- 英
- peroxidase Poase PO
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ペルオキシダーゼ |
識別子 |
EC番号 |
1.11.1.7 |
CAS登録番号 |
9003-99-0 |
データベース |
IntEnz |
IntEnz view |
BRENDA |
BRENDA entry |
ExPASy |
NiceZyme view |
KEGG |
KEGG entry |
MetaCyc |
metabolic pathway |
PRIAM |
profile |
PDB構造 |
RCSB PDB PDBe PDBsum |
遺伝子オントロジー |
AmiGO / EGO |
検索 |
PMC |
articles |
PubMed |
articles |
NCBI |
proteins |
|
ペルオキシダーゼ (EC番号 1.11.1.x) は、ペルオキシド構造を酸化的に切断して2つのヒドロキシル基に分解する酵素である。つまり、
ROOR' + 電子供与体 (2 e-) + 2H+ → ROH + R'OH
という反応を触媒する。活性部位にヘムを補因子として含んでいたり、酸化還元活性を持つシステインやセレノシステインを持つことが多い。
ペルオキシダーゼのほとんどは、PeroxiBase データベースに登録されている。
目次
- 1 基質特異性
- 2 生体内での役割
- 3 応用
- 4 関連項目
- 5 参考文献
基質特異性
過酸化水素を基質とするものが多いが、過酸化脂質など有機過酸化物に対する活性が強いものもある。
基質特異性は、酵素によって異なる。例えば 西洋ワサビペルオキシダーゼの場合、いろいろな有機化合物が電子供与体や受容体として働く。これは、活性部位が酵素の外から近づきやすい場所にあり、多くの物質が反応できるからである。一方 シトクロムcペルオキシダーゼ は、電子供与体としてシトクロムc を選択的に用いる。これは、活性部位が立体的に遮蔽された場所にあり、他の分子は十分に近づけないからである。なお、シトクロムcペルオキシダーゼは可溶性で精製しやすいので、シトクロムc酸化酵素のモデルとして研究されている。
生体内での役割
ミトコンドリアの電子伝達系では、スーパーオキシドアニオン(O2-)などの活性酸素種が常に発生している。活性酸素は生体分子を破壊し有害であるため、防御機構が存在する。スーパーオキシドアニオンは、まずスーパーオキシドディスムターゼ(SOD) によって過酸化水素に変換され、ペルオキシダーゼによって無害な水に分解される。
機構の詳細は分かっていないが、ペルオキシダーゼは植物の感染防御に関与している[1]。
グルタチオンペルオキシダーゼはセレノシステインを含む酵素である。グルタチオンを電子供与体として用い、過酸化水素だけでなく有機過酸化物にも作用し、酸化ストレスから生体を守っている。
ハロペルオキシダーゼも典型的なペルオキシダーゼである。この酵素は活性化ハロゲン種を生成し、その結果、有機化合物がハロゲン化される。
応用
ペルオキシダーゼ、特に西洋ワサビペルオキシダーゼは、組織学における染色(酵素抗体法)や、ELISAなどの分析化学実験において、標識物質として用いられている。上記のように基質特異性が広い西洋ワサビペルオキシダーゼを使って、テトラメチルベンジジンなどの色素前駆体を分解させ、分解物の着色を検出するのである。西洋ワサビペルオキシダーゼは分子量も小さいため、抗体に結合させて利用できる。
ペルオキシダーゼは、工業排水の処理に利用できる。例えば、重要な汚染物質であるフェノールは、西洋ワサビペルオキシダーゼによって多量体化して除去することができる。フェノールがフェノキシラジカルへ酸化され、これが多量体化するのである。多量体化したフェノールは単量体よりも毒性が低い。
ペルオキシダーゼを激しい反応条件や反応剤の代わりにすることもできる。接着剤・コンピュータのチップ・車の部品・ドラム缶や缶の内張りなどの生産過程で、ペルオキシダーゼを使用する研究も盛んである。
関連項目
- ハロペルオキシダーゼ
- バナジウムブロモペルオキシダーゼ - 有機物質のブロモ化を行う酵素で、海藻などで二次代謝物の生合成に関与する
- ミエロペルオキシダーゼ (MPO)
- カタラーゼ
- ヘムタンパク質
- 過酸化物
- ペルオキシレドキシン
- 動物ヘム依存性ペルオキシダーゼ en:Animal heme-dependent peroxidases
- 甲状腺ペルオキシダーゼ - 甲状腺ホルモンの合成を行う
- アミロイドベータはヘムと結合すると、ペルオキシダーゼ活性を持つ[2]
参考文献
- ^ Karthikeyan M et al (December 2005). “Induction of resistance in host against the infection of leaf blight pathogen (Alternaria palandui) in onion (Allium cepa var aggregatum).”. Indian J Biochem Biophys 42 (6): 371� 7. PMID 16955738.
- ^ Hani Atamna, Kathleen Boyle (21 Feb 2006). “Amyloid-{beta} peptide binds with heme to form a peroxidase: Relationship to the cytopathologies of Alzheimer's disease”. Proceedings of the National Academy of Science 103 (9): 3381 - 3386. doi:10.1073/pnas.0600134103.
