- 英
- inevitable abortion, abortion in progress
- ラ
- abortus in tractu
- 同
- 開始流産、起始流産
- 関
- 流産、切迫流産
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- 妊娠22週未満に、子宮頚管が開大しなおかつ腹痛や出血をともない、子宮内容物が外に排出されている状態。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/23 21:16:14」(JST)
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流産(りゅうざん、英: spontaneous abortion, Miscarriage)は、妊娠の継続が停止することを指す。
ここでは自然妊娠中絶という意味の流産について記述する[1]。
目次
- 1 疫学
- 2 原因
- 3 種類
- 3.1 切迫流産(Threatened abortion)
- 3.2 進行流産(Inevitable abortion)
- 3.3 完全流産(Complete abortion)
- 3.4 不全流産(Incomplete abortion)
- 3.5 稽留流産(Missed abortion)
- 3.6 化学的流産(Chemical abortion)
- 4 臨床像
- 5 転用
- 6 関連項目
- 7 注
疫学
全妊娠の8 - 15%に生じる[要出典]。
周産期医療の発達した2009年現在も24週未満の早産は予後不良な場合が多い。流産では12週未満に起こった場合は染色体異常が原因のことが多く早期流産という。また12週以降では羊膜絨毛膜炎が原因であることが多い。自然流産の発生頻度は15%程度である。そのため3回以上流産をする確率は0.5%未満であると考えられ、3回以上の流産が連続する習慣流産では何らかの異常が疑われ精査が必要となる。40歳以上では自然流産の確率は25%と高くなる。これは染色体異常の頻度が高くなるためであり、羊水の性状とは関係はないと考えられている。少量の性器出血、軽度の下腹部痛を呈し、内子宮口が未開大である場合は切迫流産の可能性が高い。性器出血に加え、陣痛様の下腹部痛を呈し、内診にて子宮口の開大が認められる場合は進行流産を疑う。切迫流産の場合は妊娠の継続が可能な場合もあるので安静、臥床とし16週以降で子宮の収縮が認められる場合は子宮収縮抑制薬を使用する。これらの治療は医療機関で行われるのが通常である。進行流産の場合は妊娠の継続は不可能と考えられており、子宮内容除去の適応となる。それ以外に無症状だが経腟超音波検査にて枯死卵を認める場合を稽留流産といい、これも子宮内容除去の適応となる。
40歳以上で染色体異常が起こりやすい理由は発生学によって解明されている。女性の生殖細胞は、胎生期の原始生殖細胞が卵祖細胞そして卵母細胞に分化することで生じる。胎生期に卵母細胞は有糸分裂を繰り返し、最大で700万個まで増殖する。全ての卵母細胞は第一次減数分裂の前期である複糸期に細胞周期を固定される。このメカニズムは卵巣上皮より分化した卵胞細胞によって説明されている。卵胞細胞は卵子成熟抑制物質を分泌し、思春期即ちGnRHの周期的な分泌が開始されるまで卵母細胞が第一次減数分裂を終了しないようにしている。排卵される卵母細胞は、排卵前に第一次減数分裂を終了し、すぐに第二次減数分裂を開始する。しかし紡錘体形成以後は受精しない限り進行しないとされている。加齢を重ねると、それだけ卵母細胞が減数分裂の途中である複糸期で固定されている時間が長くなる。この間に物理的、化学的刺激によって染色体、遺伝子に異常が生じるため流産が起こりやすくなると考えられている。また、近年では加齢による遺伝子異常率の上昇にはレントゲンによる累積被爆が作用しているとの指摘もされている。なお、流産をするということは、最低限、卵細胞が精子と受精し着床できていることを示している。実際には加齢によって卵母細胞に異常が生じていると、受精、着床が不可能な場合も出てくる。この場合、流産とカウントされない(妊娠をしないから)。よって一般に加齢を重ねると妊娠もしにくく、流産もしやすく、胎児に影響も出やすいといえる。
原因
母体
- 感染症
- 子宮の異常(子宮頸管無力症、子宮奇形、子宮筋腫など)
- 黄体機能不全、高プロラクチン血症
- 内分泌疾患
胎児
夫婦間因子
種類
切迫流産(Threatened abortion)
- 概念:流産が生じようとしている状態。流産になる場合と持ちこたえる場合とがある。子宮出血はあるが頸管は開大していない。
- 症状:軽度の下腹部の痛みと少量の性器出血
- 治療:安静を第一とし、塩酸リトドリン(子宮収縮抑制剤)、hCGの投与。目安として妊娠16週以降なら塩酸リドトリンを用い、それ以前なら安静臥床が第一である。
