- 英
- pneumocystis pneumonia, pneumocystis jirovecii pneumonia pneumocystis jirovecn pneumonia
- 同
- カリニ肺炎 carinii pneumonia、Pneumocystis肺炎
- ニューモシスチス・カリニ肺炎 pneumocystis carinii pneumonia PCP、ニューモシスチス・カリニ肺炎、ニューモシステイスカリニ肺炎
- 関
- ニューモシスチス症 pneumocystosis
病原体
病因
- IMD.1083
- 剖検例で悪性リンパ腫の1/4、成人T細胞白血病の1/10、全身性エリテマトーデスの1/20 に認められる。
- AIDSに高率に合併。
リスク因子
非HIV
- 別の易感染性の原因を有するグルココルチコイド投与患者
- 他の免疫抑制薬
- 細胞性免疫不全
- 悪性腫瘍(特に造血系悪性腫瘍)
- 造血幹細胞移植(HCT、特にallogeneic HCT)
- 固形臓器の臓器移植
- 拒絶反応に対する治療
- 炎症状態に対する治療(例えば、多発血管炎を伴う肉芽腫症など(ウェゲナー肉芽腫症)
- 重症の低栄養(特に低蛋白)
- 一次性免疫不全(特に重症複合免疫不全)
- 未熟児
症状
検査
- 末梢血液検査:リンパ球数減少。
- 胸部X線検査:肺門から両肺野にかけて微細な網状から索状影を認め、徐々にすりガラス様陰影となる。
- 呼吸機能検査:PaO2 が基準値の 1/2~1/3 に低下。PaCO2 は上昇することもある。
- (USMLE:first aid step1 2006 p.147)
- diagnosed by lung biopsy or lavage
- identified by methenamine silver stain of lung tissue
胸部X線写真
治療
予後
国試
PrepTutorEJDIC
- phencyclidine pill パラフェナスレン(強い幻覚剤)
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/05 20:26:57」(JST)
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ニューモシスチス肺炎(ニューモシスチスはいえん、Pneumocystis pneumonia、PCP)は、酵母様真菌であるニューモシスチス・イロヴェチ(Pneumocystis jirovecii)によって引き起こされる肺炎。正常な免疫能力を持つ場合発症することは希であり、化学療法やステロイド剤長期内服、後天性免疫不全症候群(AIDS)などによる免疫低下時に発症する、日和見感染症の一つである。
以前はニューモシスチス・カリニ (Pneumocystis carinii) による肺炎とされ、「カリニ肺炎」と呼ばれた。しかし、ラットから見つかったニューモシスチス・カリニ(「カリニ」は病原体発見に貢献したアントニオ・カリニにちなむ)と、ヒトで肺炎をおこすニューモシスチスは異なる種類であることが判明し、ヒトに病原性をもつニューモシスチスは、1952年にニューモシスチスが肺炎を起こすことを報告したチェコの寄生虫学者オットー・イーロヴェッツへの献名である Pneumocystis jirovecii に命名し直され、これによる肺炎はニューモシスチス肺炎に名称変更された。なお略号はニューモシスチス・カリニ肺炎の時の略号のまま、PCPを用いる(Pneumocystis cariniii pneumoniaの略からPneumocystis pneumoniaの略となった)。
またニューモシスチスは以前原虫に分類されていたが、遺伝子解析の結果、真菌の一種(半子嚢菌あるいは古生子嚢菌)であると判明した。なお、現在でもニューモシスチスの体外での人為的増殖は実現しておらず、研究においてはラットに感染させることが必要である。
ニューモシスチス・イロヴェチはほとんどの人が保菌しているが、免疫力が低下すると増殖が抑制できなくなり肺炎を引き起こす。AIDS発症において最も多い日和見感染症であり、治療をしないと致死的である。
目次
- 1 歴史
- 2 徴候
- 3 検査・診断
- 4 治療・処置
|
歴史
ミラーの総論 (Robert F.Miller:Pneumocystis carinii in non-AIDS patients. Current Opinions in infectious diseases.1999 Aug;12(4)371-7) によれば、このニューモシスチス・イロヴェチは、1909年にブラジルのカルロス・シャーガス(Carlos Chagas、シャーガス病の発見者としても知られる)によって発見された。ただし、この時は、これが人間の病気の原因に成り得るとは認識されていなかった。これが人間に対する病原体として認識されたのは、ヨーロッパにおいて、1930年代から1940年代にかけて、未熟児や低栄養状態の子供に、間質性肺炎が多発した事が切っ掛けであった。ミラーは、特に孤児でこの様な肺炎が多かったと、上記の総論で述べている。第二次世界大戦後、栄養状態の改善によってこの現象は一旦消えたが、1960年代以降新たに、先天性免疫不全の子供や、悪性腫瘍に罹病及び治療を受ける成人の間で、この肺炎が多く認められる様になった。そして臓器移植の普及に伴って、更に多く観察される様になった。1981年、アメリカで後天性免疫不全症候群 (AIDS) と呼ばれる疾患が報告されると、この疾患はAIDS(エイズ)患者に多く見られる日和見感染として、注目される様になった(ただし、アフリカのエイズ患者で、この肺炎の報告が少ない事は、エイズ研究における一つの課題である)。
