一般感覚性 | 臓性感覚性 | 特殊感覚性 | 体性運動性 | 臓性運動性 | 鰓弓運動性 | 神経細胞(中枢神経外) | 神経細胞(中脳) | 神経細胞(橋) | 神経細胞(延髄) | 神経細胞(脊髄) | ○-< 節後ニューロン | 頭蓋からの出口 | 分布と機能 |
○ | 脳神経Xの上神経節 | 頚静脈孔 | 耳介、外耳道、後頭蓋窩からの感覚 | ||||||||||
○ | 脳神経Xの上神経節 | 舌底、咽頭、喉頭、器官、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚 | |||||||||||
○ | 脳神経Xの下神経節 | 喉頭蓋と口蓋の味覚 | |||||||||||
○ | ○ | 内臓近傍のニューロン | 副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓) | ||||||||||
○ | ○ | 支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋 |
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/09/04 00:04:36」(JST)
脳神経 |
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第I脳神経 – 嗅神経 |
第II脳神経 – 視神経 |
第III脳神経 – 動眼神経 |
第IV脳神経 – 滑車神経 |
第V脳神経 – 三叉神経 |
第VI脳神経 – 外転神経 |
第VII脳神経 – 顔面神経 |
第VIII脳神経 – 内耳神経 |
第IX脳神経 – 舌咽神経 |
第X脳神経 – 迷走神経 |
第XI脳神経 – 副神経 |
第XII脳神経 – 舌下神経 |
表・話・編・歴 |
迷走神経(めいそうしんけい、英:Vagus nerve、羅:Nervus vagus)は、12対ある脳神経の一つであり、第X脳神経とも呼ばれる。頸部と胸部内臓、一部は腹部内臓に分布する。
迷走神経は脳神経の中で唯一腹部にまで到達する神経である。迷走神経は体で一番重要な神経であると言える。
迷走神経の「Vagus」とは中世のラテン語で、放浪している事を意味する。
首から横行結腸の3分の1までのほとんど全ての内臓の運動神経と副交感性の知覚神経が迷走神経であり、さらに、心拍数の調整、胃腸の蠕動運動、発汗や発話等にも関与する。
主に副交感神経性線維であるが、関与する線維の神経核は迷走神経背側核、疑核 nucleus ambiguus、孤束核 solitary nucleus などである。
また、胸腔内で反回神経を分岐し、これは上行し口蓋帆挙筋、耳管咽頭筋、茎突咽頭筋、口蓋舌筋、口蓋咽頭筋、上咽頭収縮筋、中咽頭収縮筋、下咽頭収縮筋、鰓弓筋等を支配している。このことは、口でも迷走神経が多くの筋肉を支配し、発話や咽頭を開くことにきわめて重大な役割を担っていることを示す。
また、この神経は外耳や髄膜の一部からいくらかの刺激を受ける。
直接の枝としては、硬膜枝、上神経節、下神経節、鰓弓神経、腸骨枝、耳介枝、咽頭枝、咽頭神経叢、喉頭神経、上頚心臓枝、下頚心臓枝、気管枝、食道枝、胸心臓神経、気管支枝、肺神経叢、食道神経叢、前迷走神経幹、前胃枝、胃小弯前神経、肝枝、幽門枝、後迷走神経幹、後胃枝、胃小弯後神経、腹腔枝、腹腔神経叢、腎枝に分枝する。
迷走・迷走神経反射(英:vagovagal reflex、独:parasympathischer Reflex)は、外界刺激が迷走神経の求心性線維により中枢に伝わり、遠心性線維が生命維持のために末梢各臓器もしくは効果器に防衛反応を形成する反射である。
