- 英
- inferior colliculus, inferior colliculi
- ラ
- colliculus inferior
機能
(-医学大事典-)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/26 21:58:44」(JST)
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脳: 上丘 |
下丘の中脳レベルでの水平断
脳幹部からみた下丘。黄色に着色された部位が下丘
|
名称 |
日本語 |
上丘 |
英語 |
inferior colliculus |
ラテン語 |
Colliculus inferior |
略号 |
IC |
関連構造 |
上位構造 |
中脳蓋 |
構成要素 |
中心核、外側皮質、背側皮質 |
関連情報 |
NeuroLex |
birnlex_806 |
MeSH |
Inferior+Colliculus |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
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下丘(inferior colliculus,IC)は、中脳に位置する一対の構造である。下丘は、脳幹からの聴覚入力が全て入力する部位であるとともに、聴覚野や内側膝状体からの下行性入力も受ける聴覚系における重要な脳部位である[1]。また、聴覚系以外の体性感覚や眼球位置などの多様なモダリティの情報を受け取ることが知られており、様々な情報が収斂する情報統合の場として考えられている[2]。
解剖学的構造
下丘は、上丘の直下に存在し、腹側部には中脳中心灰白質が存在する。上丘と下丘は合わせて、四丘体(corpora quadrigemina)と呼ばれる。 下丘は、三つの細胞構築や入出力構造の異なる部位に分けられ、それぞれ中心核(CIC)、外側皮質(ECIC)、背側皮質(DCIC)と呼ばれる。これらの下位領域の内、中心核には全ての聴覚情報が入力するとされている。 脳幹からの聴覚情報は、蝸牛神経核を起点とする。蝸牛神経核からの投射線維である聴条の多くは、橋被蓋を横走した後外側毛帯という神経線維束を形成することで交叉性に下丘へと投射している。また、蝸牛神経核からの投射線維には、橋に存在する上オリーブ核を経由して、その後下丘へと投射するものも存在する[1][3]。 下丘への入力は他にも聴覚野、扁桃体基底核、黒質、青斑核、腹側被蓋野、上丘深層、三叉神経核、脚橋被蓋核、背外側被蓋核からの入力が存在し、聴覚野からの下行性入力は主に背側皮質が、その他の部位からのマルチモーダルな入力は主に外側皮質が受け取っているとされている[2] 下丘からは、上位の聴覚経路である内側膝状体へと投射を行っている。下丘からの投射線維は下丘腕(The branchium of the inferior colliculus)と呼ばれる[4]。
機能
周波数符号化
下丘は下位脳幹からの聴覚入力を元に周波数符号化を行っている。下丘において音の高低の情報は、下丘ニューロンの位置として符号化されている。すなわち、下丘の背外側部には低い周波数の聴覚入力に対して応答を示すニューロンが存在し、腹内側にかけて応答を示す周波数が高くなり最も腹内側部のニューロンが最も高い周波数の聴覚入力に対して応答を示す。このような周波数情報を空間的情報へと変換する機構は聴覚野や蝸牛神経核においても見られる普遍的特徴でありトノトピー(周波数局在)と呼ばれる[5]。
音源定位
下丘は音がどこで発生したものであるのかを決定する音源定位において統合的な役割を果たしている。 下丘の外側皮質においては、内側上オリーブ核、外側上オリーブ核、背側蝸牛神経核で抽出された両耳時間差両耳強度差頭部伝達関数に基づくスペクトル変化の3つの音源定位に関わる情報が収斂する[6] [7]。 そのために下丘においては、音源位置が神経情報化されていると考えられており、実際にメンフクロウの下丘では特定方向からの音にのみ選択的に応答する神経細胞が存在し、聴覚空間地図を形成していると報告されている[8]。
参考文献
- ^ a b Winer JA and Schreiner CE (2005). The Inferior colliculus. Springer.
- ^ a b Gruters KG and Groh JM (2012). “Sounds and beyond: multisensory and other non-auditory signals in the inferior colliculus”. Front Neural Circuits 6: 96. doi:10.3389/fncir.2012.00096. PMC 3518932. PMID 23248584. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=3518932.
- ^ Oliver DL (2000). “Ascending efferent projections of the superior olivary complex”. Microsc. Res. Tech. 51 (4): 355?63. doi:10.1002/1097-0029(20001115)51:4<355::AID-JEMT5>3.0.CO;2-J. PMID 11071719.
- ^ Neuroanatomy 5th edition, Nolte. Mosby 2002.
- ^ Jones EG (2003). “Chemically defined parallel pathways in the monkey auditory system”. Ann. N. Y. Acad. Sci. 999: 218?33. PMID 14681146.
- ^ Grothe B, Pecka M (2014). “The natural history of sound localization in mammals--a story of neuronal inhibition”. Front Neural Circuits 8: 116. doi:10.3389/fncir.2014.00116. PMC 4181121. PMID 25324726. http://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?tool=pmcentrez&artid=4181121.
- ^ 。 Grothe B, Pecka M, McAlpine D (2010). “Mechanisms of sound localization in mammals”. Physiol. Rev. 90 (3): 983?1012. doi:10.1152/physrev.00026.2009. PMID 20664077.
