- 英
- colonic diverticulosis
- 同
- 結腸憩室症
- 関
- 憩室炎、大腸憩室
概念
疫学
- 日本では3/4が右側結腸に生じる。40歳以上の中高年に発生。日本では男性に多くみられる (YN.A-61)。欧米では左側に多い(60-90%)が、日本では右側に多い(70%)(NSU. 548)。
- 若年社では右側に多く(90%以上)、加齢と共に左側が増加する(NSU. 548)。
病型
- 右側型:憩室が盲腸~上行結腸にあるもの
- 左側型:憩室が下行結腸からS状結腸にあるもの
- 両側型:右側型+左側型
リスクファクター
病態
- 結腸の過剰な分節運動により慢性的な腸管内圧の上昇を来たす。
- 結腸壁には結腸動脈から分岐した直動脈の分枝が分布している。
- 腸管壁に直動脈が貫通する部位は物理的に脆弱であり、腸管内圧の上昇で粘膜が脱出することで仮性憩室が形成され、これが憩室となる。
症状
- (腸管運動異常に関連した症状)腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、便秘、下痢
合併症
治療
- 憩室の存在自体は治療の対象とならない。
- 憩室により症状がある場合に治療対象となりうる。
保存療法
- (腸管壁の運動異常に伴う症状)繊維分の多い食事摂取、下剤
手術療法
- 腸管穿孔
- あらゆる止血術に反応しない腸管出血
- 悪性疾患が否定できない場合
参考
- http://www.coloproctology.gr.jp/topics/2009/02/12/post-19.php
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 何が正解? 消化器治療 EBMで検証(76)大腸憩室症の腹部症状に有効な治療法は?
- 手術症例報告 後腹膜膿瘍化した上行結腸巨大憩室症の1例
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- 大腸憩室症. 1.大腸憩室とは. 憩室とは腸管の内壁の一部が外側に向かって袋状に とびだしたものです。内視鏡でみるとくぼみのようになっています。憩室の数はさまざまで 、頻度は年齢とともに増加しますが、大腸検査を行うと10人に1人くらいの頻度で ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 62歳の男性。血便を主訴に来院した。
- 現病歴:本日夕食後に多量の暗赤色の便が出現し、ふらつきを自覚したため救急外来を受診した。特に腹痛や下痢を自覚していない。
- 既往歴:30年前から高血圧症と糖尿病で内服治療中。10年前から心房細動に対してワルファリンを処方されている。最近、処方薬の増量や変更はない。
- 生活歴:妻と2人暮らし。喫煙は50歳まで 20本/日を20年間。飲酒はビール 350mL/日。
- 家族歴:父親が脳梗塞。母親が大腸癌。
- 現症:意識は清明。身長 169cm、体重 70kg。体温 36.7℃。脈拍 88/分、不整。血圧 114/78mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 96%(room air)。眼瞼結膜は貧血様だが、眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音はやや亢進している。直腸指診で暗赤色の便の付着を認める。四肢に軽度の冷汗を認める。
- 検査所見:血液所見:赤血球 299万、Hb 9.7g/dL、Ht 32%、白血球 12,000、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.5g/dL、アルブミン 3.6g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 28U/L、ALT 22U/L、LD 277U/L(基準 176~353)、γ-GTP 41U/L(基準 8~50)、アミラーゼ 80U/L(基準 37~160)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 1.1mg/dL、尿酸 6.7mg/dL、血糖 128mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 100mEq/L。CRP 1.9mg/dL。 腹部単純CT(別冊 No.10A)及び腹部造影CT(別冊No.10B、C)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C063]←[国試_113]→[113C065]
[★]
- 60歳の女性。昼食後に下腹部痛があり来院した。意識は清明。体温36.7℃。脈拍68/分、整。血圧120/64mmHg。顔貌は苦悶様。腹部は平坦で、腸雑音はやや亢進している。右下腹部に圧痛があるが腹膜刺激症状はない。血液所見:赤血球/105万、Hb13.8g/dl、Ht35%、白血球10,00、血小板17万。血清生化学所見:総蛋白6.3g/dl、アルブミン3.2g/dl、AST32単位、ALT27単位、LDH430単位(基準176~353)、アルカリホスファターゼ240単位(基準260以下)。CRP3.5mg/dl。腹部造影CTを以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A030]←[国試_099]→[099A032]
[★]
- 68歳の男性。今朝突然、腹痛と下血とをきたしたため来院した。身長165cm、体重59kg。呼吸数24/分。脈拍76/分、整。血圧132/90mmHg。腹部は平坦、軟で、左下腹部に圧痛を認める。血液所見:赤血球385万、Hb12.2g/dl、Ht35%、白血球9,900、血小板26万。CRP2.2mg/dl。大腸内視鏡写真を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G025]←[国試_099]→[099G027]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105C007]←[国試_105]→[105C009]
