- 英
- clozapine
- 同
- Clozaril CLOZARIL
- 商
- クロザリル
- 関
- 抗精神病薬。精神神経用剤
- first aid step1 2006 p.207,370
特徴
- 1990年にアメリカで最初に認可、発売された非定形型抗精神病薬。
- 錐体外路症状を惹起しない。プロラクチンの分泌を昂進させない。定型抗精神病薬に反応不良な症例にも有効
- 副作用のため、日本では臨床応用されていない。
薬理作用
- block 5-HT2 receptor and dopamine receptor
- 抗dopamine作用:弱い
- 抗D4受容体の選択的アゴニスト
副作用
WordNet
- an antipsychotic drug (trade name Clozaril) used as a sedative and for treatment-resistant schizophrenia; know to have few side effects (同)Clozaril
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/06/13 01:00:10」(JST)
[Wiki ja表示]
クロザピン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
8-chloro-11-(4-methyl-1-piperazinyl)-
5H-dibenzo(b,e)(1,4)diazepine
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- Prescription only, special restrictions imposed in many countries
|
投与方法 |
Oral |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
60 to 70% |
代謝 |
Hepatic, by several CYP isozymes |
半減期 |
6-26時間(定常状態では平均14.2時間) |
排泄 |
80% in metabolized state: 30% biliary and 50% renal |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
5786-21-0 |
ATCコード |
N05AH02 |
PubChem |
CID: 2818 |
DrugBank |
APRD00470 |
ChemSpider |
10442628 |
KEGG |
D00283 |
化学的データ |
化学式 |
C18H19ClN4 |
分子量 |
326.823 g/mol |
物理的データ |
融点 |
183 °C (361 °F) |
水への溶解量 |
0 mg/mL (20 °C) |
クロザピン(英:Clozapine)は、治療抵抗性統合失調症の治療薬であり、非定型抗精神病薬である。日本では2009年より、商品名クロザリルでノバルティスファーマより発売されている。クロザピンは、最初の第二世代抗精神病薬であり、従来の抗精神病薬による遅発性ジスキネジアの副作用が問題になった後、この副作用が生じにくい新しい抗精神病薬として、1971年にヨーロッパで使用が始まり、後の非定型抗精神病薬のモデルとなった。しかし副作用で致命的となりうる無顆粒球症を起こすことが判明し、1975年には、自主的に販売を停止した。その後、他の抗精神病薬に反応しない統合失調症の治療に効果があることが証明され、アメリカでは1989年より使用が再開された。以前と異なり治療薬物モニタリングの技術も向上しているため、定期的な血球数等の検査が義務付けられる。
日本では、クロザピンを使用する医療機関、医療従事者、薬局は、事前にクロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)に登録しておく必要がある。これは無顆粒球症や耐糖能異常の早期発見などの為、白血球数、好中球数、血糖検査の確実な実施と処方の判断を支援するサービスである[1]。
クロザピンは、リチウムと共に自殺を減少させることが判明している数少ない医薬品である[2]。
クロザピンは全医薬品中、2番目に自殺既遂の報告が多い。精神科の薬の中では最も多く、2番目のバレニクリンより約100倍多い[3]。
クロザピンは全医薬品中、最も自殺未遂の報告が多い。2番目のイソトレチノインやアトモキセチンより約8倍多い[3]。
目次
- 1 適応および用法
- 2 副作用
- 3 併用禁忌
- 4 出典
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
適応および用法
- 治療抵抗性統合失調症(他の抗精神病薬で効果が不十分、または副作用により服薬困難な場合など)
通常、成人には初日は12.5mg、2日目は25mgを1日1回経口投与する。
3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量するが、1日量が50mgを超える場合には2・3回に分けて投与する。
維持量は1日200 - 400mgを2・3回に分けて投与することとし、症状に応じて適宜増減する。ただし1回の増量は4日以上の間隔をあけ、増量幅としては1日100mgを超えないこととする。