徴候
乾性咳嗽(痰を伴わない咳)、発熱、呼吸困難(息苦しさ)
検査・診断
- 喀痰検査
- 菌体鏡顕 グロコット染色、トルイジン青染色、メセナミン銀染色で確認できる。
- PCR
- 血液検査
- KL-6...間質性肺炎のマーカー
- β-Dグルカン...真菌感染のマーカー
- 画像診断
- 胸部レントゲン写真
- すりガラス状陰影が一般的だが、実際には様々な像を呈する。
- 胸部CT
治療・処置
- ST合剤(バクタ®)を服用。
- ペンタミジン(ベナンバックス®)吸入・点滴する。
- アトバコン内服。
などの治療を行う。
ニューモシスチス肺炎は、AIDS患者においては予後良好だが、それ以外の免疫不全患者では予後不良であることが多い。AIDSの有無にかかわらずニューモシスチス肺炎に対しての予防投薬は有効とされる。予防的用法は、バクタ® 1錠1日1回服用が多く用いられている。
気道感染 |
|
上気道 |
風邪
|
ライノウイルス - アデノウイルス - パラインフルエンザウイルス - RSウイルス - コロナウイルス - エコーウイルス - エンテロウイルス
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喉頭炎
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急性喉頭蓋炎 - クループ
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咽頭炎
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下気道 |
急性細気管支炎
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肺炎 |
原因
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定型肺炎
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グラム陽性
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肺炎球菌 - 黄色ブドウ球菌
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グラム陰性
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肺炎桿菌 - インフルエンザ菌 - モラクセラ - 大腸菌 - 緑膿菌
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非定型肺炎
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ウイルス性
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RSウイルス - インフルエンザ肺炎 - 重症急性呼吸器症候群
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肺真菌症
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ニューモシスチス肺炎 - クリプトコッカス症 - アスペルギルス症
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レジオネラ菌 - マイコプラズマ - クラミジア肺炎 - オウム病
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抗酸菌症
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結核 - 非結核性抗酸菌症
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機序
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市中肺炎 - 院内肺炎 - 誤嚥性肺炎
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病態
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肺胞性肺炎
