- 英
- dasatinib
- 商
- スプリセル
効能又は効果
- 1. イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病
- 2. 再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4291020F1027_1_03/4291020F1027_1_03?view=body
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Japanese Journal
- 慢性骨髄性白血病と分子標的治療 (特集 身近になる血液疾患の治療--専門医から実地医家へ)
- ダサチニブによる胸水に対し柴陥湯が奏効したフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の1例
- 福田 知顕,津田 篤太郎,早崎 知幸,及川 哲郎,花輪 壽彦
- 日本東洋醫學雜誌 = Japanese journal of oriental medicine 62(5), 664-668, 2011-09-20
- NAID 10029482008
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- 白血病に対する分子標的薬としてはイマチニブ(グリベック)が良好な治療成績をあげて おり、第1次治療に使用されています。2009年1月に承認されたダサチニブ(スプリセル) も白血病に対する分子標的薬として、第2次治療での効果が期待されています。
- スプリセルとは?ダサチニブの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる( おくすり110番:薬事典版)
- スプリセル(一般名ダサチニブ)は、そういった人たちの第2次治療で効果が期待され ています。また、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病の治療にも使われ ます。この分子標的薬の登場によって、白血病治療は新たなページを開くことになります 。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
スプリセル錠20mg
組成
- スプリセル錠20mgは1錠中,ダサチニブ20mg(ダサチニブ水和物として20.7mg)を含有する。
なお,添加剤として,乳糖水和物,結晶セルロース,クロスカルメロースナトリウム,ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸マグネシウム,ヒプロメロース,酸化チタン,ポリエチレングリコール400を含有する。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
効能または効果
- 慢性骨髄性白血病
- 再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
- 染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用すること。
- 【臨床成績】の項の内容を熟知し,本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で,適応患者の選択を行うこと。
- イマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病患者に本剤を使用する際には,イマチニブに効果不十分又は忍容性のない患者を選択すること。
- イマチニブに忍容性のない患者に本剤を使用する際には,慎重に経過観察を行い,副作用発現に注意すること(「慎重投与」の項参照)。
慢性骨髄性白血病
慢性期
- 通常,成人にはダサチニブとして1日1回100mgを経口投与する。
なお,患者の状態により適宜増減するが,1日1回140mgまで増量できる。
移行期又は急性期
- 通常,成人にはダサチニブとして1回70mgを1日2回経口投与する。
なお,患者の状態により適宜増減するが,1回90mgを1日2回まで増量できる。
再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病
- 通常,成人にはダサチニブとして1回70mgを1日2回経口投与する。なお,患者の状態により適宜増減するが,1回90mgを1日2回まで増量できる。
- 本剤の用法・用量は,【臨床成績】の項の内容を熟知した上で,患者の状態や化学療法歴に応じて選択すること。
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用について,有効性及び安全性は確立していない。
- 副作用により,本剤を休薬,減量又は中止する場合には,副作用の症状,重症度等に応じて以下の基準を考慮すること。
血液系の副作用と投与量調節の基準
疾患及び病期:慢性期慢性骨髄性白血病(CML)
(初回用量1日1回100mg)
- 好中球数/血小板数:好中球数<1,000/mm3又は血小板数<50,000/mm3
投与量調節:(1)好中球数1,000/mm3以上及び血小板数50,000/mm3以上に回復するまで休薬する。
(2)1日1回100mgで治療を再開する。
(3)血小板数が25,000/mm3を下回るか,再び好中球数が7日間を超えて1,000/mm3を下回った場合は,(1)へ戻り,2回目の発現時は1日1回80mgで治療を再開する。3回目の発現時は,初発の慢性期CML患者では1日1回50mgで治療を再開し,イマチニブに効果不十分又は忍容性のない慢性期CML患者では投与を中止する。
疾患及び病期:移行期CML,急性期CML又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)
(初回用量1回70mgを1日2回)
- 好中球数/血小板数:注1)好中球数<500/mm3又は血小板数<10,000/mm3
投与量調節:(1)血球減少が白血病に関連しているかを確認(骨髄穿刺又は生検)する。
(2)白血病に関連しない場合は,好中球数1,000/mm3以上及び血小板数20,000/mm3以上に回復するまで休薬する。
