- 20歳の男性。頭痛を主訴に来院した。 3週前から頭痛が出現し徐々に増強してきた。食欲がなくなり、歩行時にふらつきもみられた。母と叔父とが脳腫瘍の手術を受けている。入院時血圧180/100mmHg。失調性歩行を認め、入院後も血圧高値が持続している。眼底検査で網膜血管腫を認める。腹部CTで左副腎に腫瘤を認める。頭部造影MRIのT1強調矢状断像(別冊No.8)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
E
- 家族歴、褐色細胞腫、年齢、脳圧亢進症、小脳失調、網膜血管腫から疑う。
※国試ナビ4※ [105D029]←[国試_105]→[105D031]
★リンクテーブル★
[★]
- 10歳の男児。右下肢痛のため家族に伴われて来院した。 4か月前から誘因なく右大腿部痛が出現したという。痛みは安静時、運動時ともにあり、夜間に増悪する。右下肢の皮膚、筋および関節に異常を認めない。右大腿骨のエックス線検査で異常が疑われたため撮影した両大腿部の単純CT(別冊No.7)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D028]←[国試_105]→[105D030]
[★]
- 40歳の男性。右耳痛と右顔面神経麻痺とを主訴に来院した。今朝から右難聴、耳鳴および軽い回転性めまいがある。右外耳道入口部に皮疹を認める。原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D030]←[国試_105]→[105D032]
[★]
[★]
- 英
- von Hippel-Lindau disease VHL disease, VHL
- 同
- フォンヒッペル・リンダウ病 VHL病 、リンダウ病、ヒッペル病、フォン・ヒッペル・リンダウン病、フォン・ヒッペル-リンダウ病
- 網膜血管腫症 retinal angiomatosis
- 関
- 血管芽腫、神経皮膚症候群。フォン・ヒッペル病(網膜の血管腫のみの場合(SOP.144))
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概念
- 癌抑制遺伝子であるVHL遺伝子の変異による常染色体優性遺伝疾患で、中枢神経系の血管芽腫、網膜血管芽腫、腎細胞癌、副腎腫瘍などを発症する疾患である。
- 頭部の血管芽腫と腎・副腎腫瘍と覚えておこう
病因
- 3p25のVHL遺伝子:癌抑制遺伝子の変異が関与
- 11q13にもマッピングされている。
疫学
遺伝形式
病態
- 多くの臓器に腫瘍や嚢胞を形成(腎(40%に腎細胞癌。腎嚢胞)、中枢神経系の血管芽腫、網膜血管腫、膵腫瘍(膵嚢胞)、肝、副腎(褐色細胞腫)など)
- 眼 :毛細血管レベルで血管腫が発生し、グリアの増殖を伴ってオレンジ色の結節を形成する。血管腫を介したシャントが形成されるために動脈・静脈が拡張蛇行する。進行すれば血管腫から血漿が漏出して漿液性網膜剥離をきたす。また硬性白斑がみられる。
症状
- 眼 :(網膜剥離が起これば)視野障害・視力障害
- 神経:(小脳の血管芽腫により)小脳失調。てんかん(SOP.144)。
- 皮膚:(低頻度)血管腫、カフェオレ斑
合併症
検査
- 造影:小脳の血管芽腫は濃染される。嚢胞を伴う場合は均一な低信号領域が認められる。
- [show details]
国試
参考
- 1. [charged] フォンヒッペル・リンダウ病の臨床的特徴、診断、および管理 - uptodate [1]
- 2. [charged] フォンヒッペル・リンダウ病の分子生物学および病因 - uptodate [2]
- 3. VON HIPPEL-LINDAU SYNDROME - OMIM
- http://omim.org/entry/193300
メモ