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大葉性肺炎 - 気管支肺炎
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化膿性肺炎
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|
|
胸壁 |
膿胸
|
|
HIV / AIDS と共に生きる人々(people living with HIV / AIDS、HIV positive people) |
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シンボルマーク |
レッドリボン
|
|
|
ウイルス |
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
|
|
疾患・症状 |
後天性免疫不全症候群(AIDS) - エイズ関連症候群(ARC) - 日和見感染 - カポジ肉腫 - ニューモシスチス肺炎
|
|
抗ウイルス薬 |
HIV-1感染症治療薬 - ジドブジン - プロストラチン
|
|
治療法 |
HAART療法
|
|
運動・団体
(アマチュア) |
世界エイズデー - セーブ・ザ・チルドレン(ジャパン) - AIDS メモリアルキルト/en - 日本国際民間協力会 - アメリカン・エキスプレス・レッド
芸術家 -
芸能家 |
ブロードウェイケアース - マーキュリー・フェニックス・トラスト(フレディ・マーキュリー追悼コンサート)
日本 |
アクト・アゲインスト・エイズ - 僕たちにできる事
|
|
|
|
機関・拠点
(医療従事者) |
国際エイズ学会/en(国際エイズ会議/en) - 国際連合エイズ合同計画
|
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概念 |
カミングアウト - セーファーセックス(性教育) - エイズ孤児 - エイズ・パンデミック/en - サイレント津波 - 静かな緊急事態
|
|
著名な PLWHA |
Category:HIV-陽性の人物
|
|
ヒト以外の種 |
サル免疫不全ウイルス - 猫免疫不全ウイルス感染症(猫後天性免疫不全症候群)
|
|
薬害エイズ事件 - アンゴラ - カナダ - スワジランド - タンザニア - ハイチ - マラウイ - モザンビーク - リビアのエイズ感染事件 - ルワンダ - 万延海 - Category:映画・テレビドラマ・舞台芸術 |
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 肺炎の画像診断--CTでどこまでわかるか (AYUMI 肺炎--臨床と研究の最新動向)
- ニューモシスチス肺炎--非HIV症例を中心に (AYUMI 肺炎--臨床と研究の最新動向)
- 免疫抑制療法に伴う真菌・ウイルス感染症にはどう対処する? (特集 リウマチ診療における感染症対策を考える)
- 全身性エリテマトーデスの感染症対策は? (特集 リウマチ診療における感染症対策を考える)
Related Links
- ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia; PCP)は、酵母様真菌である ニューモシスチス・イロヴェチ(Pneumocystis jiroveci)によって引き起こされる肺炎 。 ニューモシスチス・イロヴェチ. 正常な免疫能力を持つ場合発症することは希であり 、化学 ...
- 第4章「ニューモシスチス肺炎と日和見感染予防」では、前半に、ニューモシスチス肺炎 の診断と治療について概説し、後半 ... HIV 感染があらかじめ分かっている場合は、 ニューモシスチス肺炎の診断を想定するのは比較的容易といえますが、HIV 感染症が ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 58歳の男性。発熱を主訴に来院した。3か月前から37℃台の微熱、全身倦怠感および食思不振を自覚し、体重が5kg減少した。1週前から乾性咳嗽と息切れとが出現し、増悪してきた。3日前から38℃を超す弛張性の発熱が連日続いている。
- 多数のパートナーとの性的接触があった。意識は清明。身長165cm、体重53kg。体温38.7℃。脈拍84/分、整。血圧130/80mmHg。心雑音は認めない。両側背部に吸気時の軽度のcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦で、肝・脾を触知しない。皮膚所見も正常である。血液所見:赤血球331万、Hb9.9g/dl、Ht29%、白血球5,300(桿状核好中球5%、分葉核好中球40%、好酸球14%、好塩基球0%、単球13%、リンパ球28%)、血小板14万、CD4陽性細胞数213/μl(基準800~1,200)。LDH380IU/l(基準176~353)。CRP9.8mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.50、PaO2 63Torr、PaCO2 32Torr。胸部エックス線写真で左肺に淡い浸潤影を認める。気管支鏡下肺胞洗浄液細胞診所見(Grocott染色標本)を以下に示す。
