- 英
- suxamethonium
- 同
- サクシニルコリン succinylcholine、塩化サクシニルコリン succinylcholine chloride, SCC
- 化
- 塩化スキサメトニウム suxamethonium chloride
- 商
- サクシン、レラキシン、Anectin
- 関
- 薬理学
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分類
構造
作用機序
薬理作用
動態
適応
- 気管内挿管時・骨折脱臼の整復時・喉頭痙攣の筋弛緩
- 精神神経科における電撃療法の際の筋弛緩
- 腹部腫瘤診断時
注意
禁忌
副作用
- SAN.71改変
- 1. 筋肉痛:強い攣縮が起こるために筋痛をきたす。
- a) 外眼筋攣縮:眼圧亢進を来たし、緑内障を生ずることがある。この眼圧亢進は投与後1-6分で5-10mmHgほど上昇
- b) 脳圧亢進
- c) 腹筋の攣縮:胃内圧亢進を来たす。
- 治療:ダントロレン:筋小胞体からのカルシウム遊離を阻害
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/02 16:21:48」(JST)
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スキサメトニウムの構造式
|
IUPAC命名法による物質名 |
2,2'-[(1,4-dioxobutane-1,4-diyl)bis(oxy)]bis
(N,N,N-trimethylethanaminium) |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
A(AU) C(US) |
法的規制 |
Prescription Only (S4) (AU) POM (UK) ℞-only (US) |
投与方法 |
静注、筋注 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
? |
血漿タンパク結合 |
? |
代謝 |
偽コリンエステラーゼ
サクシニルモノコリンとコリンに分解
|
半減期 |
? |
排泄 |
腎臓 (10%) |
識別 |
CAS登録番号 |
306-40-1 |
ATCコード |
M03AB01 |
PubChem |
CID 22475 |
IUPHAR ligand ID |
4004 |
DrugBank |
DB00202 |
ChemSpider |
21080 |
UNII |
J2R869A8YF |
KEGG |
D00766 |
ChEBI |
CHEBI:61219 |
ChEMBL |
CHEMBL983 |
化学的データ |
化学式 |
C14H30N2O4 |
分子量 |
290.399 g/mol |
SMILES
- [Cl-].[Cl-].O=C(OCC[N+](C)(C)C)CCC(=O)OCC[N+](C)(C)C
|
InChI
-
InChI=1S/C14H30N2O4.2ClH/c1-15(2,3)9-11-19-13(17)7-8-14(18)20-12-10-16(4,5)6;;/h7-12H2,1-6H3;2*1H/q+2;;/p-2
Key:YOEWQQVKRJEPAE-UHFFFAOYSA-L
|
スキサメトニウム(英:suxamethonium)とは筋弛緩薬の1つ。四級アンモニウム化合物の一つで、医薬品としては塩化物の塩化スキサメトニウム(Suxamethonium chloride)として市販されている。サクシニルコリン(Succinylcholine)の名でも知られる。ツボクラリンの構造をヒントに開発された。商品名はサクシン。
目次
- 1 概要
- 2 副作用
- 3 誤投薬事故
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 参考文献
概要
神経筋接合部における筋肉終板のニコチン受容体をアセチルコリンと同様に活性化することにより脱分極を起こす。ただし、アセチルコリンと違い、コリンエステラーゼにより解されるのが遅いために脱分極が持続し、Na+チャネルが不活性化状態となり活動電位が発生しなくなる。そのため、コリンエステラーゼ阻害剤はコリンエステラーゼによるスキサメトニウムの分解を抑制する。人工呼吸や気管内挿管を容易にするため麻酔前投与薬として使用される。精神科の電気けいれん療法の筋弛緩にも使われる[1]。
副作用
