- 英
- zinc acetate
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酢酸亜鉛 |
|
別称
Acetic acid, Zinc salt
Acetic acid, Zinc(II) salt
Dicarbomethoxyzinc
Zinc diacetate
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
557-34-6 , 5970-45-6 |
PubChem |
11192 |
ChemSpider |
10719 |
UNII |
H2ZEY72PME |
ChEMBL |
CHEMBL1200928 |
RTECS番号 |
ZG8750000 |
ATC分類 |
A16AX05 |
- [Zn+2].[O-]C(=O)C.[O-]C(=O)C
|
- InChI=1S/2C2H4O2.Zn/c2*1-2(3)4;/h2*1H3,(H,3,4);/q;;+2/p-2
Key: DJWUNCQRNNEAKC-UHFFFAOYSA-L
InChI=1/2C2H4O2.Zn/c2*1-2(3)4;/h2*1H3,(H,3,4);/q;;+2/p-2
Key: DJWUNCQRNNEAKC-NUQVWONBAP
|
特性 |
化学式 |
ZnC4H6O4 (二水和物) |
モル質量 |
219.50 g/mol (二水和物)
183.48 g/mol (無水物) |
外観 |
白色固体 |
密度 |
1.735 g/cm3 (二水和物) |
融点 |
237 °C, 510 K, 459 °F (
二水和物は、100℃で水を喪失)
|
沸点 |
分解
|
水への溶解度 |
43 g/100 mL (20 °C, 二水和物) |
溶解度 |
アルコールに可溶 |
構造 |
配位構造 |
octahedral (dihydrate) |
分子の形 |
tetrahedral |
危険性 |
主な危険性 |
mildly toxic |
Rフレーズ |
R22 R36 R50/53 |
Sフレーズ |
S26 S60 S61 |
関連する物質 |
その他の陰イオン |
塩化亜鉛 |
その他の陽イオン |
酢酸銅(II) |
関連物質 |
酢酸ベリリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
酢酸亜鉛(Zinc acetate)は、化学式Zn(O2CCH3)2の塩である。通常、二水和物Zn(O2CCH3)2(H2O)2として存在する。水和物も無水物も無色の固体で、化学合成や食品添加物に用いられる。酢酸と炭酸亜鉛または金属亜鉛の反応により生成される。食品添加物として用いる時のE番号は、E650である。
目次
- 1 性質と構造
- 2 塩基性酢酸亜鉛
- 3 応用
- 4 関連項目
- 5 出典
性質と構造
無水酢酸亜鉛では、4つの酢酸イオンの酸素原子が亜鉛イオンに配位した四面体構造をとる。各酢酸イオンは別の亜鉛イオンにも配位している[1][2][3]。これと対称的に、二水和物は酢酸基が二座配位した八面体構造をとる。他の大部分の二酢酸金属塩水和物も同様である[4][5]。
塩基性酢酸亜鉛
酢酸亜鉛を真空中で熱すると無水酢酸が失われ、塩基性酢酸亜鉛 Zn4O(CH3CO2)6を残す。このクラスタ化合物は、以下のような四面体構造を持つ。これは、対応するベリリウムの化合物とよく似ているが、Zn-Oの距離は、酢酸ベリリウムBe4O(OAc)6の1.63Åに対して1.97Åと若干広がっている[6]。
応用
食品と医薬品
酢酸亜鉛は、風邪を治療するためのトローチとしても用いられる。3つの研究の平均で、酢酸亜鉛の服用によって風邪の罹患期間が42%短くなった[7]。酢酸と亜鉛イオンの結合が弱いため全ての亜鉛が遊離することから、トローチ剤としては非常に有効である[8][9]。酢酸亜鉛より効果的と考えられる亜鉛製剤も発見されている。これらのトローチは、クエン酸等のキレート剤の存在下で効用が減少する可能性がある[10]。
酢酸亜鉛は、亜鉛欠乏症の治療にも用いられる。経口補給剤として、肝レンズ核変性症の治療のために銅の吸収を阻害するためにも用いられる。さらにエリスロマイシン等の抗生物質とともに、軟膏・ローションの形で収斂剤としてにきびの治療に用いられる。痒み止め軟膏にも用いられている。
チューインガムでは、息の清涼剤[11][12]や歯垢阻害剤[13]として添加される。
工業的応用
工業的な応用には、木材保存、他の亜鉛塩、重合体の製造、酢酸エチレンの製造、染料の色止め剤、分析試薬等に用いられる。原子力発電所では、冷却水配管の被覆阻害剤に用いられる。
関連項目
出典
- ^ Clegg, W.; Little, I. R.; Straughan, B. P. (15 December 1986). "Monoclinic anhydrous zinc(II) acetate". Acta Crystallographica Section C Crystal Structure Communications 42 (12): 1701–1703. doi:10.1107/S010827018609087X.
