- 英
- superior vena cava syndrome, SVC syndrome, SVCS
- 関
- 上大静脈、頚静脈怒張
概念
- 上大静脈の閉塞や有意狭窄によって生じる上半身の静脈圧の上昇で、頭部、顔面、上肢、頸部および上半身のうっ血を来す症候群。
- 肺癌、ホジキンリンパ腫(→ホジキン病)、大動脈瘤などの縦隔洞、胸腔内腫瘍により急速に上大静脈が圧迫され、静脈還流異常をまねき、これによって生ずる種々の症状をいう。
病因
病態生理
症状
- 上肢静脈圧は30-50cmH2Oと上昇し頚部、上腕、胸壁の静脈は怒張し、顔面、上肢の浮腫をみる。
- 頚静脈、側頭静脈の怒張、起坐呼吸、失神発作
- 脳浮腫 → 頭痛、めまい、傾眠傾向、(ときどき)痙攣・呼吸困難など
- 脳静脈圧上昇 → 抗利尿ホルモン分泌亢進 → 脳脊髄循環に悪影響
身体所見
- (原因疾患が良性で慢性に経過する場合)副血行路が主として奇静脈、内胸静脈、側胸静脈、脊椎静脈に生じる。門脈系を通して食道静脈瘤を生じる。
副側路(表在腹壁静脈)の流れる方向
検査
- 胸部単純X線写真:左第一弓の突出
- 胸部造影CT:上大静脈の閉塞、奇静脈の拡張
[show details]
治療
- 手術療法:大動脈瘤や甲状腺腫など
- 放射線療法・抗癌剤化学療法:摘除不能な悪性腫瘍
- バイパス手術:人工血管にて閉塞部をバイパス
- 経皮的血管形成術:バルーン拡張やすてんと留置で閉塞部を広げる。
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
国試
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 高度気管狭窄・上大静脈症候群をきたしていた巨大縦隔腫瘍の1症例
- 篠井 尚子,前島 亨一郎,鈴木 聡,檀浦 徹也,五藤 恵次,森田 潔
- 日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia 32(4), 555-559, 2012-07-14
- NAID 10030832381
- 肺癌に伴う上大静脈症候群に対する血管内ステント留置15症例の有効性と安全性
- 佐藤 奈穂子,向笠 洋介,増永 愛子 [他],佐伯 祥,一安 秀範,佐々木 治一郎,藤井 一彦,池田 理,山下 康行,興梠 博次
- 日本呼吸器学会誌 = Annals of the Japanese Respiratory Society 1(5), 374-380, 2012-07-10
- NAID 10030794223
- 樋口 恭子,荒木 歩,長井 友紀子,西山 由希子,飯島 克博,堀川 由夫,伊地智 和子,田中 修
- 日本集中治療医学会雑誌 = Journal of the Japanese Society of Intensive Care Medicine 19(2), 263-264, 2012-04-01
- NAID 10030556500
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- 上大静脈症候群. Miranda Kramer, RN, MS. Nurse Practitioner/Clinical Nurse. Specialist. 2008年度兵庫県立大学大学院がんプロ:Advanced Health Assessment in Oncology Nursing Seminar ...
- 上大静脈症候群 superior vena cava syndrome,SVC-S.
