- 英
- posterior inferior cerebellar artery (KH) , PICA
- ラ
- arteria cerebelli inferior posterior
- 関
- 椎骨動脈、大脳動脈、前下小脳動脈
起始
走行
- 延髄と小脳の間の凹みに入り込んで背側に回り込む
- 延髄の下部あたりで分岐し、副神経の枝を通り抜けつつ背面に向かう (N.134)
分布
- 延髄両側を支配し、小脳に枝を出す。(CNUR.48)
- 小脳の後下面
枝
臨床関連
- ワレンベルグ症候群:CN X, CN XI, CN XIIの脳神経核がある部位は後下小脳動脈が支配しており、この動脈の閉塞により延髄外側部の梗塞が生じて発症する。
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/01/26 14:57:05」(JST)
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動脈: 後下小脳動脈 |
小脳を栄養する3本の主要な血管:SCA、AICAおよびPICA(PICAが後下小脳動脈)
|
脳底部の動脈循環の模式図(後下小脳動脈は右最下部に図示)
|
ラテン語 |
arteria cerebelli inferior posterior |
グレイの解剖学 |
書籍中の説明(英語) |
栄養 |
小脳、第四脳室の脈絡叢 |
起始
|
椎骨動脈
|
分岐
|
内側枝
外側枝
|
静脈
|
下小脳静脈
|
テンプレートを表示 |
後下小脳動脈(こうかしょうのうどうみゃく、Posterior inferior cerebellar artery, PICA)は椎骨動脈の最大の枝であり、上小脳動脈、前下小脳動脈とともに小脳を栄養する主な三つの動脈のうちのひとつ。以下文中ではこの動脈をPICAと表現する。
目次
- 1 走行
- 2 疾患
- 3 出典
- 4 参考文献
- 5 外部リンク
走行
PICAは椎骨動脈から分岐すると延髄上部の表面を背側にまわり、迷走神経および副神経と交叉する。ここで延髄の背外側を栄養する小さな穿通枝を分岐する。この穿通枝が栄養する領域(下オリーブ核の背側領域)には脊髄視床路、三叉神経脊髄路核、疑核からの末梢神経、迷走神経背側核、下小脳脚の腹側、橋および延髄由来の交感神経線維などが通っている。さらに下小脳脚上を通って小脳の下部表面に達する。
内側枝と外側枝があり、内側枝は小脳半球間隙から背側に進み、第四脳室の脈絡叢の一部分を栄養する。一方外側枝は小脳虫部の下位(特に虫部垂や虫部結節)や小脳扁桃、そして小脳半球の下面を分枝しながら栄養し、やがて(椎骨動脈からのもうひとつの枝である)前下小脳動脈および脳底動脈からの枝である上小脳動脈の枝と吻合して終わる。
疾患
延髄外側症候群(ワレンベルグ症候群)で障害される部分。延髄の断面図
PICAをふくむ椎骨動脈などの血栓症や脳血管障害によってこの血管領域が梗塞を起こすと、PICA症候群またはワレンベルグ症候群と呼ばれる神経学的にみて特徴的で典型的な症状を示す。これは延髄外側症候群とも呼ばれ、現れる症状は多彩で小脳性運動失調や交代性感覚解離(首から上では障害側の、体幹以下では反対側の温痛覚消失があるが、触圧覚は保たれる)、前庭症状(回転性めまい、悪心、嘔吐など)、障害側のホルネル症候群、構音障害、味覚障害などがあり、運動麻痺は現れない。この神経学的所見は、上述のようにPICAの延髄背外側への穿通枝が栄養する領域に存在する神経核や神経路を考えることで理解できる。
しかし現在では、延髄外側症候群はPICAのそのものの障害よりはむしろ椎骨動脈の障害であることが多いと考えられるようになっている[1]。
出典
参考文献
- Parent, André (1996). Carpenter's Human neuroanatomy. Media, PA: Williams & Wilkins. pp. 116-119. ISBN 0683067524.