(3)1回70mgを1日2回で治療を再開する。
(4)再度発現した場合には,(1)へ戻り,2回目の発現時は1回50mgを1日2回,3回目の発現時は1回40mgを1日2回で治療を再開する。
(5)白血病に関連する場合は,1回90mgを1日2回までの増量を考慮する。
- 注1:原則として,患者の全身状態に十分注意し,少なくとも投与開始(第1日)から第14日までは治療を継続した後の検査値
非血液系の副作用と投与量調節の基準
疾患及び病期:慢性期慢性骨髄性白血病(CML)
(初回用量1日1回100mg)
- 副作用の重症度:グレード3又は4
投与量調節:(1)グレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。
(2)1日1回80mgで治療を再開する。
(3)再び同じ副作用(グレード3又は4)が発現した場合には,初発の慢性期CML患者では(1)へ戻り,1日1回50mgで治療を再開し,イマチニブに効果不十分又は忍容性のない慢性期CML患者では原則として投与を中止する。
疾患及び病期:移行期CML,急性期CML又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)
(初回用量1回70mgを1日2回)
- 副作用の重症度:グレード3又は4
投与量調節:(1)グレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。
(2)1回50mgを1日2回で治療を再開する。
(3)再び同じ副作用(グレード3又は4)が発現した場合には,原則として投与を中止する。
- グレードはNCI-CTCに準じる。
- 患者の安全性と忍容性を考慮して下記に該当する場合は,【用法及び用量】に従って,慢性期慢性骨髄性白血病では1回140mgまで,移行期慢性骨髄性白血病,急性期慢性骨髄性白血病又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病では1回90mgまで増量することができる。
- 病状が進行した場合
- 少なくとも1ヵ月以上投与しても,十分な血液学的効果がみられない場合
慎重投与
- イマチニブに忍容性のない慢性骨髄性白血病患者[同様の副作用が起こるおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
- 間質性肺疾患の既往歴のある患者[間質性肺疾患を増悪させるおそれがある。]
- 肝障害のある患者[本剤は主に肝臓で代謝されるため,肝障害のある患者では高い血中濃度が持続するおそれがある(「薬物動態」の項参照)。]
- QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者[QT間隔延長が起こるおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
- 血小板機能を抑制する薬剤あるいは抗凝固剤を投与中の患者[出血傾向を増強するおそれがある(「重要な基本的注意」の項参照)。]
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
- 心疾患の既往歴又は危険因子を有する患者[心臓の副作用(急性心不全,うっ血性心不全,心筋症,拡張機能障害,駆出率低下,左室機能不全及び致死的な心筋梗塞等)が発現するおそれがある。]
重大な副作用
骨髄抑制:
- 汎血球減少(0.9%),白血球減少(21.5%),好中球減少(34.3%),血小板減少(34.0%),貧血(16.4%)があらわれることがあるので定期的に血液検査(血球数算定,白血球分画等)を実施するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量又は休薬し,適切な処置を行うこと。
出血(脳出血・硬膜下出血,消化管出血):
- 脳出血・硬膜下出血(0.8%注1)),消化管出血(3.3%)があらわれることがあるので,定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量又は投与を中止し,適切な処置を行うこと。
体液貯留(胸水,肺水腫,心嚢液貯留,腹水,全身性浮腫等):
- 胸水(17.3%),肺水腫(0.6%),心嚢液貯留(3.0%),腹水(0.3%),全身性浮腫(3.5%注1))等があらわれることがある。呼吸困難,乾性咳嗽等の胸水を示唆する症状が認められた場合には胸部X線の検査を実施すること。重篤な胸水は,必要に応じて胸腔穿刺,酸素吸入を行うこと。本剤投与中は患者の状態を十分に観察し,体液貯留が認められた場合には,利尿剤又は短期間の副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な支持療法を行うこと。
感染症:
- 肺炎(1.8%),敗血症(0.3%)等の感染症があらわれることがあるので,定期的に血液検査を実施し,観察を十分に行い,異常が認められた場合には減量又は投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性肺疾患:
- 間質性肺疾患(0.9%)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発熱,咳嗽,呼吸困難及び胸部X線検査異常等が認められた場合には投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
腫瘍崩壊症候群:
- 腫瘍崩壊症候群(0.9%)があらわれることがあるので,血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど,患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止し,適切な処置(生理食塩液,高尿酸血症治療剤等の投与,透析等)を行うとともに,症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
心電図QT延長:
- 心電図QT延長(2.7%)があらわれることがあるので,適切な心電図モニタリングを行い,QT間隔延長が認められた場合には減量又は休薬とともに電解質異常(低カリウム血症,低マグネシウム血症等)の補正を行うこと。
