- 英
- superior mesenteric artery (Z), SMA
- ラ
- arteria mesenterica superior
由来
走行
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/07/14 18:13:59」(JST)
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動脈: 上腸間膜動脈 |
背面から膵臓と十二指腸を見たところ (上腸間膜動脈は右上に描かれている。)
|
上腸間膜動脈を前から見たところ。この動脈と並走している血管(青色で示されている)は上腸間膜静脈である。この図は典型的な血管走行でこの他にも多くのパターンが存在する。
|
英語 |
superior mesenteric artery |
ラテン語 |
arteria mesenterica superior |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
栄養 |
腸 ,膵臓 |
起始
|
腹大動脈
|
分岐
|
下膵十二指腸動脈
中結腸動脈
右結腸動脈
空腸動脈, 回腸動脈
回結腸動脈
|
静脈
|
上腸間膜静脈
|
前駆体
|
卵黄嚢動脈
|
MeSH |
Mesenteric+Artery,+Superior |
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上腸間膜動脈(英:superior mesenteric artery; SMA)は腹部にある動脈の1つであり、通常、腹腔動脈の下方で腹大動脈の前面から生じる。上腸間膜動脈は十二指腸の下部から横行結腸の3分の2までの腸と膵臓を栄養している。
目次
- 1 位置と走行
- 2 枝
- 3 変異
- 4 関連疾患
- 5 画像
- 6 出典
- 7 外部リンク
|
位置と走行
成人の場合、上腸間膜動脈はL1の位置で生じ、通常、その1cm上に腹腔動脈の起始がある。上腸間膜動脈はその起始から前下方へ伸び膵頚(膵頭の一部)の下をくぐった後、前方に出て十二指腸水平部(または下部・第3部とも呼ばれる)の前を越えて下行し、腸間膜に入る。起始から腸間膜に至るまで、上腸間膜動脈と大動脈の間には以下のような構造物がある。
- 左腎静脈: 左の腎臓と下大静脈を結ぶ静脈。これが圧迫されるとナットクラッカー症候群を引き起こす
- 十二指腸の水平部: 十二指腸の一番低いところにある部位。これが圧迫されると上腸間膜動脈症候群を引き起こす。
- 膵臓の鈎状突起: 上腸間膜動脈が膵臓によって引っ掛けられたようになっているところである。上腸間膜動脈の右に並行して同名の静脈(上腸間膜静脈)がある。膵頚を越えると上腸間膜動脈は枝を出す。
枝
枝 |
栄養器官 |
下膵十二指腸動脈 |
膵臓の一部や十二指腸の下行部・下部 |
中結腸動脈 |
横行結腸 |
右結腸動脈 |
上行結腸 |
回腸動脈 |
回腸 |
空腸動脈 |
空腸 |
回結腸動脈 |
上腸間膜動脈の終枝で回腸の終部と盲腸や虫垂などを栄養 |
上腸間膜動脈の枝は結腸の周りで吻合し辺縁動脈を形成している。なお、辺縁動脈は左結腸動脈(下腸間膜動脈に由来)の枝も加わっている。
変異
腹腔動脈と同様、上腸間膜動脈にはいくつかのバリエーションが存在することが知られている。例えば、右肝動脈が上腸間膜動脈から分岐したり、右結腸動脈が欠如していたりする。
関連疾患
- 上腸間膜動脈の閉塞は腸虚血を引き起こす。この予後は悪く実にその80%が死に至る[1]。
- 上腸間膜動脈は左腎静脈と十二指腸の第3部の前を通っているため、これらを圧迫することがある。前者の場合ナットクラッカー症候群を、後者の場合は上腸間膜動脈症候群を引き起こす。
画像
-
腹腔動脈とその枝の様子。なお、胃は持ち上げられ、十二指腸は取り除かれている。
-
-
腹膜を取り除いた後腹壁の様子。腎臓、副腎、大血管が描かれている。
-
腎臓の付近を前面から見た様子。左腎静脈(向って右の横方向に伸びる血管)のすぐ上に上腸間膜動脈の起始(図では切断)がある。
-
出典
- ^ Redaelli CA, Schilling MK, Büchler MW (1998). “Intraoperative laser Doppler flowmetry: a predictor of ischemic injury in acute mesenteric infarction”. Digestive surgery 15 (1): 55–9. doi:10.1159/000018587. ISSN 0253-4886. PMID 9845564.
