ミルタザピン
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ミルタザピン
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|
IUPAC命名法による物質名 |
(±)-1,2,3,4,10,14b-hexahydro-2-[11C]methylpyrazino(2,1-a)pyrido(2,3-c)(2)benzazepine[1] |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
経口[3] |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
49.7%[4] |
代謝 |
肝臓 (CYP1A2,CYP2D6,CYP3A4)[5] |
半減期 |
23~33時間 |
排泄 |
代謝物として:尿中75%、糞中15%[6] |
識別 |
CAS番号 |
61337-67-5 |
ATCコード |
N06AX11 |
PubChem |
CID 4205 |
DrugBank |
DB00370 |
ChemSpider |
4060 |
KEGG |
D00563 |
化学的データ |
化学式 |
C17H19N3[1] |
分子量 |
265.35 g/mol[1] |
SMILES
- CN1CCN2C(C1)C3=CC=CC=C3CC4=C2N=CC=C4
|
物理的データ |
融点 |
114–116 °C (237–241 °F) |
水への溶解量 |
メタノール、エタノールに溶ける[7] mg/mL (20 °C) |
ミルタザピン(Mirtazapine)とは、オランダのオルガノン社(前シェリング・プラウ社、現メルク社)が創製した三環系抗うつ薬[8][9]。ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA) というカテゴリに分類される。SSRIやSNRIとは異なる作用機序であり、短時間で効果が発現し、効果は持続的である[10]。
2009年3月現在、93カ国で承認され、日本においては、2009年7月に、医薬品医療機器総合機構から製造販売が承認され[11]、MSD(旧シェリング・プラウ)からレメロン®、Meiji Seika ファルマからリフレックス®という商品名で販売されている[8]。
目次
- 1 適応症
- 2 作用機序
- 3 用法・用量
- 4 副作用
- 4.1 主な副作用
- 4.2 終了時
- 4.3 性差
- 4.4 重大な副作用
- 5 禁忌
- 6 相互作用
- 7 毒性
- 8 販売名
- 9 脚注
- 10 参考文献
適応症
適応症は、うつ病およびうつ状態[3]。
- 適応外使用として慢性掻痒に対して有効なことがある。[12]
- 神経伝達物質を阻害することにより、痒み刺激を遮断すると考えられている。
作用機序
- NaSSAのSSRIやSNRIとの決定的な違いは、神経伝達物質受容体に対する親和性の高さである。
- 既存のSSRIやSNRIは各神経伝達物質受容体に対しての親和性が低く、モノアミン再取り込みポンプの阻害によりその薬理作用を発現させていた。
- ミルタザピンは、シナプス前α2-自己受容体とヘテロ受容体に対してアンタゴニストとして作用し、ノルアドレナリンとセロトニン(5-HT)の神経伝達を増強する。また、5-HT2受容体と5-HT3受容体を遮断する作用があるため、抗うつ作用に関連する5-HT1A受容体のみを特異的に活性化することによって抗うつ効果を発揮する[8][10][11]。
- このため、ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSA:Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant) と呼ばれる[10]。ミルタザピンは、日本で初めてプラセボ対照比較試験においてプラセボに対する優越性を検証した抗うつ薬である[11]。
用法・用量
通常、初期用量は1日15mgとし、1日1回就寝前に経口投与。年齢、症状に応じ1日45mg以内で適宜増減が可能。増量は1週間以上の間隔をあけ1日用量として15mgずつ行う[3]。
副作用