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★リンクテーブル★
[★]
- 24歳の男性。下肢の浮腫を主訴に来院した。眼球結膜に軽度の黄染を認める。頭部の静脈怒張はない。軽度の腹水貯留と下腿の中等度の浮腫・静脈怒張とを認める。血清生化学所見:尿素窒素15mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総ピリルピン3.1mg/dl、直接ビリルビン0.6mg/dl、AST(GOT)40単位(基準40以下)、ALTくGP蜀52単位(基準35以下)、アルカリホスファターゼ483単位(基準260以下)。下大静脈造影と右房造影とを同時に施行した写真を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096A022]←[国試_096]→[096A024]
[★]
- 58歳の男性。1か月前から労作時の息切れを自覚し、徐々に増悪したため来院した。意識は清明。身長152cm、体重49kg。脈拍68/分、整。血圧116/82mmHg。心尖部に2/6度の拡張期雑音を聴取するが、体位によっては聴取されない。呼吸音にcracklesを聴取しない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球441万、Hb13.1g/dl、Ht38%、白血球7,000、血小板23万。胸部造影CTを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [100A020]←[国試_100]→[100A022]
[★]
- 50歳の男性。呼吸困難を主訴に来院した。1か月前から咳嗽と労作時呼吸困難とが出現し、徐々に増悪した。3日前から顔面と上肢とに浮腫が出現した。胸部右側で呼吸音の減弱を認める。胸部エックス線写真を以下に示す。経気管支擦過細胞診はクラスIVである。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A052]←[国試_102]→[102A054]
[★]
- 65歳の男性。体動時の息切れを主訴に来院した。身長160cm、体重55kg。呼吸数14/分。脈拍76/分、整。血圧138/82mmHg。心音に異常を認めない。左下肺野で呼吸音の減弱を認める。胸部エックス線写真と胸部単純CTとを以下に示す。
- この患者に認めるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F021]←[国試_100]→[100F023]
[★]
- 50歳の男性。健康診断で異常を指摘され来院した。精査の結果、肺癌と診断された。初診時の胸部エックス線写真(別冊No.18A)と胸部造影CT(別冊No.18B)とを別に示す。
- 最も起こりやすいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I061]←[国試_105]→[105I063]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104D005]←[国試_104]→[104D007]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095A059]←[国試_095]→[095A061]
[★]
- 前胸壁に下行性の静脈怒張を認める。考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098H021]←[国試_098]→[098H023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B029]←[国試_100]→[100B031]
[★]
- 肺癌患者において放射線治療の適応でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109E026]←[国試_109]→[109E028]
[★]
- 英
- edema
- 関
- 水腫、angioedema、全身性浮腫
分類
- 低アルブミン血症はfast edema と覚えておく
浮腫の原因
- IMD.518
-
- 内分泌性浮腫
- 栄養失調性浮腫・栄養障害性浮腫
- 薬剤性浮腫
- 起立性浮腫
- 特発性浮腫
- 内科診断リファレンス p.4
浮腫を来す疾患
- IMD.519改変
-
- 内科外科マニュアルp.212
- 蜂窩織炎
- 深部静脈血栓症
- 表在静脈瘤(慢性静脈還流不全)
- うっ血性心不全
- ネフローゼ症候群
- 肝硬変
- 甲状腺機能亢進症
- 甲状腺機能低下症
- 薬剤:CCB,ピオグリタゾン,NSAIDs,女性ホルモン,甘草
- 特発性浮腫:女性,夕方増悪する下腿の浮腫:NaCl,炭水化物制限
- 月経前症候群:黄体期に出現し,月経発来と共に消退:当帰芍薬散,加味逍遥散
肝性浮腫と腎性浮腫
- 肝性浮腫は下肢に、腎性浮腫では眼瞼に浮腫が初発する?(出典不明)
-
- 越婢加朮湯
- 五苓散
-
-
- 当帰芍薬散
- 真武湯
-
- 防已黄耆湯
- 八味地黄丸
参考
[★]
- 英
- aortic dissection
- 関
- 解離性大動脈瘤
大動脈解離の病態
ガイドライン
- 1. 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
文献
- 腹部大動脈瘤の血管内手術と開腹手術、長期死亡率に差なし
- 腹部大動脈瘤(AAA)の修復を血管内手術または開腹手術によって受けた患者の転帰を8年間にわたって調べた試験(EVER1)で、両者の全死因死亡率、動脈瘤関連死亡率に差はないことが明らかになった。また、開腹手術が適用にならないAAA患者を対象に、血管内手術を受けた患者と介入なしの患者の長期的な転帰を比較した試験(EVER2)では、両者の全死因死亡率にも差はないことが明らかになった。
- Endovascular repair of aortic aneurysm in patients physically ineligible for open repair.
- N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1872-80. Epub 2010 Apr 11.
- United Kingdom EVAR Trial Investigators et al.
- PMID 20382982
- Endovascular versus open repair of abdominal aortic aneurysm.
- N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1863-71. Epub 2010 Apr 11.
- United Kingdom EVAR Trial Investigators et al.
- PMID 20382983
- Long-term outcome of open or endovascular repair of abdominal aortic aneurysm.
- N Engl J Med. 2010 May 20;362(20):1881-9.
- De Bruin JL et al.
