炭酸リチウム
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Related Links
- 第一三共株式会社のリチオマール錠200mg(中枢神経用薬)、一般名炭酸リチウム( Lithium carbonate) の効果と副作用、写真、保管方法等を掲載。
- 第一三共株式会社のリチオマール錠100mg(中枢神経用薬)、一般名炭酸リチウム( Lithium carbonate) の効果と副作用、写真、保管方法等を掲載。
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
リチオマール錠100mg
組成
有効成分
*添加物
- D-マンニトール、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、マクロゴール6000、酸化チタン
禁忌
- てんかん等の脳波異常のある患者[脳波異常を増悪させることがある。]
- 重篤な心疾患のある患者[心疾患を増悪し、重篤な心機能障害を引き起こすおそれがある。]
- リチウムの体内貯留を起こしやすい状態にある患者[リチウムの毒性を増強するおそれがある。]
- 腎障害のある患者
- 衰弱又は脱水状態にある患者
- 発熱、発汗又は下痢を伴う疾患のある患者
- 食塩制限患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
- 炭酸リチウムとして、成人では通常1日400〜600mgより開始し、1日2〜3回に分割経口投与する。以後3日ないし1週間毎に、1日通常1,200mgまでの治療量に漸増する。
改善がみられたならば症状を観察しながら、維持量1日通常200〜800mgの1〜3回分割経口投与に漸減する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 過量投与による中毒を起こすことがあるので、投与初期又は用量を増量したときには1週1ないし2回、維持量の投与中には1月1回程度、早朝服薬前の血清リチウム濃度を測定しながら使用すること(「薬物動態」の項参照)。
- 血清リチウム濃度が1.5mEq/Lを超えたときは臨床症状の観察を十分に行い、必要に応じて減量又は休薬等の処置を行うこと。
- 血清リチウム濃度が2.0mEq/Lを超えたときは過量投与による中毒を起こすことがあるので、減量又は休薬すること。
慎重投与
- 脳に器質的障害のある患者[神経毒性があらわれるおそれがある。]
- 心疾患の既往歴のある患者[心機能障害を引き起こすおそれがある。]
- リチウムの体内貯留を起こすおそれのある患者[リチウム中毒を起こすおそれがある。]
- 腎障害の既往歴のある患者
- 食事及び水分摂取量不足の患者
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 肝障害のある患者[肝障害を増悪させるおそれがある。]
- 甲状腺機能亢進又は低下症の患者[甲状腺機能低下を起こすおそれがあるため、甲状腺機能亢進症の診断を誤らせる可能性がある。また、甲状腺機能低下症を増悪させるおそれがある。]
- リチウムに異常な感受性を示す患者[血清リチウム濃度が1.5mEq/L以下でも中毒症状があらわれることがある。]
重大な副作用
リチウム中毒
頻度不明
- リチウム中毒の初期症状として食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢等の消化器症状、振戦、傾眠、錯乱等の中枢神経症状、運動障害、運動失調等の運動機能症状、発熱、発汗等の全身症状を示すことがあるので、このような症状が認められた場合には、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、中毒が進行すると、急性腎不全により電解質異常が発現し、全身けいれん、ミオクローヌス等がみられることがある。
処置方法:リチウム中毒が発現した場合、特異的な解毒剤は見い出されていないので、投与を中止し、感染症の予防、心・呼吸機能の維持とともに補液、利尿剤(マンニトール、アミノフィリン水和物等)等により本剤の排泄促進、電解質平衡の回復を図ること。利尿剤に反応しない場合や腎障害が認められる場合は、血液透析を施行すること。血液透析を施行する場合は、施行後に低下した血清リチウム濃度が再上昇することがあるので、施行後血清リチウム濃度測定を行い再上昇がみられた場合には、再度の血液透析等の適切な処置を行うこと。
悪性症候群(Syndrome malin)
頻度不明
- 向精神薬(抗精神病薬等)との併用により、悪性症候群があらわれることがあるので、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。悪性症候群においては、筋肉障害[CK(CPK)上昇]や横紋筋融解症が起こることがある。この際、急性腎不全に至る場合もあり、十分な観察を行うこと。
徐脈
頻度不明
- 洞機能不全等による重度の徐脈があらわれることがあるので、観察を十分に行い異常が認められた場合には投与を中止すること。
腎性尿崩症
頻度不明
- 腎性尿崩症があらわれることがあるので、多飲、多尿等の症状が発現した場合には、電解質濃度の測定等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痴呆様症状、意識障害
頻度不明
- 可逆性の痴呆様症状、昏睡に至るような意識障害(脳波所見上、周期性同期性放電(PSD)等を伴う)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
自発運動抑制作用3)
- リチウムはマウスにおいて回転かご法等で自発運動の抑制作用を示すが、回転棒法では抑制作用を示さないことから、自発運動抑制作用は筋弛緩作用によるものではないことが示唆された。
興奮性物質に対する拮抗作用4)
- リチウムはマウスにおいてメタンフェタミンによる自発運動増加作用、メスカリンあるいはアポモルヒネによる異常行動に対して拮抗作用を示した。
闘争行動抑制作用4)
- リチウムはマウスにおいてFoot shock又はIsolationにより生じる闘争行動に対して抑制作用を示した。
条件回避行動抑制作用5)
- リチウムはSidman型条件回避行動において、学習良好及び不良ラットの回避反応に対して抑制作用を示した。
作用機序6)
- リチウムの作用機序には不明の点が多いが、以下のような説が提唱されている。(1)Li+とNa+の置換による神経興奮の抑制、(2)ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミンの遊離抑制及び取込みの軽度の促進、(3)Mg2+依存性アデニル酸シクラーゼの抑制、(4)イノシトール 1-リン酸分解酵素の阻害によるホスファチジルイノシトール(PI)代謝回転の抑制。PI代謝回転に対する抑制作用は治療量のリチウムで起こることから、PI代謝回転を抑制することにより、PI代謝回転を介する受容体機能や神経機能に作用すると推定されている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶性の粉末で、においはない。
水にやや溶けにくく、熱湯に溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
希酢酸に溶ける。
1.0gを水100mLに溶かした液のpHは10.9〜11.5である。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- lithium
- 化
- 炭酸リチウム lithium carbonate
- 商
- リーマス、リチオマール
特徴
mood stabilizer
- inositol monophosphatase, IMPase
- wingless:ショウジョウバエ、ハネの発生に関する
- Int-1:マウス乳癌
- Wnt:相同遺伝子。分泌蛋白
- 作用箇所
- リン酸化GSK-3(不活型)-phosphatase(←Liにより抑制される)→GSK
- GSK-3βはインスリン受容体の下流にも存在する。インスリンのGタンパク質を介したシグナルがPKA,PKC,Akt,p90RSKに伝わり、さらにGSK-3βを介して(p-ser9が介在)下流に伝わる
- インスリンを経鼻投与すると海馬における学習や記憶力が向上するかもしれない
副作用
リチウム中毒と血中濃度
- 時々血中濃度を測定しなければならない
- 初期 1.5-2.5mEq/L 粗大振戦、失調、悪心、嘔吐、鎮静
- 中度 2.5-3.5mEq/L 耳鳴り
- 重度 3 -5 mEq/L 昏睡、血圧低下、腎障害