コンドロイチン硫酸
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コンドロイチン硫酸(コンドロイチンりゅうさん、chondroitin sulfate)は、動物体内にみられるグリコサミノグリカン(ムコ多糖)の一種。通常、コアタンパク質と呼ばれる核となるタンパク質に共有結合したプロテオグリカンとして存在する。特に軟骨の細胞外マトリックスにアグリカンと呼ばれるプロテオグリカンとして多く存在するが、皮膚などの結合組織、脳などあらゆる組織に広くみられる。
目次
- 1 化学構造
- 2 機能
- 3 医薬品・健康食品
- 4 脚注
- 5 外部リンク
化学構造
D-グルクロン酸 (GlcA) と N-アセチル-D-ガラクトサミン (GalNAc) の2糖が反復する糖鎖に、硫酸が結合した構造を持つ。この「GlcA-GalNAc」2糖単位の中で硫酸基の付加やエピ化(GlcA からイズロン酸)で構造の著しい多様性がある。生体内に見られる長いコンドロイチン硫酸鎖には、一本の鎖で均一にすべての2糖単位が同じ構造(例:コンドロイチン6硫酸構造)をしているというものはほとんど存在しないといってもよい。このことは、多くの生化学や細胞生物学の教科書において誤解を与える記述がなされており注意を要する。
硫酸基の位置は、GalNAc の4位に硫酸がついたコンドロイチン4硫酸(コンドロイチン硫酸Aともいう)、コンドロイチン6硫酸(コンドロイチン硫酸C)が主なものである。GalNAc 4位の硫酸化がみられるデルマタン硫酸(dermatan sulfate、コンドロイチン硫酸B)は、コンドロイチン硫酸の GlcA がエピ化し、イズロン酸となっている。コンドロイチン硫酸の中には、4位、6位の両方が硫酸化されたコンドロイチン硫酸Eや、グルクロン酸やイズロン酸のヒドロキシル基が硫酸化されたoversulfatedな構造もしばしばみられる。これらの構造の変化や存在比は、プロテオグリカンの種類、動物種、組織、発生段階、病気によって違ってくる。例えば、哺乳類の皮膚にはデコリンと呼ばれるプロテオグリカンにデルマタン硫酸構造が豊富に見られる。哺乳類マスト細胞には、コンドロイチン硫酸Eが多く存在する。サメの軟骨には、グルクロン酸の2位に硫酸基が付加したコンドロイチン6硫酸(コンドロイチン硫酸D)が多い。また線虫には、硫酸化されていないコンドロイチンがみられる。コンドロイチンは、ある種の細菌によっても合成されている。
コンドロイチン硫酸のコアタンパク質への付加は、キシロース、ガラクトースを含む構造をしている。
コンドロイチン硫酸の種類[1]
コンドロイチン硫酸 |
繰り返し二糖構造 |
由来 |
A |
グルクロン酸 - アセチルガラクトサミン4硫酸 |
軟骨 |
B |
イズロン酸2硫酸 - アセチルガラクトサミン4硫酸 |
デルマタン硫酸、皮膚 |
C |
グルクロン酸 - アセチルガラクトサミン6硫酸 |
軟骨 |
D |
グルクロン酸2硫酸 - アセチルガラクトサミン6硫酸 |
デルマタン硫酸 |
E |
グルクロン酸 - アセチルガラクトサミン4,6二硫酸 |
イカ |
機能
コンドロイチン硫酸のほとんどは、プロテオグリカンとして細胞外マトリックスや細胞表面に存在している。その機能で代表的なものは、軟骨のコンドロイチン硫酸である。軟骨のコンドロイチン硫酸の多くは、アグリカンというプロテオグリカンとして存在し、ヒアルロン酸、リンクタンパク質とともに超高分子複合体を形成している。この複合体は、軟骨特有なII型コラーゲンとともに、軟骨の細胞外マトリックスを形成し、軟骨の持つクッション作用に重要な役割をしている。皮膚に多く存在するデコリンは、コラーゲン繊維に結合し細胞外マトリックス形成の調節を行う。その他の組織のコンドロイチン硫酸もプロテオグリカンとして、多くは細胞外マトリックスの形成に関与し、細胞接着、移動、分化、増殖など細胞形質の制御を行っていると考えられている。脳においては、神経線維の再生を阻害する因子のひとつとして知られるほか、神経細胞の回りを取り巻く構造であるperineuronal netの主要成分として脳機能の可塑性に関与するとされる。やや特殊な機能をするコンドロイチン硫酸としては、マスト細胞やナチュラルキラー細胞の細胞内顆粒に存在するものなどもある。
医薬品・健康食品
医療用医薬品としてはコンドロイチン硫酸ナトリウムが以下のように用いられる。
- 注射液で腰痛症、関節痛、肩関節周囲炎(五十肩)などの治療
- 点眼液で角膜表層の保護
一般用医薬品としてはコンドロイチン硫酸ナトリウムが以下のように用いられる。
また、健康食品に配合されることもある。
脚注
- ^ 『コールドスプリングハーバー糖鎖生物学』Maarten Chrispeels 鈴木康夫訳 丸善 2003.9 p122
外部リンク