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Japanese Journal
- 2-III-14 グルタチオンペルオキシダーゼによるレドックス制御を介した環境ストレス応答機構(一般演題要旨,日本ビタミン学会第63回大会講演要旨)
- 尾形 知哉,丸田 隆典,Gaber Ahmed,田茂井 政宏,吉村 和也,重岡 成
- ビタミン 85(4), 239, 2011-04-25
- NAID 110008607968
- 2-III-13 葉緑体型アスコルビン酸ペルオキシダーゼを介したストレス応答機構(一般演題要旨,日本ビタミン学会第63回大会講演要旨)
- 丸田 隆典,松田 峻,野志 昌弘,尾尻 恵,田茂井 政宏,薮田 行哲,吉村 和也,石川 孝博,重岡 成
- ビタミン 85(4), 239, 2011-04-25
- NAID 110008607967
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★リンクテーブル★
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105D014]←[国試_105]→[105D016]
[★]
- 英
- eosinophil (Z), eosinophile
- 関
- 顆粒球、白血球、好塩基球
組織学
- 酸性色素(エオシン)で染まる顆粒(好酸性顆粒)を持つ → ギムザ染色で赤っぽい顆粒がみえる (HIS.190 図10-3)
- 塩基性の成分が含まれている?
- 二分葉の核 (HIS.197)
- 直径は10-14μm (HIS.197)
- 末梢血
顆粒
-
- 特殊顆粒:主要塩基性タンパク質、好酸性陽イオンタンパク、好酸球由来神経毒素
機能 (HIS.198)
- ヒスタミン、ロイコトリエン、好酸球走化因子と結合して、これに向かって遊走する。
- 抗原抗体複合体の取り込み、およびファゴサイト内での分解
基準値
好酸球数の変化
- 寄生虫感染症、アレルギー疾患(特に、I型アレルギー)
- 喘息、ある種の腫瘍
サイトカイン
- IL-5の受容→好酸球の前駆細胞増殖、前駆細胞から好酸球への分化促進 (HIS.197)
臨床関連
[★]
- 英
- propylthiouracil, PTU
- ラ
- propylthiouracilum
- 商
- チウラジール、プロパジール
- 関
- 薬理学、甲状腺、抗甲状腺薬
分類
薬理作用
- ペルオキシダーゼは濾胞内でO2からH2O2を生成し、H2O2によりI-がI・となりサイログロブリン上のチロシンに付加反応を起こす
- この阻害作用はチアマゾールも示し、チアマゾールの方が薬効が高い(より少量で作用する)
- 2. 末梢(肝、腎)でT4からT3へ変換を抑制する
- 肝、腎、甲状腺にはtype I iodothyronine 5'-deiodinaseが存在し、T4からT3へ変換している。
副作用
GOO.1529
- 肝機能の異常は高投与量でみられるかもしれない
- 稀:発熱、肝炎、腎炎、血管炎(ANCAと関連か?)
- antineutrophilic cytoplasmic antibody(ANCA)はプロピルチオウラシル投与患者の50%に見られる
- (別の資料では、20%の患者がANCA陽性)
- ANCA陽性腎炎と関連?
[★]
- 英
- basophil (Z), basophils
- 同
- 好塩基性顆粒球 basophilic granulocyte
- 関
- 顆粒球、白血球
組織学
- 好塩基性色素(メチレンブルー(紫))に染まる顆粒を有する
- ヒスタミンなどのケミカルメディエーターを含む
- 好塩基性色素(酸性の成分を染める)で染まるのは、ヘパリン or コンドロイチン硫酸を含むため?(いずれも硫酸基を含む) ← basophilic and metachromaticの理由
- FcεRIを有する
顆粒
基準値
機能
- 肥満細胞と同じような機能を果たす。
- 肥満細胞と共にI型アレルギーの開始に関与する
- 好塩基球は血液中に存在。肥満細胞は肥満細胞は結合組織や粘膜に存在。
- 由来は異なる
- FcεRIに結合したIgEを介してアレルゲンを結合し、ケミカルメディエーターを放出
- 好塩基球はI型アレルギーの際に増加しない (⇔好酸球)
臨床関連
[★]
- 英
- thiamazole
- ラ
- thiamazolum
- 同
- メチマゾール methimazole、メルカプトメチルイミダゾール mercaptomethylimidazole MMI
- 商
- メルカゾール、Tapazole
- 関
- 薬理学、甲状腺機能亢進症。プロピルチオウラシル propylthiouracil PTU
作用機序
薬理作用
- ペルオキシダーゼは濾胞内でO2からH2O2を生成し、H2O2によりI-がI・となりサイログロブリン上のチロシンの3位or5位につく
動態
- 胎盤を通過
- 乳汁中に分泌 → 妊婦には投与しない方がよい
適応
注意
禁忌
副作用
[★]
- 英
- mast cell, mastocyte
- 同
- マスト細胞
- 関
- ヒスタミン、好塩基球
形状
- 20-30μm (HIS.101)
- 細胞質に0.3-0.8μmの顆粒を含む
特徴
- ヘパリン(or コンドロイチン硫酸)、
- ヒスタミン、
- 中性プロテアーゼ(トリプターゼ、キマーゼ、カルボキシペプチダーゼ)
- アリルスルファターゼ
- その他
- β-グルクロニダーゼ
- キニノゲナーゼ
- ペルオキシダーゼ
- スーパーオキシドジスムターゼ
- 好酸球走化因子
- 好中球走化因子
由来
染色像
臨床関連
- 炎症(I型アレルギー)の引き金を引く細胞。喘息患者の気道平滑筋層に存在(健常人では存在しない(HIM. 1598)
[★]
- 英
- thyroid peroxidase, TPO
- 関
- 甲状腺、甲状腺ホルモン、橋本病、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体
[★]
- 英
- lactoperoxidase
- 関
- ペルオキシダーゼ
[★]
- 英
- iodide peroxidase
- 関
- 脱ヨウ素酵素
[★]
- 英
- glutathione peroxidase deficiency
[★]
- 英
- cytochrome c peroxidase
[★]
- 英
- peroxyl、peroxy
- 関
- 過酸化、パーオキシ
[★]
- 英
- fern
- 関
- シダ植物