- 英
- cranial nerve, cranial nerves
- ラ
- nervi craniales
- 関
- 脊髄神経、脳
脳幹における脳神経核の所在
- 脳幹障害時には同側の脳神経麻痺(下位運動ニューロン障害)と、対側の体幹運動神経麻痺(上位運動ニューロン障害)
脳神経核の支配
- 対側大脳皮質の片側性支配:CN VII(下部顔面筋), CN VII(舌の筋) → 中枢性障害(上位ニューロンの障害)で支配筋の障害が生じる
- 両側性支配:上記以外の運動性神経 → 中枢性障害(上位ニューロンの障害)でも支配筋の障害は生じない
脳神経一覧
CN#
|
一般感覚性
|
臓性感覚性
|
特殊感覚性
|
体性運動性
|
臓性運動性
|
鰓弓運動性
|
神経細胞(中枢神経外)
|
神経細胞(中脳)
|
神経細胞(橋)
|
神経細胞(延髄)
|
神経細胞(脊髄)
|
○-< 節後ニューロン
|
頭蓋からの出口
|
分布と機能
|
CN I
|
嗅神経
|
|
|
○
|
|
|
|
嗅上皮
|
|
|
|
|
|
篩骨の篩板の穴
|
左右の鼻腔の天井、鼻中隔の上部、上鼻甲介の粘膜からの嗅覚
|
CN II
|
視神経
|
|
|
○
|
|
|
|
網膜
|
|
|
|
|
|
視神経板
|
|
CN III
|
動眼神経
|
|
|
|
○
|
|
|
|
○
|
|
|
|
|
上眼窩裂
|
支配筋:上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋
|
|
|
|
|
○
|
|
|
○
|
|
|
|
毛様体神経節
|
上眼窩裂
|
副交感神経:瞳孔収縮筋、毛様体筋
|
CN IV
|
滑車神経
|
|
|
|
○
|
|
|
|
○
|
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|
|
|
上眼窩裂
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支配筋:上斜筋
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CN V
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|
三叉神経
|
|
|
|
|
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|
|
|
|
|
|
|
|
|
V1
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眼神経
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○
|
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|
|
|
|
三叉神経節
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|
|
|
|
上眼窩裂
|
角膜、前頭部、頭皮、眼瞼、鼻の皮膚、鼻腔と副鼻腔の粘膜からの感覚
|
V2
|
上顎神経
|
○
|
|
|
|
|
|
三叉神経節
|
|
|
|
|
|
正円孔
|
上唇を含む上顎部の顔の皮膚、上顎の歯、鼻粘膜、上顎洞、口蓋の感覚
|
V3
|
下顎神経
|
○
|
|
|
|
|
|
三叉神経節
|
|
|
|
|
|
卵円孔
|
下唇を含む下顎と顔の外側部の皮膚、下顎の歯、顎関節、口の粘膜、舌の2/3の感覚
|
|
|
|
|
|
○
|
|
|
○
|
|
|
|
支配筋:咀嚼筋、顎舌骨筋、顎二腹筋の前腹、口蓋帆張筋、膨膜張筋
|
CN VI
|
外転神経
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|
|
|
○
|
|
|
|
|
|
|
|
|
上眼窩裂
|
支配筋:外側直筋
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CN VII
|
顔面神経
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○
|
|
|
|
|
|
膝神経節
|
|
|
|
|
|
内耳道、顔神経管、茎乳突孔
|
外耳道の皮膚の感覚
|
|
|
○
|
|
|
|
膝神経節
|
|
|
|
|
|
舌の2/3,口腔底、口蓋の味覚
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
