- 英
- bladder tumor BT, bladder neoplasm, urinary bladder neoplasm
- ラ
- tumor vesicalis
- 関
- 膀胱癌
疫学
- 大部分が悪性腫瘍(死亡率は全悪性腫瘍の1.5%)
- 50-70歳代に多く、男女比は3:1。
- 発生年齢は男女とも40歳代以降で年齢とともに高くなる。50歳代以降に発生しやすい(IMD)。
- 年齢調整死亡率:男性 3.8/10万人、女性 1.0/10万人
- 罹患率:男性 6.8人、女性 1.7人(IMD)。
好発部位
転移
病理
悪性腫瘍
- 膀胱癌の80%以上
- 表在性・乳頭状であることが多い
- 多発性・異所性再発癌の傾向がある
- そのため上皮内癌でも悪性度は高い
良性腫瘍
病因
- ゴム工業、石油化学工業、ペンキ工など芳香族アミンを扱う職業人は発生率が非常に高い(職業性膀胱癌)。またこの場合、潜伏期は平均18年。
- 2-ナフチルアミン、ベンチジン、4-アミノジフェニルなど
- 2. トリプトファン代謝物
- 3. 喫煙
- 4. コーヒー
- 5. 慢性機械的刺激:扁平上皮癌が多い
- 膀胱結石:長年放置され、継続的に刺激を受けた場合
- ビルハイツ住血吸虫:虫卵による刺激。
- 第9番染色体の欠失:膀胱粘膜に発生する乳頭状の癌に関与
- 第17番染色体短腕の癌抑制遺伝子の障害:上皮内癌の発生に関与
症状
- 初発症状は無症候性血尿(症例の約80%)
- 突然の血尿と自然止血を繰り返し、次第に血尿の持続時間が長くなる
- 腫瘍部血管の破裂、潰瘍、壊死による血管損傷で起こる出血と、凝血による止血のため
- (1)排尿痛
- (2)側腹部痛・背痛
- (3)腰部神経痛性疼痛
- (4)腎部痛・発熱
- 4. 全身症状…腫瘍の進展により体重減少、倦怠感、貧血など悪液質の症状を呈する
=腫瘍合併症、腫瘍の進展による症状
診断
- 診断は膀胱鏡検査によるが、生検にて分化度と浸潤などを調べる。
内視鏡検査(膀胱鏡)
- 経尿道的に膀胱鏡を挿入し、膀胱内を観察。膀胱腫瘍の診断に最も重要な検査(膀胱癌の確定診断)
- 腫瘍の発生部位、数、大きさ、正常を確認。
- フォローアップやスクリーニング目的で施行
- 尿中に脱落した腫瘍を染色する。膀胱内を生食にて洗浄し、この洗浄液について細胞診をおこなうこともある。細胞診は膀胱鏡にて診断の困難な上皮内癌に有効。
- 悪性度III, IV, Vで確定診断に繋がる。
その他
- 膀胱造影、排泄性腎盂造影、超音波検査、CTスキャン、麻酔下双手診
画像診断
- 排泄性尿道造影(IVP)、超音波診断(経尿道的、経腹的)、CTにより腫瘍の広がり(浸潤度)と上部尿道の精査を行う。
治療
- 治療方針の決定に大切なのは浸潤度と分化度。
- 浸潤度:表在性癌 → 経尿道的切除術・抗悪性腫瘍薬の膀胱内注入療法。浸潤癌 → 膀胱全摘出術
- 分化度の低いものや、浸潤度T3以上のものは原則、膀胱全摘除術。
- 1. 表在性腫瘍(浸潤が粘膜下層までのもの:TaとT1)
- 膀胱温存かつ根治治療を目指す。
- 病理所見でCISを認める場合や,再発の可能性の高い多発性低分化癌症例ではTUR-Bt後にBCGの膀胱内注入療法を行う
- 2. 表在性腫瘍であるが、上皮内癌(CIS)である場合
- 悪性度が高いため、根治のために膀胱全摘除が選択肢となる。
- BCG膀胱内注入療法(第一選択)
- 膀胱全摘除術(浸潤度に準じる)
- 骨盤リンパ節郭清術→根治的膀胱全摘除術
- 転移のあるもの(T3以上)など切除不能な進行癌では化学療法(M-VAC療法)を行う。
合併症
予後
- 浸潤度と組織型によって決まる。
- 表在性癌:良好
- 浸潤性癌:不良
- 表在癌 + 経尿道的切除術:5年生存率約80%
- 浸潤癌 + 膀胱全摘出術 :5年生存率約20%
種類
- a. 良性上皮性腫瘍
- 1)上皮性乳頭腫 urothelial papilloma
- 2)尿路上皮乳頭腫:内反型 urothelial papilloma ; inverted type
- 3)扁平上皮乳頭腫 squamous cell papilloma
- 4)絨毛腺腫 villous adenoma
- b. 悪性上皮性腰痛
- 1)上皮内癌 carcinoma in situ(CIS)
- 2)尿路上皮癌 urothelial carcinoma (UC)
- 3)扁平上皮癌 squamous cell carcinoma(SCC)
- 4)腺癌 adenocarcinoma(AC)
- (1)通常型
- (2)特殊型
- ①尿膜癌 urachal carcinoma
- ②印環細胞癌 signet-ring cell carcinoma
- ③中腎癌 clear cell carcinoma
