フルボキサミン
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/05/11 09:42:17」(JST)
[Wiki ja表示]
フルボキサミン
|
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
C |
法的規制 |
Prescription Only (S4) (AU) ℞-only (US) |
識別 |
ATCコード |
N06AB08 |
KEGG |
D07984 |
化学的データ |
化学式 |
C15H21F3N2O2 |
フルボキサミン(Fluvoxamine)は、医療用医薬品。抗うつ薬のひとつで、ベルギーの化学会社ソルベイ(医薬品部門は現アボット・ラボラトリーズ)によって創製された世界で始めての選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)である。
目次
- 1 概要
- 2 形状
- 3 用法用量
- 4 副作用
- 5 血中濃度
- 6 関連項目
|
概要 [編集]
主にうつ病、不安障害、強迫性障害、摂食障害、注意欠陥・多動性障害、月経前症候群等の治療薬として、日本ではフルボキサミンマレイン酸塩錠が「ルボックス®」(アボットジャパン←アステラス製薬←藤沢薬品工業)、「デプロメール®」(Meiji Seika ファルマ)の商標で販売されている。また、後発品も多数存在する。
日本で最初に発売されたSSRIで、医師の処方が必要である。過去のセンセーショナルな登場から、SSRIを「ハッピードラッグ」として飲む者もいるが、実際にはそのような作用はないので無意味で危険な行為である。逆にSSRIを危険な薬として過度に警戒し、安易に服用を避けようとすることも同様である。服用にあたっては医師や薬剤師と十分に相談し、適切な服用を心がける必要がある。
形状 [編集]
25mg錠と50mg錠と75mg錠とがある。ルボックス、デプロメールとも黄色い小さな錠剤である。
用法用量 [編集]
通常、成人にはフルボキサミンマレイン酸塩として1日50mgを初期用量として、最大1日150mg程度まで漸増し、1日2回に分割して経口投与するのが一般的である。なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。1日150mgを越える量での処方で目覚ましい効果があったという日本国外の医学誌での報告がある。実際、臨床では1日200mg程度まで処方される事は多々あり、これは抗うつ薬全般の傾向である。
なお、フルボキサミンはかなりの苦味があるため、噛み砕いたり舌下で溶かして服用するのは避け、コップ一杯程度の水やぬるま湯と服用する。
フルボキサミンをはじめ、抗うつ薬は服用を開始してから効果が現れるまでにおよそ2週間から1ヶ月かかる。
副作用 [編集]
主な副作用は、吐き気、頭痛、眠気、そして主に胃や肝臓などの消化器への影響である。その他にも少数例ながら各種の副作用が報告されている。特に、24歳未満の患者が服用する場合は、自殺願望の芽生えなどの危険な副作用が発生する可能性が指摘されているため、注意が必要である。 抗うつ薬は効果の出現にある程度時間がかかるが、副作用は服用直後から現れる。しかし飲み続けると副作用が消えることも多い。
血中濃度 [編集]
健康な成人男性に50mg投与した場合、最高血中濃度は5時間ほどで訪れ、血中濃度半減期は9時間前後である。
関連項目 [編集]
- 抗うつ薬
- 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 (SSRI)
- セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRI)
抗うつ薬 (N06A) |
|
再取り込み阻害薬 |
|
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
|
フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン
|
|
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
|
デュロキセチン ミルナシプラン ヴェンラファキシン
|
|
ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
|
アトモキセチン
|
|
ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
|
ブプロピオン
|
|
|
|
受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬 |
|
セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
|
トラゾドン
|
|
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
|
ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
|
|
ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
|
アゴメラチン フリバンセリン
|
|
|
|
三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs) |
|
三環系: アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系: マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
|
|
|
アザピロン と 5-HT1A阻害薬 |
|
アリピプラゾール タンドスピロン
|
|
|
サプリメント (ビタミン, ミネラル, アミノ酸など) |
|