- ^ He, Hongshan (15 November 2006). "A new monoclinic polymorph of anhydrous zinc acetate". Acta Crystallographica Section E Structure Reports Online 62 (12): m3291–m3292. doi:10.1107/S1600536806046678.
- ^ Capilla, A. V.; Aranda, R. A. (1979). "Anhydrous Zinc(II) Acetate (CH3-COO)2Zn". Crystal Structure Communications 8: 795–797.
- ^ van Niekerk, J. N.; Schoening, F. R. L.; Talbot, J. H. (10 September 1953). "The crystal structure of zinc acetate dihydrate, Zn(CH3COO)2.2H2O". Acta Crystallographica 6 (8): 720–723. doi:10.1107/S0365110X53002015.
- ^ Ishioka, T.; Murata, A.; Kitagawa, Y.; Nakamura, K. T. (15 August 1997). "Zinc(II) Acetate Dihydrate". Acta Crystallographica Section C Crystal Structure Communications 53 (8): 1029–1031. doi:10.1107/S0108270197004484.
- ^ Koyama, H.; Saito, Y. (1954). "The Crystal Structure of Zinc Oxyacetate, Zn4O(CH3COO)6". Bull. Chem. Soc. Japan 27 (2): 112–114. doi:10.1246/bcsj.27.112.
- ^ Hemilä, Harri (23 June 2011). "Zinc Lozenges May Shorten the Duration of Colds: A Systematic Review". The Open Respiratory Medicine Journal 5 (1): 51–58. doi:10.2174/1874306401105010051. PMC 3136969. PMID 21769305.
- ^ Eby, George A. "Zinc Lozenges: Cold Cure or Candy? Solution Chemistry Determinations". Bioscience Reports 24 (1): 23–39. doi:10.1023/B:BIRE.0000037754.71063.41.
- ^ Eby, George A. (Mar 2010). "Zinc lozenges as cure for the common cold – A review and hypothesis". Medical Hypotheses 74 (3): 482–492. doi:10.1016/j.mehy.2009.10.017. PMID 19906491.
- ^ Eby G (2009) Zinc Lozenges as a Common Cold Treatment
- ^ US 7087255
- ^ US 6592849
- ^ Giertsen E, Svatun B, Saxton A (February 1987). "Plaque inhibition by hexetidine and zinc". Scand J Dent Res 95 (1): 49–54. doi:10.1111/j.1600-0722.1987.tb01392.x. PMID 3470899.
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Japanese Journal
- Wilson病の治療 (特集 実地臨床に役立つ先天代謝異常症の知識) -- (治療法の実際と現状)
- 精製効果が高く、溶媒の減圧留去中の突沸を防いだGC-MSによる茶中の残留農薬の多成分分析法
- 谷川 元一,西川 学
- 奈良県農業総合センター研究報告 (43), 45-50, 2012-03-00
- … それは,試料2gに水10mlと酢酸亜鉛1g加えて膨潤させた後,抽出溶媒としてアセトニトリルを用い,減圧留去中,抽出液面に細かい粒子が現れたら直ちに大気圧に戻し,水30mlを添加した後,減圧留去を再開し,C18ミニカラムに添加後,酢酸エチルで溶出,次いでGCB-NH2ミニカラムに添加後,50%アセトン/n-ヘキサンで溶出し,GC-MSのScanモードで測定する方法である。 …
- NAID 120005332136
Related Links
- 酢酸亜鉛 Zinc Acetate 販売元 和光純薬工業(株) 販売元コード 260-01881,262-01885,268-01882 製造元 製造元コード CAS.NO 557-34-6 分子式 (CH3COO)2Zn 分子量 183.50 保存条件 室温 適用法規 危険有害性 劇-III,PRTR-1 等級 ...
