- 70歳の男性。大腸がん検診で便潜血反応陽性であったため、精密検査を勧められて来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。血液所見:赤血球 410万、Hb 3.2g/dl、Ht40%、白血球 7,200、血小板 19万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dl、アルブミン 4.0g/dl、AST 20IU/l、ALT 18IU/l、LD 312IU/l(基準176-353)、ALP 275IU/l(基準115-359)。CRP 0.1mg/dl。注腸造影写真(別冊No.16)を別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
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★リンクテーブル★
[★]
- 1歳7か月の女児。脾腫の精査を目的に来院した。 1歳6か月児健康診査で脾腫を指摘された。出生後の発育と発達とは正常である。眼球結膜に軽度の黄染を認める。腹部で肝を1cm、脾を4cm触知する。血液所見:赤血球 347万、Hb 8.7g/dl、Ht 27%、白血球 12,100、血小板 36万。血液生化学所見:総蛋白 6.4g/dl、アルブミン 4.2g/dl、総ビリルビン 2.0mg/dl、AST 41IU/l、ALT 23IU/l、ALP 558IU/l(基準361-958)、ハプトグロビン 10mg/dl(基準19-170)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No.17)を別に示す。
- 合併によって原疾患が急激に増悪する可能性があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D042]←[国試_105]→[105D044]
[★]
- 生後1日の新生児。頻回の嘔吐を認めている。身長48.0cm、体重3,026g。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部はやや膨隆しており、軟である。吐物(別冊No.15A)と腹部エックス線写真(別冊No.15B)とを別に示す。手術治療が予定された。
- 適切な術式はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D040]←[国試_105]→[105D042]
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[★]
- 英
- diverticulum of the colon (SSUR)
- 関
- 結腸憩室、憩室
概念
- 大腸壁の脆弱な部分が腸管内圧の上昇により壁外に袋状に突出した状態。 → 多発している場合大腸憩室症 (消化器疾患ビジュアルブック p.131)
原因
- 低残渣食などによる過剰な分節異常により慢性的な腸管内圧の異常を来し、これにより結腸壁の脆弱な直動脈貫通部の筋層を貫いて粘膜が脱出して形成される(後天性の仮性憩室)。(SSUR.531)
疫学
- アジアでは右側結腸に多く、また若年にみられる。S状結腸に好発するのは欧米人や老人。(SSUR.531)
症状
- 多くは無症状 (SSUR.531)
- 腹痛、腹部不快感、膨満感、便秘・下痢
合併症
- 憩室炎、膿瘍、穿孔、腹膜炎、狭窄、瘻孔形成、消化管出血(憩室出血)
- 約80%は無症状で経過するが、20%の例で症状を呈する。有症状例の2/3が憩室炎、1/3が憩室出血。有症状例の30%が再発性。 (消化器疾患ビジュアルブック p.132)
診断
- 下部消化管内視鏡検査:出血部位の同定、癌・ポリープ等の合併病変の有無の確認
- 腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRI:膿瘍などの評価
- 腹部血管造影、出血シンチグラフィ:大量出血。出血部位の同定
鑑別診断
- アジアでみられる右側結腸の大腸憩室では、虫垂炎が鑑別となる。(SSUR.531)
治療
- SSUR.531
- 症状がない場合は治療対象とならない。
- (腸管運動異常)繊維食、下剤
- (憩室炎)鎮痛薬、鎮痙薬、抗菌薬
- (憩室出血)内視鏡的止血、動脈塞栓術
- (膿瘍)絶食、抗菌薬、CT下穿刺ドレナージ
- 手術療法:腸管穿孔による腹膜炎、保存的治療に反応しない多量出血
参考
- 1. [charged] 結腸憩室症の疫学および病態生理 - uptodate [1]
- 2. [charged] 結腸憩室症の臨床症状および診断 - uptodate [2]
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