外部リンク
- SUNY Figs 39:02-01 - "Branches of the inferior mesenteric artery."
- SUNY Labs 40:11-0102 - "Posterior Abdominal Wall: Branches of the Abdominal Aorta"
- SUNY Anatomy Image 8008
- SUNY Anatomy Image 8404
- SUNY Anatomy Image 8815
- SUNY Anatomy Image 8841
- ミシガン大学ホームページ内の解剖図 abdo_wall70 - "Posterior Abdominal Wall, Dissection, Anterior View"
- sup&infmesentericart - The Anatomy Lesson by Wesley Norman (Georgetown University)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- O4-3 2型糖尿病ラット上腸間膜動脈における細胞外nucleotide誘発収縮反応に対するlosartanの効果(一般口演4(血管),第53回日本平滑筋学会総会)
- PS-178-6 当科における浸潤性膵管癌に対する上腸間膜動脈周囲リンパ節・神経叢郭清(PS-178 ポスターセッション(178)膵臓:手術-3,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 鈴木 伸明,上野 富雄,新藤 芳太郎,飯田 通久,前田 祥成,坂本 和彦,為佐 卓夫,吉村 清,岡 正朗
- 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 816, 2011-05-25
- NAID 110008685557
Related Links
- 急性上腸間膜動脈閉塞症。急性上腸間膜動脈閉塞症とはどんな病気か 胃腸や肝臓、膵臓など消化吸収に関わる内臓に酸素や栄養を送る動脈は3本あり、それぞれ腹腔動脈幹、上腸間膜動脈、下腸間膜(かちょうかんまく)動脈と呼ばれて ...
- MyMed(マイメド)は、究極の医療電子教科書の作成を通じて、利用者のニーズにあった理想的な医療情報サイトを ... 概要 十二指腸水平脚が上腸間膜動脈(SMA)によって圧迫されることにより閉塞し、嘔吐や腹部膨満などの腸閉塞症状を ...
- 上腸間膜動脈の枝は結腸の周りで吻合し辺縁動脈を形成している。なお、辺縁動脈は左結腸動脈(下腸間膜動脈に由来)の枝も加わっている。 変異 腹腔動脈と同様、上腸間膜動脈にはいくつかのバリエーションが存在することが ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 69歳の女性。血便を主訴に来院した。既往歴に特記すべきことはない。下部消化管内視鏡検査で肛門から20cm口側に病変を認める。下部消化管内視鏡像(別冊No. 14)を別に示す。
- 根治手術の際に根部で結紮切離するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D034]←[国試_111]→[111D036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109E012]←[国試_109]→[109E014]
[★]
- 起始部が頭側―尾側の順に位置している組合せはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G036]←[国試_111]→[111G038]
[★]
- 通常みられる血管の分岐の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B034]←[国試_101]→[101B036]
[★]
- 腹部造影CT(別冊No.1A、B)を別に示す。上腸間膜動脈はどれか。ただし、別冊No.1Aと別冊No.1Bの①~⑤は、それぞれ同一の解剖学的構造である。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E006]←[国試_107]→[107E008]