- 米山化学工業株式会社のホームページ 米山化学工業はあらゆる産業界のニーズをとらえ、 豊かな生活をつくりだす化学薬品の開発に携わってすでに90余年。 化学はあらゆる工業化技術の米山化学工業の原点です。 全社で取得したISO9001 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ノベルジンカプセル25mg
組成
成分・含量
- 1カプセル中 酢酸亜鉛水和物83.92mg
(亜鉛として25mg)
添加物
- トウモロコシデンプン
ステアリン酸マグネシウム
カプセル本体:
ゼラチン
ラウリル硫酸ナトリウム
青色1号
禁忌
効能または効果
- 成人には、亜鉛として、通常1回50mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、最大投与量は1日250mg(1回50mgを1日5回投与)とする。
6歳以上の小児には、亜鉛として、通常1回25mgを1日3回経口投与する。
1歳以上6歳未満の小児には、亜鉛として、通常1回25mgを1日2回経口投与する。
なお、いずれの場合も、食前1時間以上又は食後2時間以上あけて投与すること。
- 症候性のウィルソン病患者で初期治療として本剤を使用する場合、トリエンチン塩酸塩等のキレート剤と併用すること。ただし、無症候性のウィルソン病患者には初期治療として本剤単独投与でもよい。1)
- 本剤とトリエンチン塩酸塩等のキレート剤を併用する場合には、1時間以上あけて投与すること。
- 妊婦に投与する場合は、亜鉛として1回25mgに減量し、慎重に投与すること。[「慎重投与」、「重要な基本的注意」及び「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
- 本剤の用量を変更する場合は、尿中銅排泄量及び尿中亜鉛排泄量に応じて用量を調節すること。その際、下表を参考として慎重に用量を変更するとともに、本剤投与継続中も症状推移を勘案しながら、定期的に検査を行うこと。
項目:24時間尿中銅排泄量(スポット尿中銅濃度)
- 参考値:0.050〜0.125mg/日(0.1μg/mg・creatinine以下)
項目:24時間尿中亜鉛排泄量(スポット尿中亜鉛濃度)
- 参考値:2.0mg/日以上(1.8μg/mg・creatinine以上)
慎重投与
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 妊婦、授乳婦[「重要な基本的注意」及び「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
- 小児等[「小児等への投与」の項参照]
- 非代償性肝障害患者[非代償性肝障害患者に対する使用経験はない。]
薬効薬理
- 酢酸亜鉛水和物は、亜鉛として効果を発揮し、その作用機序は、腸管細胞でのメタロチオネイン生成誘導である。9)メタロチオネインは、システインに富む蛋白で金属キレート作用を持ち、食物に含まれる銅及び消化液中に分泌された内因性の銅を腸管粘膜上皮細胞で結合し、銅の門脈循環中への移行を阻害する。メタロチオネインと結合した銅は、吸収されず糞便中に排泄される。また、亜鉛は、肝臓等、他の臓器においてもメタロチオネインを誘導し、作用を発揮するものとも考えられている。10)
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
化学名:
- Zinc acetate dihydrate
- 237℃(分解)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- Zn zinc
- 関
- 亜鉛欠乏症。微量元素欠乏症 トレースエレメント欠乏症
- 原子番号30番の元素の金属で、原子量は65.39、元素記号はZnである。
- 人体では非常な僅かな量であるが、酵素が機能するために重要な役割を果たしており、必須微量元素と呼ばれている。
- 検査:金属定量用のスピッツで採血する。
- 基準値:血清亜鉛濃度:80-160μg/dl。小児の場合はこれより低め。
- 薬剤性:血中濃度上昇(サイアザイド系薬、ループ利尿薬、ジスルフィラム)、血中濃度低下(糖質コルチコイド、クロフィブラート、経口避妊薬)
医薬品
サプリメント
- (奏効)亜鉛欠乏症(下痢や腸管吸収障害、肝硬変、アルコール依存症、長期の中心静脈栄養)の治療
- (多分奏効):ウィルソン病
- (奏効するとはいえないが、効能は研究で示されている)摂食障害患者のうつ状態の改善や体重増加を促す、味覚障害、尋常性ざ瘡、骨粗鬆症(亜鉛低値と骨量減少の関連が示されている。亜鉛+銅+マンガン+カルシウムの摂取で閉経後の女性で骨量減少を抑制することがある、腸性肢端皮膚炎の治療、ハンセン病の治療、外用による単純ヘルペスウイルスの治療、加齢黄斑変性症の治療、胃潰瘍の予防・治療、低亜鉛血症を背景とした筋痙攣・足潰瘍の予防
臨床関連
[★]
- 英
- acetic acid acetate
- ラ
- acidum aceticum
- 関
- カルボン酸
[★]
- 英
- lead
- ラ
- plumbum
- 関
- 重金属
臨床関連