知覚枝は外耳道後下壁、鼓膜の後半部、および耳介、乳様突起それぞれの付け根の間の小部分、後頭蓋窩の脳硬膜、食道、気管、気管支、咽頭からの表在知覚を伝える。また胸部臓器、腹部臓器からの内臓知覚の一部を伝え、孤束もしくは孤束核へ至る。
運動枝は軟口蓋、咽頭、咽頭筋のほとんどを支配し、その神経細胞体は延髄被蓋の疑核にある。
遠心性副交感神経枝はほとんどが背側運動核 dorsal motor nucleus に始まり、内臓運動枝 general visceral efferent fiber として骨盤臓器以外の全臓器に分岐する。
神経原性ショック(英:neurogenic shock、独:neurogener Schock)は神経系の障害もしくは刺激により血圧が低下した状態である。
狭義の神経原性ショックは疼痛や精神的衝撃などによるもので、三叉・迷走神経反射により全身の血管拡張、徐脈、血圧低下が起こる脈管性減圧性失神 vasodepressor syncope に含まれるものが多く、外傷直後の1次ショックもこれに属する。
広義の神経原性ショックには循環調節に関与する神経機構が損なわれて起こる急性循環障害を含む。これは頭部外傷、脳出血などの脳障害によるショック、急性脊髄損傷から起こる脊髄性ショック、脊髄麻酔によるショック、神経節遮断薬や交感神経抑制薬によるショックの他、起立性低血圧や頸動脈洞症候群などに見られるショックに類するものなどである。本態は多くの場合、急激な末梢血管床拡張に伴う血圧低下と心拍出量減少であり、治療は末梢血管の緊張回復を主とする。
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脳神経 | 同側の脳神経症状 | 代表的症候群 | ||||
中脳 | III | IV | 内転筋の麻痺、眼球の外方変異 | Weber症候群、MLF症候群、Benedikt症候群 | ||
橋 | V | VI | VII | VIII | 顔面の麻痺 | Millard-Gubler症候群 |
延髄 | IX | X | XI | XII | 嚥下障害、構音障害 | Wallenberg症候群 |
CN# | 一般感覚性 | 臓性感覚性 | 特殊感覚性 | 体性運動性 | 臓性運動性 | 鰓弓運動性 | 神経細胞(中枢神経外) | 神経細胞(中脳) | 神経細胞(橋) | 神経細胞(延髄) | 神経細胞(脊髄) | ○-< 節後ニューロン | 頭蓋からの出口 | 分布と機能 | ||
CN I | 嗅神経 | ○ | 嗅上皮 | 篩骨の篩板の穴 | 左右の鼻腔の天井、鼻中隔の上部、上鼻甲介の粘膜からの嗅覚 | |||||||||||
CN II | 視神経 | ○ | 網膜 | 視神経板 | ||||||||||||
CN III | 動眼神経 | ○ | ○ | 上眼窩裂 | 支配筋:上直筋、下直筋、内側直筋、下斜筋 | |||||||||||
○ | ○ | 毛様体神経節 | 上眼窩裂 | 副交感神経:瞳孔収縮筋、毛様体筋 | ||||||||||||
CN IV | 滑車神経 | ○ | ○ | 上眼窩裂 | 支配筋:上斜筋 | |||||||||||
CN V | 三叉神経 | |||||||||||||||
V1 | 眼神経 | ○ | 三叉神経節 | 上眼窩裂 | 角膜、前頭部、頭皮、眼瞼、鼻の皮膚、鼻腔と副鼻腔の粘膜からの感覚 | |||||||||||
V2 | 上顎神経 | ○ | 三叉神経節 | 正円孔 | 上唇を含む上顎部の顔の皮膚、上顎の歯、鼻粘膜、上顎洞、口蓋の感覚 | |||||||||||
