出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/08 09:55:08」(JST)
脳: 延髄 | |
---|---|
大脳
間脳
中脳
橋
延髄
脊髄
小脳
脳の矢状断。紫色が延髄。
延髄の位置を示した図。赤色で示した領域が延髄
|
|
名称 | |
日本語 | 延髄 |
ラテン語 | Medulla oblongata |
略号 | MO |
関連構造 | |
上位構造 | 脳幹 |
画像 | |
アナトモグラフィー | 三次元CG |
Digital Anatomist | 正中矢状断 右側面 |
関連情報 | |
Brede Database | 階層関係、座標情報 |
NeuroNames | 関連情報一覧 |
NIF | 総合検索 |
MeSH | Medulla+Oblongata |
グレイの解剖学 | 書籍中の説明(英語) |
テンプレートを表示 |
延髄(えんずい、羅: 英: medulla oblongata)は、脳の一部。脳幹のうちもっとも尾側の部分であって、吻側に橋、尾側に脊髄がある。後頭骨に開いた大後頭孔という穴を通る。背側には下髄帆を挟んで小脳がある。嘔吐、嚥下、唾液、呼吸および循環、消化の中枢を含み、生命維持に不可欠な機能を担っている。
この節の加筆が望まれています。 |
体表から見ると、延髄は後頭部と首の境目あたり、すなわち俗に盆の窪(ぼんのくぼ)と呼ばれる位置にある。この位置は、頭を挙げた普通の姿勢では頭蓋骨と頸椎に覆われているが、頭を落としてうつむくと、体表までの間に骨で覆われない部分ができる。その部分では延髄を守るものが軟部組織だけなので、外傷が延髄の損傷に結びつきやすい。
延髄は見た目上、脊髄の続きであって、脊髄と同様の構造を多く持ち、脊髄との間に明瞭な境界はない。腹側面正中の前正中裂は脊髄の前正中裂から続いているし、その左右の錐体は脊髄前索から続く部分の肥厚である。錐体は錐体路をなす運動線維が集まった部分である。錐体の尾側では、錐体を通っていた線維が前正中裂をまたいで対側の側索に流れ込む。このため、前正中裂は中断される。この部分を錐体交叉と呼ぶ。錐体交叉は錐体路をなす線維が対側に移る部分であり、これがあるために錐体路は対側支配である。ただし錐体路の一部は錐体交叉で交叉せず同側の前索を下る。錐体の外側には、前外側溝を境に、オリーブと呼ばれる隆起がある。オリーブは下オリーブ核による隆起である。錐体とオリーブの吻側は橋である。橋の前面には横橋線維と呼ばれる線維が横走しており、延髄とは明らかに区別される。
延髄の背側面正中にある後正中溝は脊髄の後正中中隔、橋の正中溝とつながっている。後正中溝のすぐ外側、すなわち脊髄後索の続きにあたる部分は内側の薄束結節と外側の楔状束結節に分かれて肥厚している。楔状束結節の外側縁をなす後外側溝は脊髄の後外側溝とつながっている。薄束結節は薄束核、楔状束結節は楔状束核による隆起だが、これらの核は同種の機能を担うので、まとめて後索核と呼ばれることがある。後索核の外側は延髄全体の外側面にあたる部分で、ここに明らかな隆起はないが三叉神経脊髄路核(三叉神経脊髄核)が入っている。薄束結節と楔状束結節の上端は下髄帆が起こる線(第四脳室ヒモ)であり、この線は正中やや尾側からV字型を描いて両側の下小脳脚に至る。このV字型の線は菱形窩の下半分を作っている。菱形窩の中には、薄束結節のすぐ上方に迷走神経三角、さらに上方に舌下神経三角、楔状束結節のすぐ上方に前庭神経野と呼ばれる隆起がある。迷走神経三角は迷走神経背側核と孤束核、舌下神経三角は舌下神経核、前庭神経野は前庭神経核による隆起である。それらの隆起のさらに上方で、第四脳室髄条と呼ばれる数本の糸のような隆起が菱形窩を横切って走り、脳幹の背面において延髄と橋をおおよそ分ける目安となる。
延髄から出る脳神経は外転神経、顔面神経、内耳神経、舌咽神経、迷走神経、副神経、舌下神経である。橋前面と延髄前面の境目から出ているのが、内側から順に外転神経、顔面神経、内耳神経である。延髄外側面からは、上方で舌咽神経の、下方で副神経の細い根が無数に出ている。副神経の根よりもさらに下方からは副神経の根が出ていて、脊髄から出る根と合流して1本にまとまる。前外側溝からは舌下神経の根が出ている。舌下神経の根より下方からも、脊髄神経の根が出ている。
延髄の深い部分には疑核と網様体があるほか、後索核で中継された線維からなる内側毛帯が通っている。内側毛帯は橋を通過して間脳の視床に向かい、触覚などを伝える。