心不全,心筋梗塞:
- 心不全(0.6%),心筋梗塞(0.2%注1))があらわれることがあるので,適宜心機能検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬又は投与を中止し,適切な処置を行うこと。
急性腎不全:
- 急性腎不全(0.3%)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,減量,休薬又は投与を中止し,適切な処置を行うこと。
*肺動脈性肺高血圧症:
- 肺動脈性肺高血圧症(頻度不明)があらわれることがあり,本剤を長期にわたり投与した際に発現した例も報告されている。観察を十分に行い,呼吸困難,胸痛等の症状があらわれた場合には投与を中止するとともに,他の病因(胸水,肺水腫等)との鑑別診断を実施した上で,適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序16)
- ダサチニブは特定の蛋白チロシンキナーゼのキナーゼドメインにあるATP結合部位においてATPと競合する。BCR-ABLのみならずSRCファミリーキナーゼ(SRC,LCK,YES,FYN),c-KIT,EPH(エフリン)A2受容体及びPDGF(血小板由来増殖因子)β受容体を阻害する(IC50=0.2〜28nM)。
抗腫瘍作用
In vitro試験16),17):
- ダサチニブは,慢性骨髄性白血病及び急性リンパ性白血病の両細胞型を含む4種のヒトBCR-ABL依存性白血病細胞に対し細胞障害作用又は増殖阻害作用を示した(IC50≦1nM)。
- ダサチニブは,BCR-ABLの過剰発現,BCR-ABLキナーゼドメインの変異,SRCファミリーキナーゼ(FYN,LYN,HCK)を含む代替情報伝達経路の活性化及び多剤耐性遺伝子の過剰発現がその要因である非臨床及び臨床由来の広範なイマチニブ耐性慢性骨髄性白血病細胞株に対しても増殖阻害活性を示した。
In vivo試験18):
- ダサチニブ(5〜50mg/kg)は,イマチニブ感受性及び耐性のヒト慢性骨髄性白血病細胞を皮下移植した重症複合免疫不全症(SCID)マウスにおいて,治癒あるいは腫瘍増殖遅延作用を示した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- ダサチニブ水和物(Dasatinib Hydrate)
化学名:
- N-(2-Chloro-6-methylphenyl)-2-({6-[4-(2-hydroxyethyl)piperazin-1-yl]-2-methylpyrimidin-4-yl}amino)-1,3-thiazole-5-carboxamide monohydrate
分子式:
分子量:
- 488.01(無水物)
506.02(一水和物)
- ダサチニブ水和物は白色〜微黄白色の粉末である。
ジメチルスルホキシド又はN,N-ジメチルアセトアミドに溶けやすく,エタノール(99.5)に溶けにくく,水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
- 英
- chronic myeloid leukemia chronic myelogenous leukemia chronic myelocytic leukemia CML
- 関
- 白血病、染色体異常
- 血液・造血器 081030I
- first aid step1 2006 p.294,303,304,309,310,
概念
- 造血幹細胞に遺伝子的な変異が生じ、正常な分化能を保持したまま腫瘍性に増殖し、特に顆粒球系の血球の増殖をきたす。
- 白血球は著増、血小板は増加するが、赤血球は正常もしくは減少する。
- 慢性に経過するが、急性転化(blastic crisis)により急性白血病と同様の病態をとりうる。
検査
- 赤血球:→or↓
- 白血球:↑↑↑
- 血小板:↑ → 急性転化例では↓
- 好中球アルカリホスファターゼ:低値
- NAPスコア:低下 → 急性転化例では↑
- 血清ビタミンB12、LDH、尿酸、リゾチーム:高値 → 白血球の破壊による
- 白血病裂孔:なし → 分化能は保たれているため
- 染色体:Ph染色体の出現
- → 急性転化例では複数のPh染色体、環状Ph1、形態異常をきたしたPh染色体の出現がみられる(QB.G247)。頻度:複数のPh染色体の出現>トリソミー>17番同腕染色体>19トリソミー?(+19) (WCH.2243)。染色体の変化は血液学的な変化に数ヶ月先だって起こるが、必ずしもblast crisisに繋がるわけではない(WCH.2243)。急性転化例の2/3では骨髄性、1/3でリンパ性にtransformationする。後者の場合、MPO染色陰性、PAS染色陽性、B細胞表面抗原の発現(多くの場合CD10,CD19を発現し,sIgは欠く)、TdT発現(抗体の遺伝子再構成における多様性付与に関与)。(WCH.2243)
治療
- イマチニブが第一選択となる。適応があれば同種幹細胞移植。
治療に用いる薬物・治療法
- イマチニブ
- 自己幹細胞移植:?
- 同種幹細胞移植
- 白血球除去(leukapheresis)・脾摘
- インターフェロンα:イマチニブが登場する前は、同種幹細胞移植ができない症例において治療の選択肢の一つであった。
- ヒドロキシウレア:。インターフェロンと併用して使われる。代謝拮抗薬。DNA合成を阻害する。骨髄抑制、二次発癌は稀。
- シタラビン:Ara-CTPとなり、DNA合成過程のシチジン二リン酸(CDP)還元酵素やDNAポリメラーゼを阻害
慢性期
- 参考2
移行期
- 参考2
急性期
- 参考2
- 1. myeloid crisisに対してはAML、lymphoid crisisに対してはALLに対する寛解導入療法に準じた化学療法を行う。
- 2. 同種幹細胞移植
国試
参考
- http://www.gan-pro.com/professional/cancer/child-leukemia/chronic-myelogenous-leukemia.html
[★]
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