カンレノ酸
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/13 10:15:57」(JST)
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カンレノ酸
|
IUPAC命名法による物質名 |
potassium 3-[(8R,9S,10R,13S,14S,17R)-
17-hydroxy-10,13-dimethyl-3-oxo-2,8,9,
11,12,14,15,16-octahydro-1H-cyclopenta[a]
phenanthren-17-yl]propanoate |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
? |
法的規制 |
? |
投与方法 |
経静脈投与(日本),Intravenous(US) |
薬物動態的データ |
代謝 |
肝臓代謝 |
排泄 |
Renal and fecal |
識別 |
CAS登録番号 |
2181-04-6 |
ATCコード |
C03DA02 |
PubChem |
CID 656614 |
ChemSpider |
570975 |
化学的データ |
化学式 |
C22H29KO4 |
分子量 |
369.516 g/mol |
SMILES
- [K+].[O-]C(=O)CC[C@]3(O)CC[C@H]2[C@@H]4/C=C\C1=C\C(=O)CC[C@@]1([C@H]4CC[C@@]23C)C
|
InChI
-
InChI=1S/C22H30O4.K/c1-20-9-5-15(23)13-14(20)3-4-16-17(20)6-10-21(2)18(16)7-11-22(21,26)12-8-19(24)25;/h3-4,13,16-18,26H,5-12H2,1-2H3,(H,24,25);/q;+1/p-1/t16-,17+,18+,20+,21+,22-;/m1./s1
Key:JTZQCHFUGHIPDF-RYVBEKKQSA-M
|
カンレノ酸(かんれの・さん, canrenoate)は、一般的にはカンレノ酸カリウム(Potassium canrenoate)として使用されている医薬品。かつてファルマシア社から製造・販売されていたが、現在はファイザー社から「ソルダクトン」として販売されている。
特徴
プロドラッグであり、投与されたのち体内で薬効を示すカンレノンとなる。カンレノンは他の抗アルドステロン受容体拮抗薬と同様に作用し、カリウム保持性利尿薬と分類される。
副作用
- 女性化乳房(鉱質コルチコイド抑制作用を持つため)
- 高カリウム血症
関連
外部リンク
- ソルダクトン添付文書 http://www.genome.ad.jp/kusuri/japic_med/show/00056354
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 4 術前カンレノ酸カリウムを投与され術中高カリウム血症をきたした2症例(第59回新潟麻酔懇話会 第38回新潟ショックと蘇生・集中治療研究会)
- 臨床で併用されるカンレノ酸カリウム(ソルダクトン^[○!R])の配合変化
- 小澤 和雄,阿部 誠治,根本 亜紀子,伊藤 葉子,佐藤 和恵,山元 俊憲,村山 純一郎
- 医療薬学 28(4), 331-338, 2002-08-10
- We examined the compatibility of a commercialized potassium canrenoate preparation (Soldactone^[○!R]) with 124 other kinds of currently prescribed injectable preparations as counter substances based u …
- NAID 110001166615
Related Links
- カンレノ酸カリウムとして、通常成人1回100〜200mgを1日1〜2回、日局ブドウ糖注射液、生理食塩液又は注射用水10〜20mLに溶解して、ゆっくりと静脈内注射する。なお、症状により適宜増減するが、1日投与量として600mgを超えないこと。
- ファイザー株式会社がご提供するエスタブリッシュ医薬品に関する情報ページです。医療関係者の方に ソルダクトン(一般名 カンレノ酸カリウム)がご提供する付加価値をご紹介します。
- 薬効 2133 抗アルドステロン製剤 一般名 カンレノ酸カリウム注射用 英名 Potassium canrenoate 剤形 注射用 薬価 148.00 規格 100mg1瓶 メーカー 沢井製薬 毒劇区分 (劇)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ベネクトミン静注用100mg
組成
有効成分(1管中)
添加物(1管中)
禁忌
- 無尿又は腎不全の患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。また、腎からのカリウム排泄が低下しているため、高カリウム血症を誘発又は増悪させるおそれがある]
- 腎機能の進行性悪化状態の患者[腎からのカリウム排泄が低下しているため、高カリウム血症を誘発又は増悪させるおそれがある]
- 高カリウム血症の患者[高カリウム血症を増悪させるおそれがある]
- エプレレノン又はタクロリムスを投与中の患者 (「相互作用」の項参照)
- アジソン病の患者[アジソン病ではアルドステロン分泌低下により、カリウム排泄障害を来しているので、高カリウム血症となるおそれがある]
- 本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
- てんかん等の痙攣性素因のある患者[動物試験で、痙攣誘発及び異常脳波が報告されている]
効能または効果
経口抗アルドステロン薬の服用困難な下記症状(高アルドステロン症によると考えられる)の改善
- 原発性アルドステロン症
心性浮腫(うっ血性心不全)、肝性浮腫
