出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/09/04 09:16:13」(JST)
この項目では、身体の一部の脚について記述しています。漢字の構成要素については「脚 (漢字)」をご覧ください。 |
脚(あし)は、人や動物の体を支える部分である。脚という言葉は言語用途によって意味が異なり、一般に生物学に限らず体部下位に付属し支えるものを指して脚と呼び、それを機軸として慣用句として様々な意味合いを持つ言葉に発展してきた。
脚はそれを所有する生物によって構成要素や構造が様々であり、彼らはその機能に見合った生活をしている。また、脚そのものにも様々な適応的な形態が見て取れる。人という地上に生息する脊椎動物に限らず、脊椎動物以外の高等動物も含めて脚は対で備わっており、ムカデなどを除き、発生学的に偶数になっている場合がほとんどである。
形態学的に脚は体部に付属し、移動に際し使われる股関節辺りから末梢端接地部までの肢全体を指して呼んでおり(leg)、脚と指す時は足(foot)を含めた意味であることが一般的になっている。脊椎動物の脚には指に相当するものが末端部に付属しており、体を支えるという機能以外に様々な行動を補助するものとなっている。偶蹄目や奇蹄目などの陸上動物の脚は歩行に特化しており、付属器官である指と爪が蹄等になっており、その形は人のそれとは大きく異なっている。
一般的な生物の脚には、様々な付属器官がある。指や爪、あるいは様々な毛の束があり、それなりの機能を果たしている。中には生殖器、外分泌器等を備えるものもあり、外敵に対抗し身を守る手段としても脚を利用している動物が多い。その一方、ヘビのように脚を痕跡程度にまで退化させた動物群や、完全に脚を失い、新たに吸盤を形成したヒル類のような動物群もある。
脚の各部位の名称としては脚末梢端には足が付属し、接地部足底から上に向かい、足、足首、脛(スネ)、膝(ヒザ)、腿(タイ)までを含み脚と呼んでいる。便宜上、日本語で同じ音を持つ「足」という漢字を当て、踝以下接地部を指して区別のために使い分けて呼ぶ。脚と同じ部位を指して腿(タイ)という表記を用いることもあり、腿と言う字自身は太ももや脹脛(フクラハギ)を指すが、上腿(ジョウタイ)と書いて下肢の膝から上を指し、下腿(カタイ)と書いて下肢の膝から先を指す。また、大腿(ダイタイ)と書いてモモを指し、小腿(ショウタイ)と書いて脹脛を指す。
一般的に脚は身体全体の重さを直接的に引き受ける部位であり、全身中最も太い骨と、瞬発力と持久力を兼ね備えた筋力を備える。脚の筋肉は骨格筋によって構成され、大きく大腿筋、下腿筋、足筋に分けられ、それらと骨を繋ぐ腱とで脚の動きを調節している(人間の筋肉の一覧下肢の筋を参照)。
なお、人の前脚は腕や手と呼ばれ区別される。通常は歩行には用いられず、地面に着かない。日常生活において腕で体重を支えることはないため、腕の筋力は脚のそれには及ばない。イヌの「お手」など、他の生物の類似箇所を指して概念的に同様の呼び方をする場合があるが、生物によってその構成は大きく変化しており、前脚を腕と一概に呼ぶ事はできない。
脚は時として第二の心臓とも呼ばれ、立位時重力に従って下方向へ体液が流動することに因って引き起こされる体液停滞むくみを、脚の血管周辺の筋肉の運動によって上部へ押し返し再び循環系に戻す事を行っている。押し返す行いは脚を使った運動、歩行や走行などにより促進されるため、運動は全身の血の巡りを良くする効果が望める。 脚は体全体を支え日常的に頻繁に使われる部位であるため、体の中でもっとも頑丈にできている反面、筋力の消費するエネルギーが大きく、使用しない時の退化が激しい。そのため最も太く丈夫とされる大腿骨を折ってしまうと修復に時間がかかり、老人の場合そのまま寝たきり生活になってしまい、補助器具を使わずに立ち上がることができなくなってしまうことが多い。そのため日頃から昇降運動などで膝周辺の筋力を鍛えておく事は老後の健康にも有益である。 加えて言うなら腿部の消費エネルギーが大きいために運動効率もよく、糖尿病罹患者、高脂血症や高血圧の運動治療を行う人のみならずダイエットを志す人にも、脚を動かし鍛えることは広く推薦できる。
人の脚の形状として内反膝(英語版)、外反膝(英語版)などがあり、それぞれ一般的にはO脚(おーきゃく)、X脚(えっくすきゃく)と呼ばれている。病的なものや遺伝の要素は少なく癖とも言える個人差の範囲だが、矯正し修正することもできる。内反膝や外反膝は脚のアンバランスな使用であるため将来変形性膝関節症等の膝の病気を引き起こす原因にもなり、気になるようなら専門家に相談することを勧める。
