- 英
- distal renal tubular acidosis, distal RTA, dRTA
- 同
- 1型尿細管性アシドーシス、I型尿細管性アシドーシス、尿細管性アシドーシス1型、尿細管性アシドーシスI型
- 1型腎尿細管性アシドーシス、I型腎尿細管性アシドーシス、腎尿細管性アシドーシス1型、腎尿細管性アシドーシスI型
- type 1 renal tubular acidosis, type I renal tubular acidosis, renal tubular acidosis type 1, renal tubular acidosis type I
- type 1 RTA, type I RTA, RTA type 1, RTA type I
- 関
- 腎尿細管性アシドーシス。近位尿細管性アシドーシス。代謝性アシドーシス
[show details]
概念
- 遠位尿細管における水素イオン分泌が障害されることにより生じる、アニオンギャップが正常な高Cl性の代謝性アシドーシス。
- シェーグレン症候群によく合併する。
病因
- uptodate Major causes of type I (distal) renal tubular acidosis
- シェーグレン症候群 Sjogren's syndrome :腎生検上α間在細胞にH+-ATPaseが欠損している。患者の中にはcarbonic anhydrase IIに対する自己抗体をもつものもいる。(参考4)
- 高カルシウム血症
- 関節リウマチ
- 高グロブリン血症
- イホスファミド
- アムホテリシンB
- 肝硬変
- 全身性エリテマトーデス(おそらく高カリウム性)
- 鎌状赤血球症(おそらく高カリウム性)
- 閉塞性尿路疾患(おそらく高カリウム性)
- 炭酸リチウム
- 腎移植
家族性のRTA
- HIM.1805
- 変異が存在する分子によって以下の型がある。
- 1. H+-ATPase proton pumpの変異:常染色体劣性遺伝(のほとんど)。H+-ATPase proton pumpは皮質集合管にあるα介在細胞(H+分泌に関与)の管腔側に存在する。このpunpの変異により、酸分泌能が障害されている。また、早期発症の感音性難聴と関連がある。
- 2. 重炭酸イオンと塩素イオンの対向輸送蛋白AE1の変異:常染色体優性遺伝:AE1の機能は正常であるが、本来の基底膜にでなく管腔側に存在するために重炭酸イオンを失うと考えられている。AE1の両方の対立遺伝子に変異を生じた病型は常染色体劣性遺伝型(1.)のような病態を呈する。
- 3. carbonic anhydrase IIの変異:dRTAを伴った"marble-brain disease"(骨粗鬆症、低身長、精神遅滞)。
病態生理
- 参考4 参考5
- 水素イオンを分泌できないため、体内の重炭酸イオンが消費され、高Cl性代謝性アシドーシスを生じる
- 集合管など(distal nephron)でナトリウムを再吸収するとき電気的中性を保つために水素イオンが管腔側に移動していたが、水素イオンが分泌できなくなったために代償的にカリウムが分泌・排泄されるため。(参考4)
- 遠位尿細管におけるH+分泌とHCO3-再吸収が障害され、管腔内にHCO3-が増加すると電気的中性を保つく尿細管上皮内からNa,Kが出てくる。すると、Na再吸収低下による続発性アルドステロン症も相まってK再吸収は低下し、低K血症となる(←非常にあやしい。出典不明)
- 1) 代謝性アシドーシスでは、遠位尿細管でのカルシウム再吸収が低下する。(代謝性アシドーシス#検査)
- 2) アシドーシスに対して骨からカルシウムとリン酸が動員され、リン酸によりpHの低下が緩衝され、カルシウムは1)により排泄される。 ← 代謝性アシドーシスでPTHの分泌が促される。 これもpHを保とうとするホメオスタシスの一つなんですかね?