- 平田幸男 『ヒトの脳:神経解剖学・組織学アトラス』 文光堂、2006年、92-93頁。ISBN 4830600292。
- 田崎義昭、斎藤佳雄、坂井文彦 『ベッドサイドの神経の診かた改訂16版』 南山堂、2004年。ISBN 4525247169。
外部リンク
- DDB 10449
- Anatomy photo:28:09-0225 at the SUNY Downstate Medical Center
- Anatomy diagram: 13048.000-1 at Roche Lexicon - illustrated navigator, Elsevier
脳底部を下より見た図。後下小脳動脈は下より2番目のラベルで示してある。なお右の大脳側頭葉と小脳半球の一部は省略してある
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鎖骨下 |
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- 1. 後方循環系の脳血管症候群 posterior circulation cerebrovascular syndromes
Japanese Journal
- 症例報告 両側後下小脳動脈に限局した解離性動脈瘤の1例
- 髙田 芽,柘植 雄一郎,村尾 健一 [他]
- JNET : journal of neuroendovascular therapy 8(1), 40-45, 2014-03
- NAID 40020128444
- 西野 繁樹,桑原 研,冨田 祐介,大熊 佑,田邉 智之,村岡 賢一郎,寺田 欣矢,目黒 俊成,廣常 信之
- 脳卒中の外科 42(4), 262-269, 2014
- Over the past 23 years, we have experienced 42 surgical cases of the posterior inferior cerebellar artery aneurysm (PICA An); of these, 90% (38) cases were ruptured (SAH) and 10% (four) cases were unr …
- NAID 130004699316
- 保存的治療中に続発した両側性後下小脳動脈解離による小脳梗塞の1 例
- 都築 俊介,厚地 正子,角 真佐武,草野 良,三浦 直久,岡田 芳和
- 脳卒中 36(5), 337-341, 2014
- … 側の後下小脳動脈の解離性動脈瘤が疑われた.脳血管撮影では両側の後下小脳動脈起始部よりpearl and string sign を認め,解離性動脈瘤と診断した.保存的治療のみで自覚症状も改善し,その後梗塞の再発は認めていない.本症例では左小脳梗塞発症の急性期に対側の小脳梗塞を発症し,原因としては両側後下小脳動脈単独の解離が疑われた.後下小脳動脈単独 …
- NAID 130004691371
- 髙田 芽,柘植 雄一郎,村尾 健一,川上 理,児島 正裕,松林 景子,山田 圭介
- 脳神経血管内治療 8(1), 40-45, 2014
- … 【目的】後下小脳動脈に限局した解離性動脈瘤は稀であり,両側性病変の報告はこれまでにない.くも膜下出血で発症し,両側後下小脳動脈に解離を認めた症例を経験したので報告する.【症例】後頚部痛と眩暈で救急受診した41 歳男性.意識清明,CT 上Fisher grade 3 のくも膜下出血を認めた.両側後下小脳動脈のanterior medullary segment からlateral medullary segment 近位に解離性動脈瘤を …
- NAID 130004565427
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- 後下小脳動脈(こうかしょうのうどうみゃく、Posterior inferior cerebellar artery, PICA) は椎骨動脈の最大の枝であり、上小脳動脈、前下小脳動脈とともに小脳を栄養する主な 三つの動脈のうちのひとつ。以下文中ではこの動脈をPICAと表現する。
- 脳梁周囲動脈は前大脳動脈との吻合部から遠位側の本幹で終板槽の前方を上行した 後、脳梁に沿って脳梁周囲槽内を脳梁膨大へ至る。終板槽前面を走る部位を脳梁下部 infracallosal portion、脳梁に沿って脳梁周囲槽内を後方へ進み脳梁膨大部に至るまで ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 66歳の男性。今朝からのめまいと左上下肢のしびれとを主訴に来院した。右顔面の温痛覚の低下、顔面を除く左半身の温痛覚の低下および右半身の小脳失調を認める。四肢の運動麻痺は認めない。眼部の写真を以下に示す。
- 障害があるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A042]←[国試_101]→[101A044]
[★]
- 英
- Wallenberg's syndrome, Wallenberg syndrome
- 同
- ワレンベルグ症候群、Wallenberg症候群
- 延髄外側症候群 lateral medullary syndrome LMS
