- 英
- muscle spindle (K)
- ラ
- fusus neuromuscularis
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/09/29 21:54:24」(JST)
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骨格筋(こっかくきん、英: skeletal muscle)は、動物の筋肉の一分類であり、骨格を動かす筋肉を指す。ここではヒトの骨格筋について記す。
骨格筋は組織学的には横紋筋であり、内臓筋が平滑筋であるのと対照をなしている。ただし浅頭筋などにみられる皮筋や、舌や咽頭、横隔膜のような内臓筋の一部も骨格を支えているわけではないが、骨格筋組織である横紋筋である。
目次
- 1 構造
- 2 配置と形状
- 3 速筋線維と遅筋線維
- 4 神経と感覚器
- 5 注釈
- 6 関連項目
構造
骨格筋。トップダウン(ズームアップ)方式の図示
(クリックして拡大)
骨格筋は、細長い筋繊維とその細胞間を埋めて束ねる結合組織からなる。
筋繊維(筋線維とも)はそれぞれが一個の細胞で、筋細胞と呼ばれる。筋細胞は多くの核を持っている多核細胞(合胞体)である。 筋繊維の集まりが筋束を構成し、筋束の集まりが骨格筋を構成する。
配置と形状
骨格筋は骨格に対して、関節をまたぐように結びついている。その結びつく関節との関係からは、大きく屈筋と伸筋に分けられる。前者はその関節の曲がる側についており、縮むことで関節が曲がるようになっている。後者はその反対側につき、縮むと関節が伸びる。筋肉は収縮時に力を出すが、自分自身で伸びることはできないので、屈筋と伸筋が互いに拮抗的に働くことで関節の曲げ伸ばしが行われる。
骨格筋の形状はさまざまであり、紡錘筋、羽状筋、半羽状筋、鋸筋などに分類される。
また骨格筋には枝分かれしているものがあり、筋頭(骨格筋の、体の中心に近い部分)の数で分類することができる。筋頭がひとつのものを単頭筋、筋頭が二つのものを二頭筋、三つのものを三頭筋、四つのものを四頭筋と呼ぶ。
速筋線維と遅筋線維
筋線維には大きく2種類あり、ミトコンドリアに富んで酸素を利用した持続的な収縮の可能な遅筋線維(Type 1、赤筋、色の原因は、酸素結合性タンパク質、ミオグロビンである)と、ミトコンドリアは比較的少なく解糖系による瞬発的な収縮の可能な速筋線維(Type 2、白筋)にわけられる。速筋線維の中でもやや持続的収縮に向いたものはType 2a、そうでないものはType 2bとさらに細分される。
なお、遅筋線維、速筋線維はそれぞれ遅筋、速筋と呼ばれることが多い。さらには、両者の性質を備えた中間筋の存在も認められている。
神経と感覚器
骨格筋は運動神経に支配されており、運動神経から信号を受けると収縮して力を発揮する。1本の運動神経とそれに支配される筋線維をあわせて運動単位あるいは神経筋単位と呼ぶ。運動神経1本あたりの筋線維の数は、指などの精密な動きをする筋肉では少なく、大腿など大きな動きをする筋肉では多い。骨格筋線維を直接支配している神経線維は、α線維[1]と呼ばれる径の太い(神経伝達速度の速い)ものである。また、骨格筋には筋紡錘、ゴルジ腱器官と呼ばれる感覚器が存在する。
- 筋紡錘
- 骨格筋の長さの変化に反応する。筋紡錘もまた骨格筋線維からなる。これをIa群線維[2]と呼ばれる感覚神経のほか、γ運動神経と呼ばれる神経線維も支配している。γ線維は、筋紡錘を収縮させたり弛緩させたりすることで筋紡錘の感度を調節し、結果的に筋の緊張状態を調節している(γループ)。
- ゴルジ腱器官
- 筋-腱移行部に存在し、骨格筋の張力に反応する。Ib群線維[2]と呼ばれる神経につながる。腱紡錘とも呼ばれる。
注釈
- ^ αは文字式分類による種類のひとつ。直径15μm、伝達速度100m/sec
- ^ a b Ⅰa、Ⅰbは数字式分類で定める種類。数字式分類は感覚性ニューロンの分類に用いられる。Ⅰa、Ⅰbはどちらも直径13μm、伝達速度75m/sec
関連項目
- 解剖学(口腔解剖学)/人間の筋肉の一覧/組織学
- 骨/人間の骨の一覧
- ストレッチ
- 伸張反射
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 釜崎 哉子,袴田 和巳,三宅 淳
- 電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス 110(226), 23-27, 2010-10-07
- … ヒトの腕は筋肉による作動と筋紡錘・腱紡錘等の動きや抵抗の検知によるフィードバックによって複合的に制御されている。 …
- NAID 110008106315
- 液状飼料飼育が成長期ラットの閉口筋筋紡錘に与える影響
Related Links
- デジタル大辞泉 - 筋紡錘の用語解説 - 骨格筋の内部にある紡錘形の受容器。神経と連絡しており、筋肉の収縮状態を伝えて、脊髄反射を介しての姿勢・運動の調節に重要な働きをする。
- 筋紡錘って知っているつもりだけど、腱紡錘との違いやそれぞれの機能については、うろ覚えだという人も多いと思います。PT・OTの国家試験でも出て来るこの神経生理学は、一度覚えてしまえば評価や治療にも役立つ項目だと思います ...