- 肺病変に対する治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A012]←[国試_101]→[101A014]
[★]
- 28歳の女性。急性骨髄性白血病のため、HLA一致の兄から同種骨髄移植を受け、70日が経過している。急性GVHDは皮膚のみI度であったが、移植後56日から38℃前後の発熱と持続する咳とが出現し、右背部痛も伴うようになった。意識は清明。体温38.4℃。脈拍96/分、整。血圧122/74mmHg。心雑音はない。右中肺野にcoarse cracklesを聴取する。肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球324万、Hb10.1g/dl、Ht31%、網赤血球1.2%(12‰)、白血球3,600(桿状核好中球5%、分葉核好中球36%、好酸球3%、好塩基球1%、単球12%、リンパ球43%)、血小板7.3万。血清生化学所見:総蛋白6.1g/dl、アルブミン3.2g/dl、尿素窒素18mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、尿酸4.1mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、直接ビリルビン0.4mg/dl、AST32IU/l、ALT391U/l、LDH320IU/l(基準176~353)、ALP116IU/l(基準260以下)、Na134mEq/l、K4.2mEq/l、Cl 102mEq/l。免疫学所見:CRP12.8mg/dl、β-D-グルカン35pg/ml(基準20以下)、ツベルクリン反応陰性。胸部エックス線写真を以下に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G057]←[国試_101]→[101G059]
[★]
- 30歳の男性。会社員。独身。高度の呼吸困難、発熱および乾性咳嗽を主訴に来院した。3か月前から全身倦怠感と乾性咳嗽、2か月前から体動時の息切れ、2週前から発熱がみられ呼吸困難は高度となった。22歳から2年間海外に留学した。意識は清明。身長178cm、体重56kg。体温 38.2℃。呼吸数 30/分。脈拍 112/分、整。血圧 114/60 mmHg。チアノーゼを認める。血液所見:赤血球 452万、Hb 12.8 g/dl、Ht 40%、白血球 8,200(桿状核好中球 16%、分葉核好中球 64%、単球 8%、リンパ球 4%)、血小板 17万。免疫学所見:CRP 18mg/dl、IgG 620 mg/dl (基準 960~1,960)、β-D-グルカン 280pg/ml(基準 20以下)。胸部エックス線写真で両側び慢性に浸潤影を認める。
- 治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D045]←[国試_103]→[103D047]
[★]
- 88歳の女性。発熱、咳、痰および呼吸困難を主訴に来院した。胸部エックス線写真と胸部単純CTとで特発性間質性肺炎の急性増悪に気道感染症の合併が疑われ、入院した。抗菌薬と副腎皮質ステロイドとの投与を受け、軽快してきた。入院後10日に、体温37℃台の発熱があり、咳嗽も増悪した。胸部エックス線写真で両側肺野の浸潤影と網状影とを認めたため抗菌薬を変更し、副腎皮質ステロイドの投与を続けたが奏効せず、呼吸不全で入院後23日に死亡した。死因や肺病変の診断を目的に病理解剖を行った。病理解剖の肺組織のH-E染色標本(別冊No.3A、B)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E045]←[国試_107]→[107E047]
[★]
- 88歳の女性。発熱、咳、痰および呼吸困難を主訴に来院し、胸部エックス線写真と胸部CTとで特発性間質性肺炎の急性増悪と気道感染症の合併が疑われて入院した。症状は抗菌薬と副腎皮質ステロイドとの投与を受けて軽快した。入院後10日に、体温37℃台の発熱があり、咳嗽も増悪した。胸部エックス線写真で両側肺野の浸潤影と網状影とを認めたため抗菌薬を変更し、副腎皮質ステロイドの投与を続けたが奏効せず、呼吸不全で入院後23日に死亡した。死因や肺病変の診断を目的に病理解剖を行った。病理解剖の肺組織のH-E染色標本(別冊No. 10A、B)を別に示す。
- 診断として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G051]←[国試_111]→[111G053]
[★]