○
|
|
|
翼口神経節、顎下神経節
|
副交感神経:顎下腺、舌下腺、涙腺、鼻と口蓋の腺
|
|
|
|
|
|
○
|
|
|
○
|
|
|
|
支配筋:顔の表情筋、中耳のアブミ骨、茎突舌骨筋、顎二腹筋の後腹
|
CN VIII
|
内耳神経
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
前庭神経
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○
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|
|
|
前庭神経節
|
|
|
|
|
|
内耳道
|
半規管、球形嚢、卵形嚢からの前庭感覚
|
蝸牛神経
|
|
|
○
|
|
|
|
ラセン神経節
|
|
|
|
|
|
ラセン器からの聴覚
|
CN IX
|
舌咽神経
|
○
|
|
|
|
|
|
脳神経IXの下神経節
|
|
|
|
|
|
頚静脈孔
|
外耳からの皮膚感覚
|
|
○
|
|
|
|
|
脳神経IXの上神経節
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|
|
|
|
|
耳下腺、頸動脈小体、頸動脈洞、咽頭、中耳からの臓性感覚
|
|
|
○
|
|
|
|
脳神経IXの下神経節
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|
|
|
|
|
舌の後ろ1/3からの味覚
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
|
○
|
|
耳神経節
|
副交感神経:耳下腺
|
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
○
|
|
|
支配筋:茎突咽頭筋(嚥下を助ける)
|
CN X
|
迷走神経
|
○
|
|
|
|
|
|
脳神経Xの上神経節
|
|
|
|
|
|
頚静脈孔
|
耳介、外耳道、後頭蓋窩からの感覚
|
|
○
|
|
|
|
|
脳神経Xの上神経節
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|
|
|
|
|
舌底、咽頭、喉頭、器官、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚
|
|
|
○
|
|
|
|
脳神経Xの下神経節
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|
|
|
|
|
喉頭蓋と口蓋の味覚
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
|
○
|
|
内臓近傍のニューロン
|
副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓)
|
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
○
|
|
|
支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋
|
CN XI
|
副神経
|
|
|
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|
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|
|
|
延髄根
|
|
|
|
○
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|
|
|
|
|
○
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|
|
頚静脈孔
|
支配筋:軟口蓋、咽頭の横紋筋、喉頭(いずれも脳神経Xに加わる神経を経由)
|
脊髄根
|
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
|
○
|
|
支配筋:胸鎖乳突筋と僧帽筋
|
CN XII
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舌下神経
|
|
|
|
○
|
|
|
|
|
|
○
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|
|
舌下神経管
|
支配筋:舌筋(口蓋舌筋を除く)
|