- 遠位尿細管性アシドーシスでは近位尿細管でのクエン酸再吸収が亢進し、低クエン酸尿症をきたす。
- 3+4+5 → 腎石灰化症、リン酸カルシウム結石の形成(HIM.1805)
- 7. 尿の濃縮障害 (HIM.1805) 機序不明
臨床像
HIM.1805
- 原発性dRTAでは、全身性代謝性アシドーシスや酸負荷によっても尿をpH5.5以下に酸性化できない。これは、遠位尿細管における酸分泌や重炭酸の再吸収の障害による。
- 低カリウム血症、低クエン酸尿症、高カルシウム尿症、腎石灰化症、腎結石が特徴的
- 未治療のまま放置すると、くる病や骨軟化症をきたす。
- 遺伝性:常染色体優性~常染色体劣性
- AR dRTA:幼児期発症。重度のアシドーシス、発育不良、成長不良、腎石灰化症による腎機能障害を呈する。
- AD dRTA:無症状で思春期や成人の時なってから腎結石の精査の折に偶然発見される。全身性のアシドーシスはない。尿検査で低クエン酸尿症、高カルシウム尿症、あるいは塩化アンモニウムや塩化カルシウム負荷による尿の酸性化障害で診断される。
徴候
- 低カリウム血症:低カリウム性四肢麻痺
- 尿の濃縮障害:
検査
- NH4Cl負荷試験:NH4Clを負荷をおこなっても尿の酸性化に限界があり、pH5.5以上を呈する。
合併症
治療
参考
- 1. 腎・泌尿器 081113IV
- 2. RENAL TUBULAR ACIDOSIS, DISTAL, AUTOSOMAL DOMINANT - OMIM
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/179800
- 17q21-q22
- mutation in the SLC4A1 gene
- 3. RENAL TUBULAR ACIDOSIS, DISTAL, WITH PROGRESSIVE NERVE DEAFNESS - OMIM
- http://www.ncbi.nlm.nih.gov/omim/267300
- 2cen-q13
- mutation in the ATP6V1B1 (ATP6B1)
- 4. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [1]
- 5. [charged] Treatment of distal (type 1) and proximal (type 2) renal tubular acidosis - uptodate [2]
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/19 09:13:52」(JST)
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遠位尿細管性アシドーシス(えんいにょうさいかんせいアシドーシス、英:distal renal tubular acidosis、dRTA)とは腎臓の遠位尿細管障害により起こる代謝性アシドーシスである。尿細管性アシドーシスの中ではI型に分類されている。
目次
- 1 原因
- 2 病態
- 3 治療
- 4 診療科
- 5 参考文献
- 6 関連項目
- 7 外部リンク
原因
- 自己免疫性疾患
- シェーグレン症候群
- 慢性活動性肝炎
- 原発性胆汁性肝硬変(PBC)など
- Ca代謝異常
病態
遠位尿細管ではH+をアンモニアとともにNH4+として排泄し、HCO3-を再吸収している。そのため遠位尿細管が障害されると、H+の排泄とHCO3-の再吸収をすることができなくなる。
結果的に体内にH+が蓄積され、尿中にはHCO3-が排泄されることとなる。マイナスに荷電したHCO3-が排泄されることでその電荷に引き寄せられたNa+イオンとK+イオンが尿細管内に出てしまう。これにより低カリウム血症・低ナトリウム血症となる。
カルシウムイオンCa2+は血液中では半数がアルブミンと結合しており、半数が無機イオンの形で存在している。アルブミンと結合したCa2+は、糸球体でサイズバリア・チャージバリアによって濾過されない。体内に蓄積されたH+は血中に存在するアルブミンと結合するが、もともと結合していたCa2+を血中に追い出す形で起こる。そのため、血中には無機Ca2+が増える。無機Ca2+は糸球体で濾過されるため、尿細管内に濾過されるCa2+の量が増加する。そのため、骨軟化症・腎石灰化などの症候が出現する。
治療
アルカリとカリウムの補充が主となる。尿細管性アシドーシス自体には根本的な治療がないため、対症療法しかできない。また、クエン酸含有アルカリ液(Shohl液)は血液をアルカリ化し結石を防止する。
診療科
参考文献
関連項目
外部リンク
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Japanese Journal