- 原因:絨毛膜下血腫、絨毛羊膜炎など
進行流産(Inevitable abortion)
- 概念:流産が生じ進行している状態。下腹部痛や出血が強く、頸管は開大しており保存的な治療は不可能なものである。
- 症状:下腹部の痛み、性器出血、子宮頚部の開大
- 治療:完全流産か不全流産かで異なる。
完全流産(Complete abortion)
- 概念:流産が生じ、子宮内容物が完全に娩出された状態。
- 症状:下腹部痛と性器出血の消失
- 治療:経過観察のみで済む場合が多い。
不全流産(Incomplete abortion)
- 概念:流産が生じたが、子宮内に残存物が残っている状態。
- 症状:下腹部の痛み、性器出血の持続
- 治療:子宮内容除去術、残存物が少ない場合は子宮収縮剤および抗生物質の投与
稽留流産(Missed abortion)
- 概念:子宮内で胎児が死亡している状態であるが、妊婦に症状が無いもの。
- 症状:自覚症状は無い。妊婦検診等で超音波検査によって発見される
- 治療:確定診断がついた段階で、子宮内容除去術を行うことが多い。
化学的流産(Chemical abortion)
- 概念:生化学的に妊娠の成立をみた(hCGが検出された。たとえば尿中hCG測定で50IU/l反応陽性)と診断されるが、超音波断層法により胎嚢などの妊娠に特有な所見が確認されず、しかも腹痛や子宮口開大などの流産兆候を伴うことなく月経様の出血をみた場合を呼ぶ。
- 症状:月経様の出血(人によっては激痛と血の塊が出てくることがある)
- 治療:経過観察
臨床像
- 習慣流産(反復流産):連続3回以上流産を経験した場合。偶発的でない場合は不育症といい何らかの原因があると考えられる。特に絨毛膜下血腫が原因である場合は全身性エリテマトーデス (SLE) や抗リン脂質抗体症候群を疑うべきである。
- 化学的流産は、妊娠を意識して早い時期に尿検査などを試していなければ、同様の状態が本人も普通の月経としか認識していないうちに日常で起こっている場合もしばしばあり、通常は流産の回数に含めない。
転用
一度妊娠したものが出産に至らずに終わる、ということから転じて、物事や企画が中止になることを流産と呼ぶ用法が生まれたが、近年では余り用いられない。戦前の日本では、一度大命降下しながら諸般の事情で組閣できなかった場合に流産内閣と呼ぶ用法があった(清浦奎吾の「鰻香内閣」など)。
関連項目
注
- ^ 一般的に流産というと自然妊娠中絶のことを指す場合が多いが、日本産科婦人科学会では「妊娠22週未満の妊娠中絶」を「流産」と定義している(妊娠22週以降の場合の妊娠中絶は「死産」と定義)。日本産科婦人科学会の定義ではさらに、妊娠12週未満の「流産」を「早期流産」、妊娠12週以降22週未満の「流産」を「後期流産」という。「後期流産」については法令上、死産の場合と同様の死産届が必要となる。
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UpToDate Contents
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- 1. 自然流産:危険因子、病因、臨床症状、および診断的評価 spontaneous abortion risk factors etiology clinical manifestations and diagnostic evaluation
- 2. 自然流産:管理 spontaneous abortion management
- 3. 不育症の定義および病因 definition and etiology of recurrent pregnancy loss
- 4. 不育症の男女のマネージメント management of couples with recurrent pregnancy loss
- 5. 不育症の男女の評価 evaluation of couples with recurrent pregnancy loss
Japanese Journal
- Trophoblastの生体内免疫的拒絶機構におけるOnclfetal Antigen-Iの意義
- 正常妊娠および異常妊娠,特に流産例におけるSP_1,HPLおよびHCGの絨毛組織内局在に関する検討
- 妊娠時の内分泌環境に及ぼすBromocriptineの影響に関する研究
Related Links
- 今まさに流産が進行している状態を進行流産と言います。わずか数分のうちに赤ちゃん が外に流れていきます。
- まさに流産が今現在進行してしまっている状態のことを「進行流産」と言います。この 状態になってしまうことによりわずか数分のうちに赤ちゃんが外に流れてしまいます。 進行が確定しまうと残念なことですが流産を止める術はありません。 進行流産の症状 ...