[★]
- 英
- diverticular bleeding, diverticular hemorrhage
- 同
- 憩室性出血、出血性憩室
- 関
- 憩室症、大腸憩室症、大腸憩室、結腸憩室症、結腸憩室
[show details]
原因
- 結腸憩室症の合併症として生じうる。右側型に多い。
- 憩室周囲の血管の破綻。 (消化器疾患ビジュアルブック p.131)
症状
- 憩室出血では下血がみられるが、腹痛は伴わないとされる(QB.A-229)
検査
- 造影CT:活動性出血がある場合には腸管内への造影剤漏出が認められる ← ダイナミック造影CTをとるといいらしいよ。
[★]
- 英
- diverticulitis
- 関
- 大腸憩室症、大腸憩室
- ICD10
- K57.3
- 穿孔又は膿瘍を伴わない大腸の憩室性疾患
部位による分類
- 盲腸憩室炎
- 回盲部憩室炎
- 上行結腸憩室炎
- 横行結腸憩室炎
- 下行結腸憩室炎
- S状結腸憩室炎
- 直腸憩室炎
症状
国試
[★]
- 英
- colonic diverticula, colic diverticulum
- 関
- 大腸憩室 大腸憩室症、憩室
[★]
- 英
- diverticulum of the colon (SSUR)
- 関
- 結腸憩室、憩室
概念
- 大腸壁の脆弱な部分が腸管内圧の上昇により壁外に袋状に突出した状態。 → 多発している場合大腸憩室症 (消化器疾患ビジュアルブック p.131)
原因
- 低残渣食などによる過剰な分節異常により慢性的な腸管内圧の異常を来し、これにより結腸壁の脆弱な直動脈貫通部の筋層を貫いて粘膜が脱出して形成される(後天性の仮性憩室)。(SSUR.531)
疫学
- アジアでは右側結腸に多く、また若年にみられる。S状結腸に好発するのは欧米人や老人。(SSUR.531)
症状
- 多くは無症状 (SSUR.531)
- 腹痛、腹部不快感、膨満感、便秘・下痢
合併症
- 憩室炎、膿瘍、穿孔、腹膜炎、狭窄、瘻孔形成、消化管出血(憩室出血)
- 約80%は無症状で経過するが、20%の例で症状を呈する。有症状例の2/3が憩室炎、1/3が憩室出血。有症状例の30%が再発性。 (消化器疾患ビジュアルブック p.132)
診断
- 下部消化管内視鏡検査:出血部位の同定、癌・ポリープ等の合併病変の有無の確認
- 腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRI:膿瘍などの評価
- 腹部血管造影、出血シンチグラフィ:大量出血。出血部位の同定
鑑別診断
- アジアでみられる右側結腸の大腸憩室では、虫垂炎が鑑別となる。(SSUR.531)
治療
- SSUR.531
- 症状がない場合は治療対象とならない。
- (腸管運動異常)繊維食、下剤
- (憩室炎)鎮痛薬、鎮痙薬、抗菌薬
- (憩室出血)内視鏡的止血、動脈塞栓術
- (膿瘍)絶食、抗菌薬、CT下穿刺ドレナージ
- 手術療法:腸管穿孔による腹膜炎、保存的治療に反応しない多量出血
参考
- 1. [charged] 結腸憩室症の疫学および病態生理 - uptodate [1]
- 2. [charged] 結腸憩室症の臨床症状および診断 - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- large intestine (Z)
- ラ
- intestinum crassum
小腸と比べたときの大腸の特徴 (M.149)
- 結腸ヒモという縦走筋繊維からなる3本の太い帯を有する
- 結腸膨起という結腸ヒモの間の膨らみを有する
- 腹膜垂という脂肪の塊を含む
- 内径は小腸よりも大きい
大腸を構成する部位
- 盲腸
- 結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)
- 直腸
- (虫垂)
生理
1)膨起性往復運動 haustralshuttling movement
2)(単一)膨起性移送運動 segmentalhaustralpropulsion
3)多膨起性移送運動 multihaustralpropulsion
1) 2)により内容物のゆっくりした移動(5cm/hr)
→ 48hrで上行結腸よりS状結腸へ
4)総蠕動mass movement(mass peristalsis,maSS PrePulsion)
1-3回/日、強い蠕動→結腸内容物が直腸へ移動(→排便誘発)
5)収縮回数:直腸 > S状結腸 のため内容物はS状結腸へ移動
(通常は、直腸に内容物(-))
6)胃大腸反射 gastro-colonic reflex
小腸大腸反射 ileo-colonic reflex:胃、小腸に内容物-→結腸に総蠕動(+)
*排便
1)解剖
①内肛門括約筋internalanal
②外肛門括約筋externalanal
sphincter---平滑筋
sphincter山-一横紋筋
2)排便のメカニズム
i)総蠕動一糞便直腸へ
ii)直腸内圧〉20Ⅷ舶g ⇒ 直腸壁伸展⇒ 仙髄排便中枢(S2-4)
⇒ ①高位中枢(便奇形成)
②排便反射defecation reflex
内肛門筋弛緩
外肛門筋収縮(一過性)
直腸蠕動運動(⇒内圧をさらに高める)
iii) 内圧45-55mmHg以上
内容物200ml以上
便意による排便動作 外肛門筋弛緩
腹筋、横隔膜収縮
[★]
- 英
- diverticulum
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- diverticulosis
- 関
- 憩室