なお最高用量は1日600mgまでとする。
副作用
主な副作用は、傾眠、悪心・嘔吐、流涎過多(唾液が出すぎる)、便秘、頻脈(胴性頻脈など)、振戦、体重増加、糖尿病や高脂血症の誘発など。
重篤な副作用として、
- 血球障害(好中球減少症、無顆粒球症、白血球減少症)
- 心筋炎、心筋症、心膜炎、心嚢液貯留
- 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡
- 悪性症候群
- てんかん発作、痙攣、ミオクローヌス発作
- 起立性低血圧、失神
- 循環虚脱、肺塞栓症、深部静脈血栓症、
- 劇症肝炎、肝炎、胆汁うっ滞性黄疸
- 腸閉塞、麻痺性
などがある[4]。
併用禁忌
- 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤、放射線療法、化学療法
- 無顆粒球症の発現増加のおそれ、血液障害の副作用が相互に増強される可能性がある。
- 持効性抗精神病剤
- ハロペリドールデカン酸エステル注射液(ハロマンス、ネオペリドール)
- フルフェナジンデカン酸エステル注射液(フルデカシン)
- リスペリドン持効性懸濁注射液(リスパダールコンスタ)
-
- 血中から消失するまでに時間を要し、副作用に対処できない為。
- アドレナリン作動薬
- アドレナリン(ボスミン)
- ノルアドレナリン(ノルアドレナリン)
-
- アドレナリンの作用を反転させ、重篤な血圧低下を起こすおそれがある。
出典
- ^ クロザリル適正使用委員会
- ^ Thomas Insel (2014年10月1日). “Director’s Blog: Ketamine”. National Institute of Mental Health (NIMH). 2015年11月1日閲覧。
- ^ a b Thomas KH, Martin RM, Potokar J, Pirmohamed M, Gunnell D. (2014-9-30). “Reporting of drug induced depression and fatal and non-fatal suicidal behaviour in the UK from 1998 to 2011.”. BMC Pharmacol Toxicol. 15: 54. doi:10.1186/2050-6511-15-54. PMC 4184159. PMID 25266008. https://bmcpharmacoltoxicol.biomedcentral.com/articles/10.1186/2050-6511-15-54.
- ^ ノバルティスファーマ「クロザリルの製品特性について」
関連項目
- 統合失調症
- 抗精神病薬
- 非定型抗精神病薬
- オランザピン
- クロルプロマジン換算
外部リンク
- "クロザリル錠"、ノバルティスファーマ公式サイト(2009年6月23日閲覧)。
- クロザリル錠 25mg 100mg錠 ノバルティスファーマ株式会社
- クロザリル錠 インタビューフォーム ノバルティスファーマ株式会社
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
|
この項目は、薬学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:薬学/Portal:医学と医療)。 |
抗精神病薬 (N05A) |
|
定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
|
|
非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
|
|
Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 統合失調症治療薬開発におけるニューロイメージングバイオマーカーの役割
- 尾崎 諭司
- 日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica 140(3), 107-110, 2012-09-01
- … 統合失調症は陽性症状,陰性症状,認知機能障害を主たる症状とする精神疾患であり,若年で発症し,その罹患率は約1%といわれている.統合失調症の治療薬には,ハロペリドールやクロザピンに代表される,第一・第二世代抗精神病薬が用いられているが,錐体外路症状のような副作用が生じやすい点や,陰性症状や認知機能障害に対する有効性が乏しいことから,新たな治療薬の開発も期待されている.しかしなが …
- NAID 10031072030
- クロザピンは精神科薬物治療に何をもたらすのか (特集 クロザピンがある看護現場)
Related Links
- クロザピン(Clozapine)は治療抵抗性統合失調症の治療薬であり、非定型抗精神病薬 である。元来世界初の第二世代抗精神病薬といわれていて、長く使用されていた言語 地域もあるようだ。現在では97ヶ国で承認・使用されている。日本ではクロザリル®の 名前 ...
- 2009年6月19日、統合失調症治療薬のクロザピン(商品名:クロザリル錠25mg、同錠 100mg)が薬価収載され、近々発売が予定されている(製造承認は4月22日に取得)。 適応は「治療抵抗性統合失調症」であり、用法・用量は「初日12.5mg、2日目は25mgを 1 ...