強心配糖体との併用で不整脈を起こす可能性がある。眼内圧亢進作用を有するため、緑内障患者への使用は禁忌。
また悪性高熱の原因の一つと目されているため、近年では麻酔科臨床において使用される頻度は減っている。
誤投薬事故
スキサメトニウムの商品名である「サクシン」は、ヒドロコルチゾン(ステロイド製剤)の「サクシゾン」と名称がよく似ているため、2008年に徳島県の健康保険鳴門病院でサクシゾンと間違え、サクシンの誤投与がなされ患者が死亡するという事故が起きた[2]。
脚注
- ^ 脳電気ショックの恐怖再び 水野昭夫 現代書館 2007年 ISBN 9784768469507 p34
- ^ 詳しい経緯は健康保険鳴門病院 誤投薬事故調査報告書 (PDF) を参照のこと
関連項目
- デカメトニウム
- 術中合併症
- 全身麻酔
- 大阪愛犬家連続殺人事件
- 悪性高熱症
- 医薬品一覧
- ソードアートオンライン
参考文献
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 武田 純三
- 日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia 30(3), 438-445, 2010-05-14
- NAID 10026353655
- 電気痙攣療法における痙攣持続時間および循環動態に及ぼす麻酔の影響
- 高畑 治
- 日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia 28(4), 590-598, 2008-06-19
- … 著者最終原稿版迅速導入での留意点について,前酸素化の効果,スキサメトニウムやロクロニウムなどの筋弛緩薬使用法,輪状軟骨圧迫の効果と方法を中心に文献的考察を加えて検討した.安全で確実な迅速導入施行には,術前回診での気管挿管困難の予測に加え,麻酔導入前での十分な酸素化が必須となる.麻酔導入薬としてはチアミラール,プロポフォールの選択が多いものの,安定した血行動態を得るには麻薬性鎮痛薬の併用 …
- NAID 10024130154
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- 販売名 欧文商標名 製造会社 YJコード 薬価 規制区分 スキサメトニウム注20「マルイシ」 Suxamethonium inj.20 丸石製薬 1224400A1053 92円/管 毒薬 , 処方箋医薬品 スキサメトニウム注40「マルイシ」 Suxamethonium inj.40
- 作成又は改訂年月 2015年10月作成(第1版) 日本標準商品分類番号 871224 日本標準商品分類番号等 再評価結果公表年月(最新) 1975年3月 薬効分類名 筋弛緩剤 承認等 販売名 スキサメトニウム注20「マル ...
- スキサメトニウム注20「マルイシ」/スキサメトニウム注4... 製造販売元/丸石製薬株式会社 更新日:2015年10月01日 処方箋医薬品 レラキシン注用200mg 製造販売元/杏林製薬株式会社 更新日:2017年04月13日
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
組成
有効成分(1管中)
- 日局 スキサメトニウム塩化物水和物 22mg(1mL)(脱水物として20mg)
添加物
効能または効果
- 麻酔時の筋弛緩
気管内挿管時・骨折脱臼の整復時・喉頭痙攣の筋弛緩
精神神経科における電撃療法の際の筋弛緩
腹部腫瘤診断時
間歇的投与法
- スキサメトニウム塩化物水和物の脱水物として、1回10?60mgを静脈内注射する。この用量で筋弛緩が得られないときは、筋弛緩が得られるまで適宜増量する。
また、乳幼児及び小児に対する投与法として静脈内注射の場合1mg/kgを、静脈内注射が不可能な場合は2?3mg/kgを筋肉内注射する。
持続点滴用法
- 持続性効果を求める場合は、0.1?0.2%となるように生理食塩液又は5%ブドウ糖液に溶かし、持続注入する。
通常2.5mg/分ぐらいの速さで注入する。
また、乳幼児及び小児に対する投与法として静脈内注射の場合1mg/kgを、静脈内注射が不可能な場合は2?3mg/kgを筋肉内注射する。
重大な副作用
ショック
(0.1%未満)
- ショックがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、血圧低下、脈拍の異常等の症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
悪性高熱症
(頻度不明)