- 5)小細胞癌 small cell carcinoma(NEC)
- 6)未分化癌 undifferentiated carcinoma
- 7)その他 others
- 繊毛癌、カルテノイドなど
- c. 良性非上皮性腫瘍
- d. 悪性非上皮性腫瘍
- e. 腫瘍性病変ないし異常上皮
- 1)炎症性偽腫瘍 inflammatory pesudotumor
- 2)尿路上皮過形成 urothelial hyperplasia
- ①平坦状尿路上皮過形成 flat urothelial hyperplasia
- ②乳頭状尿路上皮過形成 papillary urothelial hyperplasia
- 3)異形成 dysplasia
- 4)扁平上皮化生 squamous metaplasia
- 5)腎原性化生 nephrogenic metaplasia
- 6)増殖性膀胱炎 proliferative cystitis
- ①ブルン細胞巣 von Brunn's nest
- ②腺性膀胱炎 cystitis glandularis
- ③嚢胞性膀胱炎 cystitis cystica
- 7)乳頭状またはポリープ状膀胱炎 papillary or polypoid cystitis
- 8)マラコプラキア malacoplakia
- (日本泌尿器科学会,日本病理学会編:泌尿器科・病理 膀胱癌取扱い規約,第3版, pp50-51,金原出版. 2001より引用)
TNM分類
- T-原発腫瘍の壁内深達度
- TX 原発腫瘍の評価なし
- T0 腫瘍なし
- Ta 非浸潤性乳頭状癌
- Tis 上皮内癌(平坦癌)
- T1 粘膜下結合組織までの浸潤
- T2 筋層への浸潤
- T2a 筋層の半ばまでの浸潤
- T2b 筋層の半ばを越える浸潤
- T3 膀胱周囲への浸潤
- T3a 顕微鏡的レベルの浸潤
- T3b 肉眼的的レベルの浸潤(壁外腫癌)
- T4 腫瘍が前立腺,子宮,膣,骨盤壁,腹壁のいずれかに浸潤
- T4a 前立腺,子宮,膣のいずれかに浸潤
- T4b 骨盤壁,腹壁のいずれかに浸潤
- N-所属リンパ節転移
- NX 所属リンパ節の評価なし
- N0 所属リンパ節転移なし
- N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移を認める
- N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移,または5cm以下の多数個の所属リンパ節転移を認める
- N3 5cmを超える所属リンパ節転移を認める
- M-遠隔転移
- MX 遠隔転移の有無不詳
- MO 遠隔転移なし
- M1 遠隔転移あり
- (TNM分類,第6版, 2002より引用)
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/14 11:52:40」(JST)
[Wiki ja表示]
膀胱癌 |
分類及び外部参照情報 |
膀胱癌の病理写真
|
ICD-10 |
C67, C67.9 |
ICD-9 |
188, 188.9 |
OMIM |
109800 |
DiseasesDB |
1427 |
eMedicine |
radio/711 med/2344 med/3022 |
NCI |
膀胱癌 |
Patient UK |
膀胱癌 |
MeSH |
D001749 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
膀胱癌(ぼうこうがん、英: Bladder cancer)は、膀胱から発生する上皮性悪性腫瘍。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 疫学
- 4 病理組織学
- 5 病期分類
- 6 検査
- 7 治療
- 8 膀胱全摘除の尿路変向(変更)術
- 9 予後
- 10 関連する人物
- 11 脚注
原因
第9染色体長腕ヘテロ接合性の消失、第17染色体短腕ヘテロ接合性消失が関与するタイプも指摘されている
発癌の危険因子としては、不衛生な環境、化学物質、ビルハルツ住血吸虫による感染症、喫煙、などが指摘されている。
症状
- 排尿痛などの見られない、無症候性肉眼的血尿が唯一の症状であることも多い。上皮内癌や浸潤癌では頻尿や排尿痛などを伴うこともある。
疫学
2004年における10万人毎の膀胱がんによる死亡者数(年齢標準化済み)[1]
データなし
1.5以下
1.5-3
3-4.5
4.5-6
6-7.5
7.5-9
9-10.5
10.5-12
12-13.5
13.5-15
15-16.5
16.5以上
- 死亡数は、男性が悪性腫瘍の第11位、女性は第14位。
- 発生率は男性が女性の3倍多い。