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/12/02 19:34:39」(JST)
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|
この項目では、脳から直接出ている神経について説明しています。脳と神経をあわせて脳神経と呼ぶ場合については「神経系」をご覧ください。 |
脳: 脳神経 |
Ⅰ嗅神経
Ⅲ動眼神経
Ⅳ滑車神経
Ⅵ外転神経
Ⅷ内耳神経
Ⅻ舌下神経
XI副神経
Ⅱ視神経
Ⅴ三叉神経
Ⅶ顔面神経
Ⅸ舌咽神経
Ⅹ迷走神経
脳を下から見た図。
脳神経の起始の位置と支配対象
|
名称 |
日本語 |
脳神経 |
英語 |
Cranial nerves |
ラテン語 |
nervus cranialis (plural: nervi craniales) |
関連情報 |
NeuroNames |
関連情報一覧 |
NIF |
総合検索 |
MeSH |
Nerves Cranial Nerves |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
テンプレートを表示 |
脳神経 |
第I脳神経 – 嗅神経 |
第II脳神経 – 視神経 |
第III脳神経 – 動眼神経 |
第IV脳神経 – 滑車神経 |
第V脳神経 – 三叉神経 |
第VI脳神経 – 外転神経 |
第VII脳神経 – 顔面神経 |
第VIII脳神経 – 内耳神経 |
第IX脳神経 – 舌咽神経 |
第X脳神経 – 迷走神経 |
第XI脳神経 – 副神経 |
第XII脳神経 – 舌下神経 |
表・話・編・歴 |
脳神経(のうしんけい、cranial nerves)とは、脊椎動物の神経系に属する器官で、脳から直接出ている末梢神経の総称。これに対し、脊髄から出ている末梢神経のことを脊髄神経と呼ぶ。
ヒトなどの哺乳類や、その他爬虫類、鳥類などの脳神経は、主なものだけで左右12対存在し、それぞれには固有の名称が付けられている。また、この名前とは別に、神経が脳と接続されている部位(脳から出る部位)によって、頭側から尾側の順になるように付けられた番号でも呼ばれる。脳神経の番号はローマ数字で表すことが多い。
目次
- 1 脳神経一覧
- 2 脳神経障害関連疾患
- 3 関連項目
- 4 外部リンク
脳神経一覧
脳神経一覧
番号による名称 |
固有の名称 |
主な働き |
第I脳神経 |
嗅神経 |
嗅覚 |
第II脳神経 |
視神経 |
視覚 |
第III脳神経 |
動眼神経 |
眼瞼・眼球運動、縮瞳 |
第IV脳神経 |
滑車神経 |
眼球運動(上斜筋) |
第V脳神経 |
三叉神経 |
顔面・鼻・口・歯の知覚、咀嚼運動 |
第VI脳神経 |
外転神経 |
眼球運動(外直筋) |
第VII脳神経 |
顔面神経 |
表情筋の運動、舌前2/3の味覚、アブミ骨筋支配、涙腺や唾液腺の分泌 |
第VIII脳神経 |
内耳神経 |
聴覚、平衡覚 |
第IX脳神経 |
舌咽神経 |
舌後1/3の知覚・味覚、唾液腺の分泌 |
第X脳神経 |
迷走神経 |
のどの知覚・運動、頚胸腹部の臓器を支配 |
第XI脳神経 |
副神経 |
肩や首の筋肉の運動(僧帽筋、胸鎖乳突筋) |
第XII脳神経 |
舌下神経 |
舌の運動 |
- 脳神経は第I~第XII神経まで存在し、第Ⅲ脳神経〜第Ⅻ脳神経までは脳幹部から発生しているが発生元の脳の部位が異なる。第III、第Ⅳ脳神経は中脳、第V~第VIII脳神経は橋、第IX~第XII脳神経は延髄から、それぞれ発生している。
- 嗅神経と視神経は厳密には中枢神経の延長であるが、歴史的に末梢神経に含めて考えられている。
- この12対が、脳から出る神経のすべてというわけではない。終神経、鋤鼻神経など、上記の12対に含まれない脳神経も存在する。人間では退化しているが動物ではよく発達しており、フェロモンを感じ取る役目があるといわれている。
- 魚類、両生類の脳神経は10対であるとされる。
脳神経の覚え方として使われる語呂合わせにこのようなものがある。
- 「嗅いで見る動く車の三の外、顔耳のどに迷う副舌」
- 「臭い指導者、三べん、外回し顔面! 内回し舌咽! 迷! 副! 舌!」(空手風)
- 「急止した動く車が三転し、顔耳のど切り冥福した」
- "On Old Olympus Towering Top A Famous Vocal German Viewed A Hop."
- "Oh, Oh, Oh, To Touch And Feel A Girl's Vagina - Ah, Heaven!"