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- 次の文を読み、26、27の問いに答えよ。
- 28歳の初妊婦。下腹部痛と性器出血とを主訴に来院した。最終月経開始日から起算して妊娠7週3日。
- 現病歴 : 21日前、市販のキットで妊娠検査を行ったところ、陽性だった。3日前から左下腹部の重苦しい痛みを感じていた。来院当日朝、少量の性器出血を認めた。下腹部痛の増強は認めない。妊娠悪阻症状はない。
- 既往歴・生活歴・家族歴 : 特記すべきことはない。
- 月経歴 : 周期28日型、持続5日間、中等量、月経痛は認めない。
- 現 症 : 意識は清明。身長158cm、体重45kg。体温37.3℃。脈拍76/分、整。血圧 98/72mmHg。腟鏡診で外子宮口から中等量の出血の持続を認める。内診で子宮は前傾前屈、やや腫大し、やや軟、軽度の圧痛を認める。左付属器領域に軽度の圧痛を認めるが、腫瘤は触知しない。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。尿hCG検査:陽性。経腟超音波検査で子宮腔内に内膜の肥厚を認める。胎嚢は認めない。腹水や腹腔内出血は認めない。両側付属器に明らかな腫瘤を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [103F025]←[国試_103]→[103F027]
[★]
- 33歳の2回経妊1回経産婦。無月経を主訴に来院した。経腟超音波検査で子宮内に胎嚢と心拍とが確認され、妊娠6週日の単胎妊娠と診断した。妊娠9週2日に施行した経腟超音波検査で子宮内胎児死亡と絨毛膜の異常とが確認されたため子宮内容除去術を行った。術前の血中hCG値は397,100mIU/ml。妊娠9週2日の経腟超音波像(別冊No.20A)と子宮内組織のH-E染色標本(別冊No.20B、C)とを別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D039]←[国試_107]→[107D041]
[★]
- 24歳の女性。下腹部痛と性器出血とを主訴に来院した。2週前に妊娠6週0日と診断された。その後、軽度の下腹部痛が続き、昨日初めて性器出血を認めたため受診した。腟鏡診で暗赤色の血液を少量認めるが、子宮口からの血液流出はない。内診で子宮は鵞卵大で軟、子宮口は閉鎖している。経腟超音波検査で子宮内に胎嚢が認められ、その中の胎児は頭殿長(CRL)1.5cmで心拍動が同定され、胎嚢の外側に3×3×2cmの低エコー領域を認めた。
- 診断として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C020]←[国試_109]→[109C022]
[★]
- 23歳の女性。月経予定日を3日過ぎて月経が発来しないので来院した。月経周期は28日型、整。尿妊娠反応は陰性であった。この妊娠判定試薬は排卵後14日以降の自然妊娠に対して100%が陽性を示すように作られている。この時点で考えられるのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110E059]←[国試_110]→[110E061]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
[★]
- (1) 下腹痛の性状
- (2) 破水の有無
- (3) 出血量
- (4) 頚管の開大度
[★]
- 英
- lower abdominal pain
- 関
- 下腹痛。腹痛
診療エッセンシャルズ.271 改変
産婦人科疾患
- NGY.138
急性かつ重篤な下腹痛
中等度の下腹痛
- 1. 鎖陰
- 2. 卵巣嚢腫破裂
- 3. 子宮内膜症
- 4. 月経困難症
- 5. 子宮筋腫
- 6. 急性付属器炎、子宮内膜炎:子宮内膜炎は子宮内操作や流産後などに起こり、ほとんどが上行性感染と考えられ、発熱や不正出血などの随伴症状を伴うことが多い。卵管に炎症が波及し付属器炎になると下腹痛も増悪し、骨盤腹膜炎を来すことがある。起因菌はクラミジアの頻度が増加している。(参考1)
- 7. 流産
産婦人科の下腹部痛の鑑別疾患
- 参考1
病みえ産婦人科
- 引用p.212
妊娠の有無による鑑別
参考
- 1. (12)日本産婦人科医会研修プログラム;痛みの診断と治療
3)急性腹症,がん性疼痛への対応 - 日産婦誌58巻9号
- http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5809-395.pdf
[★]
- 英
- genital bleeding
- 関
- 不正性器出血。新生女児性器出血
妊娠初期に見られる性器出血
妊娠後期に見られる性器出血
- 前置胎盤:下腹部痛なし
頚管無力症 ← 妊娠の中期以降に性器出血や腹痛を伴わずに頚管が短縮・開大し、胎児が娩出される(NGY.402)。なので性器出血の鑑別に入らないのでは?
- 切迫早産:下腹部痛(+)(←陣痛)、子宮口やや開大
- 常位胎盤早期剥離:下腹部痛(++)。板状硬
分娩後に見られる性器出血
- 弛緩出血
- 子宮破裂:病的収縮輪を認め、激痛を訴える。胎児ジストレス~胎児心拍の消失。母体の突然のショック。
- 子宮内反症:臍帯の用手的牽引による。激痛と出血によるショックに陥ることがある。
- 癒着胎盤
- 産道裂傷(頚管裂傷):
[★]
- 英
- abortion, miscarriage
- 関
- 妊娠中絶、中絶
定義
- 妊娠22週未満の妊娠中絶(1993年、ICD-10修正)
- 体外で生存できない時期に起こる妊娠の中絶
分類
時期
- 早期流産 early abortion 妊娠12週未満の流産
- 後期流産 late abortion 妊娠12週以降22週未満の流産
原因
- 習慣流産:連続して3回以上自然流産を繰り返した既往のあるもの
妊卵の排出の様式
[★]
- 英
- progression、progress、advance、progress、proceed、advance
- 関
- 進歩、進む、前進、プログレッション、級数、進捗、進展