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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/09 18:32:35」(JST)
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エタネルセプト
|
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
B2 (Au), B (U.S.) |
法的規制 |
S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.) |
投与方法 |
Subcutaneous |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
58–76% (SC) |
代謝 |
Reticuloendothelial system (speculative) |
半減期 |
70–132 hours |
識別 |
CAS登録番号 |
185243-69-0 |
ATCコード |
L04AB01 |
PubChem |
SID 10099 |
DrugBank |
DB00005 |
KEGG |
D00742 |
化学的データ |
化学式 |
C2224H3475N621O698S36 |
分子量 |
51234.9 g/mol |
エタネルセプトとは、分子標的治療薬のひとつで関節リウマチなどの膠原病・自己免疫疾患の治療薬。日本ではエンブレル®の商品名で武田薬品工業が販売している。
薬理
薬剤そのものは、可溶性TNF受容体とIgGを遺伝子組換えにより結合させたリコンビナント融合蛋白である。TNFα/βの両方に結合し、TNF受容体へのシグナル伝達を阻害し、病勢を沈静化させる。
適応症
日本においては、関節リウマチを適応症としている。 同じカテゴリーであるインフリキシマブとは異なり、メソトレキセートとの併用は必ずしも必要とはされていない。
副作用
免疫抑制剤であるため、特に結核などの感染症のリスクが高まる。
- B型肝炎…活動性のあるものはもちろん、健常キャリアも再燃することがある。
- C型肝炎…B型肝炎同様に、増悪・再燃がみられることがある。
- 肺炎・気管支炎
- 結核…最も留意すべき疾患。エタネルセプトによる加療前にクオンティフェロンなどで検査をすることが奨められている。
関連項目
- インフリキシマブ
- アダリムマブ
- トシリズマブ
- ゴリムマブ
- 乾癬
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エンブレル皮下注用10mg
組成
成分・含量(1バイアル中)
添加物(1バイアル中)
- D-マンニトール 40mg
精製白糖 10mg
トロメタモール 0.32mg
トロメタモール塩酸塩 1.16mg
禁忌
- 敗血症の患者又はそのリスクを有する患者[敗血症患者を対象とした臨床試験において、本剤投与群では用量の増加に伴い死亡率が上昇した。「その他の注意」の項参照]
- 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 脱髄疾患(多発性硬化症等)及びその既往歴のある患者[症状の再燃及び悪化のおそれがある。]
- うっ血性心不全の患者[症状を悪化させるおそれがある。「その他の注意」の項参照]
効能または効果
既存治療で効果不十分な下記疾患
- 関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)
- 多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
(関節リウマチ)
- 過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤及び他の抗リウマチ薬等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に投与すること。
- 本剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行わないこと。[「重要な基本的注意」の項参照]
(多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎)
- メトトレキサートの少量パルス療法を中核とする併用療法を行っても効果不十分あるいは治療不応の場合、本剤適応の可否を判断すること。
全身型若年性特発性関節炎については、全身症状に対する有効性及び安全性は確立していないため、全身症状が安定し、多関節炎が主症状である場合のみに本剤を投与すること。
関節リウマチ
- 本剤を日本薬局方注射用水1mLで溶解し、通常、成人にはエタネルセプト(遺伝子組換え)として10〜25mgを1日1回、週に2回、又は25〜50mgを1日1回、週に1回、皮下注射する。
多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎
- 本剤を日本薬局方注射用水1mLで溶解し、通常、小児にはエタネルセプト(遺伝子組換え)として0.2〜0.4mg/kgを1日1回、週に2回、皮下注射する。(小児の1回投与量は成人の標準用量(1回25mg)を上限とすること)
- 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。本剤による治療開始後、医師により適用が妥当と判断された患者については、自己投与も可能である。 [「重要な基本的注意」の項参照]
- 注射部位反応(紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒等)が報告されているので、投与毎に注射部位を変えること。
- 本剤を週に2回投与する場合は、投与間隔を3〜4日間隔とすること。
慎重投与
- 感染症の患者又は感染症が疑われる患者[本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので、適切な処置と十分な観察が必要である。「重要な基本的注意」の項参照]
- 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させるおそれがあるので、胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど、結核症状の発現に十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
- 易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
- 脱髄疾患が疑われる徴候を有する患者及び家族歴のある患者[脱髄疾患発現のおそれがあるため、適宜画像診断等の検査を実施し、十分注意すること。「重要な基本的注意」の項参照]
- 重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血等)の患者又はその既往を有する患者[症状が悪化するおそれがある。「副作用」の「重大な副作用」の項参照]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。「重大な副作用」の項参照]
