チアマゾール
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/04/14 06:08:49」(JST)
[Wiki ja表示]
チアマゾール
|
IUPAC命名法による物質名 |
1-メチル-3H-イミダゾール-2-チオン |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
投与方法 |
経口 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
93% |
血漿タンパク結合 |
なし |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
5-6 時間 |
排泄 |
腎臓 |
識別 |
CAS番号 |
60-56-0 |
ATCコード |
? |
PubChem |
CID 1349907 |
DrugBank |
APRD00002 |
化学的データ |
化学式 |
C4H6N2S |
分子量 |
114.17 g/mol |
物理的データ |
融点 |
146 °C (295 °F) |
水への溶解量 |
2.75 mg/mL (20 °C) |
チアマゾール(英: Thiamazole)は、抗甲状腺薬の一種である。メチマゾール(英: Methimazole)とも呼ばれる。プロピルチオウラシルと同様、甲状腺ホルモンを抑制する作用を持つ。チオアミドに属する。日本ではメルカゾールの商品名で発売されている。
目次
- 1 適応
- 2 作用機序
- 3 副作用
- 4 内服前、内服中の注意
- 5 脚注
適応
チアマゾールは 甲状腺機能亢進症、すなわち血中の甲状腺ホルモンが過剰になった状態の治療に用いられる。この薬は、甲状腺手術や放射性ヨード治療の前にも、血中甲状腺ホルモン濃度を低下させ甲状腺の操作の影響を最小にする目的で用いられる。
作用機序
チオアミドは甲状腺ホルモンの生合成の多くの段階をブロックする。この中にはサイロキシン(en)の生合成に必須な段階である、酵素甲状腺ペルオキシダーゼによるサイログロブリンのヨード化を含む。
副作用
無顆粒球症
もしチアマゾール内服中に発熱やのどの痛みがあったときには直ちに主治医に連絡する必要がある。これは、これらの症状が無顆粒球症(血液中の白血球数、とくに好中球数の低下。まれだが重篤であり、死亡例もある副作用)に由来する可能性があるためである。白血球数と分画の測定が行われる。無顆粒球症の際にはチアマゾールは中止される。治療のために組み替えヒトG-CSF製剤が用いられる。
その他の副作用
以下のものがあげられる。皮膚症状の頻度が比較的高い。(掻痒感・皮疹をあわせると10-20%に出現するといわれる)
- 皮膚紅斑
- 掻痒感
- 肝機能異常
- 脱毛
- 悪心嘔吐
- 食欲低下
- 筋肉痛
- 倦怠感
- 血小板減少
- MPO-ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎など。出現頻度はPTUに比べると少ない。)
- 劇症肝炎[1]
内服前、内服中の注意
- 以下に該当する人は、内服前に医師や薬剤師に相談のこと。
- 本剤チアマゾール、プロピルチオウラシル(商品名プロパジール)あるいはほかの薬に対してアレルギーをもつ人。
- 処方薬、市販薬にかかわらず薬を内服している人、とくにワルファリン(商品名ワーファリン)などの抗凝固薬、ジゴキシンを内服中の人。
- かつて白血球減少症、血小板減少症、再生不良性貧血、肝疾患にかかっていた人、あるいは現在かかっている人。
- 妊娠中の人、妊娠の予定のある人、授乳中の人。MMI embryopathyと呼ばれる新生児への影響を避けるため、プロピルチオウラシルやヨウ化カリウムへの変更が推奨されている。[2]
- もしチアマゾール内服中に発熱やのどの痛みがあったときには直ちに主治医に連絡すること(前述)。
- 外科手術、歯科手術を受ける予定の人は、外科または歯科の主治医にチアマゾール内服中であることを伝えること。
脚注
- ^ 甲状腺 日本内分泌学会雑誌 Vol.87 (2011) No.Supplement-1 特集号 第20回臨床内分泌代謝Update Proceeding p. 35-43
- ^ 妊娠初期のチアマゾール投与に関する注意喚起について(2011.11.30) 日本甲状腺学会
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
|
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- メルカゾール(MMI)の関与を否定しえたMMI長期投与後発症の顆粒球減少症と無顆粒球症の2例
- 甲状腺機能亢進症に対する初期治療で,発熱や感冒症状を軽視してはいけない! (特集 先生!ちょっと待って!日常臨床で陥りやすい落とし穴 各論)
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
メルカゾール注10mg
組成
販売名
成分・含有量(1アンプル(1mL)中):有効成分
成分・含有量(1アンプル(1mL)中):添加物
効能または効果
- 主として救急の場合に投与する。
チアマゾールとして、通常成人に対しては1回30?60mgを皮下、筋肉内又は静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
- 肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。]
- 中等度以上の白血球減少又は他の血液障害のある患者[白血球減少あるいは血液障害を悪化させるおそれがある。]
重大な副作用
汎血球減少、再生不良性貧血、無顆粒球症、白血球減少
頻度不明