- 24歳の女性。発熱、咳および倦怠感を主訴に来院した。基礎疾患はなく、ペットは飼っていない。最近の旅行歴もない。職場に同じ症状を先に示した同僚が2人いた。10日前から38.5℃の発熱、咳および倦怠感が出現した。気管支炎と診断されてペニシリン系抗菌薬が4日間、次いでセフェム系抗菌薬が4日間投与されたが発熱は持続し、喀痰は少ないものの咳が増強してきた。胸背部皮膚に散在する小紅斑を認める。血液所見:赤沈52mm/1時間、赤血球413万、Hb12.0g/dl、白血球5,200、血小板20万。血清生化学所見:AST60単位、ALT72単位。CRP6.2mg/dl。胸部エックス線写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A017]←[国試_100]→[100A019]
[★]
- 35歳の男性。頭痛と複視とを主訴に家族に伴われて来院した。6か月前から体重減少と倦怠感とを自覚し、1か月前から発熱を繰り返してきた。意識レベルはJCS II-10。身長170cm、体重56kg。体温37.7℃。脈拍88/分、整。口腔内に白苔を認める。項部硬直を認める。血液所見:赤血球 380万、Hb 12.6g/dl、Ht 39%、白血球 3,500(桿状核好中球12%、分葉核好中球66%、好酸球5%、単球9%、リンパ球8%)、血小板 11万。血液生化学所見:穂蛋白 6.5g/dl、アルブミン 3.2g/dl。免疫学所見: CRP 3.4mg/dl、リンパ球サブセットでCD4陽性細胞数が著しく減少している。
- この疾患でみられないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D045]←[国試_104]→[104D047]
[★]
- 73歳の男性。1か月前からの咳嗽と粘液性痰とを主訴に来院した。30年間、鉱山で働いていた。呼吸困難はHugh-Jones分類のIII度である。胸部エックス線写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F017]←[国試_100]→[100F019]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109A003]←[国試_109]→[109A005]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107D017]←[国試_107]→[107D019]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111I017]←[国試_111]→[111I019]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102I034]←[国試_102]→[102I036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108I026]←[国試_108]→[108I028]
[★]
- 英
- fever of unknown origin FUO
- 同
- 原因不明熱
- 関
- 発熱、体温
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
定義
- 3週間以上の発熱。38.3℃以上、1週間の入院精査でも原因不明
鑑別疾患
3大疾患
- 1. 感染症(深部腫瘍、心内膜炎、結核、寄生虫、腸チフスなど)
- 2. 悪性疾患(悪性リンパ腫、白血病など)
- 3. 膠原病(血管炎、側頭動脈炎、成人still病など)
- 4. その他:薬剤性など
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- (各種病原体)感染性心内膜炎、骨髄炎、伝染性単核球症、副鼻腔炎、齲歯
- (細菌)結核、腸チフス、リケッチア感染症
- (ウイルス)HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症
- (真菌)ニューモシスチス肺炎、クリプトコッカス症
- (寄生虫)マラリア
- UCSF.44
- 感染症26%, 腫瘍13%, 非感染性炎症疾患24%
- 感染症:背臥位結核、心内膜炎、膿瘍(肝臓、脾臓、腎臓、後腹膜、骨、脳、耳、脊椎)、HIV感染症、サイトメガロウイルス感染症、カンジダ感染症、その他(尿路感染症、副鼻腔、骨髄炎)、入院患者(尿路感染、カテーテル感染症、偽膜性腸炎、褥瘡、蜂窩織炎)
- 腫瘍:悪性リンパ腫、白血病、腎細胞癌、肝癌、心房粘液腫、VAHS(ウイルス関連性血球貪食症候群)、LAHS(リンパ腫関連性血球貪食症候群)
- 非感染性炎症疾患:成人スティル病、SLE(全身性エリテマトーデス)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)/多発性結節性動脈周囲炎(PN)/高安病、側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症、サルコイドーシス、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
