アバタセプト
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アバタセプト
臨床データ |
販売名 |
オレンシア, Orencia |
Drugs.com |
monograph |
MedlinePlus |
a606016 |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- UK: 処方箋のみ (POM)
- US: R-only
- 処方箋医薬品
|
投与方法 |
静脈内投与 (点滴)、皮下注射 |
薬物動態データ |
半減期 |
13.1日 |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
332348-12-6 |
ATCコード |
L04AA24 (WHO) |
DrugBank |
DB01281 |
UNII |
7D0YB67S97 |
KEGG |
D03203 |
ChEMBL |
CHEMBL1201823 |
化学的データ |
化学式 |
C3504H5450N924O1092S32 |
分子量 |
79018.38 g/mol(二量体) |
アバタセプト(Abatacept)は、ヒト細胞障害性Tリンパ球抗原-4 (CTLA-4) の細胞外ドメインとヒト免疫グロブリンG定常領域から構成される融合タンパク質であり、その構造からCTLA4-IgまたはCTLA4Igとも呼ばれる。その製剤は生物学的製剤のひとつとして抗リウマチ薬などとして使用されている。製剤としてのアバタセプトは点滴用の注射剤と自己注射可能な皮下注射製剤の二種類があり、オレンシア(Orencia)の商品名でブリストル・マイヤーズおよび小野薬品[1]から発売されている。
概要
関節リウマチをはじめとする多くの全身性自己免疫疾患の病因については今日においても研究途上であるが、何らかの原因によって免疫系が異常に活動し、その結果免疫細胞の一種であるリンパ球やマクロファージが活性化し、それらが産生するTNFαやIL-6などのサイトカインによって炎症反応が引き起こされることがわかっている。 生物学的製剤のうち、TNFα阻害剤(エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブなど)やIL-6阻害剤(トシリズマブ)はこれらのサイトカインの産生を直接抑制あるいはその生理活性を抑制することで免疫抑制効果をもたらすのに対し、アバタセプトはこれらサイトカインの産生を誘導するT細胞の活性を抑制することで、免疫の抑制に寄与するところが特徴である。T細胞は抗原提示細胞と共刺激を起こすと活性化するが、アバタセプトは抗原提示細胞表面の CD80/CD86 に結合し、CD28 共刺激シグナルを阻害することでT細胞の活性化を抑制する。
効能・効果
- 関節リウマチ
- 若年性特発性関節炎(日本国内未承認)
参考文献
- ^ http://www.orencia.jp/
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 関節リウマチ治療薬アバタセプト(オレンシア^【○!R】点滴静注用250mg)の薬理学的特性および臨床効果
- 安岡 由佳,後藤 新,芹生 卓
- 日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica 137(2), 87-94, 2011-02-01
- アバタセプトはCTLA-4細胞外領域とIgGのFc領域からなり,抗原提示細胞とT細胞間の共刺激経路を阻害することでT細胞活性化を調節する新規の薬理作用を持つ関節リウマチ治療薬である.関節リウマチの病態形成にはT細胞の活性化が重要な役割を果たしており,T細胞の活性化の調節には抗原提示細胞からの共刺激経路が必須であることが報告されている.関節リウマチを適応としている既存の生物学的製剤がTNFやIL-6 …
- NAID 10029417157
Related Links
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- オレンシアは、免疫が誤って自分の身体を攻撃しないよう、免疫をつかさどるT(ティー) リンパ球という細胞(T細胞)のはたらきを抑えます。T細胞のはたらきが抑えられると、 関節の痛みや腫れを引き起こすサイトカインというタンパク質が過剰に作られなくなり、 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
オレンシア点滴静注用250mg
組成
- 本製品は,オレンシア点滴静注用250mgのバイアル及び調製専用シリンジからなる。
有効成分(1バイアル中の分量)
添加剤(1バイアル中の分量)
- マルトース水和物 500mg
リン酸二水素ナトリウム一水和物 17.2mg
その他,等張化剤及びpH調節剤を含有する。
- 調製専用シリンジ:1個
- 本剤はチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。培養工程で遺伝子組換えヒトインスリンを使用しており,また,遺伝子組換えヒトインスリンの精製工程において,ブタすい臓由来トリプシンを使用している。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある。]