- 原因不明の頻脈・不整脈・血圧変動、急激な体温上昇、筋硬直、血液の暗赤色化(チアノーゼ)、過呼吸、ソーダライムの異常過熱・急激な変色、発汗、アシドーシス、高カリウム血症、ミオグロビン尿(ポートワイン色尿)等を伴う重篤な悪性高熱がまれにあらわれることがある。また、これらの症状の悪化により、横紋筋融解症があらわれることがある。本剤を使用中、悪性高熱に伴うこれらの症状を認めた場合は、直ちに中止し、ダントロレンナトリウムの静注、全身冷却、純酸素での過換気、酸塩基平衡の是正等適切な処置を行うこと。
気管支痙攣、遷延性無呼吸
(いずれも頻度不明)
- 気管支痙攣、遷延性無呼吸(持続性呼吸麻痺)を起こすことがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心停止
(頻度不明)
- 心停止を起こすことがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸抑制
(頻度不明)
- 本剤によって充分な筋弛緩を得ようとする時、全く呼吸抑制が起こらないよう施術することは困難であり、また、呼吸停止を警戒しすぎると所要の筋弛緩が得られないことがある。呼吸停止が起こった場合には、薬液の注入を筋弛緩維持に必要な量まで減ずるか、一旦中止し、人工呼吸によって積極的に酸素を補給しないと危険である。20?40mgの本剤投与によって発生する呼吸停止は、通常およそ2?5分で回復する。
横紋筋融解症
(頻度不明)
- 横紋筋融解症があらわれることがあるので、体温の上昇がない場合においても、高カリウム血症、ミオグロビン尿、血清逸脱酵素の著明な上昇、筋肉痛等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 直接神経の終板に働き、持続的脱分極を起こすことにより筋弛緩作用を発揮する。また、しばしば一過性の筋線維性攣縮を経過して筋弛緩に至ることがあるが、この筋線維性攣縮の終わったとき、筋弛緩が最高に達する4)。
- 神経終板の脱分極が短く、脱分極が最高に達した後に最大の神経筋遮断が起こる。このために、本剤の神経筋遮断作用は脱分極後に起こる終板の脱感受性作用によるとも考えられている5)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- スキサメトニウム塩化物水和物(Suxamethonium Chloride Hydrate)
化学名
- 2,2'-Succinyldioxybis(N,N,N -trimethylethylaminium)dichloride dihydrate
構造式
分子式
分子量
融点
性状
- スキサメトニウム塩化物水和物は白色の結晶性の粉末である。水、メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(95)に溶けにくく、無水酢酸に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107E053]←[国試_107]→[107E055]
[★]
- 抜管後の術後呼吸抑制の原因薬物と拮抗薬の組合せで適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G017]←[国試_108]→[108G019]
[★]
[★]
- 英
- pharmacology
- 関
- drug entries
定義
- 生物系と化学物質の選択的な相互作用を研究する学問 (SPC.2)
生物系と薬の相互作用
- 薬の生物系に対する相互作用:薬理作用 <-化学の視点
- 生物系の薬に対する相互作用:薬物動態 <-生物の視点
関連分野
- 薬物学 materia medica
- 生薬学
- 実験薬理学
- 臨床薬理学
- 動物薬理学
- 人体薬理学
- 比較薬理学
- 薬理作用学(薬力学)
- 薬物動態学
- 中毒学、毒科学
- 薬物治療学
- 処方学
薬品の命名
薬一覧
薬理動態
神経伝達物質
神経筋接合部遮断薬(筋弛緩薬)
交感神経作動薬
- →アドレナリン受容体
交感神経遮断薬
- →アドレナリン受容体
副交感神経作動薬
- →アセチルコリン受容体
副交感神経遮断薬
- →アセチルコリン受容体
甲状腺関連物質
[★]
- 英
- nicotinic receptor
- 同
- ニコチン性受容体、ニコチン性アセチルコリン受容体
- 関
- アセチルコリン受容体、アドレナリン受容体
- 神経筋接合部の運動終板に存在するニコチン性受容体:NM受容体