- ^ Knudsen EI, Konishi M (1978). “A neural map of auditory space in the owl”. Science 200 (4343): 795?7. PMID 644324.
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 覚醒ネコ第一次聴覚野における持続性細胞の音圧レベル感受性を模擬する機能モデル
- 合田 哲也,小澤 賢司,木下 雄一朗,佐藤 悠,地本 宗平
- 日本音響学会誌 67(9), 395-401, 2011-09-01
- … その機能モデルは,聴覚神経経路の各段の細胞モデルを連結したものであり,末梢系の内有毛細胞,聴神経,そして,中枢系の蝸牛神経核腹側核,下丘,内側膝状体,A1の6段から構成される。 …
- NAID 110008711469
- 23088 繊維補強セメント複合材料梁の繰返し載荷の実験的研究(梁(4),構造IV)
- 栗田 晃成,宮下 丘
- 学術講演梗概集. C-2, 構造IV, 鉄筋コンクリート構造, プレストレストコンクリート構造, 壁構造・組積構造 2009, 197-198, 2009-07-20
- NAID 110007979721
Related Links
- 構造 下丘は中脳蓋にある四丘体とよばれる二対の隆起のうちの尾側の一対に相当する。吻側の一対は上丘と呼ばれ,ヒトでは眼球運動に関わる。下丘は細胞構築および機能的に,中心核(central nucleus, CIC)と背側皮質(dorsal ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
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- ラ
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- 関
- 体表解剖学、臨床解剖学、神経解剖学、比較解剖学
系統解剖
運動
骨
部位ごとの分類
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部位別
上肢
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下肢の皮神経
脳幹の神経解剖
血管
臓器に分布する血管
各体部位に分布する血管
- 頚部
[★]
- 英
- cerebellum
発生
解剖
-
血管
機能概要
- 運動のタイミング決定と一つの運動から次の運動への急速な切り替え
機能
- ①運動開始に関与
- ②運動学習に関与
- ③多関節にわたる運動に関与
- ④フィードバックモード、フィードフォワードモードに関与
-
- 熟練した運動で、早く動かさないとき
- 素早い運動を行うとき。学習を行うとき
入力経路
障害 (KAPLAN USMLE STEP 1 QBOOK p.54)
障害
-
- 体幹失調=姿勢の制御不良
- 失調性歩行
- 注視方向への眼振(注意方向性眼振=注視眼振)
- Tomberg兆候(-)(両側をそろえて開眼して立つ、その後閉眼しても倒れない)
- 体幹筋失調による歩行障害(体幹歩行失調, 失調性歩行)
- 四肢の運動失調(協調運動障害)
- ①推尺障害
- ②変換運動障害
- ③運動解離
- ④共同運動不能
- ⑤失調性構音障害
臨床関連
[★]
- 英
- midbrain
- ラ
- mesencephalon
- 関
- 脳, 一次脳胞
解剖
- 中心管は、細い中脳水道となっている
- 中脳は3つの領域に分けられる。
- 中脳水道より背側にある領域は中脳蓋
- 腹外側に突出した部分は大脳脚
- 両者の間の領域が中脳被蓋である
発生
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
中脳とは(医学大事典)
臨床関連
神経内科
[★]
- 英
- auditory brain-stem response auditory brainstem response ABR
- 同
- 脳幹聴性誘発反応 brainstem auditory evoked response BAER、脳幹誘発反応 brainstem evoked response BSER、脳幹電気反応聴力検査 brainstem electric response audiometry BERA、聴覚脳幹誘発電位 brainstem auditory evoked potential BAEP
- 関
適応
- 他覚的聴力検査:乳幼児、詐聴が疑われる患者
- 疾患の検査:聴神経腫瘍、脳幹障害
- 意識レベルの確認:脳死判定時の脳幹機能の評価
- 術中モニター:脳幹や第7、第8脳神経付近の手術に際して、手術操作による聴力障害の発生を防ぐ
解釈
- NCUR.173
参考
- http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/nou/ABR.htm
国試
failpicload@./t_image/099I004.jpg
[★]
- 英
- superior colliculus (B)
- ラ
- colliculus superior
- 関
- 視蓋、下丘
解剖
- 中脳蓋の上の隆起。視覚に関与し、脳幹下部や脊髄、視床枕にも遠心性線維を送る (B.21)
- 上丘は上丘腕を介して、視床枕および外側膝状体と連絡 (医学大事典)
機能
- 視覚性反射の中枢
- 対光反射
- 調節反射・輻輳反射
- 見ている物が近づいたときにレンズを厚くしてピントを合わせる調節反射、それと同時に視線を内側に寄せる輻輳反射に関わる。
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- nucleus of inferior colliculus, nucleus of the inferior colliculus
- ラ
- nucleus colliculi inferioris
- 関
- 下丘
[★]
- 英
- central nucleus of inferior colliculus, ICc, ICC
- 関
- 下丘、中心核
[★]
- 英
- commissure of inferior colliculus
- 関
- 下丘、交連
[★]
- 英
- ()
- 英
- brachium of inferior colliculus