V3 | 下顎神経 | ○ | 三叉神経節 | 卵円孔 | 下唇を含む下顎と顔の外側部の皮膚、下顎の歯、顎関節、口の粘膜、舌の2/3の感覚 | |||||||||||
○ | ○ | 支配筋:咀嚼筋、顎舌骨筋、顎二腹筋の前腹、口蓋帆張筋、膨膜張筋 | ||||||||||||||
CN VI | 外転神経 | ○ | 上眼窩裂 | 支配筋:外側直筋 | ||||||||||||
CN VII | 顔面神経 | ○ | 膝神経節 | 内耳道、顔神経管、茎乳突孔 | 外耳道の皮膚の感覚 | |||||||||||
○ | 膝神経節 | 舌の2/3,口腔底、口蓋の味覚 | ||||||||||||||
○ | ○ | 翼口神経節、顎下神経節 | 副交感神経:顎下腺、舌下腺、涙腺、鼻と口蓋の腺 | |||||||||||||
○ | ○ | 支配筋:顔の表情筋、中耳のアブミ骨、茎突舌骨筋、顎二腹筋の後腹 | ||||||||||||||
CN VIII | 内耳神経 | |||||||||||||||
前庭神経 | ○ | 前庭神経節 | 内耳道 | 半規管、球形嚢、卵形嚢からの前庭感覚 | ||||||||||||
蝸牛神経 | ○ | ラセン神経節 | ラセン器からの聴覚 | |||||||||||||
CN IX | 舌咽神経 | ○ | 脳神経IXの下神経節 | 頚静脈孔 | 外耳からの皮膚感覚 | |||||||||||
○ | 脳神経IXの上神経節 | 耳下腺、頸動脈小体、頸動脈洞、咽頭、中耳からの臓性感覚 | ||||||||||||||
○ | 脳神経IXの下神経節 | 舌の後ろ1/3からの味覚 | ||||||||||||||
○ | ○ | 耳神経節 | 副交感神経:耳下腺 | |||||||||||||
○ | ○ | 支配筋:茎突咽頭筋(嚥下を助ける) | ||||||||||||||
CN X | 迷走神経 | ○ | 脳神経Xの上神経節 | 頚静脈孔 | 耳介、外耳道、後頭蓋窩からの感覚 | |||||||||||
○ | 脳神経Xの上神経節 | 舌底、咽頭、喉頭、器官、気管支、心臓、食道、胃、腸の臓性感覚 | ||||||||||||||
○ | 脳神経Xの下神経節 | 喉頭蓋と口蓋の味覚 | ||||||||||||||
○ | ○ | 内臓近傍のニューロン | 副交感神経:平滑筋(気管、気管支、消化管)、心筋(心臓) | |||||||||||||
○ | ○ | 支配筋:咽頭収縮筋、口蓋帆張筋を除く口蓋の筋、食道上2/3の横紋筋 | ||||||||||||||
CN XI | 副神経 | |||||||||||||||
延髄根 | ○ | ○ | 頚静脈孔 | 支配筋:軟口蓋、咽頭の横紋筋、喉頭(いずれも脳神経Xに加わる神経を経由) | ||||||||||||
脊髄根 | ○ | ○ | 支配筋:胸鎖乳突筋と僧帽筋 | |||||||||||||
CN XII | 舌下神経 | ○ | ○ | 舌下神経管 | 支配筋:舌筋(口蓋舌筋を除く) |
O:食道入口部 esophageal orifice | |||
Ce: 頚部食道 cervical esophagus | |||
S: 胸骨上縁 margin of the sternum | |||
Te: 胸部食道 thoracic esophagus | Ut: 胸部上部食道 upper thoracic esophagus | ||
Mt: 胸部中部食道 middle thoracic esophagus | ↑ | B: 気管分岐部下縁 tracheal bifurcation | |
↓ | |||
Lt: 胸部下部食道 lower thoracic esophagus | ↑ | ||
D: 横隔膜 diaphragm | |||