- 神経筋接合部では、4種類5個のサブユニットからなる→五量体
- α1, α1, β1, γ, δ ← 胎児
- α1, α1, β1, ε, δ ← 成人
- 自律神経節、副腎髄質に存在するニコチン性受容体:NN受容体
受容体
|
サブユニット
|
局在
|
透過するイオン
|
作動薬
|
阻害薬
|
NM受容体
|
胎児
|
(α1)2, β1, γ, δ
|
骨格筋の神経筋接合部
|
Na+, K+
|
アセチルコリン ニコチン スキサメトニウム デカメトニウム
|
ベクロニウム パンクロニウム アトラクリニウム d-ツボクラリン
|
成人
|
(α1)2, β1, ε, δ
|
NN受容体
|
(α3)2, (β4)3
|
自律神経節 副腎髄質
|
Na+, K+
|
アセチルコリン ニコチン epibatidine dimethylphenylpiperazinium
|
triethaphan mecamylamine
|
CNS
|
(α4)2, (β4)3
|
postjunctional prejunctional
|
Na+, K+
|
cytisine, epibatidine anatoxin A
|
mecamylamine dihydro-β-erythrodine erysodine lophotoxin
|
(α7)5
|
postsynaptic presynaptic
|
Ca2+
|
anatoxin A
|
methyllycaconitine α-bungarotoxin α-conotoxin IMI
|
[★]
- 関
- 筋弛緩薬。鎮けい剤
商品
- アフロクアロン
- クロルフェネシン:脊髄の多シナプス反射経路中の介在ニューロンを選択的に抑制することにより骨格筋の痙縮を緩解する。除脳固縮(γ-固縮)及び貧血性除脳固縮(α-固縮)を共に緩解する。
- チザニジン:チザニジンは中枢性のアドレナリンα2作動効果を有し、脊髄及び脊髄上位中枢に作用して、固縮緩解作用、脊髄反射抑制作用等の筋緊張緩和作用を有する。
- エペリゾン:脊髄において単及び多シナプス反射を抑制すると共に、γ-運動ニューロンの自発発射を減少させ、筋紡錘の感度を低下させることで、メフェネシンよりも強力な骨格筋弛緩作用を発揮する。また、中脳毛様体及び後部視床下部を介する脳波覚醒反応を抑制する作用や、血管平滑筋のCa2+チャネル遮断や交感神経活動の抑制を介して、皮膚・筋や脳への血流量を増大させる作用もある。脊髄レベルにおける鎮痛作用も有する。3)
[★]
- pyrexia
- 英
- malignant hyperpyrexia, MH
- 同
- 悪性高体温症 malignant hyperthermia
- 関
- 悪性高熱
病因
- (最も多い)
- (起こりにくい)
病態生理
- 骨格筋内の筋小胞体からのカルシウムイオンの異常な遊離亢進により筋強直
- 小胞体のカルシウムチャネルにおけるアミノ酸配列に異常が見られることによる
症状
- 高熱(40℃以上)、筋硬直、頻脈、不整脈、高度のアシドーシス、多臓器不全
診断
診断基準
- 15分間で0.5℃以上 or 1時間で1℃以上の体温の上昇
- 発症後にミオグロビン尿が見られる
- ETCO2の上昇
鑑別疾患
発症が疑われたとき
- 疑わしい薬物の投与中止
- 発熱がある場合は、ダントロレンを投与
- 冷却(大量輸血、対外循環)
- 輸液(アシドーシス・電解質の補正)
- 利尿剤の投与
治療
- 麻酔の中止
- 純酸素の吸入
- 全身を冷却
- 対ショック療法
- ダントロレンの投与
[★]
- 英
- distigmine
- 化
- 臭化ジスチグミン distigmine bromide
- ラ
- distigmini bromidum
- 商
- ウブレチド、ウブテック
- 関
- 抗コリンエステラーゼ薬、ネオスチグミン
適応
- 経口:重症筋無力症、手術後および神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難
- 点眼剤:緑内障、や調節性内斜視
禁忌
- 消化管・尿路の器質的閉塞、迷走神経緊張症、脱分極性筋弛緩薬(スキサメトニウム)を投与中の患者
副作用
-臭化ジスチグミン
[★]
- 英
- suxamethonium poisoning
- 同
- サクシニルコリン中毒 succinylcholine poisoning
[★]
- 英
- suxamethonium apnea
- 同
- サクシニルコリン無呼吸症 succinylcholine apnea