ウィルソン病
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肝レンズ核変性症(ウィルソン病) |
分類及び外部参照情報 |
カイザー・フライシャー角膜輪が瞳孔の辺縁に茶色の輪としてみられる
|
ICD-10 |
E83.0 |
ICD-9 |
275.1 |
OMIM |
277900 |
DiseasesDB |
14152 |
MedlinePlus |
000785 |
eMedicine |
med/2413 neuro/570 ped/2441 |
Patient UK |
肝レンズ核変性症 |
MeSH |
D006527 |
GeneReviews |
|
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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肝レンズ核変性症(かんレンズかくへんせいしょう)とは、先天性代謝異常によって無機銅が代謝されずに蓄積し、大脳のレンズ核の変性と共に肝硬変・角膜輪等を生ずる疾患である。ウィルソン病(Wilson's Disease)とも言う。5歳から15歳頃までに発病する。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 検査
- 4 治療
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
原因
本来、消化管で吸収した銅は門脈を経て肝臓に運ばれる。肝臓では、肝細胞が銅を胆管に排出することで生体内の銅バランスを保っている。本症は、肝細胞が銅を排出する段階に異常があり、銅が肝臓に蓄積してしまう。過剰に蓄積された銅はやがて血中にあふれ出し、大脳基底核や角膜、腎臓などに沈着し、神経症状などを引き起こすようになる。
遺伝子診断により、本症ではATP7Bと呼ばれる遺伝子に異常があることが知られている。本症は常染色体劣性遺伝である。
症状
初期には筋硬直による歩行障害、多量のよだれを見る。進行するにつれ言語は断綴性になり、やがては発語不能となる。また、羽ばたき振戦や企図振戦が発現し、様々な精神症状(性格の変化、抑うつ、多幸、知能低下)も出現する。角膜輪はスリットランプで黄褐色・緑色の色素沈着を見ることができる。蓄積銅が肝を障害することで、劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変など様々な病態を呈す。
検査
- 身体基本検査
- カイザー・フライシャー角膜輪(Kayser-Fleischer corneal ring) : 銅が角膜の周囲に沈着し黒褐色のリングを示す。これをカイザー・フライシャー角膜輪と言う。
- 血液検査
- 血清銅の低下。各組織に銅が沈着するために血中銅は低下する。
- 血清セルロプラスミン値の低下。銅の運搬体であるセルロプラスミンが消費されるためである。
- 尿検査
- 肝機能の低下
- AST、ALTの上昇。
- 血中ビリルビンの上昇。
- 血中アルブミンの低下。
- プロトロンビン時間(PT)、部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長。
治療
治療としては当然、銅の蓄積の改善である。したがって銅排泄および低銅食が治療の基本である。
- D-ペニシラミン投与による重金属排泄促進。D-ペニシラミンは、血中で銅と結合し、銅を尿中へ排泄する。本症に対する第一選択薬ではあるが、ネフローゼ症候群や重症筋無力症、全身性エリテマトーデスなどの重篤な副作用が報告されている。
- 塩酸トリエンチンによる銅排泄促進。塩酸トリエンチンは銅イオンと錯体を形成し、銅を尿中へ排泄する。D-ペニシラミンに比べて効果は弱いが、副作用が極めて少ないのがメリットである。
- 亜鉛製剤による銅吸収阻害。排泄の促進作用はないので、治療の安定期または発症前に内服するのがよい。
- 肝硬変の進行が早い場合は肝移植も行うことがある。
参考文献
- 青木継稔「ウイルソン病」(星和書店)、神経精神疾患モノグラフシリーズ9
関連項目
外部リンク
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Japanese Journal
- 神経型Wilson病の臨床像と診断--精神症状および脳の画像診断を含めて (あゆみ Wilson病--最新の概念と治療戦略)
- Wilson病(肝レンズ核変性症)--神経症状を中心として (アテト-ゼとジストニ---異常運動と異常姿勢<特集>)