ウィキメディア・コモンズには、延髄に関連するカテゴリがあります。 |
この節の加筆が望まれています。 |
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
国試過去問 | 「098F041」「104E047」「100G047」「105H012」「101B041」「103B028」「097G085」 |
リンク元 | 「脳神経」「迷走神経」「キアリ奇形」「小脳」「脳」 |
拡張検索 | 「延髄巨細胞性網様核」「延髄網様体脊髄路」「延髄背側呼吸性ニューロン群」「延髄腹側呼吸性ニューロン群」 |
関連記事 | 「髄」 |
E
※国試ナビ4※ [098F040]←[国試_098]→[098F042]
※国試ナビ4※ [104E046]←[国試_104]→[104E048]
C
※国試ナビ4※ [100G046]←[国試_100]→[100G048]
D
※国試ナビ4※ [105H011]←[国試_105]→[105H013]
E
※国試ナビ4※ [101B040]←[国試_101]→[101B042]
DE
※国試ナビ4※ [103B027]←[国試_103]→[103B029]
D
※国試ナビ4※ [097G084]←[国試_097]→[097G086]
脳神経 | 同側の脳神経症状 | 代表的症候群 | ||||
中脳 | III | IV | 内転筋の麻痺、眼球の外方変異 | Weber症候群、MLF症候群、Benedikt症候群 | ||
橋 | V | VI | VII | VIII | 顔面の麻痺 | Millard-Gubler症候群 |
延髄 | IX | X | XI | XII | 嚥下障害、構音障害 | Wallenberg症候群 |
CN# | 一般感覚性 | 臓性感覚性 | 特殊感覚性 | 体性運動性 | 臓性運動性 | 鰓弓運動性 | 神経細胞(中枢神経外) | 神経細胞(中脳) | 神経細胞(橋) | 神経細胞(延髄) | 神経細胞(脊髄) | ○-< 節後ニューロン | 頭蓋からの出口 | 分布と機能 | ||
CN I | 嗅神経 | ○ | 嗅上皮 | 篩骨の篩板の穴 | 左右の鼻腔の天井、鼻中隔の上部、上鼻甲介の粘膜からの嗅覚 | |||||||||||
CN II | 視神経 | ○ | 網膜 | 視神経板 | ||||||||||||
CN III | 動眼神経 | ○ | ○ | 上眼窩裂 | 支配筋:上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋 | |||||||||||
○ | ○ | 毛様体神経節 | 上眼窩裂 | 副交感神経:瞳孔収縮筋、毛様体筋 | ||||||||||||
CN IV | 滑車神経 | ○ | ○ | 上眼窩裂 | 支配筋:上斜筋 | |||||||||||
CN V | 三叉神経 | |||||||||||||||
V1 | 眼神経 | ○ | 三叉神経節 | 上眼窩裂 | 角膜、前頭部、頭皮、眼瞼、鼻の皮膚、鼻腔と副鼻腔の粘膜からの感覚 | |||||||||||
V2 | 上顎神経 | ○ | 三叉神経節 | 正円孔 | 上唇を含む上顎部の顔の皮膚、上顎の歯、鼻粘膜、上顎洞、口蓋の感覚 | |||||||||||
V3 | 下顎神経 | ○ | 三叉神経節 | 卵円孔 | 下唇を含む下顎と顔の外側部の皮膚、下顎の歯、顎関節、口の粘膜、舌の2/3の感覚 | |||||||||||
○ | ○ | 支配筋:咀嚼筋、顎舌骨筋、顎二腹筋の前腹、口蓋帆張筋、膨膜張筋 | ||||||||||||||
CN VI | 外転神経 | ○ | 上眼窩裂 | 支配筋:外側直筋 | ||||||||||||
CN VII | 顔面神経 | ○ | 膝神経節 | 内耳道、顔神経管、茎乳突孔 | 外耳道の皮膚の感覚 | |||||||||||
○ | 膝神経節 | 舌の2/3,口腔底、口蓋の味覚 | ||||||||||||||
○ | ○ | 翼口神経節、顎下神経節 | 副交感神経:顎下腺、舌下腺、涙腺、鼻と口蓋の腺 | |||||||||||||
○ | ○ | 支配筋:顔の表情筋、中耳のアブミ骨、茎突舌骨筋、顎二腹筋の後腹 | ||||||||||||||
CN VIII | 内耳神経 | |||||||||||||||