- 遠位尿細管性アシドーシスをともなうシェーグレン症候群に発症した視神経脊髄炎の1例
- シンナー常習により典型的な遠位尿細管性アシドーシスを呈した1症例
- 岩井 敦志
- 日本職業・災害医学会会誌 = Japanese journal of occupational medicine and traumatology 57(3), 130-133, 2009-05-01
- NAID 10026293559
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★リンクテーブル★
[★]
- 48歳の女性。意識混濁のため救急車で搬入された。脈拍88/分、整。血圧104/62mmHg、尿所見:pH6.5、蛋白(±)、糖(-)、潜血(±)。血清生化学所見:尿素窒素14mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、Na135mEq/l、K2.0mEq/l、Cl 111mEq/l。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.16、PaO2 80Torr、PaCO2 32Torr、HCO3 -12mEq/l。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A038]←[国試_097]→[097A040]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B042]←[国試_100]→[100B044]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [111I008]←[国試_111]→[111I010]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [110B026]←[国試_110]→[110B028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098H043]←[国試_098]→[098H045]
[★]
- 英
- metabolic acidosis
- 関
- アシドーシス、酸塩基平衡異常
酸塩基平衡異常とその代償 SP.660
原因
a. アニオンギャップの開大するアシドーシス 有機酸の蓄積
- 代謝アシドーシスをきたしているとき、HCO3-によりH+を滴定するため、HCO3-が減少する。HCO3-の減少を、Cl-ではない陰イオンが増加することで生体内の電気的中性を保つような病態ではアニオンギャップが開大する。
- (病態の形成機序としては不揮発酸が増大した結果としてHCO3-が減少しているのだが)
- (1)腎不全時のリン酸、硫酸の増加、(2)低酸素血症時の乳酸の増加[ 乳酸アシドーシス ]、(3)ケトン体増加[ 糖尿病性ケトアシドーシス ]
b. アニオンギャップの開大しない代謝性アシドーシス プロトン過剰 or HCO3-喪失
- 水・電解質と酸塩基平衡 改訂第2版
- メカニズム:代謝アシドーシスでは、HCO3-によりH+を滴定されておりHCO3-が減少する。代償的にCl-が増加してアニオンジャップが正常になっている(Cl-の値に注意する)。
- (不揮発性酸の過剰産生ではなく、代謝的にHCO3-の過剰喪失、H+の過剰産生、H+の排泄障害が考えられる)
-
症状
検査
- 血液ガス:pH↓
- 尿検査:カルシウム排泄増加 ← 遠位尿細管でのカルシウム再吸収が抑制されるため。
治療
- 重炭酸ナトリウム投与:volume overload、イオン化カルシウムの減少によりテタニーに注意
- 後者は、急激にpHを上げると、アルブミンが負に帯電、イオン化カルシウムが急激に減少することでテタニーを生じる。このような場合にはグルコン酸カルシウムの投与を行う。(QB.D-354)
その他
- 代謝性アシドーシスでは、呼吸性代償が機能していれば、PaCO2=pHの小数点以下2桁、となる。pH 7.34の代謝性アシドーシスではPaCO2 34Torrが期待されるが、34を大きく上回る場合、呼吸性代償が機能していないと判断される。(出典不明)
[★]
- 英
- proximal renal tubular acidosis, proximal RTA, pRTA, proximal tubular acidosis
- 同
- 2型尿細管性アシドーシス、II型尿細管性アシドーシス、尿細管性アシドーシス2型、尿細管性アシドーシスII型
- 2型腎尿細管性アシドーシス、II型腎尿細管性アシドーシス、腎尿細管性アシドーシス2型、腎尿細管性アシドーシスII型
