンは脳内セロトニン神経に存在するセロトニン再取り込み機構を強力かつ選択的に阻害する薬物であり、脳内のシナプス間隙におけるセロトニン濃度を高めて持続的にセロトニン神経伝達を亢進するものと考えられる25,26,27) 。
抗うつ作用
マウスを用いた強制水泳試験において不動時間を短縮した27) 。
ラットを用いた強制水泳試験において逃避行動(水車回転数)の減少を抑制した28) 。
嗅球摘出ラットの自発運動の亢進を抑制した29) 。
拘束ストレス負荷による正常ラットの自発運動量の減少を回復させた30) 。
抗不安作用
マウスを用いたガラス玉覆い隠し試験においてガラス玉覆い隠し行動を抑制した31) 。
5-HT2C 受容体作動薬による自発運動量減少に対する作用
m-クロロフェニルピペラジン(m-CPP)の投与によるラットの自発運動量の減少を軽減した32) 。
作用機序
ラット脳シナプトゾームを用いた実験における、本剤のセロトニン取り込みに対する50%抑制濃度(IC50 )は0.058μmol/Lであり、本剤のセロトニン取り込み阻害作用はノルエピネフリン又はドパミン取り込み阻害作用に比べ約20倍選択的であった(in vitro )27) 。
ラット又はウシ脳膜標品を用いた試験において、本剤はセロトニン再取り込み部位に高い親和性を示すが、アドレナリン受容体(α1 、α2 、β)、ドパミン受容体、ムスカリン受容体、ヒスタミン受容体(H1 )、セロトニン受容体(5-HT1A 、5-HT1B 、5-HT1D 、5-HT2 )、ベンゾジアゼピン受容体への結合親和性は低かった(in vitro )25,33) 。またマウスにおける脳内ノルアドレナリン神経系、ドパミン神経系及びムスカリン性アセチルコリン神経系の活性化により生ずる行動や症状に影響を及ぼさなかった25) 。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
塩酸セルトラリン(sertraline hydrochloride)
化学名
(+)-(1S ,4S )-4-(3,4-dichlorophenyl)-1,2,3,4-tetrahydro-N -methyl-1-naphthylamine monohydrochloride
分子式
分子量
性状
塩酸セルトラリンは、白色の結晶性の粉末である。メタノール、エタノール(95)又はN,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けやすく、水に溶けにくい。
融点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
関
抗精神病薬
商品
[★]
英
sertraline
化
塩酸セルトラリン sertraline hydrochloride
商
ジェイゾロフト
関
[[]]
適応
注意
禁忌
1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
2. MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後14日間以内の患者
3. ピモジド を投与中の患者
副作用
承認時までのうつ病・うつ状態患者及びパニック障害患者を対象とした国内臨床試験において、本剤が投与された総症例1478例中881例(59.6%)に2075件の副作用が発現した。主な副作用は、悪心(18.9%)、傾眠(15.2%)、口内乾燥(9.3%)、頭痛(7.8%)、下痢(6.4%)、浮動性めまい(5.0%)等であった。
添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179046F1028_2_02/
[★]
英
me-too drug
関
ゾロ品 、後発医薬品