- その他:薬剤熱、詐熱、肺塞栓症/深部静脈血栓症、脊椎損傷/頭蓋内疾患、副腎機能不全/甲状腺機能亢進症、家族性地中海熱、組織球性壊死性リンパ節炎(菊地病)
- 感染症専門医テキスト 第1部 解説編 p.53
- 不明熱の最終診断
診断
|
診断診断例 n=192
|
早期診断例 n=67
|
中期診断例 n=38
|
後期診断例 n=87
|
感染症
|
|
57(29.7)
|
25(37.3)
|
12(31.6)
|
20(23.0)
|
細菌性
|
|
43
|
1.8
|
8
|
17
|
心内膜炎
|
11
|
9
|
1
|
1
|
結核
|
8
|
0
|
0
|
8
|
尿跨感染症(1)
|
6
|
3
|
1
|
2
|
腹腔内膿瘍
|
5
|
2
|
2
|
1
|
骨・関節感染
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他の細菌感染
|
9
|
2
|
3
|
4
|
ウイルス性
|
|
10
|
5
|
3
|
2
|
CMV
|
6
|
2
|
3
|
1
|
EpsteinーBarrウイルス
|
3
|
3
|
0
|
0
|
HIV
|
1
|
0
|
0
|
1
|
寄生虫性(2)
|
|
4
|
2
|
1
|
1
|
悪性新生物
|
|
29(15.1)
|
5(7.5)
|
6(15.8)
|
18(20.7)
|
血液疾患
|
|
22
|
2
|
6
|
14
|
非Hodgkinリンパ腫
|
9
|
0
|
2
|
7
|
Hodgkin病
|
5
|
1
|
1
|
3
|
白血病
|
6
|
0
|
3
|
3
|
血管免疫芽球性リンパ酔症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
固形癌
|
|
7
|
3
|
0
|
4
|
腺癌
|
5
|
2
|
0
|
3
|
その他(3)
|
2
|
1
|
0
|
1
|
非感染性炎症性疾患
|
|
68(35.4)
|
22(32.8)
|
.6)
|
34(39.1)
|
結合織疾患
|
|
35
|
15
|
6
|
14
|
成人Still病
|
18
|
5
|
4
|
9
|
SLE
|
8
|
5
|
1
|
2
|
リウマチ性多発性筋痛症
|
3
|
3
|
0
|
0
|
関節リウマチ
|
2
|
0
|
0
|
2
|
Sjogren症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
その他(4)
|
2
|
1
|
1
|
0
|
血管炎症候群
|
|
19
|
5
|
3
|
11
|
巨細胞性動脈炎
|
11
|
4
|
3
|
4
|
Wegener肉芽腫症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
結節性多発性動脈炎
|
2
|
0
|
0
|
2
|
その他(5)
|
4
|
0
|
0
|
4
|
肉芽腫性疾患
|
|
14
|
2
|
3
|
9
|
サルコイドーシス
|
10
|
0
|
2
|
8
|
Crohn病
|
4
|
2
|
1
|
1
|
その他
|
|
39(18.1)
|
15(22.4)
|
8(21.1)
|
15(17.2)
|
亜急性甲状腺炎
|
6
|
3
|
1
|
2
|
Addison病
|
2
|
0
|
1
|
1
|
心筋梗塞後症候群
|
2
|
1
|
0
|
1
|
肺動脈塞栓症
|
2
|
1
|
0
|
1
|
習慣性高体温症
|
11
|
6
|
3
|
2
|
薬剤熱
|
4
|
3
|
0
|
1
|
詐熱
|
1
|
1
|
0
|
0
|
その他(6)
|
10
|
0
|
3
|
7
|
- 数値は症例数で( )内は比率. %表示
- 1) 膿瘍を除く実質感染
- 2) マラリア(2例)、ジアルジア症、トリパノソーマ症を含む
- 3) germinoma, hypernephromaを含む
- 4) Reiter症候群, 多発性筋炎を含む
- 5) Behcet病, Schönlein-Henoch紫斑病, Schnitzler症候群, 分類不能型血管炎を含む
- 6) Sweet症候群, 原発性硬化性胆管炎, アルコール性肝炎, 出血を伴う巨大肝血管腫, 間質性肺炎, 特発性胸膜心膜炎, 特発性好酸球増多症候群, リンパ節の炎症性偽腫瘍, 後腹膜線維症, 線状IgA水疱症
- (Vanderschueren S. Knockaert D. et al. : From prolonged febrile illness to fever of unknown origin: the challenge continues. Arch Intern Med. 2003 : 163 : 1033-1041)
診断
問診
- 既往歴、家族歴、職業歴、旅行歴、薬剤歴、sick contact、動物との接触、同性とのまたはハイリスクな性的接触の有無、現病歴と発熱パターン、輸血歴
診察