5-HT2受容体と5-HT3受容体の遮断作用を持つため、SSRIと比較して嘔気・嘔吐、性機能障害等の副作用が少ない[13]。一方、H1受容体遮断作用が強いため鎮静系の副作用が目立つ。
主な副作用
- 日本での臨床試験における主な副作用は以下のとおり[14][15]。
- 傾眠:50.0%、口渇:20.6%、倦怠感:15.2%、便秘12.7%、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加12.4%
終了時
ミルタザピンとその他の抗うつ薬は終了時に離脱症状を起こす。[16][17][18] 離脱症状は多くの向精神薬に共通していることに注意すべきであるが、それはいくつかのベンゾジアゼピンよりは重篤ではない。[19] 離脱症状を最小化するために、徐々のゆっくりとした減薬が推奨される。[20] ミルタザピン治療の突然の中断の影響は、抑うつ・不安・パニック発作・めまい・落ち着きのなさ・短気・食欲減退・不眠・下痢・吐き気・嘔吐・アレルギーや掻痒などのインフルエンザ様症状・頭痛・時には軽躁病/躁病がある。[16][17][21][22][23]
性差
日本での臨床試験において、男女いずれかで5%以上かつ男女差が2倍以上発現した副作用事象を抽出したところ、要因は明確になっていないが、体重増加・食欲亢進、便秘について女性における発現率が高く、それ以外の事象については明らかな差異は認められなかった。
ミルタザピン長期投与群(n = 男性58 vs 女性51)で、体重増加の副作用発現は男性4(6.9%) vs 女性11(21.6%)、食欲亢進の副作用発現は男性0(0%) vs 女性4(7.8%)[24]。
重大な副作用
重大な副作用は以下のとおり(頻度不明)[25]。
禁忌
- ミルタザピンに対して過敏症の既往歴のある患者
- MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者[26]
相互作用
ミルタザピンのチトクロームP450の阻害能は最小限であり[27]、薬物相互作用は比較的少ないとされる。
併用禁忌
- MAO阻害剤(セレギリン塩酸塩):脳内のノルアドレナリン、セロトニンの神経伝達が高まる[28]。
併用注意
- CYP3A4阻害剤(HIVプロテアーゼ阻害剤、アゾール系抗真菌薬、エリスロマイシン等):ミルタザピンの血漿中濃度が増大する可能性がある。
- CYP3A4誘導剤(カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等):ミルタザピンの血漿中濃度が減少する可能性がある。
- シメチジン:CYP1A2、CYP2D6、CYP3A4 等への阻害作用によりミルタザピンの血漿中濃度が増大する可能性がある。
- 鎮静剤(ベンゾジアゼピン系薬剤等):相加的な鎮静作用が考えられる。
- 飲酒:相加的・相乗的な鎮静作用が考えられる[28]。
毒性
単回投与毒性
単回投与毒性試験[29]
動物種 |
投与経路 |
概略の致死量(mg/kg) |
マウス |
経口 |
雄500,雌550 |
ラット |
経口 |
雄400,雌281 |
反復投与毒性
反復投与毒性試験[29]
動物種 |
投与期間 |
投与経路 |
投与量(mg/kg/日) |
無毒性量(mg/kg/日) |
ラット |
13週 |
経口 |
10,40,120 |
40 |
ラット |
52週 |
経口 |
2.5,20,120 |
20 |
イヌ |
13週 |
経口 |
5,20,80 |
80 |
イヌ |
52週 |
経口 |
2.5,15,80 |
80 |
販売名
ミルタザピンは、日本においてリフレックス(Reflex、明治製菓)、レメロン(Remeron、シェリング・プラウ)の商標で販売されている[8]。国外では、レメロン、ミルタザピンなどの商品名が多い[30]。
脚注
- ^ a b c シェリング・プラウ、p3。
- ^ シェリング・プラウ、p58。
- ^ a b c シェリング・プラウ、p8。
- ^ シェリング・プラウ、p27。
- ^ Timmer,C.J.,et al.,"Clinical pharmacokinetics of mirtazapine",Clin Pharmacokinet,38,(6),pp461-474,2000.