アスコルビン酸 (Vitamin C) 魚油 葉酸 (Vitamin B9) L-5-HTP (Oxitriptan) レボドパ (Levodopa) L-Methionine フェニルアラニン トリプトファン チロシン マグネシウム メラトニン ナイアシン/Niacinamide (Vitamin B3) ω-3脂肪酸 ピリドキシン (Vitamin B6) S-アデノシルメチオニン 亜鉛
|
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- めまい集団リハビリテーションとSSRIの併用療法(第2報) : うつ状態の併存がみられるめまい患者の治療
- 新井 基洋,五島 史行,保坂 隆
- 心身医学 51(10), 919-926, 2011-10-01
- 集団めまいリハビリテーションとSSRIの併用療法によるQOLの改善内容を明らかにする目的で,入院時のSDS検査におけるスコアが50以上の患者を対象としたレトロスペクティブな検討を行った.めまい治療は,薬物治療としてbetahistine mesilate(メリスロン^[○!R])18mg/日とATP製剤(10%アデホス顆粒^[○!R])3g/日の内服とし,さらに集団めまいリハビリテーション併用加療 …
- NAID 110008722825
- めまい集団リハビリテーションとSSRIの併用療法(第1報)
- 新井 基洋,五島 史行,保坂 隆
- 心身医学 51(5), 416-423, 2011-05-01
- 集団めまいリハビリテーションとSSRIの併用療法によるQOLの改善内容を明らかにする目的でレトロスペクティブな検討を行った.対象は入院治療前にSDS検査を全例施行し,SDS≧50をうつ状態群,50>SDS≧40を抑うつ傾向群,40>SDSを正常群の3群に分けて検討した.治療は全例にめまい薬物治療としてbetahistine mesilate(メリスロン^[○!R])18mg/日とATP …
- NAID 110008607729
Related Links
- デプロメールとは?フルボキサミンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 概説 憂うつな気分をやわらげ、意欲を高めるお薬です。うつ病やうつ状態、強迫性障害、社会不安障害の治療に用います。
- デプロメール 成分(一般名):マレイン酸フルボキサミン デプロメールの効能 うつ病及びうつ状態、強迫性障害、社会不安障害。 応用:摂食障害、過食嘔吐、月経前不快気分障害、パニック障害、外傷後ストレス障害など
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
デプロメール錠25
組成
- デプロメール錠25は、1錠中に下記の成分を含有する。
有効成分
添加物
- 部分アルファー化デンプン、無水リン酸水素カルシウム、トウモロコシデンプン、酸化チタン、バレイショデンプン、ヒプロメロース、マクロゴール6000、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ、その他1成分
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- モノアミン酸化酵素阻害剤〔選択的B型モノアミン酸化酵素阻害剤(セレギリン塩酸塩)を含む〕を投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- チオリダジン、ピモジド、チザニジン塩酸塩、ラメルテオンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
効能または効果
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。(「その他の注意」の項参照)
- 社会不安障害の診断は、DSM-IV※に基づき慎重に実施し、診断基準を満たす場合にのみ投与すること。
- ※DSM-IV:American Psychiatric Association(米国精神医学会)のDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,4th edition(DSM-IV精神疾患の診断・統計マニュアル)
- 通常、成人にはフルボキサミンマレイン酸塩として、1日50mgを初期用量とし、1日150mgまで増量し、1日2回に分割して経口投与する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
- 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら調節すること。
慎重投与
- 肝障害のある患者[本剤のAUCが増大又は半減期が延長する。]
- 重篤な腎障害のある患者[排泄が遅延するおそれがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣を起こすことがある。]
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 心疾患のある患者[房室ブロック、心室頻拍等があらわれたとの報告がある。(「高齢者への投与」の項参照)]
- 出血性疾患の既往歴又は出血性素因のある患者[出血傾向が増強するおそれがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 小児[「小児等への投与」の項参照]
重大な副作用
- 痙攣(頻度不明)、せん妄、錯乱、幻覚、妄想(0.1〜5%未満)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 意識レベルの低下・意識消失等の意識障害(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- ショック、アナフィラキシー様症状(頻度不明)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- セロトニン症候群(頻度不明)があらわれることがあるので、錯乱、発熱、ミオクロヌス、振戦、協調異常、発汗等の副作用が発現した場合は投与を中止し、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。なお、セロトニン作用薬との併用において、昏睡状態となり、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