また乳幼児期に見られるそれらの多くは一過性のものであり、継続するようならビタミンDの摂取不足や日照時間が短い事から起こるくる病に罹っている場合がある。また同様の症状が大人になって突如起こることがあり、その場合は体位バランスの崩れもあるが、なんらかの原因で骨軟化症を引き起こしていることが多い。矯正中や骨軟化症罹患時に胡坐や正座などは悪化させることがあるため、椅子中心の生活に変えた方が良いときがある。日本人には内反膝が、特に女性に多いとされる。
また脚には手と同様に利きがあり、反対側よりも筋力、長さ等が発達していることが多く、左右の不均等が全身の歪みを引き起こすとも言われている。この脚の利きの違いが山中での遭難の原因リングワンダリングを引き起こすと言われている。また下半身骨格の歪みが利き足同様の症状を引き起こす事があるが、その場合は脚のみの利きよりも症状がハッキリと出る。
脚に何らか症状を引き起こす病気としては運動に伴う疾病が多い。
人は脚の保護を基幹として衛生、外見の装飾等の目的として人は外衣を備える。 日本古来では袴、着物のような上下一貫の一枚布等を着衣していた。 今日ではズボン、スラックス、パンツ、ショーツ(パンティー)、スパッツ、スカート、アンダーパンツ、股引(モモヒキ)、猿股、脚半、タイツ、ストッキング等をそれ自身の締め付けや、ベルト・腰紐のような補助道具を用い着衣する。 ※ 足(接地部)にのみ備えるものは除外している。
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名称 |
陰部大腿神経大腿枝 |
外側大腿皮神経 |
大腿神経前皮枝 |
閉鎖神経皮枝 |
伏在神経 |
浅腓骨神経 |
深腓骨神経 |
上殿皮神経 |
中殿皮神経 |
下殿皮神経 |
後大腿皮枝の枝 |
後大腿皮神経の終末枝 |
内側腓腹皮神経 |
外側腓腹皮神経 |
腓腹神経 |
外側足背皮神経 |
臓器 | 栄養血管 | 機能血管 | ||
動脈 | 静脈 | 動脈 | 静脈 | |
食道 | ||||
胃 | ||||
小腸 | 上腸間膜動脈 | 上腸間膜静脈→門脈 | ||
大腸 | 上・下腸間膜動脈 | 上・下腸間膜静脈→門脈 | ||
肝臓 | 固有肝動脈 | 肝静脈→下大静脈 | ||
胆嚢 | 胆嚢動脈 | 胆嚢静脈 | ||
膵臓 | ||||
気管 | ||||
肺 | 気管支動脈 | 気管支静脈 | 肺静脈 | 肺動脈幹→肺動脈 |
腎臓 | ||||
尿管 | ||||
膀胱 | ||||
脾臓 | 脾動脈 | 脾静脈 | ||
精巣 | 精巣動脈 | 蔓状静脈叢 | ||
卵巣 | 卵巣動脈 | 蔓状静脈叢→卵巣静脈 |
消化器 | 虫垂炎、腸炎、憩室炎、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎、ヘルニア嵌頓(内鼠径/外鼠径、閉鎖孔、大腿)、過敏性腸症候群、S状結腸捻転、腸結核 |
婦人科 | 子宮外妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、骨盤内炎症性疾患、子宮内膜症 |
泌尿器 | 尿管結石、膀胱炎、精巣捻転 |
経過 | 婦人科 | 産科 | 消化器/泌尿器/内分泌など |
急性 | 骨盤腹膜炎 | 流産 | 腹部大動脈瘤破裂 |
付属器炎 | 早産 | 急性虫垂炎 | |
子宮内膜炎 | 異所性妊娠 | 小腸閉塞 | |
卵巣茎捻転 | 常位胎盤早期剥離 | 汎発性腹膜炎 | |
卵巣出血 | 子宮破裂 | イレウス | |
卵巣腫瘍 | 消化管穿孔 | ||
子宮留膿症の破裂 | S状結腸軸捻転症 | ||
排卵痛 | ヘルニア | ||
月経モリミナ | 尿管結石 | ||
卵巣過剰刺激症候群 | 腎結石 | ||
大腸憩室炎 | |||
急性胃腸炎 | |||
虚血性腸炎 | |||
糖尿病性ケトアシドーシス | |||
慢性 | 月経困難症 | Crohn病 | |
子宮腺筋症 | 潰瘍性大腸炎 | ||
子宮内膜症 | 過敏性腸症候群 | ||
子宮筋腫 | 便秘症 |
3)急性腹症,がん性疼痛への対応 - 日産婦誌58巻9号
筋名 | 起始 | 停止 | 支配神経 | 機能 |
大腰筋 | T12(椎体) L1-L5(椎体、横突起) | 大腿骨(小転子) | 腰神経叢 | 股関節の屈曲(わずかに外旋) 脊柱の屈曲 |
腸骨筋 | 腸骨(腸骨窩) | 大腿骨(小転子) | 腰神経叢 大腿神経 | 股関節の屈曲(わずかに外旋) 脊柱の屈曲 |
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
腰神経叢>:腰神経叢
[★] 膝蓋腱反射 quadriceps femoris reflex
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