- 70歳代での発症が多く、50歳以下の若年発症はまれ。
病理組織学
- 90%以上が尿路上皮癌(移行上皮癌)。
- 次いで扁平上皮癌、腺癌の順である。
- 細胞異型と構造異型によって組織学的異型度をG1〜G3までの3段階に分類する。G3のほうが異型が強い。
病期分類
TNM分類によって決定される。T1N0M0である場合表在癌とされる。T2以上では浸潤癌とされる。
- T0 腫瘍なし
- Ta 非浸潤性乳頭癌
- Tis 上皮内癌
- T1 粘膜下結合組織までの浸潤
- T2 筋層への浸潤
- T2a 筋層半ばまで
- T2b 筋層半ばを越える
- T3 膀胱周囲への浸潤
- T3a 顕微鏡レベルの浸潤
- T3b 肉眼的レベルの浸潤
- T4 前立腺、子宮、膣、骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤
- T4a 前立腺、子宮、膣のいずれかに浸潤
- T4b 骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤
- N0 リンパ節転移なし
- N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移
- N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移または5cm以下の複数の所属リンパ節転移
- N3 5cmを超える所属リンパ節転移
- M0 遠隔転移なし
- M1 遠隔転移あり
検査
- 検尿・尿沈渣
- 尿細胞診
- 超音波断層撮影
- 膀胱鏡
- CT
- MRI
治療
- 外科的治療
- 内視鏡手術(経尿道的腫瘍切除術、TUR-Bt)
- 腰椎麻酔をかけて尿道から膀胱に内視鏡を入れて観察し電気メスで腫瘍を切り取るまたは焼き尽くす手術で、表在性膀胱がんに対する治療である。ただし、膀胱上皮内がんや浸潤性の診断のためにも行う必要がある。
- 1回の手術では肉眼で確認できない腫瘍が残存している可能性もあるため、期間をおいてさらに広範囲に施行することもある。
- 膀胱全摘除術
- 膀胱上皮内がんでBCG療法が無効なもの、浸潤性膀胱がんの治療として行う。
- 膀胱だけでなく男性では前立腺、精嚢、女性では子宮も同時に摘出する。また骨盤内のリンパ節も摘出する。また、尿道も摘除することがある。男性は勃起不全(旧称インポテンツ)になる場合が多かったが、勃起機能の温存手術もある。ただし、前立腺、精嚢をとってしまうため、射精不可能になる。
- 放射線療法
- 局所療法であるので、効果はあるがこれだけで根治する事は困難な療法でもある。
- 抗がん剤による化学療法
- 再発リスクを減少させるため、(術後)補助化学療法として、外科的手術と併用する場合も多い。
- 膀胱内注入療法
- 膀胱内に抗がん剤やBCG(いわゆる弱毒性結核菌)を注入してがんの治療あるいは再発予防をはかる治療。
- 膀胱上皮内がんを対象とし、BCGを用いる。表在性膀胱がんの手術後の再発予防としてこの治療を行うこともある。
膀胱全摘除の尿路変向(変更)術
-
- 回腸導管:回腸の末端部付近を約30cm程切り取り、口側を閉鎖、両側尿管をそれぞれその付近に吻合。反対側(肛門側)を腹部にストーマとして開口、開口部ストーマより排尿する。パウチの貼付が必須である。
- 尿管皮膚瘻:尿管をそのまま腹部皮膚に開口、開口部(ストーマ)より排尿する。パウチの貼付が必須である。
- 自排尿型新膀胱:回腸で人工的な膀胱を作り尿道につなぎ、手術前と同様に尿道より排尿する(ストーマはない)。
- 導尿型新膀胱:回腸で人工的な膀胱を作り、コックを付け腹部に開口。開口部(ストーマ)にその都度カテーテルを挿入し、カテーテルにより排尿する。パウチの貼付は原則として不要である。
- 膀胱全摘除によりストーマを増設した人をオストメイト(人工膀胱保有者)という。オストメイトは障害者(内部障害)として扱われる。
予後
表在癌は再発率が高く、細胞異型が高いほど、癌が進行しているほど再発しやすい。TUR-Btのみを行った場合、G1、G2で約50%、G3で80%の確率で再発する。また、浸潤癌への伸展も同様の傾向がある。特に上皮内癌は再発率、浸潤癌への伸展率ともに高い。
関連する人物
- 周恩来
- やなせたかし
- 松田優作
- レオナルド熊
- 菅原文太
- 立花隆
- 内海賢二
- 芦田均
- 西沢利明
- 徐才厚
- 竹原慎二[2]
脚注
- ^ “WHO Disease and injury country estimates”. World Health Organization (2009年). 2009年11月11日閲覧。
- ^ 元世界王者・竹原慎二、ぼうこうがんで闘病中…リンパ節にも転移 サンケイスポーツ、2014年11月14日閲覧