- type 2 renal tubular acidosis, type II renal tubular acidosis, renal tubular acidosis type 2, renal tubular acidosis type II
- type 2 RTA, type II RTA, RTA type 2, RTA type II
- 関
- 尿細管性アシドーシス、アシドーシス。遠位尿細管性アシドーシス
[show details]
概念
- 腎尿細管アシドーシスの中で、近位尿細管における重炭酸イオン再吸収障害に伴う酸排泄障害を原因とするものをいう。
- アニオンギャップが正常な高Cl性の代謝性アシドーシス
病因
- 参考1
-
- 多発性骨髄腫 → 成人におけるRTA type 2の原因で最多
- 薬物性
病態
- 参考1
- 重炭酸が何らかの原因により再吸収されない。 → 高Cl性代謝性アシドーシス
- リン酸、グルコース、尿酸、アミノ酸が再吸収されない。 → 低リン酸血症、腎性糖尿、低尿酸症、アミノ酸尿
- 水・電解質と酸塩基平衡 改訂第2版 p.151
- 近位尿細管で重炭酸イオン(その他各種電解質も)の再吸収が低下するために血清HCO3-が低下する
- 血清HCO3-が15mEq/l以下になると再吸収が可能となるので、proximal RTAにおいて血清HCO3-が15-17mEq/l以下になることはまれ。
- YN
- 近位尿細管におけるNa+/H+交輸送体の異常や、炭酸脱水酵素遺伝子異常、Na+/HCO3-共輸送体遺伝子異常
治療
- アシドーシス補正:重曹
- 低カリウム血症:カリウム補充
参考
- わかりにくい
- http://omim.org/entry/179830
- 2. [charged] Etiology and diagnosis of distal (type 1) and proximal (type 2) renal tubular acidosis - uptodate [3]
- 3. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [4]
[★]
- 英
- renal tubular acidosis, RTA
- 関
- 尿細管アシドーシス 、尿細管性アシドーシス
- 代謝性アシドーシス
- 遠位尿細管性アシドーシス、近位尿細管性アシドーシス、1型尿細管性アシドーシス、尿細管性アシドーシスI型
[show details]
概念
分類
- 遠位尿細管性アシドーシス RTA I :H+の排泄障害。代わりにK+が排泄。高度の血清K低下。尿pH≧5.5(酸性化できない)。尿路結石を生じやすい。
- 近位尿細管性アシドーシス RTA II:近位尿細管でのHCO3-再吸収障害による。遠位尿細管でK+が排泄され、低カリウム血症を生じる。尿pH≦5.5(酸性化ok)。
- 低アルドステロン症 RTA IV:アルドステロン欠乏やアルドステロン抵抗性と関連した病態。高カリウム血症を呈し代謝性アルカローシスとなる。HCO3-≧17mEq/L, pH≦5.3 (参考)
参考
- 1. [charged] Pathophysiology of renal tubular acidosis and the effect on potassium balance - uptodate [5]
[★]
- 英
- urine pH
- 関
- 尿、pH
- 遠位尿細管性アシドーシス:尿の酸性化能が低下、つまり遠位尿細管におけるプロトンの分泌能が低下しているためアシデミアであっても、尿pHが5以下とならない。
[★]
- 英
- hypocitraturia
- 関
- クエン酸
臨床関連
[★]
- 英
- distal tubule (Z), DT
- 関
- 尿細管、ヘンレループ、近位曲尿細管
解剖
機能
検査
参考
- http://medical.itp.ne.jp/sickness/dic/encyclopedia/32-jinzo/0711-26.html
- http://www2j.biglobe.ne.jp/~fkamiya/HB/images/F0905.jpg
[★]
- 英
- acidosis
- 関
- アルカローシス
産科
- 胎児では7.0未満でアシドーシスと判断する。
- 胎児末梢血pH7.20以下で急遂分娩の適応
治療
- 重炭酸ナトリウムによるpHの補正は必要に迫られない限り行わないらしい。組織の酸素化を障害したり、脳血流を減少させたりするため、らしい。
[★]
- 英
- distal、distant、distally
- ラ
- distalis
- 関
- 遠位性、遠心性、遠い、末端
[★]
- 英
- canaliculus、canaliculi、tubule
- 関
- 小管、尿細管