[★]
- 英
- anatomy
- ラ
- anatomia
- 関
- 体表解剖学、臨床解剖学、神経解剖学、比較解剖学
系統解剖
運動
骨
部位ごとの分類
関節ごとの分類
神経
部位別
上肢
体幹
下肢
下肢の皮神経
脳幹の神経解剖
血管
臓器に分布する血管
各体部位に分布する血管
- 頚部
[★]
- 英
- celiac trunk (M,N,KH,KL,KA), celiac artery (Z)
由来
走行
枝
腹腔動脈
|
腹大動脈で横隔 膜の大動脈裂孔 のすぐ遠位
|
ただちに分かれて,左胃動脈,脾動脈,総肝動脈となる
|
食道,胃,十二指腸(胆管よりも近位部),肝臓,胆汁路,膵臓
|
左胃動脈
|
腹腔動脈
|
後腹膜を上行して食道裂孔に至り,そこで肝胃間膜の2葉のあいだを通る
|
食道の遠位部と胃の小窩
|
脾動脈
|
腹腔動脈
|
後腹膜を膵臓の上緑に沿って走り,それから脾腎ヒダの2葉のあいだを脾門まで走る
|
膵体,脾臓,胃の大網
|
左胃大網動脈
|
脾動脈で脾門の近く
|
胃脾間膜の葉のあいだを通り,胃の大雪に向かう
|
胃の大考の左側
|
短胃動脈
|
脾動脈で脾門の近く
|
胃脾間膜の葉のあいだを通り,胃底に向かう
|
胃底
|
肝動脈
|
腹腔動脈
|
後腹膜を走って肝十二指腸間膜に至り,その葉のあいだを走って関門に達し,2本に分かれて右および左肝動脈となる
|
肝臓,胆嚢,胃,膵臓,十二指腸,肝臓の各葉
|
胆嚢動脈
|
右肝動脈
|
肝十二指腸問膜の中で起こる
|
胆嚢と胆管
|
右胃動脈
|
肝動脈
|
肝胃間膜の葉のあいだを走る
|
胃の小琴の右側
|
胃十二指腸動脈
|
肝動脈
|
後腹膜を下行し,胃十二指腸境界の後方を通る
|
胃,膵臓,十二指腸の第1部,胆管の遠位部
|
右胃大網動脈
|
胃十二指腸動脈
|
大網の葉のあいだを走り,胃の大雪に至る
|
胃の大雪の右側
|
前上膵十二指腸動脈および後上膵十二指腸動脈
|
胃十二指腸動脈
|
膵頭を下行する
|
十二指腸の近位部と膵頭
|
前下膵十二指腸動脈および後下膵十二指腸動脈
|
上腸間膜動脈
|
後腹膜で膵頭を上行する
|
十二指腸の遠位部と膵頭
|
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- adbominal aorta (Z)
- ラ
- aorta abdominalis
- 同
- 腹大動脈(解剖学では腹大動脈、臨床では腹部大動脈が一般的?)
- 関
- 大動脈
[show details]
- 下行大動脈であって腹腔内にある大動脈
- 図:N.257
由来
走行
枝 (KL.404-408)
- 腹側臓側枝:前面から起こる無対性の枝で、消化管および消化管から由来する臓器に分布
- 腹腔動脈
- 左胃動脈
- 脾動脈
- 総肝動脈
- 上腸間膜動脈
- 下膵十二指腸動脈
- 空腸動脈
- 回腸動脈
- 中結腸動脈
- 右結腸動脈
- 回結腸動脈
- 下腸間膜動脈
- 左結腸動脈
- S状結腸動脈
- 上直腸動脈
- 外側臓側枝:前外側に向かう有対性の枝で、有対性の臓器、主として泌尿器に分布
- 中副腎動脈
- 腎動脈
- 精巣動脈・卵巣動脈
- 壁側枝:後外側に向かう枝で、体壁に分布
- 下横隔動脈
- 腰動脈
- 正中仙骨動脈
- 終枝
- 総腸骨動脈
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- nutcracker phenomenon
- 同
- nutcracker現象 ナッツクラッカー現象、ナットクラッカー症候群 nutcracker syndrome、くるみ割り現象、left renal vein entrapment, left renal vein hypertension
[show details]
- 左腎静脈は腹部大動脈と上腸間膜動脈の間を走るため,この間に左腎静脈が挟まれてうっ血。血尿
- この時の血尿は腎血管に由来するらしい?そのため、赤血球の変形はみられないとか。
症状
- 左腎の肉眼的血尿、左側の側腹部痛、左側の精巣または卵巣静脈瘤
- タンパク尿はない?