- コンドロイチン硫酸 - 「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
- コラーゲンの安全性と機能性(国立健康・栄養研究所)
- グライコフォーラム
- コンドロイチン硫酸プロテオグリカン - 脳科学辞典
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- アルシアンブルーとの沈殿形成に基づく錠剤中のコンドロイチン硫酸ナトリウムの定量
- 舟岡 朋子,谷澤 俊博,室 博之,槙野 正
- 分析化学 56(3), 173-177, 2007-03-05
- … 製剤中におけるコンドロイチン硫酸ナトリウムの一般的な定量法としては,従来からカルバゾール・硫酸法(_<D->グルクロン酸含量測定法)が用いられている.しかし,この方法は製剤中からコンドロイチン硫酸ナトリウムを分離するための煩雑なカラム前処理を必要とする.そこで今回種々のコンドロイチン硫酸ナトリウムの定量法の中からアルシアンブルーを用いた方法(AB法)に着 …
- NAID 110006224697
- アルシアンブルー8GXを用いるコンドロイチン硫酸ナトリウム/ヒドロキシプロピルメチルセルロース混合物の分別定量
- 服部 学,有田 淳哉,田淵 照人,小池 茂行,中村 洋
- 分析化学 52(4), 259-263, 2003-04-05
- … コンドロイチン硫酸ナトリウム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを同時に配合した医薬品について,アルシアンブルー8GXを利用した両成分の分別定量法を開発した.酸性条件下において,アルシアンブルー8GXとコンドロイチン硫酸ナトリウムは,特異的に複合体を形成して沈殿する.沈殿物をアルカリ溶液で溶解させ,その吸光度よりコンドロイチン硫酸ナトリウムを定量した. …
- NAID 110002905213
Related Links
- 総称名 コンドロイチン硫酸ナトリウム 一般名 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 欧文一般名 Chondroitin Sulfate Sodium 製剤名 コンドロイチン硫酸エステルナトリウム注射液 薬効分類名 コンドロイチン硫酸製剤 薬効分類番号
- コンドロイチン硫酸ナトリウムの効果、関節炎に コンドロイチンの効果は、ひざやひじの痛みなど、関節炎を和らげる働きです。 もともと関節の組織には、コンドロイチン硫酸ナトリウム(以下コンドロイチン)が多く含まれていてて ...
- コンドロイチン硫酸ナトリウムはヒアルロン酸 などとともに哺乳動物の結合組織に広く分布し,鶏冠,間節液,皮膚,溶血性連鎖球菌でも見いだ される複合糖質のグリコサミノグリカン(ムコ多 糖)の一種である。人体では軟骨,骨 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
- コンドロイチン硫酸ナトリウム注200mg「ハラサワ」
禁忌
効能または効果
- 進行する感音性難聴(音響外傷を含む)、症候性神経痛、腰痛症、関節痛、肩関節周囲炎(五十肩)
- コンドロイチン硫酸エステルナトリウムとして、通常成人1回20〜300mgを1日1回静脈内又は筋肉内注射する。
ただし、鎮痛の目的で使用する場合には、経口投与が不可能な場合又は経口剤で効果がみられない場合にのみ使用し、経口投与が可能になった場合には速やかに経口投与に切り替えること。
なお、静脈内注射は急性症状にのみ使用すること。
慎重投与
重大な副作用
ショック
- (頻度不明):ショック様症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し適切な処置を行うこと。
有効成分に関する理化学的知見
性状
- 本品は白色〜微黄褐色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおい及び味がある。
水に溶けやすく、エタノール(95)、アセトン又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
水溶液(1→100)のpHは5.5〜7.5である。
吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- sodium sulfate
- 商