Related Pictures
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
クロザリル錠25mg
組成
成分・含量
添加物
- 乳糖、トウモロコシデンプン、ポビドン、無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- CPMSへの患者登録前(4週間以内)の血液検査で、白血球数が4,000/mm3未満又は好中球数が2,000/mm3未満の患者
- CPMSの規定を遵守できない患者(【警告】、「重要な基本的注意」の項参照)
- CPMSで定められた血液検査の中止基準により、本剤の投与を中止したことのある患者〔無顆粒球症が発現するおそれがある。〕(「重要な基本的注意」の項参照)
- 無顆粒球症又は重度の好中球減少症の既往歴のある患者〔無顆粒球症が発現するおそれがある。〕
- 骨髄機能障害のある患者〔骨髄機能が悪化し、無顆粒球症が発現するおそれがある。〕
- 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤を投与中の患者又は放射線療法、化学療法等の骨髄抑制を起こす可能性のある治療を行っている患者(「相互作用」の項参照)
- 持効性抗精神病剤(ハロペリドールデカン酸エステル注射液、フルフェナジンデカン酸エステル注射液、リスペリドン持効性懸濁注射液)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
- 重度の痙攣性疾患又は治療により十分な管理がされていないてんかん患者〔症状が悪化するおそれがある。〕
- アルコール又は薬物による急性中毒、昏睡状態の患者〔これらの状態を悪化させるおそれがある。〕
- 循環虚脱状態の患者又は中枢神経抑制状態の患者〔これらの状態を悪化させるおそれがある。〕
- 重度の心疾患(心筋炎等)のある患者〔心疾患が悪化するおそれがある。〕
- 重度の腎機能障害のある患者〔腎機能が悪化するおそれがある。〕
- 重度の肝機能障害のある患者〔肝機能が悪化するおそれがある。〕
- 麻痺性イレウスの患者〔抗コリン作用により症状が悪化するおそれがある。〕
- アドレナリン作動薬(アドレナリン、ノルアドレナリン)を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
効能または効果
治療抵抗性統合失調症
- 本剤は、他の抗精神病薬治療に抵抗性を示す統合失調症の患者(下記の反応性不良又は耐容性不良の基準を満たす場合)にのみ投与すること。
反応性不良の基準
- 忍容性に問題がない限り、2種類以上の十分量の抗精神病薬a)b)(クロルプロマジン換算600mg/日以上で、1種類以上の非定型抗精神病薬(リスペリドン、ペロスピロン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール等)を含む)を十分な期間(4週間以上)投与しても反応がみられなかったc)患者。なお、服薬コンプライアンスは十分確認すること。
- a)非定型抗精神病薬が併用されている場合は、クロルプロマジン換算で最も投与量が多い薬剤を対象とする。
- b)定型抗精神病薬については、1年以上の治療歴があること。
- c)治療に反応がみられない:GAF(Global Assessment of Functioning)評点が41点以上に相当する状態になったことがないこと。
耐容性不良の基準
- リスペリドン、ペロスピロン、オランザピン、クエチアピン、アリピプラゾール等の非定型抗精神病薬のうち、2種類以上による単剤治療を試みたが、以下のいずれかの理由により十分に増量できず、十分な治療効果が得られなかった患者。
- ・中等度以上の遅発性ジスキネジアa)、遅発性ジストニアb)、あるいはその他の遅発性錐体外路症状の出現、または悪化
- ・コントロール不良のパーキンソン症状c)、アカシジアd)、あるいは急性ジストニアe)の出現
- a)DIEPSS(Drug-Induced Extra-Pyramidal Symptoms Scale)の「ジスキネジア」の評点が3点以上の状態。
- b)DIEPSSの「ジストニア」の評点が3点以上の遅発性錐体外路症状がみられる状態。
- c)常用量上限の抗パーキンソン薬投与を行ったにもかかわらず、DIEPSSの「歩行」、「動作緩慢」、「筋強剛」、「振戦」の4項目のうち、3点以上が1項目、あるいは2点以上が2項目以上存在する状態。
- d)常用量上限の抗パーキンソン薬投与を含む様々な治療を行ったにもかかわらず、DIEPSSの「アカシジア」が3点以上である状態。
- e)常用量上限の抗パーキンソン薬投与を含む様々な治療を行ったにもかかわらず、DIEPSSの「ジストニア」の評点が3点に相当する急性ジストニアが頻発し、患者自身の苦痛が大きいこと。
- 通常、成人にはクロザピンとして初日は12.5mg(25mg錠の半分)、2日目は25mgを1日1回経口投与する。3日目以降は症状に応じて1日25mgずつ増量し、原則3週間かけて1日200mgまで増量するが、1日量が50mgを超える場合には2〜3回に分けて経口投与する。維持量は1日200〜400mgを2〜3回に分けて経口投与することとし、症状に応じて適宜増減する。ただし、1回の増量は4日以上の間隔をあけ、増量幅としては1日100mgを超えないこととし、最高用量は1日600mgまでとする。
- 投与初期に血圧低下、痙攣発作等の副作用の発現が多く報告されているので、患者の状態を十分観察しながら慎重に用量の漸増を行うこと。
