出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/12 20:04:03」(JST)
風疹(ふうしん、英: Rubella)とは、ウイルス感染症の一種で、風疹ウイルスによる急性熱性発疹性疾患[1]。一般に日本では三日はしかとしても知られ、英語では「German measles(ドイツはしか)」とも呼ばれている。日本では「風しん」として感染症法に基づく五類感染症に指定して届出の対象としている[1]。
伝染力は水痘(水疱瘡)、麻疹(はしか)より弱い。小学生の患者が多い。効果的な治療法は無く、症状に応じた対処療法をとることとなる。ワクチンによる予防が最も重要である。妊娠初期に妊婦が感染した場合の先天性風疹症候群が問題となる。
風疹にかかった人は免疫ができて二度とかからないといわれるが、経年により免疫が低下していた場合や、がん治療などで免疫力が落ちた場合など、ごくまれに再発することがある。日本ではかつて5 - 9年ごと(1976、1982、1987、1992年)に大流行があったが、男女幼児が定期接種の対象となって以降は大きな流行は発生していなかった[2]。
しかし、2012年 -2013年にかけて、未接種者を中心に大流行が発生した [3] [4]。
感染者の鼻汁に含まれる風疹ウイルスによる飛沫感染または直接接触感染による。伝染期間は発疹の発症前1週間~発疹出現後4日間[5]。トガウイルス科ルビウイルス属、直径50~70nmの一本鎖RNAウイルス。正十二面体のカプシド構造を有する。
成人の臨床症状は、麻疹に似る[6]。無症候例は、30 - 50%とされている[7][6]。また、小児より重症化しやすいとの報告がある[6]。
麻疹(はしか)、デング熱、突発性発疹、コクサッキー・エコー・アデノウイルス感染、伝染性紅斑、猩紅熱等
妊婦の妊娠初期の感染は胎児に先天性風疹症候群を引き起こす。また関節炎、血小板減少性紫斑病(1/3,000 - 5,000人)を合併する可能性があるほか、急性脳炎を起こす(1/4,000 - 6,000人)ことがあり、極めてまれに重篤な状態に陥る。
妊娠10週までに妊婦が風疹ウイルスに初感染すると、90%の胎児に様々な影響を及ぼす。この先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CRS)の典型的な三大症状は、心奇形・難聴・白内障である。11 - 16週までの感染では10 - 20%に発生する。妊娠20週以降の感染で発生することはまれとされる[8]。診断は新生児血清IgM特異抗体検出で確定診断可能。エコー下穿刺液によるPCR法で胎内診断も可能である。
1941年にグレッグによって新生児に白内障や心奇形が発生したと初めて報告された。成人でも30 - 50%程度の無症状感染者[7]があるので、母親が無症状であってもCRSは発生し得る[9]。また、出生前に感染した乳児は、出生後数ヶ月感染力を持ち続ける[5]とされている。
妊娠21週以降の感染であればCRSのリスクは低く、通常は妊娠が継続される。
特異的な治療法はなく、対症療法を行う。
この項目はその主題が日本に置かれた記述になっており、世界的観点からの説明がされていない可能性があります。ノートでの議論と記事の発展への協力をお願いします。(2009年2月) |
幼小児期に予防接種が行われている。世界的にはMMRワクチンに含まれた形で2回接種を行うのが主流である。なおワクチンの効果は完璧なものではなく、2013年春に島根の保育園で風疹ワクチンを接種した園児の集団感染が起きた事例が報告されている[10]。だがもっとも重要な予防法なので、ワクチンによる予防が重要である。
妊娠可能年齢の女性で風疹抗体が無い場合、ワクチン接種はCRSを予防する観点からも強く推奨されているが、妊娠中のワクチン接種は避ける。ワクチン接種後は2ヶ月間の避妊が必要。2006年4月以降、新規にワクチンを接種する1歳以上2歳未満の幼児からは麻疹・風疹混合ワクチンを接種することとなった。授乳中の母親がワクチン接種を受けた場合、乳を飲んでいる赤ちゃんに、ワクチン・ウイルスが感染し赤い発疹が出る事があるが、重い合併症は起こさない[11]。
アメリカでは風疹をはじめとする指定の予防接種を受けていない事には、永住できない[12]。
日本での風疹ワクチン接種は、当初は女子のみに限定されていた為に、男子が対象ではなかった事。男女の接種を可能にした際に、予防接種の対象年齢を中学生から満1歳以上7歳半未満に変更した事。上記年齢層の変更の際に、中学生に対する経過措置が設けられたが、それまでの集団接種から個別接種となった事。MMRワクチン接種による重度健康被害の多発により、予防接種の安全性が揺らぎ、予防接種控えの現象が起きたことにより、予防接種率が低迷した時代が存在した。