参考
[★]
- 英
- inferior mesenteric artery (Z), IMA
- ラ
- arteria mesenterica inferior
- 関
- 上腸間膜動脈
起始
走行
分布
枝
腹腔動脈
|
foregut
|
前腸に由来する臓器(食道下部、胃、十二指腸、肝臓、胆嚢、膵臓)、脾臓 stomach to proximal duodenum; liver, gallbladder, pancreas
|
上腸間膜動脈
|
midgut
|
distal duodenum to proximal 2/3 of transverse colon
|
下腸間膜動脈
|
hindgut
|
distal 1/3 of transverse colon to upper portion of rectum
|
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
-IMA
[★]
- 英
- superior mesenteric artery syndrome
- 同
- SMA症候群、腸間膜動脈性十二指腸閉塞症候群 arteriomesenteric duodenum occulsion syndrome、胃腸間膜性イレウス症候群 gastromesenteric ileus syndrome、上腸間膜動脈性十二指腸閉塞 superior mesenteric arterial duodenal obstruction
- 関
- 上腸間膜動脈性十二指腸閉塞症
概念
- 上腸間膜動脈は腹部大動脈より前下方向に30°程度の角度をなして分岐する。
- 十二指腸の水平脚/水平部は腹部大動脈と上腸間膜動脈と挟まれるように存在する。
- 解剖学的な理由により、ある条件の下で十二指腸が動脈に挟まれて圧迫され通過障害を来し臨床症状を呈するのが本疾患である。
症状
増悪因子
- 背臥位:体位変換なく長期臥床を強いられている場合に起こりやすい。
軽快因子
- 腹臥位、左側臥位:腹部大動脈と上腸間膜動脈の間が開く形になるため。
リスク
- やせている人(特に女児):腹部大動脈と上腸間膜動脈の間の脂肪が少ないため、腹部大動脈と上腸間膜動脈がより鋭角となり、十二指腸が圧迫されやすくなる。
診断
- 消化管造影で造影剤が十二指腸水平部で停滞し、かつ水平部の左右で腸管径に差があること。
- 腹部超音波検査で上腸間膜動脈と腹部大動脈のなす角が鋭角であること。(通常は30-42°程度)
十二指腸造影でほぼ正中に線状の圧迫がみられれば疑われ、血管撮影でそれが上腸間膜動脈であることが確認されれば確定される。
治療
- 軽症例:食後腹臥位または左側臥位をとらせる。
- 重症例:手術療法(十二指腸空腸吻合術、十二指腸遊離術)
[★]
- 英
- acute occlusion of the superior mesenteric artery
- 同
- 急性上腸間膜動脈閉塞
- 関
- 急性腸間膜虚血、上腸間膜動脈閉塞症、急性腸間膜動脈閉塞症
- 上腸間膜動脈
[★]
- 英
- superior mesenteric artery duodenal obstruction
- 英
- arteriomesenteric duodenal occlusion
- 同
- 上腸間膜動脈症候群 superior mesenteric artery syndrome
[★]
- 英
- superior mesenteric arterial duodenal obstruction
- 関
- 上腸間膜動脈症候群
[★]
- 英
- mesentery (Z)
- ラ
- mesenterium
- 関
- 胃結腸間膜
- 空腸と回腸を後腹壁に固定するための構造で、この中を血管・リンパ管・神経が通る。
- 腸をつり下げている腹膜の一部 (Z)
臨床関連
潰瘍
腸間膜付着部
腸間膜付着部対側
憩室
腸間膜付着部
腸間膜付着部対側
[★]
- 英
- artery (Z)
- ラ
- arteria
- 関
- 静脈
[★]
- 英
- mesenteric artery
- 関
- 腸間膜
[★]
- 英
- mesentery
- 関
- 漿膜