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の観察ポイントとその根拠 (特集 なぜそれが大切? 術式別観察ポイントとその根拠)
- 佐藤 文憲,三股 浩光
- Japanese journal of endourology 25(2), 278-284, 2012-09-00
- NAID 40019451468
- 症例 膀胱に発生した孤立性線維性腫瘍(Solitary fibrous tumor)の1例
- 筋層非浸潤性膀胱癌における経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後塩酸ピラルビシン(THP)3日間連続膀胱内注入療法の膀胱内再発に関する検討
- 栃木 達夫,櫻田 祐,青木 大志,川村 貞文,伊藤 しげみ,佐藤 郁郎,立野 紘雄
- 日本泌尿器科學會雜誌 103(4), 610-616, 2012-07-20
- NAID 10030496459
Related Links
- 膀胱腫瘍は日本では1年で10万中で約8人の人が罹患します.男性には女性の3倍 以上の頻度で ... の浸潤,転移を知る目的で行われます. 下に示すのは典型的な膀胱鏡 でみた乳頭状腫瘍(左)と非乳頭状腫瘍(右)で後者の方が悪性の度合いが高くなります . ...
- 膀胱腫瘍とはその名の通り膀胱に出来た腫瘍のことですが、そのほとんどが悪性腫瘍( つまりがん)です。人口10万人あたりの発生率は約5~8人で、男性のほうが女性より約 4倍なりやすいことが知られています。また、50歳をこえると発生頻度は高くなり60~70 ...
- 膀胱腫瘍は良性のものが少なく、ほとんどが悪性腫瘍、つまり膀胱がんということになり ます。日本の膀胱がんは、死亡数でみると、男性では悪性腫瘍の第11位、女性では第 14位とそれ程多くはありませんが、毎年8000-9000人が発症しているといわれています ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、54~56の問いに答えよ。
- 68歳の男性。尿失禁を主訴に来院した。
- 現病歴:2年前から就寝後に2回トイレに行くようになった。1か月前から気が付かないうちに尿失禁をきたしている。残尿感と排尿困難とは認めない。
- 既往歴:10年前から糖尿病で血糖降下薬を内服している。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長160cm、体重66kg、体温36.4℃。脈拍68/分、整。血圧144/88mmHg。下腹部に弾性軟で手拳大の腰痛を触知する。下肢に浮腫を認めない。直腸診で小鶏卵大の前立腺を触知するが、硬結や圧痛は認めない。
- 検査所見.尿所見:蛋白(-)、糖2+、潜血(-)、沈さに赤血球と白血球とを認めない。血液所見:赤血球450万、Hb14.6g/dl、Ht44%、白血球5.600。血液生化学所見:血糖146mg/dl、HbA1c 6.8%(基準4.3~5.8)、尿素窒素20.0mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl。免疫学所見:CRP O.1mg/dl、PSA1.6ng/ml(基準4.0以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [102B054]←[国試_102]→[102B056]
[★]
- 次の文を読み、28、29の問いに答えよ。
- 84歳の男性。尿閉と下腹部痛とを主訴に来院した。
- 現病歴:以前から尿意を催しても排尿に時間がかかることを自覚していた。2、3日前から鼻水と咳とがあり、昨日の朝から市販の総合感冒薬を服用した。その後さらに尿が出にくくなった。今朝はほとんど尿が出ず、下腹部痛も自覚したため受診した。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:喫煙は20本/日を60年間。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。体温36.4℃。脈拍76/分、整。血圧158/78mmHg。呼吸数14/分。SpO2 97%(room air)。頭頸部と胸部とに異常を認めない。腹部は下腹部が膨隆しており、やや硬い。軽度の圧痛がある
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107C028]←[国試_107]→[107C030]
[★]
- 40歳の男性。突然、左腰部の重圧感が出現したので来院した。生来健康で
- あった。
- 身長170cm、体重70kg。体温36.5℃。脈拍64/分、整。血圧130/80
- mmHg。