- リンパ節腫脹、肝脾腫、心雑音、圧痛
- 培養
- 胸部XP
- 抗核抗体,C3,C4,RF,赤沈
- 抗HIVコウタイ
- 皮膚生検
- ツベルクリン反応/クオンティフェロン
- 腹部エコー
- 造影CT
- 心エコー:心内膜炎を最も疑えば経食道心エコーを。
- ガリウムシンチ
- 骨髄生検
- 腰椎穿刺
- 頭部CT
- 大腸ファイバー
- 肝生検
[★]
- 英
- mycoplasma pneumonia
- 同
- 寒冷凝集反応陽性肺炎 coldagglutinin-positive pneumonia、オリンピック病 Olympic disease、イートン因子肺炎
- 関
- マイコプラズマ、非定型肺炎。Mycoplasma pneumoniae
概念
- マイコプラズマは人工培地上で発育できる最小の微生物で、一般細菌と異なり細胞壁を欠く。
- Mycoplasma pneumoniaeによる肺炎
- 4年に1度オリンピックの開催年に多発する傾向がみられたためオリンピック病とも呼ばれたが、近年この傾向はあまりみられない。
- 若年者に多く、強い咳嗽と高熱が特徴である。
疫学
- 健康な小児や若年成人の肺炎でよく見られる。
- 好発年齢:5-25歳
潜伏期
感染経路
症状
- 初期には乾性咳嗽
- 発熱、激しい咳嗽、結膜充血、頭痛などを呈する。
- 喀痰が無いことが多い。
検査
- 白血球:増加することは少ない。80~90%の症例で10000/μL以下
- CRP:軽度上昇にとどまる。
- 血中寒冷凝集素価:陽性(256-512倍以上)。約50%の症例で上昇。
- 胸部XP:下肺野に陰影が多い。
- CT:非定型肺炎の陰影を呈する。間質性の炎症像を呈し網状影が主体で、次いで炎症が肺胞領域に及ぶと斑状影となり、いわゆる細葉性の陰影を示す。
診断
- CF法はIgGクラスの抗体を検出
- PA法はIgMクラスの抗体を検出
- たいていの迅速検査ではIgM抗体を検出している。
- 急性期と回復期(2~4週以降)のペア血清を用いて、特異抗体価が4倍以上の上昇を示す
治療
- テトラサイクリン、マクロライド系薬剤が有効。
- ペニシリン系抗菌薬、セフェム系抗菌薬、カルバペネム系抗菌薬は無効。
鑑別
国試
[★]
- 関
- ST合剤
スルファメトキサゾールとトリメトプリムの合剤
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6290100D1088_1_01/6290100D1088_1_01?view=body
- ニューモシスチス肺炎予防のためのスルファメトキサゾール・トリメトプリム投与量の検討
- http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/006020053j.pdf
[★]
- ラ
- Pneumocystis jirovecii, Pneumocystis jiroveci?
- 日
- ニューモシスチス・イロベチ
- 旧
- Pneumocystis carinii
- first aid step1 2006 p.147
生物学特徴
感染症
- びまん性の間質性肺炎を引き起こす
- 感染経路は空気感染
参考
[★]
- REDIRECT ニューモシスチス肺炎
[★]
- 英
- pneumonia pneumonitis
- 関
疫学
- 日本の肺炎の受療率は人口10万対3、死亡率は人口10万対7。死因順位は第4位である。
- 受療率・罹患率共に高齢になるに従い急激に増加し、85歳以上の男性では死因第2位、90歳以上の男性では死因第1位となる(ガイドライン1)。
- 死亡者の95%以上が高齢者である。
- 年代と病原体
日本における肺炎の年齢階級別受療率と死亡率(人口10 万対,2002 年)
- ガイドライン1 2004 年「国民衛生の動向」 改変
|
年齢階級
|
総数
|
15~
|
25~
|
35~
|
45~
|
55~
|
65~
|
75~
|
85~
|
90~
|
19
|
29
|
39
|
49
|
59
|
69
|
79
|
89
|
|
受療率
|
外来
|
6
|
3
|
4
|
3
|
3
|
6
|
7
|
14
|
21
|
21
|
入院
|
19
|
2
|
3
|
2
|
3
|
7
|
21
|
86
|
309
|
489
|
死亡率
|
男性
|
76.4
|
0.5
|
0.5
|
1.5
|
4.6
|
15.2
|
69.2
|
339
|
2087
|
4317
|
女性
|
62.7
|
0.3
|
0.5
|
0.9
|
1.9
|
5.6
|
22.4
|
144
|
934
|
2291
|
総数
|
69.4
|
0.4
|
0.5
|
1.2
|
3.2
|
10.3
|
44.6
|
249
|
1291
|
2787
|
分類
発症の場
原因
病理
- 上気道から連続的に下気道へ、あるいは、直接下気道に及んでいる。炎症は上皮に包まれた管腔内
肺炎の比較
ガイドライン
[★]
- 関
- 炎光、炎症
[★]
ニューモシスチス属