効能または効果
- 過去の治療において,少なくとも1剤の抗リウマチ薬による適切な治療を行っても,効果不十分な場合に投与すること。
- 本剤と抗TNF製剤の併用は行わないこと(「重要な基本的注意」の項参照)。また,本剤と他の生物製剤の併用について,有効性及び安全性は確立していないので,併用を避けること。
- 通常,成人にはアバタセプト(遺伝子組換え)として以下の用量を1回の投与量とし点滴静注する。初回投与後,2週,4週に投与し,以後4週間の間隔で投与を行うこと。
患者の体重:60kg未満
患者の体重:60kg以上100kg以下
患者の体重:100kgを超える
調製方法
- 投与量及び必要なバイアル数について,【用法及び用量】を参照する。
- 本剤に添付されたシリコーン油を塗布していない専用のディスポーザブルシリンジ及び18〜21Gの注射針を用いて,本剤1バイアル当たり10mLの日局注射用水(日局生理食塩液も使用可)で溶解し,日局生理食塩液で希釈する〔シリコーン油が塗布されたシリンジを用いて調製した場合,本剤の溶液中に浮遊物が生じることがあるため廃棄すること。〕(「適用上の注意」の項参照)。
投与方法
- 本剤の希釈液の全量を30分かけて点滴静注する。
- 本剤は,無菌・パイロジェンフリーで蛋白結合性の低い0.2〜1.2ミクロンのメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して投与すること。
- 本剤は,独立したラインにより投与するものとし,他の注射剤・輸液等と混合しないこと。
慎重投与
- 感染症の患者又は感染症が疑われる患者(「重要な基本的注意」の項参照)
- 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)[結核を活動化させる可能性が否定できないので,胸部レントゲン検査等を定期的に行うなど,結核症状の発現に十分注意すること。](「重要な基本的注意」の項参照)
- 易感染性の状態にある患者[感染症を誘発するおそれがある。]
- 間質性肺炎の既往歴のある患者[間質性肺炎が増悪又は再発することがある。](「重大な副作用」の項参照)
- 慢性閉塞性肺疾患のある患者(「重要な基本的注意」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
重篤な感染症:
- 敗血症(0.4%),肺炎(0.3%),蜂巣炎(0.4%),局所感染(0.2%),尿路感染(0.1%),気管支炎(0.1%),憩室炎(0.1%),急性腎盂腎炎(0.1%)等の重篤な感染症があらわれることがあるので,患者の状態を十分に観察し,異常が認められた場合には,投与中止等の適切な処置を行うこと。
重篤な過敏症(頻度不明):
- ショック,アナフィラキシー様症状及び低血圧,蕁麻疹,呼吸困難等の重篤な過敏症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような反応が認められた場合には速やかに投与を中止し,適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(1%未満):
- 間質性肺炎があらわれることがあるので,発熱,咳嗽,呼吸困難等の呼吸器症状に十分注意し,異常が認められた場合には,速やかに胸部レントゲン検査,胸部CT検査及び血液ガス検査等を実施し,本剤の投与を中止するとともに適切な処置を行うこと。なお,間質性肺炎の既往歴のある患者には,定期的に問診を行うなど,注意すること。
薬効薬理
作用機序
- アバタセプトは抗原提示細胞表面のCD80/CD86に結合することでCD28を介した共刺激シグナルを阻害する。その結果,関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化及びサイトカイン産生を抑制し,さらに他の免疫細胞の活性化あるいは関節中の結合組織細胞の活性化によるマトリックスメタロプロテアーゼ,炎症性メディエーターの産生を抑制すると考えられる。
薬理作用7),8)
- アバタセプトはin vitroにおいて抗原特異的なナイーブT細胞及びメモリーT細胞の増殖を減弱させ,IL-2,TNF-α及びIFN-γなどの炎症性サイトカインの産生を抑制した。また,コラーゲン誘発関節炎ラットにおいて,病態の進行,抗コラーゲン抗体の産生及び関節破壊を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
- アバタセプト(遺伝子組換え)
Abatacept(Genetical Recombination)
本質:
- アバタセプトは遺伝子組換え融合タンパク質で,1〜125番目はヒト細胞傷害性Tリンパ球抗原−4,及び126〜358番目はヒトIgG1に由来する改変型Fc領域からなり,131,137,140及び149番目のアミノ酸残基がSerに置換されている。アバタセプトはチャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。アバタセプトは358個のアミノ酸残基からなるサブユニット2分子から構成される糖タンパク質(分子量:約92,000)である。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- abatacept
- 商
- オレンシア
- 関
- 他に分類されない代謝性医薬品