- "Some Say Marry Money, But My Brother Says Big Boobs Matter More!"(S:感覚、M:運動、B:両方)
脳神経障害関連疾患
- 第I脳神経
- 嗅神経は障害されると嗅覚障害を生じる。例えば転落や後頭部打撲などによる外傷や、髄膜炎などの炎症性疾患、嗅神経溝髄膜腫などの脳腫瘍が原因となることが多い。
- 第II脳神経
- 視神経は障害されると視覚異常が生じる。
- 両側の神経が完全に傷害されると全盲になる。しかし、部分的障害によっても多様な視覚障害が生じる。原因疾患としては視交叉を圧迫する下垂体腺腫や脳血管障害が多い。その場合障害部位にもよるが、両耳側性半盲(視交叉の外側からの圧迫による)、同名半盲(視放線の障害による)などが生じる。
- 第III脳神経
- 動眼神経の麻痺により対光反射、輻輳反射の消失が生じる。また外側直筋、上斜筋以外の眼筋麻痺による複視もよく起きる。原因疾患としては脳動脈瘤(特に内頸動脈―後交通動脈分岐部、脳底動脈―上小脳動脈分岐部に生じたもの)、脳腫瘍、脳梗塞、糖尿病が多い。
- 第V脳神経
- 三叉神経の麻痺により顔面の知覚が消失する。また、咬筋の麻痺が起こる。
- 第VI脳神経
- 外転神経麻痺は動眼神経と同調して起こることもあるが、動眼神経や滑車神経に比べて走行する距離が長いため、外転神経単独の麻痺は頻度が高い。動眼神経と同様眼球運動に障害が生じる。ただしこの場合、支配筋である外直筋の麻痺により文字通り眼球外転運動に障害が生じ、障害側の眼球は内転位をとることが多い。
- 第VII脳神経
- 顔面神経の麻痺はその支配域の筋に影響するので、顔面の表情に影響する。また顔面神経の支配域は舌にも及んでいるので、味覚にも障害が出る。原因疾患としては最も頻度の高いのがベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)と脳血管障害(中枢性顔面神経麻痺)である。聴神経腫瘍摘出手術の際に障害される例もある。
- 第VIII脳神経
- 内耳神経の障害は前庭神経の場合平衡感覚の消失、蝸牛神経の場合は内耳神経(聴神経)の文字通り聴覚に障害が生じる。
- 第IX脳神経
- 味覚障害が生じる。ただし、顔面神経が舌の前部2/3に分布しているのに対し、舌咽神経が舌後部1/3に分布しているので、舌の全ての味覚が障害されるわけではない(※詳しくは、専門書を参考にされたし)。
- 第X脳神経
- 迷走神経は、中枢、末梢ともに広範囲に渡って分布する。したがって、迷走神経の障害は、傷害される部位によって問題となる状態も異なってくる。内臓に走行する内臓枝がなんらかの傷害された場合、消化管の蠕動運動に障害が生じることがある。また、中枢に近い場所で障害されると、嚥下困難、嘔吐反射障害が生じることがある。これを球麻痺と呼ぶ。
- 第XII脳神経
- 舌下神経は迷走神経に同じく、嚥下反射、嘔吐反射に関与している。したがって、舌下神経傷害はこれらに相当するいずれの反射にも障害が生じる。
- なお、延髄が生命維持活動に最低限必要な構造であるといわれる所以は、延髄起始とするこれらの神経が、以上のようにいずれも呼吸、制吐、嘔吐、循環に関与しているからである、と考えられる。
関連項目
- 脳神経科
- 解剖学(口腔解剖学) / 神経解剖学
- ヒトの神経の名称一覧
外部リンク
|
ウィキメディア・コモンズには、脳神経に関連するメディアがあります。 |
- 脳神経のホームページ - 慶應医学部 船戸和弥
- 脳神経 - 脳科学辞典
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 脳神経科学のメタ倫理学的含意 : 道徳判断と動機づけとの関係について
- 画像誘導下脳神経外科手術のためのマーカーレス画像重畳システムの開発
- 浅野 武夫/鈴木 孝司/村垣 善浩/伊関 洋
- 東京女子医科大学雑誌 82(1), 16-22, 2012-02-25
- … 脳神経外科手術では術野画像に仮想3次元モデルを重畳表示する手術支援が行われている.術野画像と仮想3次元モデルの位置合わせには一般的には光学式・磁気式・機械式等の3次元位置計測装置が使用されるが、高価であり、マーカーが陰に隠れ認識できなくなることや外乱ノイズによる計測精度の低下などの問題があった.本研究ではマーカーなしの画像重畳を実現すべく、術野画像と仮想3次元モデルの手動位置合わせ …
- NAID 110008802810
- 脳神経領域における経カテーテル治療(脳血管内治療)の現状と展望