- 尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血2+。尿沈渣の顕微鏡写真を以下に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I032]←[国試_098]→[098I034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104D010]←[国試_104]→[104D012]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F049]←[国試_101]→[101F051]
[★]
[★]
- 英
- bladder carcinoma, bladder cancer, cystocarcinoma
- 関
- 腫瘍、膀胱腫瘍、膀胱
概念
疫学
- 50歳代以降に発生しやすい。
- 日本では移行上皮癌が多い
- 中国、ザンビアでは別の型の膀胱癌が多い→環境要因が関わっている。
- 乳頭状に内腔に増殖
- 腺癌にも扁平上皮癌にも変化しうる
リスクファクター
- 3. その他(40歳以上の男性、肉眼的血尿、泌尿器科系疾患、排尿刺激症状、尿路感染の既往、骨盤放射線照射歴、喫煙)
- 喫煙:喫煙者は非喫煙者の2-10倍相対危険度が高い。また、膀胱癌の30-40%は喫煙が原因と考えられている。(SURO.246)
リスク分類
- EAUガイドライン
- http://www.uroweb.org/fileadmin/tx_eauguidelines/2009/Full/TaT1_BC.pdf
- NCCNガイドライン
- http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/bladder.pdf
- 登録が必要
EAUガイドラインの筋層非浸潤性膀胱癌のスコア化
因子
|
再発スコア
|
進展スコア
|
腫瘍数
|
単発
|
0
|
0
|
2-7個
|
3
|
3
|
8個以上
|
6
|
3
|
腫瘍サイズ
|
<3cm
|
0
|
0
|
≧3cm
|
3
|
3
|
再発歴
|
初発
|
0
|
0
|
≦1再発/年
|
2
|
2
|
>1再発/年
|
4
|
2
|
T因子
|
Ta
|
0
|
0
|
T1
|
1
|
4
|
併発CIS
|
なし
|
0
|
0
|
あり
|
1
|
6
|
異型度(1973WHO)
|
G1
|
0
|
0
|
G2
|
1
|
0
|
G3
|
2
|
5
|
合計スコア
|
0~17
|
0~23
|
- 再発スコア値 0:低リスク、1-9:中リスク、10-17:高リスク
- 進展リスク値 0:低リスク、2-6:中リスク、7-23:高リスク
計算ソフト
- http://www.eortc.be/tools/bladdercalculator/
- 使いづらい
TNM分類
- TX 原発腫瘍が評価されていないとき
- T0 腫瘍なし
- Tis 上皮内癌(CIS)
- Ta 浸潤なし
- T1 粘膜下結合組織までの浸潤
- T2 筋層浸潤があるもの
- T2a: 筋層の半ばまでの浸潤
- T2b: 筋層の半ばを越えるもの
- T3a: 顕微鏡的浸潤
- T3b: 肉眼的(壁外に腫瘤があるもの)
- T4 腫瘍が以下のいずれかに浸潤するもの:前立腺、子宮、膣、骨盤壁、腹壁
- T4a: 前立腺、子宮あるいは膣への浸潤
- T4b: 骨盤壁あるいは腹壁への浸潤
- NX 所属リンパ節が評価されていないとき
- N0 所属リンパ節転移なし
- N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移を認める
- N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移、または5cm以下の多数個の所属リンパ節転移を認める
- N3 5cmを超える所属リンパ節転移を認める
- MX 遠隔転移の有無不詳
- M0 遠隔転移なし
- M1 遠隔転移あり
所属リンパ節
検査
[show details]
- 乳頭様の増殖をしている、おそらく筋層に浸潤していない腫瘍。上皮内癌と違って筋層浸潤しにくい。
治療
- CIS → 問題となるのは、膀胱鏡下で正常な粘膜と区別できないこと(参考6,8)。このためTUR-Btが1st lineとはならないと思う。
- BCG膀胱内注入療法:月に1回、6-8週間。日本で用いられているBCG株は東京株とコンノート株。再発した場合には2nd line BCG注入療法を行う。無効の場合には膀胱全摘術を考慮する。(参考1)
- 男性:膀胱、周囲組織、前立腺、精嚢、(尿道再発リスクが高いとき)尿道
- 女性:膀胱、周囲組織、尿道、(子宮、膣の前壁、卵巣を含めることがある)