接種率が見込めない世代は以下の通りである。
予防接種の徹底したアメリカ等では日本人の入国に際して風疹の予防接種を行う指導がなされていたりする。なお、アメリカの医学書では日本や日本人は風疹の感染源として説明されている程である。
日本では2004年に推計患者数約4万人の流行があり、2005年以降は急速に患者が減少していたが、2011年にアジアで大規模な風疹流行が発生し、帰国後に風疹を発症する成人男性と職場での集団発生が散発的みられ[13]、2011年度の風疹の届出数は371件と増加し(2010年度の報告数は87件)、2012年はout breakの兆しがみられ、2012年の年間報告数は2392件に達した。2013年7月3日現在、2013年の報告数が11991件に達し、out breakとなっている。
2012年以降の流行は、男女で流行の傾向が異なる。
2012年に231件の風疹ウイルスの分離・検出が報告された。遺伝子型の判別まで実施された151件では、2B型が124件、1E型が26件、1a型が1件であった[14]。 2013年7月現在、さらに東京都・大阪府を中心に都市部で大流行中である。2013年4月、神奈川県で、黒岩祐治知事が風疹流行により非常事態を宣言、5月13日、大阪府が風疹流行緊急事態宣言。未だアジアで流行中のため日本で流行が来年も続く可能性が高く患者が減少傾向にない。[15]。流行から2014年10月時点で先天性風疹症候群による障害を負った乳児は日本全国で計45人[16]。この流行は、2014年1月で終息した[17]
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はしか風しん混合生ワクチン「北里第一三共」
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第一章 環境衛生検査等
(環境衛生検査)
第二章 健康診断
第一節 就学時の健康診断
(方法及び技術的基準)
第二節 児童生徒等の健康診断
(時期)
(検査の項目)
(感染症の種類)
(出席停止の期間の基準)
第四章 学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の職務執行の準則
(学校医の職務執行の準則)
(学校歯科医の職務執行の準則)
(学校薬剤師の職務執行の準則)
(五類感染症)
第三章 感染症に関する情報の収集及び公表
(医師の届出)
(指定届出機関の指定の基準)
一 | RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、百日咳、ヘルパンギーナ及び流行性耳下腺炎 | 診療科名中に小児科を含む病院又は診療所 |
二 | インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。) | 診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所 |
三 | 急性出血性結膜炎及び流行性角結膜炎 | 診療科名中に眼科を含む病院又は診療所 |
四 | 性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ及び淋菌感染症 | 診療科名中に産婦人科若しくは産科若しくは婦人科、医療法施行令(昭和二十三年政令第三百二十六号)第三条の二第一項第一号ハ及びニ(2)の規定により性感染症と組み合わせた名称を診療科名とする診療科又は泌尿器科若しくは皮膚科を含む病院又は診療所 |
五 | クラミジア肺炎、(オウム病を除く。)、細菌性髄膜炎、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、マイコプラズマ肺炎、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性アシネトバクター感染症及び薬剤耐性緑膿菌感染症 | 患者を三百人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び外科を含むもの |
(感染症の発生の状況及び動向の把握)
第一章 総則
第二章 予防接種基本計画等
(予防接種基本計画)
(予防接種を行ってはならない者)
[★] 弱毒生風しんウイルス(高橋株)
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