- 吉川 雄一郎,佐々木 富男,平野 真弓,平野 勝也,Kikkawa Yuichiro,Sasaki Tomio,Hirano Mayumi,Hirano Katsuya,キッカワ ユウイチロウ,ササキ トミオ,ヒラノ マユミ,ヒラノ カツヤ
- 福岡医学雑誌 102, 325-332, 2011-12-25
- 脳血管攣縮は,くも膜下出血発症後4日目から14 日目頃にかけて遅発性に生じる脳動脈の可逆的狭窄である.脳血管攣縮は,血管造影上約70%の患者に認められ,脳虚血症状の出現頻度は20?30%と言われている.血管攣縮は,重篤な神経障害や死をもたらす場合があり,急性期を脱したくも膜下出血患者の機能予後および生命予後を決定する重要な合併症といえる.脳血管攣縮は,くも膜下出血発症後一定の時期を経て,遅発性に生 …
- NAID 120003678722
Related Links
- ヒトなどの哺乳類や、その他爬虫類、鳥類などの脳神経は、主なものだけで左右12対 存在し、それぞれには固有の名称が付けられている。また、この名前とは別に、神経が 脳と接続されている部位(脳から出る部位)によって、頭側から尾側の順になるように 付け ...
- 会員向けのページ。学会開催案内、専門医認定試験の公開。
- PC操作や携帯メール、家事育児で、現代人は常にうつむき姿勢で首を酷使しがち。 松井孝嘉博士が発見した生活習慣病「首こり病(頚性神経筋症候群)」。頭痛、めまい、 吐き気、自律神経失調症、慢性疲労、うつ、ムチウチなど不定愁訴を首こり治療で治し ます。
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 写真(別冊No.2)を別に示す。
- 障害されている脳神経はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E024]←[国試_104]→[104E026]
[★]
- amyotrophic
- 英
- amyotrophic lateral sclerosis, ALS
- 同
- シャルコー病 Charcot disease、ゲーリック病、Gehrig病 Gehrig's disease、ルー・ゲーリック病 Lou Gehrig病 Lou Gehrig's disease
- 関
- 運動ニューロン疾患
まとめ
- 上位運動ニューロンと下位ニューロンが障害される運動ニューロン疾患の一つである。多くが孤発性であるが、5-10%に家族性の発症が見られ、発症年齢は20歳と若いが、進行は緩徐である。通常は、40歳以降の発症、特に50歳代が多い。下位ニューロンの障害が先行する。一側上肢遠位の筋萎縮で始まり対側上肢、両下肢に筋萎縮が進行し、球麻痺の出現、呼吸筋萎縮に至る。下位ニューロンの障害により、舌の線維束性攣縮、四肢筋の脱力、萎縮、線維性攣縮(これらは上肢優位、遠位筋優位)、また腱反射消失が見られる。また、上位ニューロンの障害により構音障害、嚥下障害、舌運動障害が認められ、下顎反射亢進が認められる。四肢では痙縮が下肢優位にまた、腱反射の亢進と病的反射が認められる。自律神経、感覚神経、脳の高次機能は障害されないため、他覚的感覚障害、眼球運動障害、膀胱・直腸障害、小脳徴候、錐体外路徴候、認知症、褥瘡は認められない。根治療法はなく、リルゾールでの延命治療、対症療法として、嚥下障害に対して経管栄養、呼吸障害に対して人工呼吸器を用いる。(BET.440)
概念
- 軸索変性をきたす神経変性疾患
- 誘発筋電図上ではM波の振幅の減衰が見られる
- 上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが侵される。四肢、呼吸筋が侵される。ついには球麻痺をきたす。
- 自律神経、感覚神経、脳の高次機能は障害されない → (筋萎縮性側索硬化症の陰性症状) (1) 他覚的感覚障害、(2) 眼球運動障害、(3) 膀胱・直腸障害、(4) 小脳徴候、(5) 錐体外路徴候、(6) 認知症、(7) 褥瘡
疫学
- 有病率:4-6人/10万人
- 男女比=1.3:1 (YN.J-130)
- 発症年齢:中年以降。40歳以降でみられ、多くは50歳以降
- 日本では紀伊半島、米国ではグアムで多く見られる。
病因
病理
- Lwey body-like hyaline inclusions, Hirano bodies, ブニナ体, slein-like inclusions
症状
検査
- 軸索変性を来すので、神経伝導速度の低下は顕著ではない → 筋電図で神経原性変化を見る!!