- 汎血球減少、再生不良性貧血、無顆粒球症、白血球減少(初期症状:発熱、全身けん怠、咽頭痛等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(【警告】の項参照)
低プロトロンビン血症、第VII因子欠乏症、血小板減少、血小板減少性紫斑病
頻度不明
- 低プロトロンビン血症、第VII因子欠乏症、血小板減少、血小板減少性紫斑病があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
頻度不明
- 肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、肝機能検査値に注意するなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
多発性関節炎
頻度不明
- 多発性や移動性の関節炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
SLE様症状
頻度不明
- SLE様症状(発熱、紅斑、筋肉痛、関節痛、リンパ節腫脹、脾腫等)があらわれることがあるので、観察を十分に行いこのような症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
インスリン自己免疫症候群
頻度不明
- インスリン自己免疫症候群(低血糖等)があらわれることがあるので、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎
頻度不明
- 発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎症候群
頻度不明
- 本剤投与中に急速進行性腎炎症候群(初発症状:血尿、蛋白尿等)や肺出血(初発症状:咳嗽、喀血、呼吸困難等)、発熱、関節痛、関節腫脹、皮膚潰瘍、紫斑等のANCA関連血管炎症候群による障害があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
横紋筋融解症
頻度不明
- 筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
薬効薬理
- 甲状腺のペルオキシダーゼを阻害することにより、ヨウ素のサイログロブリンへの結合を阻止し、さらにヨードサイロシンのトリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)への縮合を阻害することによって甲状腺ホルモンの生成を阻害する。
- 羊の甲状腺を用いた実験で、チアマゾールはヨードに対し強い競合阻害を示した3)。
- 乾燥甲状腺末投与による甲状腺機能亢進症ラットにチアマゾールを投与すると、基礎代謝亢進が著しく抑制される4)。
- 乾燥甲状腺末投与及び正常ラットの心臓homogenateのcytochrome酸化酵素、コハク酸脱水素酵素の活性は、チアマゾール投与により抑制されることから末梢組織の酸化機能も抑制すると報告されている4)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 1‐Methyl‐1H‐imidazole‐2‐thiol
分子式
分子量
性 状
- 白色?微黄白色の結晶又は結晶性の粉末で、わずかに特異なにおいがあり、味は苦い。
水又はエタノール(95)に溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくい。
融 点
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- antithyroid drug
- 同
- 甲状腺阻害薬
- 関
- 甲状腺中毒症、薬理学、甲状腺、甲状腺ホルモン
種類
- チアミド系の化合物が用いられる(SPC.323)
作用機序
- 甲状濾胞内に能動的に取り込まれ、濾胞内でヨードの有機化と縮合を抑制
- 甲状腺濾胞内に浸潤しているリンパ球の自己抗体産生を抑制
副作用
- チアミド系化合物の副作用
副作用に対する対処
-
- 抗甲状腺薬の中止。副腎皮質ホルモン、抗菌薬、輸血、G-CSF (医学辞書改変)
- 無顆粒球症(好中球<500/ul)と判断されたらすぐに抗甲状腺薬の中止。
薬物動態の比較
|
チアマゾール
|
プロピルチオウラシル
|
血漿タンパクとの結合
|
結合しない
|
0.75
|
血漿半減期
|
4?6時間
|
75分
|
分布容積
|
40 liters
|
20 liters
|
甲状腺での濃縮
|
濃縮
|
濃縮
|
重症な肝臓病患者での代謝
|
減少
|
普通
|
重症な腎臓病患者での代謝
|
普通
|
普通
|
投与頻度
|
1-2回/日
|
1-4回/日
|
胎盤の通過
|
低
|
低
|
母乳への移行
|
低
|
低
|
参考
uptodate
- 1. [charged] チオナミドによるバセドウ病(グレーブス病)の治療 - uptodate [1]
- 2. [charged] チオナミドの薬理学および毒性 - uptodate [2]
- 3. [charged] 患者情報:抗甲状腺剤 - uptodate [3]
[★]
- 英
- thiamazole
- ラ
- thiamazolum
- 同
- メチマゾール methimazole、メルカプトメチルイミダゾール mercaptomethylimidazole MMI
- 商
- メルカゾール、Tapazole
- 関
- 薬理学、甲状腺機能亢進症。プロピルチオウラシル propylthiouracil PTU
作用機序
薬理作用
- ペルオキシダーゼは濾胞内でO2からH2O2を生成し、H2O2によりI-がI・となりサイログロブリン上のチロシンの3位or5位につく
動態
- 胎盤を通過
- 乳汁中に分泌 → 妊婦には投与しない方がよい
適応
注意
禁忌
副作用
[★]
商品