マプロチリン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/01 18:30:47」(JST)
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マプロチリン
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IUPAC命名法による物質名 |
N-Methyl-9,10-ethanoanthracene-9(10H)-propanamine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
十分なデータは得られていない。 |
法的規制 |
Rx-only (not a controlled substance) |
投与方法 |
経口、筋肉内、点滴静注 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
66〜70% |
血漿タンパク結合 |
88% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
27-58時間 |
排泄 |
胆汁 (30%)、尿 (57%)(グルコヌリドとして)。3〜4%が未代謝 |
識別 |
CAS登録番号 |
10262-69-8 10347-81-6(塩酸塩) |
ATCコード |
N06AA21 |
PubChem |
CID 4011 |
DrugBank |
APRD00747 |
KEGG |
D02566 |
化学的データ |
化学式 |
C20H23N |
分子量 |
277.403 g/mol |
マプロチリン (maprotiline) は、有機化合物の一種。四環系抗うつ薬の一種で、うつ病・うつ状態の治療薬に使用される。分子式は C20H23N。融点は 244 ℃。
1964年にスイスのCIBA-GEIGY社により開発された最初の四環系抗うつ薬である。日本国内では1981年にノバルティスよりルジオミールという商品名で塩酸塩として発売された。
禁忌・注意
- モノアミン酸化酵素阻害剤を服用している者には投与できない。
- 緑内障、排尿困難(前立腺疾患)のある者は悪影響を与える場合があるため、投与できない。
- 心筋梗塞、またはその回復初期の者は投与できない。
- てんかんの痙攣性疾患のある者は投与できない。
- 眠気や注意力の低下が起こることがあるため、投与中の患者には自動車等の危険を伴う機械の操作に従事させないこと。
用量・用法
10mg、25mg錠の場合、通常、マプロチリン塩酸塩として成人に1日30~75mgを2~3回に分けて経口投与するか、または夕食後か就寝前に1回投与する。なお年齢や症状に応じて適宜増減する。 50mgの場合、1日1回夕食後か就寝前に経口投与する。
種類
- 錠剤:10mg(白色)、25mg(淡黄色)、50mg(暗い橙色)
- 全てフィルムコート錠である。
抗うつ薬 (N06A) |
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再取り込み阻害薬 |
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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
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フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン
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セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
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デュロキセチン ミルナシプラン ヴェンラファキシン
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ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
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アトモキセチン
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ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
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ブプロピオン
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受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬 |
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セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
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トラゾドン
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ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
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ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
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アゴメラチン フリバンセリン
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三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs) |
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三環系: アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系: マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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アザピロン と 5-HT1A阻害薬 |
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アリピプラゾール タンドスピロン
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サプリメント (ビタミン, ミネラル, アミノ酸など) |
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アスコルビン酸 (Vitamin C) 魚油 葉酸 (Vitamin B9) L-5-HTP (Oxitriptan) レボドパ (Levodopa) L-Methionine フェニルアラニン トリプトファン チロシン マグネシウム メラトニン ナイアシン/Niacinamide (Vitamin B3) ω-3脂肪酸 ピリドキシン (Vitamin B6) S-アデノシルメチオニン 亜鉛
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UpToDate Contents
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ルジオミール錠10mg
組成
成分・含量
添加物
- ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、無水ケイ酸、第三リン酸カルシウム、D-マンニトール、トウモロコシデンプン、ポリソルベート80、酸化チタン、ヒプロメロース
禁忌
- 緑内障のある患者〔抗コリン作用により眼圧を上昇させるおそれがある。〕
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 心筋梗塞の回復初期の患者〔症状を悪化させるおそれがある。〕
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣を起こすことがある。〕
- 尿閉(前立腺疾患等)のある患者〔抗コリン作用により症状が悪化することがある。〕
- MAO阻害剤の投与を受けている患者〔発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれるおそれがある。〕(「相互作用」の項参照)
効能または効果
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。
- **通常成人にはマプロチリン塩酸塩として1日30〜75mgを2〜3回に分割経口投与する。また上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 排尿困難又は眼内圧亢進等のある患者〔抗コリン作用により症状が悪化することがある。〕
- 心不全・心筋梗塞・狭心症・不整脈(発作性頻拍・刺激伝導障害等)等の心疾患のある患者又は甲状腺機能亢進症(または甲状腺ホルモン剤投与中)の患者〔循環器系に影響を及ぼすことがある。〕
- 躁うつ病患者〔躁転、自殺企図があらわれることがある。〕
- 脳の器質障害又は統合失調症の素因のある患者〔精神症状を増悪させることがある。〕
- 衝動性が高い併存障害を有する患者〔精神症状を増悪させることがある。〕
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者〔自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。〕
- 副腎髄質腫瘍(褐色細胞腫、神経芽細胞腫等)のある患者〔高血圧発作を引き起こすことがある。〕
- 重篤な肝・腎障害のある患者〔代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。〕
- 低血圧のある患者〔高度の血圧低下が起こることがある。〕
- 高度な慢性の便秘のある患者〔抗コリン作用により症状が悪化することがある。〕
- 三環系抗うつ剤に対し過敏症の患者〔交差過敏反応があらわれるおそれがある。〕
- 小児又は高齢者(「高齢者への投与」、「小児等への投与」の項参照)
重大な副作用
悪性症候群(Syndrome malin)(頻度不明)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。
本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、またミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、他の三環系及び四環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
てんかん発作(0.1%〜5%未満)
- てんかん発作があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症(頻度不明)
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
無顆粒球症(頻度不明)
- 無顆粒球症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
麻痺性イレウス(0.1%未満)
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
間質性肺炎、好酸球性肺炎(頻度不明)
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
QT延長、心室頻拍(Torsades de pointesを含む)(頻度不明)
- 定期的に心電図検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 抗うつ剤については種々の作用機序が示されているが、本剤では主として神経終末へのcatecholamine取り込み阻害作用によるcatecholaminergic activityの増強が抗うつ効果に結びついていると考えられている。
動物実験(マウス・ラット)で、マプロチリンは抗reserpine作用5)、抗tetrabenazine作用5)、noradrenaline取り込み阻害作用6)等においては従来の抗うつ剤に類似した作用態度を示すが、serotoninの取り込みに対しては阻害作用がみられないこと7,8)、中枢性の抗コリン作用をほとんど有さないこと5)、あるいは強い馴化作用を併有していること5)など三環系抗うつ剤とは異なる作用スペクトルを有する薬物である。各種の薬理実験の結果から、主な作用についてマプロチリン、imipramine、amitriptylineの相対的作用強度を比較すると次図のようになる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- マプロチリン塩酸塩(Maprotiline Hydrochloride)
化学名
- 3-(9,10-Dihydro-9,10-ethanoanthracene-9-yl)-N-methylpropylamine monohydrochloride
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶性の粉末で、メタノール又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。
融点:約244℃(分解)
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- maprotiline
- 同
- 塩酸マプロチリン maprotiline hydrochloride
- 商
- ルジオミール Ludiomil、クロンモリン、ノイオミール、マプロミール
- 関
- 薬理学
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