開心術および開腹術時における水分・電解質代謝異常
- 本剤の適用対象は、経口抗アルドステロン薬の服用が困難で、高アルドステロン症によると考えられる症状であり、投与に際しては、特に適応、症状を考慮し、他の治療法によって十分に治療効果が期待できない場合にのみ本剤の投与を考慮すること。
- カンレノ酸カリウムとして、通常成人1回100〜200mgを1日1〜2回、日局ブドウ糖注射液、生理食塩液または注射用水10〜20mLに溶解して、ゆっくりと静脈内注射する。
なお、症状により適宜増減するが、1日投与量として600mgをこえないこと。また、投与期間は原則として2週間をこえないこと。
- 〈注射液調製法〉
- 1. 1アンプルあたりベネクトミン静注用100mgは10mL、ベネクトミン静注用200mgは20mLの溶解液に溶解する。
- 2. はじめに溶解液2〜3mLで本剤を溶解し、これを残りの溶解液に混合希釈して調製する。
- 3. 溶解後は速やかに使用すること。(「適用上の注意」の項参照)
- 本剤は、経口抗アルドステロン薬の服用が可能になった場合及び所期の効果が認められない場合には速やかに投与を中止すること。なお、本剤の投与期間は、原則として2週間までとし、漫然と長期にわたって投与しないよう留意すること。
慎重投与
- 心疾患のある高齢者、重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある患者[急激な利尿があらわれた場合、急速な血漿量減少、血液濃縮を来し、血栓塞栓症を誘発するおそれがある]
- 肝機能障害のある患者[ショックがあらわれやすい。また、高カリウム血症が発現するおそれがある]
- 腎機能障害のある患者[高カリウム血症等の電解質異常を起こしやすい]
- 減塩療法時[水分・電解質が欠乏し、脱水症状や低ナトリウム血症等があらわれやすくなる]
重大な副作用
- ショック ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、悪心、悪寒・冷汗、発疹、呼吸困難、チアノーゼ、血圧低下等があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、輸液、副腎皮質ホルモン製剤、昇圧剤の投与等適切な処置を行うこと。
- 電解質異常(高カリウム血症、低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低クロール血症、高クロール血症等) 高カリウム血症、低ナトリウム血症、低クロール血症、高ナトリウム血症、高クロール血症等の電解質異常があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、減量又は休薬等の適切な処置を行うこと。
また、電解質異常に伴い、不整脈等があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- カンレノ酸カリウムは、カリウム保持性利尿薬である。プロドラッグであり、活性代謝物のカンレノンに変換された後、主として後部遠位尿細管と集合管においてアルドステロンと拮抗することにより作用を発現する。アルドステロンはNa+-K+交換系を活性化して、Na+の再吸収とK+の排泄を促進するが、カンレノ酸カリウムはこれに拮抗することにより、Na+排泄による利尿効果とK+排泄抑制作用を現す。1)
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- diuretic、diuretic drug
- 関
- 利尿、利尿薬
商品
[★]
[★]
- 英
- potassium canrenoate
- 関
- カンレノ酸カリウム
[★]
カンレノ酸カリウム
- 関
- potassium canrenoate
[★]
- 英
- potassium
- 同
- K+
- 関
- 高カリウム血症、低カリウム血症、腎 Kと酸塩基平衡の異常
- 植物の灰(pot-ash)が由来らしい
- アルカリ金属
- 原子番号:19
- 原子量:39.10
カリウム濃度を調節する要素
- PT.481-482
-
- 血中K+が細胞内、細胞内H+が細胞外へ移動→低カリウム血症、K排泄↑
- 血中H+が細胞内、細胞内K+が細胞外へ移動→高カリウム血症、K排泄↓
-
- レニン・アンジオテンシン系の亢進 or 細胞外K+濃度の上昇 のいずれかにより副腎皮質からアルドステロンが放出される
- Na/H交換体、Na-K-2Cl共輸送体、Na/K-ATPaseを活性化。
- β2受容体を介してKの取り込みを促進。Na-Kポンプの活性化による。
例外
- 水・電解質と酸塩基平衡 改訂第2版 p.153
- 水素イオンと共に投与される陰イオンが細胞内に移行しうる場合、電気的中性は保たれるのでカリウムイオンは細胞外に移動しない。
- (細胞内に移行する)乳酸イオン、酢酸イオン ⇔ (細胞内に移行しない)塩素イオン
基準値
- LAB
- 出典不明
尿細管での再吸収・分泌
- QB.E-128
- 再吸収 :近位尿細管、ヘンレループ
- 分泌・吸収:集合管(QB.E-128)、遠位尿細管(QB.E-130)、皮質集合管の主細胞(参考1)
調節するファクター
- 1. アルドステロン
- 2. 集合管に到達するナトリウムイオン:集合管では能動的にナトリウムが再吸収されるが、電気的中性を保つために受動的にカリウムが管腔側に移動する。(参考1)
臨床関連
-
- 尿中カリウム < 20mEq/L:腎外性喪失
- 尿中カリウム > 40mEq/L:腎性喪失
参考1
- 1. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [1]
[★]
- 英
- canrenoate
- 化
- カンレノン酸カリウム, potassium canrenoate、canrenoate potassium
- 同
- ソルダクトン、ベネクトミン
- 関
- 利尿薬
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義