- 骨盤内臓器:(適応があれば)骨盤内臓器摘除
- 下部尿管:尿路変更に必要な長さを残し摘出
- 骨盤リンパ節郭清:所属リンパ節(内腸骨リンパ節、外腸骨リンパ節、閉鎖リンパ節)
- 尿路変更:回腸導管、新膀胱造設術
参考
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0076/1/0076_G0000211_GL.html
- http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/bladder.html
- 3. 膀胱癌 - 診療ガイドラインについて - 医療関係者の方へ - 香川県立中央病院
- http://www.chp-kagawa.jp/ganshinryou/boukougan.pdf
- http://www.chp-kagawa.jp/docs/boukougan.pdf
- 5. eMedicine - Carcinoma In Situ of the Urinary Bladder
- http://emedicine.medscape.com/article/444061-overview
- 6. 大阪府立成人病センター 治療実績〔膀胱がんの解説〕
- http://www.mc.pref.osaka.jp/kabetsu-shoukai/hinyouki/setsumei/boukougansetsumei.htm
- 7. [charged] Treatment of non-muscle-invasive bladder cancer - uptodate [1]
- 8. [charged] Clinical presentation, diagnosis, and staging of bladder cancer - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- urinary retention, ischuria, urodialysis
- ラ
- retentio urinae
- 関
- 尿貯留
定義
- 膀胱まで移送された尿が尿道より排泄できない状態 ⇔無尿
原因
- SURO.39
- 前立腺肥大を有する患者が飲酒した場合や抗コリン薬の服用による事が多い
症状
- SURO.39
- 急性尿閉:苦痛有。強い尿意、恥骨上部の疼痛、強度の不安感、冷や汗
- 慢性尿閉:苦痛は少ない。溢流性失禁、両側水腎症
検査
- SURO.111
臨床関連
- 中枢神経(上位ニューロン)障害の急性期には脊髄ショックにより排尿中枢が機能しなくなり尿閉に陥るらしい。
[★]
- 英
- pollakiuria, pollakisuria, frequent urination, frequent micturition, urinary frequency
- 関
- 尿、乏尿、無尿、頻尿症、尿意頻数、排尿回数、機能性膀胱容量
定義
- 正常者の排尿回数は24時間で5~6回で就寝中は0~1回である。
- 就寝中の頻尿を夜間頻尿(夜間多尿症)、起床から就寝までの頻尿を昼間頻尿と呼ぶ。
- 排尿回数が異常に多いこと
- 1. 昼間頻尿を8回以上、夜間頻尿(夜間多尿症)を2回以上(日本泌尿器科学会排尿障害臨床試験ガイドライン)
- 2. 1日10回以上、就眠時 2回以上の排尿
原因
鑑別疾患
[★]
- 英
- decrease in urinary volume
- 関
- 尿量
-
[★]
- 英
- industrial bladder cancer, occupational bladder cancer
- 関
- 膀胱腫瘍
[★]
- 英
- TUR-Bt
- 関
- [[]]
参考
[★]
- 英
- tumor
- 同
- 新生物 neoplasm new growth NG
- 関
分類(EPT.65)
悪性度
細胞と間質の割合
発生学的由来
組織学的分類
上皮性腫瘍
良性腫瘍
悪性腫瘍
非上皮性腫瘍
良性腫瘍
悪性腫瘍
-
臓器別分類
外陰部(女性)
子宮
卵巣
- 表層上皮性・間質性腫瘍 Surface epithelial-stromal tumors
- 性索間質性腫瘍 Sex cord/stromal tumors
- 胚細胞腫瘍 Germ cell tumors
腫瘍と関連する疾患 first aid step1 2006 p.294
[★]
- 英
- urinary bladder (M,N), bladder (Z)
- ラ
- vesica urinaria
- 関
- 膀胱容量
組織
- 粘膜には多くのヒダが存在し、膀胱が伸展すると消える (HIS.388)
- 被蓋細胞+移行上皮細胞 (HIS.388)
血管(M.210)