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- 肝レンズ核変性症(かんレンズかくへんせいしょう)とは、先天性代謝異常によって無機 銅が代謝されずに蓄積し、大脳のレンズ核の変性と共に肝硬変・角膜輪等を生ずる疾患 である。ウィルソン病(Wilson's Disease)とも言う。5歳から15歳頃までに発病する。
- (Wilson病), =「肝レンズ核変性症」 <1>先天性銅代謝異常症。 「この病気は、肝臓や 脳に銅が溜まって肝臓障害や神経症状が起きる。遺伝性の病気だが、治療法が確立 されている。早く治療を始めれば、発症を防ぎ、学校や職場に戻ることも出来る。 <2> 家族 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 60歳の女性。視力障害を主訴に来院した。眼底検査の結果、網膜色素線条が認められ、頭部と腋窩とには扁平隆起した黄色丘疹が多発している。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098B025]←[国試_098]→[098B027]
[★]
- 英
- Wilson disease (HIM) , Wilson's disease
- 同
- ウイルソン病、(国試)Wilson病、(国試)肝レンズ核変性症 hepatolenticular degeneration、ウェストファル-シュトリュンペル病 Westphal-Struempell disease
- 関
- カイザー・フライシャー角膜輪 Kayser-Fleischer ring, ATP7B、銅
遺伝形式
疫学
- 20歳までに発症。早ければ3歳で発症(HIM.2450)。
病因
- 細胞内銅輸送蛋白の遺伝子異常(ATP-7B)(13q14.3)
病態
- 十二指腸上部で銅の吸収 → 血行性に肝臓に輸送される → 胆汁内への銅への排泄が障害される → 肝細胞内銅沈着 → 肝細胞細胞障害 → 肝硬変
- 肝臓内でアポセルロプラスミンに銅を結合する反応の異常(HIM.2450) & セルロプラスミンの合成低下(出典不明。肝機能低下?) → 血清セルロプラスミン低下 → (正常では血液中に存在する銅の90%がセルロプラスミンに結合しているので)血清銅低下 (HIM.2450)
- 血液中に入った銅はアルブミンと結合して存在 → 結合能弱くfreeの血清銅増加
- → 血行性に各臓器に移行・沈着 → 脳、角膜、腎臓、血球に障害 (IMD)
- → 尿中への銅排泄増加
症候
治療
- 食事療法:銅制限食(貝、甲殻類、レバー、ナッツ類、チョコレート、キノコ類、豆類は銅を多く含むので避ける)
- 薬物療法:銅キレート薬((D-ペニシラミン)の投与。トリエンチン
参考
- http://omim.org/entry/277900
- 2. [charged] Pathogenesis and clinical manifestations of Wilson disease - uptodate [1]
- 3. [charged] Treatment of Wilson disease - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- flapping tremor, asterixis
- 関
- 固定姿勢保持困難
羽ばたき振戦が見られる疾患
[★]
- 英
- degeneration, denaturation
- ラ
- degeneratio
空砲変性
|
薬疹、皮膚科領域疾患
|
脂肪変性
|
脂肪肝、ネフローゼ症候群、筋脂肪変性
|
好酸性変性
|
ウイルス性肝炎、アルコール性肝炎
|
硝子様変性
|
小動脈硬化。HE染色で均質な好酸性。
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フィブリノイド変性
|
膠原病、アレルギー。HE染色でやや光沢のある不均質な好酸性物質。
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粘液変性
|
HE染色で不均質な淡い好塩基性物質として見える。
|
[★]
- 英
- liver、hepatic、hepato
- 関
- 肝性、肝臓、(漢方医学)五臓
漢方医学
機能
- 1. 精神運動を安定化させる
- 2. 血を貯蔵して全身に栄養を供給する
- 3. 骨格筋のトーヌスを維持する
失調
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- degeneration
- 関
- 逆行変性、縮退、退化、変性