- 関
- 後下小脳動脈血栓、橋延髄外側症候群
[show details]
- 表:BET.235(脳神経を侵す脳幹障害)
- 図:BET.370,376 N.159(自律神経),164(脊髄の動脈)
障害部位:5, 8(vestibular n.), 9, 10, Sympathetic, Cerebellar, Lateral spinothalamic tract
疫学
- 若年に多く、椎骨動脈の解離が原因であることが多い。
病因
障害部位
- see BET.376
症状
- 全身:頭痛、回転性めまい、悪心・嘔吐
- 同側:顔面の温度・痛覚消失(感覚解離)、角膜反射低下、ホルネル症候群、眼振(回旋性眼振)、眼球側方突進、発声困難、嚥下困難、小脳性運動失調、筋緊張低下
- 対側:体幹・上下肢の温度・痛覚消失
[show details]
BET.235
症候
|
障害側
|
健側
|
CN V(感覚解離)
|
半身感覚解離(顔面をのぞく)
|
CN IX, Xの麻痺
|
|
ホルネル症候群
|
小脳性運動失調、眼振
|
- 椎骨動脈が脳底動脈となるより下位で後下小脳動脈(PICA)を分枝。PICAは延髄を後方に回り込み小脳の下面に分布
国試
[★]
- 英
- superior cerebellar artery] (KH), SCA
- ラ
- arteria cerebelli superior
- 関
- 大脳動脈、脳底動脈、前下小脳動脈、後下小脳動脈、小脳の動脈、ウィリス動脈輪
- 図:N.132,134 KA.93
- 大脳半球と脳幹を見上げたとき、動眼神経を挟んで上方にあるのが後大脳動脈で、下方にあるのが上小脳動脈である (N.132)
由来
走行
- 大脳脚を取り囲みつつ後方に進み、小脳の上面に至る
- 橋上部で脳底動脈から分岐し、(200%){動眼神経};の(200%){下};を通って外側に向かう (N.134)
分布
枝
==臨床関連
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- hemifacial spasm
- 同
- 半側顔面痙攣、片側顔面けいれん、半側顔面けいれん
- 関
- 片側顔面攣縮
[show details]
病因
- 参考1
- 顔面神経が脳幹を出る部位で血管に接触圧迫されることが原因
治療法
- 参考1
参考
- 1. 片側顔面麻痺 標準的神経治療 - 日本神経治療学会
- http://www.jsnt.gr.jp/guideline/img/keiren.pdf
[★]
- 英
- anterior inferior cerebellar artery (KL) AICA, anterior inferior cerebellai artery
- ラ
- arteria cerebelli inferior anterior
- 関
- 大脳動脈、脳底動脈、後下小脳動脈、小脳
由来
走行
- 迷路動脈と前下小脳動脈が外転神経を挟み込んでいる
分布
- 橋の片側を支配し、小脳に至る。(CNUR.48)
- 小脳下面の前部に分布
枝
[★]
- 英
- vertebral artery (Z), VA
- ラ
- arteria vertebralis
- 関
- 小脳の動脈、鎖骨下動脈、内頸動脈
由来
走行
枝
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
[★]
- 英
- infarcts in the territory of the posterior inferior cerebellar artery?, posterior inferior cerebellar artery territory infarcts?
- 関
- 後下小脳動脈、脳梗塞
[★]
- 同
- thrombosis of the posterior inferior cerebellar artery
- 関
- ワレンベルグ症候群
[★]
- 英
- posterior inferior cerebellar artery syndrome
[★]
- 英
- cerebellum
発生
解剖
-
血管
機能概要
- 運動のタイミング決定と一つの運動から次の運動への急速な切り替え
機能
- ①運動開始に関与
- ②運動学習に関与
- ③多関節にわたる運動に関与
- ④フィードバックモード、フィードフォワードモードに関与
-
- 熟練した運動で、早く動かさないとき
- 素早い運動を行うとき。学習を行うとき
入力経路
障害 (KAPLAN USMLE STEP 1 QBOOK p.54)
障害
-
- 体幹失調=姿勢の制御不良
- 失調性歩行
- 注視方向への眼振(注意方向性眼振=注視眼振)
- Tomberg兆候(-)(両側をそろえて開眼して立つ、その後閉眼しても倒れない)
- 体幹筋失調による歩行障害(体幹歩行失調, 失調性歩行)
- 四肢の運動失調(協調運動障害)
- ①推尺障害
- ②変換運動障害
- ③運動解離
- ④共同運動不能
- ⑤失調性構音障害
臨床関連
[★]
- 英
- artery (Z)
- ラ
- arteria
- 関
- 静脈
[★]
- 英
- cerebral artery
- 関
- 大脳動脈