- ^ シェリング・プラウ、p31。
- ^ シェリング・プラウ、p4。
- ^ a b c d 「抗うつ薬『ミルタザピン』シェリング・プラウ、明治製菓」薬事日報、2009年9月14日配信(2009年10月10日閲覧)。
- ^ リフレックス錠 医薬品インタビューフォーム独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器情報提供ホームページ
- ^ a b c 北村正樹「SSRI、SNRIに続く新規抗うつ薬『NaSSA』登場」日経メディカルオンライン、2009年7月27日配信、(2009年10月10日閲覧)、
北村正樹「リフレックス錠15mg、レメロンSSRI錠15mg:7月7日承認、9月7日発売:SNRIに続く新規抗うつ薬『NaSSA』」『日経ドラッグインフォメーション』、2009年10月号、114号、p11、ISSN 1347-491X。
- ^ a b c シェリング・プラウ、p1。
- ^ G Yoshipovitch, et al. Chronic Pruritus. N Engl J Med 2013; 368:1625-1634.
- ^ 野村健介、渡邊衡一郎「特集抗うつ薬:ミルタザピン」、『最新精神医学』第13巻第5号、2008年9月、 p.p.451-455、 ISSN 13424300。
- ^ シェリング・プラウ、p2。
- ^ シェリング・プラウ、p47-48。
- ^ a b Benazzi F (June 1998). “Mirtazapine withdrawal symptoms”. Canadian Journal of Psychiatry 43 (5): 525. PMID 9653542.
- ^ a b Berigan TR (June 2001). [http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=181176 “Mirtazapine-Associated Withdrawal Symptoms: A Case Report”]. Primary Care Companion to the Journal of Clinical Psychiatry 3 (3): 143. PMC 181176. PMID 15014614. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=181176.
- ^ Blier P (2001). “Pharmacology of rapid-onset antidepressant treatment strategies”. The Journal of Clinical Psychiatry 62 Suppl 15: 12?7. PMID 11444761.
- ^ van Broekhoven F, Kan CC, Zitman FG (June 2002). “Dependence potential of antidepressants compared to benzodiazepines”. Progress in Neuro-psychopharmacology & Biological Psychiatry 26 (5): 939?43. doi:10.1016/S0278-5846(02)00209-9. PMID 12369270. http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0278-5846(02)00209-9.
- ^ Vlaminck JJ, van Vliet IM, Zitman FG (March 2005). “[Withdrawal symptoms of antidepressants]” (Dutch; Flemish). Nederlands Tijdschrift Voor Geneeskunde 149 (13): 698?701. PMID 15819135.
- ^ Klesmer J, Sarcevic A, Fomari V (August 2000). “Panic attacks during discontinuation of mirtazepine”. Canadian Journal of Psychiatry 45 (6): 570?1. PMID 10986577.
- ^ MacCall C, Callender J (October 1999). “Mirtazapine withdrawal causing hypomania”. The British Journal of Psychiatry : the Journal of Mental Science 175: 390. doi:10.1192/bjp.175.4.390a. PMID 10789310.
- ^ Ali S, Milev R (May 2003). “Switch to mania upon discontinuation of antidepressants in patients with mood disorders: a review of the literature”. Canadian Journal of Psychiatry 48 (4): 258?64. PMID 12776393.
- ^ シェリング・プラウ、p50。
- ^ シェリング・プラウ、p44。
- ^ シェリング・プラウ、p32。
- ^ Stahl, Stephen M. (2000). Stahl's Essential Psychopharmacology Neuroscientific Basis and Practical Applications 3rd Edition. Cambridge University Press. ISBN 0521646154.