鑑別診断
- 変形性頚椎症:知覚障害が出現するので鑑別されるが、症状が神経所見がはっきり分からず、診断に難渋することがある、らしい。
- 球麻痺・呼吸筋麻痺を呈する疾患
国試
[★]
- 英
- anatomy
- ラ
- anatomia
- 関
- 体表解剖学、臨床解剖学、神経解剖学、比較解剖学
系統解剖
運動
骨
部位ごとの分類
関節ごとの分類
神経
部位別
上肢
体幹
下肢
下肢の皮神経
脳幹の神経解剖
血管
臓器に分布する血管
各体部位に分布する血管
- 頚部
[★]
- 英
- vagus nerve (KL,N,M), vagal nerve (B)
- ラ
- nervus vagus
- 同
- 第10脳神経 第X脳神経 第十脳神経 cranial nerve X CNX CN X, the tenth cranial nerve tenth cranial nerve
- 関
- 脳神経
一般感覚性
|
臓性感覚性
|
特殊感覚性
|
体性運動性
|
臓性運動性
|
鰓弓運動性
|
神経細胞(中枢神経外)
|
神経細胞(中脳)
|
神経細胞(橋)
|
神経細胞(延髄)
|
神経細胞(脊髄)
|
○-< 節後ニューロン
|
頭蓋からの出口
|
分布と機能
|
○
|
|
|
|
|
|
脳神経Xの上神経節
|
|
|
|
|
|
頚静脈孔
|
耳介、外耳道、後頭蓋窩からの感覚
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|
○
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|
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脳神経Xの上神経節
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|
|
|
舌底、咽頭、喉頭、器官、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚
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|
|
○
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脳神経Xの下神経節
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|
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|
|
|
喉頭蓋と口蓋の味覚
|
|
|
|
|
○
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|
|
|
|
○
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|
内臓近傍のニューロン
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副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓)
|
|
|
|
|
|
○
|
|
|
|
○
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|
|
支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋
|
由来
支配
- 臓性感覚性
- 舌底、咽頭、喉頭、気管、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚
- 特殊感覚性
- 臓性運動性
- 副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓)(M)
- 鰓弓運動性
- 嚥下・発声・構音に関与 (KL.654)
- 支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋 (M)
走行
- 頭部
- 後頭蓋窩から頚静脈孔を通って頭蓋腔の外に出る(KL.321)
- 頚部
- 咽頭の左右両側で内頚動脈・総頚動脈の後外側に沿って(頚動脈鞘に包まれている)真っ直ぐに下行し、鎖骨下動脈の前を走って胸腔にはいる(KL.321)
- 右迷走神経は右反回神経を分枝し、この枝は右鎖骨下動脈の腹側から背側に回り込む。
- 胸部
- 左迷走神経は大動脈弓の前を走って、肺根の後側を下行する(KL.321)
- 左迷走神経は左反回神経を分枝し、この枝は動脈索の左側で大動脈弓の腹側から背側に回り込む。
- 右迷走神経は肺根の後側を下行する(KL.321)
- ここまで下行しながら細かく分枝し、肺神経叢と心臓神経叢を作っている
- 食道に沿って下行し、食道の周囲で食道神経叢を作る(KL.321)
- 食道の前と後ろで前迷走神経幹と後迷走神経幹を作る(KL.321)
- 右迷走神経が後迷走神経幹、左迷走神経が前迷走神経幹を、主に作っている気がする (N.205をみるとそう思える)
- 食道と共に食道裂孔を通って腹腔に達する
- 腹部
- 腹腔にはいると腹腔神経叢に加わり、交感神経と共に腹部の臓器に達する(KL.321)
枝
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
臨床関連
- 迷走神経の障害 (M.612)
- 咽頭枝:嚥下障害
- 上喉頭神経:咽頭上部の感覚脱出、輪状甲状筋の麻痺
[★]
- 英
- trigeminal nerve
- ラ
- nervus trigeminus
- 同
- CN V, fifth cranial nerve
- 関
- 脳神経。鰓弓
概念
核 (B.33)
- 三叉神経中脳路核
- 三叉神経主知覚核
- 三叉神経脊髄路核
支配
走行
枝
CN#
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一般感覚性
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臓性感覚性
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特殊感覚性
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体性運動性
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臓性運動性
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鰓弓運動性
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神経細胞(中枢神経外)
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神経細胞(中脳)
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神経細胞(橋)
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神経細胞(延髄)
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神経細胞(脊髄)
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○-< 節後ニューロン
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頭蓋からの出口
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分布と機能
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V1