重大な副作用
敗血症(0.2%)、肺炎(ニューモシスティス肺炎を含む)(1.5%)、真菌感染症(0.2%)等の日和見感染症(2.6%)
- このような症状があらわれることがあるので患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと。なお、感染症により死亡に至った症例が報告されている。
結核(0.1%未満)
- 本剤投与による結核の発症は、投与初期からあらわれる可能性があるため、結核の既感染者には、本剤投与後、問診及び胸部レントゲン検査等を定期的(投与開始後2カ月間は可能な限り1カ月に1回、以降は適宜必要に応じて)に行うことにより、結核症状の発現に十分に注意すること。また、肺外結核(胸膜、リンパ節等)も報告されていることから、その可能性も十分考慮した観察を行うこと。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤なアレルギー反応(0.5%)
- 血管浮腫、アナフィラキシー、気管支痙攣及び蕁麻疹等の重篤なアレルギー反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
重篤な血液障害(0.9%)
- 再生不良性貧血及び汎血球減少(致命的な転帰に至った例を含む)、白血球減少、好中球減少、血小板減少、貧血、血球貪食症候群があらわれることがある。患者に対し、本剤投与中に血液障害や感染症を疑う症状(発熱の持続、咽頭痛、挫傷、蒼白等)があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること。このような患者には、速やかに血液検査等を実施し、血液障害が認められた場合には、投与を中止すること。
脱髄疾患(頻度不明(注12))
- 脱髄疾患(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎、ギラン・バレー症候群等)があらわれることがある。異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.7%)
- 間質性肺炎があらわれることがあるので、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部レントゲン検査、胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスティス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと。なお、間質性肺炎の既往歴のある患者には、定期的に問診を行うなど、注意すること。
抗dsDNA抗体の陽性化を伴うループス様症候群(0.1%未満)
- 抗dsDNA抗体が陽性化し、関節痛、筋肉痛、皮疹等の症状があらわれることがある。このような場合には、投与を中止すること。
肝機能障害(3.1%)
- AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明(注12))、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)、多形紅斑(0.1%未満)
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎(頻度不明(注12))
- 抗好中球細胞質抗体(ANCA)陽性血管炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
急性腎不全(0.1%)、ネフローゼ症候群(0.1%未満)
- 急性腎不全、ネフローゼ症候群があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心不全(0.1%未満)
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
薬効薬理
関節炎抑制作用
ラット抗原誘発関節炎モデル
- エタネルセプトはラット抗原誘発関節炎モデルに対して、5μg/joint以上の関節内投与により膝関節腫脹を抑制し、関節炎スコアを改善した。
マウスII型コラーゲン関節炎モデル
- エタネルセプトはトリII型コラーゲン関節炎モデルに対して、1μg/body以上の腹腔内投与により関節炎発症抑制効果を示した。また、150μg/bodyの腹腔内投与により関節炎及び軟骨破壊のスコアを改善した。ウシII型コラーゲン関節炎モデルに対しては、50μg/bodyの腹腔内投与により、関節炎及び血清中抗II型コラーゲン抗体価を抑制した。ブタII型コラーゲン関節炎モデルに対しても、10μg/bodyの腹腔内投与により、関節炎発症率を抑制した。
作用機序
- 本剤は、ヒトTNF可溶性レセプター部分が、過剰に産生されたTNFα及びLTαを、おとりレセプターとして捕捉し(レセプター結合反応)、細胞表面のレセプターとの結合を阻害することで、抗リウマチ作用、抗炎症作用を発揮すると考えられている。なお、本剤とTNFα及びLTαとの結合は可逆的であり、いったん捕捉したTNFα及びLTαは再び遊離される。
エタネルセプトはU937細胞表面のTNF受容体に対するTNFの結合を阻害した(解離定数(Ki)=1×10-10M)。
TNFファミリーに対する結合親和性
- エタネルセプトはTNFα及びLTαのいずれに対しても結合親和性を有するが、LTβに対する結合親和性は持たない。
TNFの細胞傷害に対する抑制作用(in vitro)
- L929細胞のTNF誘発細胞傷害に対して、エタネルセプトは10ng/mL以上の濃度で生細胞数の減少を抑制した。
IL-1α併用TNF誘発致死に対する抑制作用(in vivo)
- マウスのIL-1α(30μg/body)併用TNF(3μg/body)誘発致死に対して、エタネルセプトは30μg/body以上の静脈内投与により致死抑制作用を示した。
細胞傷害活性(in vitro)
- エタネルセプトは補体依存性の細胞傷害活性を誘導しなかった。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- エタネルセプト(遺伝子組換え)
Etanercept (genetical recombination)
化学名
- 1-235-Tumor necrosis factor receptor (human) fusion protein with 236 - 467 - immunoglobulin G1 (human γ1-chain Fc fragment), dimer
本質
- チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を利用した遺伝子組換えにより産生された、ヒトIgG1のFc領域と分子量75kDa(p75)のヒト腫瘍壊死因子II型受容体(TNFR-II)の細胞外ドメインのサブユニット二量体からなる糖蛋白質。
分子量
総アミノ酸数
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