- ^ a b 明治製菓 『リフレックス錠15mg』 2009年9月作成(第3版)、明治製菓公式サイト(2009年10月13日閲覧)。
- ^ a b シェリング・プラウ、p56。
- ^ シェリング・プラウ、p61。
参考文献
- “シェリング・プラウ 『医薬品インタビューフォーム:レメロン錠15mg』 (PDF)”. シェリング・プラウ公式サイト (2009年9月作成改訂第2版). 2009年1月10日閲覧。。
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抗うつ薬 (N06A) |
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再取り込み阻害薬 |
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選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)
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フルオキセチン フルボキサミン パロキセチン セルトラリン
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セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (SNRIs)
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デュロキセチン ミルナシプラン ヴェンラファキシン
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|
ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 (NRIs)
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アトモキセチン
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ノルアドレナリン・ドパミン再取り込み阻害薬 (NDRIs)
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ブプロピオン
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受容体拮抗薬 / 再取り込み阻害薬 |
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セロトニン2受容体拮抗・再取り込み阻害薬 (SARIs)
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トラゾドン
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ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬 (NaSSAs)
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ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬 (NDDIs)
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アゴメラチン フリバンセリン
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三環系抗うつ薬 と 四環系抗うつ薬 (TCAs/TeCAs) |
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三環系: アミトリプチリン クロミプラミン イミプラミン ノルトリプチリン アモキサピン 四環系: マプロチリン ミアンセリン ミルタザピン セチプチリン
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アザピロン と 5-HT1A阻害薬 |
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アリピプラゾール タンドスピロン
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サプリメント (ビタミン, ミネラル, アミノ酸など) |
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アスコルビン酸 (Vitamin C) 魚油 葉酸 (Vitamin B9) L-5-HTP (Oxitriptan) レボドパ (Levodopa) L-Methionine フェニルアラニン トリプトファン チロシン マグネシウム メラトニン ナイアシン/Niacinamide (Vitamin B3) ω-3脂肪酸 ピリドキシン (Vitamin B6) S-アデノシルメチオニン 亜鉛
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 新しい抗うつ薬・制吐薬を活用する : リフレックス・レメロン (特集 活用しよう!緩和ケアの新しい薬剤)
- 新薬くろ〜ずあっぷ(110)レメロン錠15mg,リフレックス錠15mg
Related Links
- レメロン,リフレックスとは?ミルタザピンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- レメロンとは。効果、副作用、使用上の注意。脳の神経を刺激し、そのはたらきを活性化する物質(アドレナリン・セロトニン)の量を増やし、精神活動を活発にする作用をもつ薬です。おもに精神活動が低下した状態であるうつ病や ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レメロン錠15mg
組成
有効成分
添加物
- トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、黄色三二酸化鉄
禁忌
- 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者(【相互作用】の項参照)
効能または効果
- 抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。(「その他の注意」の項参照)
- 通常、成人にはミルタザピンとして1日15mgを初期用量とし、15〜30mgを1日1回就寝前に経口投与する。なお、年齢、症状に応じ1日45mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として15mgずつ行うこと。
- 本剤の投与量は必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に観察しながら投与すること。