- 乾燥硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アストーマ、アスペノン、アプリトーン、アモキシシリン、アモペニキシン、アモリン、アルギスタット、アルフロシン、アレンフラール、アンチレクス、イソパール・P、イノバン、ウレパール、エカテリシン、エクセラーゼ、エクセラーゼ配合、エホチール、エルゴメトリンマレイン酸塩、オーネスSP、オーネスSZ、オーペグ 、カズマリン、ガモファー、カラシミンC、カルデナリン、カルメゾシン、グルコリンS、ケイラーゼA、ケフラール、ケフレックス、ゲンタマイシン、ゲンタロール、コスパノン、コバマミド、コントミン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ジアイナミックス、シーシーエル、シータック、シェトラゾーナ、ジソピラミド、スクリット配合、セクロダン、セフジトレンピボキシル、セフジニル、セブンイー・P、センセファリン、ダイメジンスリービー、ダウンテンシン、タフマックE、ダラシン、タンチパン配合、テクネMAG3、デトキソール、トキクロル、ドキサゾシン、ドキサゾン、ドパミン塩酸塩、トレキサメット、ドロキシドパ、トロキシン、ニザチジン、ニトレナール、ニトロールR、ニフプラス 、ニフレック配合、ニューロライト、ネオ・エフラーゼ配合、ハイポ、プロモーション
- 関
- 塩類下剤
[★]
- 英
- sodium, natrium, Na
- 関
- Na+
血液(血清)中のナトリウム (臨床検査法提要第32版)
尿中のナトリウム
- <20 mEq/l (正常と判断できる範囲)
- >40 mEq/l (腎性腎不全を示唆)
尿Na,Kと血清Naによる血清Naの予測
- 経口摂取と輸液による自由水の摂取がなければ
- 尿([Na+]+[K+]) < 血清[Na+] → 血清[Na+]上昇
- 尿([Na+]+[K+]) = 血清[Na+] → 血清[Na+]普遍
- 尿([Na+]+[K+]) > 血清[Na+] → 血清[Na+]低下
食品中の食塩量
- ほとんどの製品ラベルに記載されている、ナトリウム[g]はそのまま食塩量[g]と考えることができないので、指導する債には注意を促す。
- 分子量から考えるとNa(23), Cl(35.5)なので、ナトリウムx[g]は食塩 x /23 * (23 + 35.5)、つまり2.54 * x [g]となる。
- 例えば、小生が常食している某社のインスタントラーメンにはナトリウム2[g]との記載があるが、これは5.08gの食塩が含まれているということになる。もちろんスープは全部飲む。1日3袋食べたことがあるのだが、、、
臨床関連
[★]
- 英
- thorium、Th
- 関
- トロトラスト、232Th
概念
- 参考1
- 原子番号:90
- 元素記号:Th
- アクチノイド元素の一つ
- 銀白色の金属。
- 安定同位体は存在しない。
- 北欧神話の軍神または雷神トールにちなんで名づけられた。
同位体
- 参考1
同位体
|
NA
|
半減期
|
DM
|
DE (MeV)
|
DP
|
228Th
|
trace
|
1.9116 y
|
α
|
5.52
|
224Ra
|
229Th
|
syn
|
7340 y
|
α
|
5.168
|
225Ra
|
230Th
|
trace
|
75380 y
|
α
|
4.77
|
226Ra
|
231Th
|
trace
|
25.5 h
|
β
|
0.39
|
231Pa
|
232Th
|
100 %
|
1.405 × 1010 y
|
α
|
4.083
|
228Ra
|
234Th
|
trace
|
24.1 d
|
β
|
0.27
|
234Pa
|
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0
[★]
- 英
- chondroitin sulfate
- 商
- コンドロン、エレジェクト、エレメンミック、ガイシード、ガシクロン、コンドナール、サイリジン、ザルチロン、シザナリン、シボン、ハウゼマイム、ピリツイン、ホモック、ボルビサール、ボルビックス、メドレニック、ヤスラミン。(静注)(コンドロイチン硫酸、サリチル酸)ロイサールS、カシミタール、カシロン、カシワドール、ザルソロイチン。(眼科手術補助剤)ディスコビスク、ビスコート
(点眼液)ムコティア、ムコファジン、ムコロイド、コンドロンナファ、コンドロン、アイドロイチン
- 化
- コンドロイチン硫酸ナトリウム sodium chondroitin sulfate
- 関
- グリコサミノグリカン
[★]
- 英
- chondroitin
- 商
- アイドロイチン、エルネオパ1号、エレジェクト、エレメンミック、ガイシード、ガシクロン、カシミタール、カシロン、カシワドール、コンドナール、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロン、サイリジン、ザルソロイチン、ザルチロン、シザナリンN、シボンN、ディスコビスク、ハウゼマイム、バロジェクト、ビスコート、ピリツイン、ホモック、ボルビサール、ボルビックス、ミネラミック、ミネラリン、ミネリック-4、ミネリック-5、ムコティア、ムコファジン、ムコロイド、メドレニック、ヤスラミン、ロイサールS、硫酸バリウム
- 関
- コンドロイチン硫酸