H: 食道裂孔 esophageal hiatus | |||
Ae: 腹部食道 abdominal esophagus | ↓ | ||
EGJ: 食道胃接合部 esophagogastric junction |
部位 | 名称 | 筋肉 | 神経 | 運動性 | シナプスする構造 | 最終的な伝達物質 | 運動 | |
上部1/3 | 上食道括約部 | UES | 横紋筋 | 舌咽神経、迷走神経(疑核) | 随意性 | 運動終板のアセチルコリン受容体 | アセチルコリン | 弛緩 |
平滑筋 | 迷走神経 | 不随意性 | 壁内コリン作動性運動神経 | |||||
下端部 | 下食道括約部 | LES | 平滑筋 | 迷走神経 | 不随意性 | 壁内非アドレナリン作動性抑制運動神経 | NO, VIP | 弛緩 |
交感神経 | 平滑筋α受容体 | アドレナリン | 収縮 |
層構造 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||||||||
器官 | 単層扁平上皮 | 単層立方上皮 | 単層円柱上皮 | 角化重層扁平上皮 | 非角化重層扁平上皮 | 上皮表層の構成細胞 | 粘膜固有層 | 腺の構成細胞 | 粘膜筋板 | 粘膜下組織 (大抵、粗結合組織) |
筋層 | 漿膜(結合組織+単層扁平上皮) 外膜(結合組織のみ) | |||
食道 | ○ | 食道噴門腺 (咽頭付近と胃付近に局在)、粘液腺 |
粘液細胞 (スムーズに食べ物を流す) |
縱層 (縦走筋のみ) |
固有食道腺(粘液腺、管状胞状、ペプシノーゲン、リゾチーム) | 内輪筋層 外縱筋層 (食道上1/3:骨格筋、食道中1/3:骨格筋、平滑筋、食道下1/3:平滑筋) |
外膜(横隔膜まで) 漿膜 |
→IP3↑→[Ca2+]i↑→インスリン開口分泌
→DAG↑→PKC活性化→インスリン開口分泌
障害部位:5, 8(vestibular n.), 9, 10, Sympathetic, Cerebellar, Lateral spinothalamic tract
症候 | |
障害側 | 健側 |
CN V(感覚解離) | 半身感覚解離(顔面をのぞく) |
CN IX, Xの麻痺 | |
ホルネル症候群 | |
小脳性運動失調、眼振 |
# | 鰓弓 | 神経 | 筋 | 骨格 | 動脈* |
1 | 顎弓(上顎隆起、下顎隆起) | CN V 三叉神経: 上顎枝、下顎枝(第一鰓弓の筋を支配) |
咀嚼筋(側頭筋、咬筋、内側翼突筋・外側翼突筋)、顎舌骨筋、顎二腹筋前腹、口蓋帆張筋と鼓膜張筋 | 上顎突起(顎前骨、上顎骨、頬骨、側頭骨の一部)、メッケル軟骨(下顎骨、キヌタ骨、ツチ骨、前ツチ骨靱帯、蝶下顎靱帯) | 消失し一部残存(顎動脈) |
2 | 舌骨弓 | CN VII 顔面神経 |
顔面表情筋(頬筋、耳介筋、前頭筋、広頚筋、口輪筋および眼輪筋)、顎二腹筋後腹、茎突舌骨筋、アブミ骨筋 | アブミ骨、茎状突起、茎突舌骨靱帯、舌骨小角と舌骨体の上部 | 消失し一部残存(舌骨動脈、アブミ骨動脈) |
3 | CN IX 舌咽神経 |
茎突咽頭筋 | 舌骨大角と舌骨体の下部 | 総頚動脈、内頚動脈の基部。外頚動脈が出芽 | |
4 | CN X 迷走神経 |
輪状甲状筋、口蓋帆挙筋 | 喉頭軟骨(甲状軟骨、輪状軟骨、披裂軟骨、小角軟骨、および楔状軟骨 | 大動脈弓の一部 | |
5 | 上喉頭神経(第四鰓弓支配神経) | 咽頭収縮筋 | 消失 | ||
6 | 反回神経(下喉頭神経)(第六鰓弓支配神経) | 喉頭内の筋 | 動脈管と肺動脈の基部 |
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