慎重投与
- 肝機能障害のある患者[肝機能障害を悪化させるおそれがある。また、本剤のクリアランスが低下する可能性がある。(【薬物動態】の項参照)]
- 腎機能障害のある患者[本剤のクリアランスが低下する可能性がある。(【薬物動態】の項参照)]
- 自殺念慮又は自殺企図の既往のある患者、自殺念慮のある患者[自殺念慮、自殺企図があらわれることがある。]
- 躁うつ病患者[躁転、自殺企図があらわれることがある。]
- 脳の器質的障害又は統合失調症の素因のある患者[精神症状を増悪させることがある。]
- 衝動性が高い併存障害を有する患者[精神症状を増悪させることがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣発作を起こすことがある。]
- 心疾患(心筋梗塞、狭心症、伝導障害等)又は低血圧のある患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 緑内障又は眼内圧亢進のある患者[本剤はノルアドレナリン放出を促進するため、症状を悪化させるおそれがある。]
- 排尿困難のある患者[本剤はノルアドレナリン放出を促進するため、症状を悪化させるおそれがある。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 小児(「小児等への投与」の項参照)
重大な副作用
セロトニン症候群(頻度不明)
- 不安、焦燥、興奮、錯乱、発汗、下痢、発熱、高血圧、固縮、頻脈、ミオクローヌス、自律神経不安定等があらわれることがある。セロトニン作用薬との併用時に発現する可能性が高くなるため、特に注意すること(「相互作用」の項参照)。異常が認められた場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。
無顆粒球症、好中球減少症(頻度不明)
- 無顆粒球症、好中球減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、感染症の兆候がみられた場合など、必要に応じて血液検査を行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
痙攣(頻度不明)
- 痙攣があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(「慎重投与」の項参照)
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗うつ作用
- 隔離飼育されたマウスの攻撃行動を抑制した2)。
- ラットを用いたDRL72オペラント行動薬理試験において強化獲得率を上昇させた13)。
- 反復投与で嗅球摘出ラットの運動量亢進を抑制した14)。
- 反復投与でラットを用いた強制水泳試験における不動時間を短縮させた15)。
作用機序2、16)
- ミルタザピンは中枢のシナプス前α2アドレナリン自己受容体及びヘテロ受容体に対して拮抗作用を示し、中枢のセロトニン及びノルアドレナリンの両方の神経伝達を増強する。ミルタザピンは5-HT2及び5-HT3受容体を阻害するため、セロトニンの神経伝達増大により主に5-HT1受容体が活性化される。ミルタザピンのS(+)鏡像異性体はα2受容体と5-HT2受容体を主に阻害し、R(-)鏡像異性体は5-HT3受容体を主に阻害する。N-脱メチル代謝物はラット脳で唯一検出された代謝物で、α2受容体、5-HT2受容体及び5-HT3受容体への親和性はミルタザピンと同程度であった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ミルタザピン(JAN)
Mirtazapine(JAN)
化学名
- (14bRS)-1,2,3,4,10,14b-Hexahydro-2-methylpyrazino[2,1-a]pyrido[2,3-c][2]benzazepine
分子式
分子量
性状
- 白色〜乳白色の結晶又は粉末である。メタノール及びエタノールに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 抗精神病薬
商品
[★]
- 英
- benzodiazepine
- 関
- セロトニン受容体作動薬
特徴
睡眠薬
- 大脳辺縁系、視床下部の抑制に基づく抗不安作用、抗緊張作用によるものであり、自然の睡眠に近い。つまり睡眠パターンをさほど変えない。
抗不安薬
作用機序
副作用
睡眠薬
- トリアゾラム
- ミダゾラム:血漿半減期t1/2=1.9hr
- 作用時間の長い薬剤を使用した場合、翌日のふらつき、薬効の持ち越しを起こしやすい
- ジアゼパム:血漿半減期t1/2=43hr
離脱症候群
- ICU.780
- 長期連用後の中止により生じる。
- 症状:不安、興奮、失見当識、高血圧、頻脈、幻覚、痙攣
相互作用
ベンゾジアゼピン系誘導体
拮抗薬
ベンゾジアゼピン系薬の切り替え方法
- NaSSa:レメロン
- デジレル:抗うつ薬。HT2A blockerが強い。セトロニン債取り込みを阻害。抗ヒスタミン薬強くない。体重増加は軽度。ノルアドレナリン濃度は増加させない。
- ジプレキサ:抗セロトニン作用、抗ドパミン作用。
[★]
- 英
- mirtazapine
- 化
- [[]]
- 商
- レメロン Remeron、リフレックス
- 関
- 抗精神病薬、抗うつ薬
特徴
- ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬
- シナプス前部の自己受容体のα2受容体を阻害し、セロトニン・ノルアドレナリン放出を促進。立ち上がりが早く、胃腸症状や性機能障害が少ない。
適応
禁忌
- 1. 本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者
- 2. MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者
副作用
- うつ病・うつ状態の患者を対象とした国内臨床試験において、総症例330例中273例(82.7%)、914件に臨床検査値を含む副作用が報告された。その主なものは傾眠165例(50.0%)、口渇68例(20.6%)、倦怠感50例(15.2%)、便秘42例(12.7%)、アラニン・アミノトランスフェラーゼ増加41例(12.4%)であった(承認時)。
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179051F1037_1_08/1179051F1037_1_08?view=body
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1179051F1029_1_08/1179051F1029_1_08?view=body
[★]
- 英
- melon、Cucumis melo
- 関
- ウリ科、カンタループ、マクワウリ