- 筋紡錘、腱紡錘の機能と神経線維を理解は筋緊張異常にアプローチする上で必須です。筋紡錘(錐内筋繊維)は筋断裂を予防するよう作用します。腱紡錘は腱断裂を予防するよう作用します。神経線維は筋収縮を決定するα繊維を興奮 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 受容器、神経線維
神経線維
|
髄鞘
|
直径(μm)
|
伝導速度(m/s)
|
|
Aα
|
有髄
|
12-20
|
70-120
|
体性運動(運動神経)、自己受容(筋の感覚神経)
|
Aβ
|
有髄
|
5-12
|
30-70
|
触圧覚
|
Aγ
|
有髄
|
3-6
|
15-30
|
筋紡錘への運動神経
|
Aδ
|
有髄
|
2-5
|
12-30
|
痛覚、温度覚
|
B
|
有髄
|
<3
|
3-15
|
交感神経節前線維
|
C
|
無髄
|
0.4-1.2
|
0.5-2
|
交感神経節後線維、痛覚
|
受容器による神経線維の分類(PT.42 43)
線維群
|
神経線維
|
機能
|
Ia群線維
|
Aα
|
筋紡錘のらせん系終末
|
Ib群線維
|
Aα
|
腱紡錘
|
II群線維
|
Aβ
|
触圧受容器
|
III群線維
|
Aδ
|
自由終末
|
IV群線維
|
C
|
自由終末
|
痛覚に関与する神経線維
[★]
- 英
- tendon reflex, tendon jerk
- 同
- 筋伸展反射、深部腱反射 deep tendon reflex, DTR ⇔ (対)表在反射
- 関
- 深部反射
- 腱や骨の叩打によって引き起こされる単シナプス反射。
- 腱の叩打により筋紡錘で生じた求心性インパルスがIa求心性線維(Ia感覚線維)を介して反射中枢に達し、単シナプス的にα運動ニューロンを経て筋を収縮させる反射
反射の異常
亢進
消失
- 反射弓の障害
- 下位運動ニューロン、神経根、末梢神経、筋など
表記方法
程度
- BET
- 消失 absent -
- 減弱 diminished ±
- 正常 normal +
- やや亢進 slightly exaggerated ++
- 亢進 moderately exaggerated +++
- 著明な亢進 markedly exaggerated +++
[★]
- 英
- Golgi tendon organ, Golgi's tendon organ, tendon organ of Golgi
- 同
- Golgi腱紡錘、腱紡錘 tendon spindle、腱受容器 tendon receptor、筋張力受容器 muscle tension receptor、ゴルジ腱受容器 Golgi tension receptor
- 関
- 機械受容器、Ib群線維
- 伸張受容器、マイスナー小体
- 筋の収縮力を監視 → 過剰の収縮を抑制 (⇔筋紡錘)
- 長さ1mm、直径0.1mmの円柱構造。筋と腱の接合部に存在。波状の膠原線維とIb群線維で構成される。筋肉が収縮して膠原線維が引き延ばされると、膠原線維に巻き付いた神経終末が圧迫されてインパルスを生じる (HIS.149)
[★]
- 英
- annulo-spiral ending
- 関
- 一次終末、筋紡錘
[show details]
環らせん終末 : 約 11 件
環らせん状終末 : 0 件
環ラセン終末 : 8 件
環ラセン状終末 : 0 件
輪らせん終末 : 0 件
輪らせん状終末 : 0 件
輪ラセン終末 : 0 件
輪ラセン状終末 : 0 件
[★]
- 英
- primary ending of muscle spindle
- 同
- らせん形終末 環らせん終末 annulospiral ending
- 関
- 筋紡錘
[★]
- 英
- neuromuscular spindle
- 関
- 筋紡錘、筋伸張受容器
[★]
- 英
- spindle
- 関
- 紡錘形、紡錘状、紡錘体、紡錘波、スピンドル
-spindle