- PMID 20484396
国試
- 105I059:Stanford A偽腔閉塞型急性大動脈解離。ガイドライン1では内科的治療が良いか外科的治療が良いかはどちらともいえないと記載がある。いずれにせよ、早急な降圧が重要である。
[show details]
[★]
- 英
- pleural effusion, pleural fluid
- 同
- 胸膜滲出液 pleural exudate
- 関
- 胸水貯留
概念
- 胸膜腔内の液体。
- 元々は壁側胸膜で産生され、胸膜腔に開口部を有する壁側胸膜のリンパ管から排出されると考えられている。
- 生理的に少量20ml程度の胸水が存在し、壁側胸膜と臓側胸膜との摩擦を低減させ、呼吸運動を円滑にする作用がある。
- 病的な状態の存在により、産生と排出のバランスが崩れると胸水が貯留する。
組成
- IMD.457
量
|
0.1-0.2 ml/kg
|
細胞数
|
1000-5000 /ul
|
mesothelial cells
|
3-70%
|
monocytes
|
30-75%
|
lymphocytes
|
2-30%
|
granulocyte
|
10%
|
蛋白
|
1-2 g/dl
|
アルブミン
|
50-70%
|
糖
|
血糖と同じ
|
LDH
|
血清レベルの50%以下
|
pH
|
血清よりややアルカリ性
|
種類
|
漏出性胸水
|
滲出性胸水
|
外観
|
透明
|
混濁
|
比重
|
<1.015
|
>1.018
|
タンパク
|
<2.5 g/dL
|
>3.0 g/dL
|
LDH
|
<200単位
|
>200単位
|
Rivalta反応
|
(-)
|
(+)
|
原因疾患
- 漏出性胸水:うっ血性心不全が多い
- 滲出性胸水:結核性胸膜炎と癌性胸膜炎が半数以上
漏出性胸水(transudative pleural effusion)と滲出性胸水(exsudative pleural effusion)の鑑別
Lightの基準(Light's criteria) (Chest 1995;107:1604)
- 以下いずれかに合致する場合、滲出性胸水と判断する。感度98%、特異度83%。ただし、25%の例で漏出性胸水が滲出性胸水と判定される場合があるので、特異度の高い検査で確認する。
- 1. 胸水蛋白/血清蛋白>0.5
- 2. 胸水LDH/血清LDH>0.6
- 3. 胸水LDH>血清LDH上限の2/3
より特異度の高い検査
- 血清Alb-胸水≦1.2 ならば滲出性胸水である。(感度87%、特異度92%)
- 血清TP-胸水TP≦3.1 ならば滲出性胸水である。(感度84%、特異度91%)
- 胸水コレステロール > 45mg/dLかつ 胸水LDH > 200 (感度90%、特異度98%)
漏出性胸水
原因による分類
- 静水圧↑:うっ血性心不全、収縮性心膜炎、アミロイドーシス
- 血漿膠質浸透圧↓:ネフローゼ症候群、肝硬変、低栄養
滲出性胸水
身体所見
- 肺肝境界:(右肺ならば)上昇
- 心濁音境界:(十分に貯留していれば)消失
-
検査
- CPAがdullであれば300mlの胸水貯留が示唆される
診断
- 胸水の有無についての診察と画像検査で確定できる。
- 原因については、スクリーニング検査を追加する必要がある。
治療
[★]
- 英
- aortic aneurysm, aneurysm of the aorta
- 関
- 動脈瘤、大動脈弁輪拡張症 AAE
概念
分類
部位
病理
疫学
好発部位
- 腎下部腹部大動脈瘤 60%
- 上行大動脈瘤 16%
- 弓部下行大動脈瘤 7%
- 腎上部腹部大動脈瘤 5%
- 胸腹部大動脈瘤 2%
腹部AAと胸部AAの比較 (YN.C146)
病因
- YN.C-145
ガイドライン
- 大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2006年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2006_takamoto_h.pdf
治療
- 胸部AA > 5cm、腹部AA > 6cmで破裂のリスクが高まる。
手術療法
- 同
- 動脈瘤
[★]
- 英
- venous dilatation on abdominal wall
- 関
- 腹壁静脈
血流の向き
|
疾患
|
↓↓↓
|
上大静脈の閉塞(上大静脈症候群)
|
↑↑↑ 臍 ↓↓↓
|
門脈~肝静脈の閉塞(肝硬変・門脈閉塞などによる門脈圧亢進)
|
↑↑↑
|
下大静脈の閉塞
|
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- superior vena cava (KH), SVC
- ラ
- vena cava superior
由来
走行
臨床関連
[★]
- 英
- vein (Z)
- ラ
- vena
- 毛細血管から発生した静脈血を心臓に送るために使われる血管。
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- ラ
- vena cava
- 関
- 静脈
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.