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眼神経
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○
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三叉神経節
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上眼窩裂
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角膜、前頭部、頭皮、眼瞼、鼻の皮膚、鼻腔と副鼻腔の粘膜からの感覚
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V2
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上顎神経
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○
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三叉神経節
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正円孔
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上唇を含む上顎部の顔の皮膚、上顎の歯、鼻粘膜、上顎洞、口蓋の感覚
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V3
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下顎神経
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○
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三叉神経節
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卵円孔
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下唇を含む下顎と顔の外側部の皮膚、下顎の歯、顎関節、口の粘膜、舌の2/3の感覚
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○
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○
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支配筋:咀嚼筋、顎舌骨筋、顎二腹筋の前腹、口蓋帆張筋、鼓膜張筋
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臨床関連
[★]
- 英
- oculomotor nerve (KH), CN III
- ラ
- nervus oculomotorius
- 関
- 脳神経
概念
走行
"http://192.168.2.14/mediawiki/index.php/%E5%8B%95%E7%9C%BC%E7%A5%9E%E7%B5%8C" より作成
一般感覚性
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臓性感覚性
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特殊感覚性
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体性運動性
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臓性運動性
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鰓弓運動性
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神経細胞(中枢神経外)
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神経細胞(中脳)
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神経細胞(橋)
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神経細胞(延髄)
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神経細胞(脊髄)
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○-< 節後ニューロン
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頭蓋からの出口
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分布と機能
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○
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○
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上眼窩裂
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支配筋:上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋
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○
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○
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毛様体神経節
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上眼窩裂
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副交感神経:瞳孔収縮筋、毛様体筋
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臨床関連
- 動眼神経麻痺 (M.602 KL.641,642 BET.367)
- 後交通動脈の動脈瘤が原因となりうる ← 大脳動脈輪の動脈瘤で二番目に多い
[★]
- 英
- fourth nerve palsy
- 関
- 上斜筋波動症、滑車神経麻痺、滑車神経疾患
[★]
- 英
- fifth cranial nerve
- 関
- 三叉神経、第V脳神経、第五脳神経
[★]
- 英
- multiple cranial neuropathy
- 関
- 脳神経障害、脳神経麻痺
[★]
- 英
- neurosurgery
- 関
- 脳外科
[★]
- 英
- functional neurosurgery
[★]
- 英
- nerve
- ラ
- nervus
- 関
- ニューロン
解剖で分類
- 中枢神経 central nervous systen CNS
- 末梢神経 peripheral nervous system PNS
情報で分類
- 感覚神経 sensory nerve = 求心性線維 afferent nerve
- 運動神経 motor nerve = 遠心性線維 efferent nerve
機能で分類
- 体性神経 somatic nervous system SNS
- 自律神経 autonomic nervous system ANS