- 向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬等)との併用により、悪性症候群(頻度不明)があらわれることがあるので、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
- 白血球減少、血小板減少(頻度不明)があらわれることがあるので、血液検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、総ビリルビン等の著しい上昇を伴う肝機能障害、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、肝機能検査等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)があらわれることがあるので、食欲不振、頭痛、嘔気、嘔吐、全身倦怠感等があらわれた場合には電解質の測定を行い、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗うつ作用13,14)
- 強制水泳法及び尾懸垂法において、デシプラミンと同様の効果を示した(60mg/kg、p.o.、マウス)。
抗強迫性障害作用15)
- 不安障害動物モデルのうち、抗強迫性障害作用も検出できるとされているガラス玉覆い隠し試験において、ガラス玉覆い隠し行動(強迫行動)を強く抑制した(60mg/kg、p.o.、マウス)。
5-HT2C受容体作動薬による自発運動量減少に対する作用16)
- セロトニン5-HT2C受容体作動薬のm-chlorophenylpiperazineが誘発するラットの自発運動量の減少に対して、単回投与(90mg/kg、p.o.)では影響しなかったが反復投与(30mg/kg、p.o.、21日間)で抑制効果を示した。
作用機序17,18)
- 本薬はセロトニンの再取り込みを選択的に阻害する。ノルアドレナリン及びドパミン取り込み阻害に対する選択性をIC50の比で表すとそれぞれ130及び160と、他の抗うつ薬とは明確に異なっている(ラット脳シナプトゾーム、図2)。なお、各種神経伝達物質受容体にはほとんど親和性を示さず、モノアミン酸化酵素阻害作用も示さなかった。
図2 セロトニンとノルアドレナリン及びドパミンの相対的取り込み阻害活性
有効成分に関する理化学的知見
融 点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- potato starch
- 商
- ATP腸溶、アイデイトロール、アクタミン、アストーマ配合、アストフィリン配合、アスペノン、アタバニン、アヘン末、アポプロン、アミプリン、アミユー配合、アラセプリル、ウルソ、エンテラーゼ配合、クールスパン、クロミッド、コデインリン酸塩、コニール、コニプロス、コレポリーR、コンスーン、サルポグレラート塩酸塩、ジベトス、セファランチン、セラピエース、セリナリート、セルニルトン、セレナミン、センブリ、センブリ・重曹、チョコラA、つくしA・M配合、テナキシル、デプロメール、ドーフル、ドライアーゼ配合、ナトリックス、ノバミン、パルギン、バレイショデンプン 、ビオスミン 、ビオスミン配合、ビオスリー配合、ビオフェルミン 、ビオフェルミンR、ビオフェルミン配合、ヒダントールD配合、ビフィスゲン、ビフロキシン配合、フォリアミン、フランセチン・T・パウダー、プレドニゾロン、ベスタチン、ベニジピン塩酸塩、ベハイドRA配合、ボグリボース、ホミカエキス、マカシーA、メチルエルゴメトリンマイレン酸塩、ラクスパン、ラクデーン、ランソプラゾール、レベニン、ロートエキス、亜デンプン
- 関
- ジャガイモデンプン、デンプン
[★]
- 英
- fluvoxamine FLVX
- 化
- マレイン酸フルボキサミン fluvoxamine maleate
- 商
- ルボックス、デプロメール
- 関
- セロトニン、セロトニン受容体
- 精神神経用剤
-
禁忌
副作用
- 安全性評価対象例712例中306例(43.0%)、690件の副作用が認められた。内訳は副作用症状256例(36.0%)、522件、臨床検査値異常86例(12.1%)、168件であった。
- 主なものは嘔気・悪心84件(11.8%)、口渇51件(7.2%)、便秘36件(5.1%)等の消化管障害、眠気69件(9.7%)、めまい21件(2.9%)等の精神神経系障害、怠感23件(3.2%)等の一般的全身障害、ALT(GPT)上昇31件(4.4%)、AST(GOT)上昇20件(2.8%)等の臨床検査値異常であった。(承認時:1999年4月)
添付文書
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179039F1036_1_30/
[★]
- 英
- dibasic calcium phosphate、calcium hydrogen phosphate
- 化
- アスラーン、アムロジピン、アムロジピンOD、アリーゼS配合、アリチア配合、エバスチンOD、ガスペラジン、ガスポート、ガスメット、ガスリック、クエチアピン、サニアーゼ配合、スルカイン配合、セルニルトン、ソファルコン、デプロメール、トラベルミン配合、トリプタノール、パロキセチン、ファモチジン、フェニルアラニン除去ミルク配合、フスコデ配合、フルボキサミンマレイン酸塩、プロモーション、ミルナシプラン塩酸塩、リシノプリル、リン酸水素カルシウム水和物、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合、ロンゲス、ロンゲリール、第二リン灰
- 関
- 無水リン酸水素カルシウム
[★]
- 英
- pro
[★]
- 英
- mail
- 関
- 電子メール