- 十分な臨床効果が得られた後は、本剤の投与量が必要最小限となるよう、患者ごとに慎重に漸減して維持量を設定すること。
- 本剤は原則として単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこと。
- 他の抗精神病薬を投与されている患者では、原則として他の抗精神病薬を漸減し、投与を中止した後に本剤の投与を行うこと。なお、他の抗精神病薬を漸減中に本剤を投与する場合は、4週間以内に他の抗精神病薬の投与を中止すること。
- 2日以上の休薬後に治療を再開する場合には、治療開始時と同様に低用量から漸増し、用量設定を行うこと。
- 本剤の投与を終了する際には、2週間以上かけて用量を漸減することが望ましい。副作用の発現等により直ちに投与を中止する場合には、精神症状の再燃等に注意すること。
慎重投与
- 軽度から中等度の好中球減少症の既往歴のある患者〔血液障害が発現するおそれがある。〕(【警告】、「重要な基本的注意」、「副作用 重大な副作用」の項参照)
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者〔痙攣閾値を低下させるおそれがある。〕
- 心・血管疾患、低血圧又はそれらの疑いのある患者〔心・血管疾患の悪化及び一過性の血圧低下があらわれるおそれがある。〕
- QT延長の家族歴のある患者、QTを延長させる又は電解質異常を引き起こすことが知られている薬剤を投与中の患者〔QT延長が起こるおそれがある。〕
- 軽度から中等度の腎機能障害のある患者〔腎機能障害が悪化するおそれがある。〕
- 軽度から中等度の肝機能障害のある患者〔肝機能障害が悪化するおそれがある。〕
- 前立腺肥大又は閉塞隅角緑内障のある患者〔抗コリン作用により、症状が悪化するおそれがある。〕
- 糖尿病の家族歴、高血糖、肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者〔血糖値が上昇するおそれがある。〕(【警告】、「重要な基本的注意」、「副作用 重大な副作用」の項参照)
- アルコール又は薬物の依存・乱用又はその既往歴のある患者〔これらの状態を悪化させるおそれがある。〕
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
無顆粒球症、白血球減少症(いずれも5%未満)、好中球減少症(5%以上)
- 無顆粒球症、白血球減少症、好中球減少症があらわれることがある。通常、投与中止により回復するが、致死的な転帰をたどる可能性もあるため、本剤の投与開始前より定期的な血液検査(白血球数、好中球数等)を行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。(【警告】、「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)
心筋炎、心筋症(いずれも頻度不明)、心膜炎(5%未満)、心嚢液貯留(5%以上)
- 心筋炎、心筋症、心膜炎、心嚢液貯留があらわれることがあり、死亡例も報告されている。安静時の持続性頻脈、動悸、不整脈、胸痛や心不全の症状又は徴候(原因不明の疲労、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には循環器内科医と相談し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、投与初期により多く報告されているので、投与初期及び増量時には患者の状態を注意深く観察すること。(【警告】、「重要な基本的注意」の項参照)
高血糖(5%以上)、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡(いずれも頻度不明)
- 高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至った例も報告されているので、本剤の投与中はCPMSに準拠して定期的に血糖値等を測定するとともに、臨床症状の観察を十分に行い、口渇、多飲、多尿、頻尿等の症状の発現に注意し、異常が認められた場合には速やかに糖尿病治療に関する十分な知識と経験を有する医師と連携して適切な対応を行うこと。また、糖尿病性ケトアシドーシス又は糖尿病性昏睡の徴候が認められた場合には投与を中止し、インスリン製剤を投与するなど適切な処置を行うこと。(【警告】、【原則禁忌】、「慎重投与」、「重要な基本的注意」の項参照)
悪性症候群(5%未満)
- 無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合には投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
てんかん発作、痙攣、ミオクローヌス発作(いずれも5%未満)
- てんかん発作、痙攣、ミオクローヌス発作等があらわれることがある。本剤は用量依存的に痙攣閾値低下をもたらし、脳波変化を生じ、痙攣発作を引き起こすおそれがある。特にてんかんの既往歴のある患者では注意深く観察を行い、本剤の急激な増量を行わないこと。このような場合には減量又は中止し、抗痙攣剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
起立性低血圧(5%以上)、失神、循環虚脱(いずれも頻度不明)