前庭神経 | ○ | 前庭神経節 | 内耳道 | 半規管、球形嚢、卵形嚢からの前庭感覚 | ||||||||||||
蝸牛神経 | ○ | ラセン神経節 | ラセン器からの聴覚 | |||||||||||||
CN IX | 舌咽神経 | ○ | 脳神経IXの下神経節 | 頚静脈孔 | 外耳からの皮膚感覚 | |||||||||||
○ | 脳神経IXの上神経節 | 耳下腺、頸動脈小体、頸動脈洞、咽頭、中耳からの臓性感覚 | ||||||||||||||
○ | 脳神経IXの下神経節 | 舌の後ろ1/3からの味覚 | ||||||||||||||
○ | ○ | 耳神経節 | 副交感神経:耳下腺 | |||||||||||||
○ | ○ | 支配筋:茎突咽頭筋(嚥下を助ける) | ||||||||||||||
CN X | 迷走神経 | ○ | 脳神経Xの上神経節 | 頚静脈孔 | 耳介、外耳道、後頭蓋窩からの感覚 | |||||||||||
○ | 脳神経Xの上神経節 | 舌底、咽頭、喉頭、器官、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚 | ||||||||||||||
○ | 脳神経Xの下神経節 | 喉頭蓋と口蓋の味覚 | ||||||||||||||
○ | ○ | 内臓近傍のニューロン | 副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓) | |||||||||||||
○ | ○ | 支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋 | ||||||||||||||
CN XI | 副神経 | |||||||||||||||
延髄根 | ○ | ○ | 頚静脈孔 | 支配筋:軟口蓋、咽頭の横紋筋、喉頭(いずれも脳神経Xに加わる神経を経由) | ||||||||||||
脊髄根 | ○ | ○ | 支配筋:胸鎖乳突筋と僧帽筋 | |||||||||||||
CN XII | 舌下神経 | ○ | ○ | 舌下神経管 | 支配筋:舌筋(口蓋舌筋を除く) |
一般感覚性 | 臓性感覚性 | 特殊感覚性 | 体性運動性 | 臓性運動性 | 鰓弓運動性 | 神経細胞(中枢神経外) | 神経細胞(中脳) | 神経細胞(橋) | 神経細胞(延髄) | 神経細胞(脊髄) | ○-< 節後ニューロン | 頭蓋からの出口 | 分布と機能 |
○ | 脳神経Xの上神経節 | 頚静脈孔 | 耳介、外耳道、後頭蓋窩からの感覚 | ||||||||||
○ | 脳神経Xの上神経節 | 舌底、咽頭、喉頭、器官、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚 | |||||||||||
○ | 脳神経Xの下神経節 | 喉頭蓋と口蓋の味覚 | |||||||||||
○ | ○ | 内臓近傍のニューロン | 副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓) | ||||||||||
○ | ○ | 支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋 |
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
I型 | II型 | III型 | IV型 | |
脊柱管への陥入 | 小脳扁桃 | 延髄、 第四脳室、 小脳虫部 |
(頚部の二分脊椎部に 小脳が陥入(脳瘤) 。 延髄下垂。水頭症) |
(小脳の形成不全) |
発症年齢 | 小児、成人 | 乳幼児 | ||
臨床症状 | 非特異的 | 喉頭喘鳴、 無呼吸発作、 嚥下困難 |
||
水頭症 | + | +++ | ||
脊髄髄膜瘤 | - | +++ | ||
脊髄空洞症 | ++ | + |
大脳 | 脳梁形成不全、大脳鎌形成不全、小多脳回 |
小脳 | 下垂 |
中脳 | 中脳水道の閉塞 |
橋 | |
延髄 | 下垂 |
脳室 | 水頭症(ほぼ全例)(側脳室・第3脳室の拡大、側脳室後角の拡大) |
脊椎 | 脊髄髄膜瘤(ほぼ全例) |
脳での需要量 | 割合 | ||
血液 | 700~900 ml/分 | 心拍出量の | 約15% |
酸素 | 40~46 ml/分 | 全身需要量の | 約20% |
グルコース | 310 μmol/分 | 全身需要量の | 約25% |
.