- 起立性低血圧、失神があらわれることがあり、循環虚脱から心停止、呼吸停止に至ることもある。投与初期の漸増を行う時期に急激に増量した場合により多くみられるため、注意深く観察すること。
肺塞栓症、深部静脈血栓症(いずれも頻度不明)
- 肺塞栓症、深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝炎、胆汁うっ滞性黄疸(いずれも頻度不明)
- 劇症肝炎、肝炎、胆汁うっ滞性黄疸が報告されているので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腸閉塞(5%以上)、麻痺性イレウス(頻度不明)
- 本剤の抗コリン作用により腸閉塞、麻痺性イレウスがあらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
受容体親和性10)
- In vitro試験でのクロザピンのドパミンD2、D4、セロトニン5-HT2A、ムスカリンM1、アドレナリンα1、ヒスタミンH1受容体親和性(Ki値:nM、平均値±標準誤差)は、それぞれ125±20、9±1及び21±2、12±3、1.9±0.4、7±4、6±2であり、ドパミンD2受容体親和性は他の受容体と比較すると極めて弱い。
行動薬理11)
- ハロペリドール、リスペリドン、クロルプロマジン及びオランザピンでは、行動薬理学的な治療活性及び副作用症候(カタレプシー誘発、プロラクチン上昇等)の作用強度は、D2受容体親和性と相関する。これに対しクロザピンは、治療活性が示される一方で副作用症候は検出されないことが多く、D2受容体親和性とは相関しない。クロザピンは、D2受容体親和性が極めて弱い抗精神病薬と考えられた。
作用機序11)
- クロザピンの詳細な作用機序は不明であるが、D2受容体遮断作用に依存しない中脳辺縁系ドパミン神経系に対する選択的抑制が考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 8-Chloro-11-(4-methylpiperazin-1-yl)-5H-dibenzo[b,e][1,4]diazepine
分子式
分子量
性状
- 黄色の結晶性の粉末である。
酢酸(100)に溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)にやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
融点
分配係数
- log P=0.86(1-オクタノール/pH7.0緩衝液)
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
- 英
- Huntington disease
- 同
- ハンチントン舞踏病 Huntington chorea Huntington's chorea
- 関
- 錐体外路症候群、大脳基底核疾患
概念
- うつ、進行性痴呆(progressive dementia)、舞踏運動(choreiform movements)、尾状核の萎縮(caudate atrophy)
- 脳のGABA↓、ACh↓
- トリプレットリピート病
- 難病であり、特定疾患治療研究事業の対象疾患
疫学
- (有病率?)欧米では4-8/10万人、日本では1/10万人 (HBN.971)
- 発病する家系の20-50歳で発症。(他の文献では30-40歳代)
- 25-45歳で発症。有病率は2-8人/10万人。(HIM.2561)
病因
- 第4染色体短腕(4p15)に座乗するハンチントン遺伝子のエキソンに存在するCAGリピートの異常反復。正常では7~34回。ハンチントン病では36回以上
遺伝
病理
- 線条体(特に尾状核)・大脳皮質(特に前頭葉・側頭葉)の萎縮 → 尾状核の萎縮は不随意運動、大脳皮質の萎縮は認知症に繋がるのであろう
- 小型のニューロンの脱落が大型のニューロンに先行している。GABA作動性ニューロンの脱落が顕著である。線維性のグリオーシスが他の疾患で見られるニューロン脱落後のそれよりも顕著。線条体の変性とmotor symptomsの間には相関が見られる。皮質や線条体ニューロンでは核内にユビキチン化されたハンチントン蛋白の封入体が認められる。(BPT.895)
症状
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=JzAPh2v-SCQ</youtube>
診断
検査
CT
- 側脳室の外側に存在する尾状核の萎縮により側脳室の拡大が認められる。
MRI
- FLAIRでは尾状核と被殻に異常な高信号が認められる。
治療
- HIM.2562
予後
- 発症後10-20年で感染症、窒息(嚥下困難)で死亡する(YN.J-122)
参考
- http://www.mypacs.net/cases/HUNTINGTONS-DISEASE-12726430.html
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/318
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/092_s.pdf
[★]
- 同
- NMLS
- クロザピン、オランザピン、およびリスペリドンを含む非定型抗精神病薬は非定型的な悪性症候群様症状?(neuroleptic malignant?like syndrome, NMLS)と結びついており、筋固縮を伴わない発熱や譫妄が顕著である(GOO)。