- 英
- diverticulum of the colon (SSUR)
- 関
- 結腸憩室、憩室
概念
- 大腸壁の脆弱な部分が腸管内圧の上昇により壁外に袋状に突出した状態。 → 多発している場合大腸憩室症 (消化器疾患ビジュアルブック p.131)
原因
- 低残渣食などによる過剰な分節異常により慢性的な腸管内圧の異常を来し、これにより結腸壁の脆弱な直動脈貫通部の筋層を貫いて粘膜が脱出して形成される(後天性の仮性憩室)。(SSUR.531)
疫学
- アジアでは右側結腸に多く、また若年にみられる。S状結腸に好発するのは欧米人や老人。(SSUR.531)
症状
- 多くは無症状 (SSUR.531)
- 腹痛、腹部不快感、膨満感、便秘・下痢
合併症
- 憩室炎、膿瘍、穿孔、腹膜炎、狭窄、瘻孔形成、消化管出血(憩室出血)
- 約80%は無症状で経過するが、20%の例で症状を呈する。有症状例の2/3が憩室炎、1/3が憩室出血。有症状例の30%が再発性。 (消化器疾患ビジュアルブック p.132)
診断
- 下部消化管内視鏡検査:出血部位の同定、癌・ポリープ等の合併病変の有無の確認
- 腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRI:膿瘍などの評価
- 腹部血管造影、出血シンチグラフィ:大量出血。出血部位の同定
鑑別診断
- アジアでみられる右側結腸の大腸憩室では、虫垂炎が鑑別となる。(SSUR.531)
治療
- SSUR.531
- 症状がない場合は治療対象とならない。
- (腸管運動異常)繊維食、下剤
- (憩室炎)鎮痛薬、鎮痙薬、抗菌薬
- (憩室出血)内視鏡的止血、動脈塞栓術
- (膿瘍)絶食、抗菌薬、CT下穿刺ドレナージ
- 手術療法:腸管穿孔による腹膜炎、保存的治療に反応しない多量出血
参考
- 1. [charged] 結腸憩室症の疫学および病態生理 - uptodate [1]
- 2. [charged] 結腸憩室症の臨床症状および診断 - uptodate [2]
国試
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 下部消化管疾患に伴う痛み (特集 患者が訴える痛みの原因と最新治療戦略) -- (疾患別)
- 臨床報告 直腸穿孔をきたした血管型Ehlers-Danlos症候群の1例
- 神 寛之,小山 基,諸橋 一 [他]
- 臨床外科 = Journal of clinical surgery 68(12), 1372-1376, 2013-11
- NAID 40019833936
- カラービジュアルで理解!消化器疾患ナビ(19)大腸憩室症(colonic diverticulosis)
- 症例報告 外科的切除を施行した腸間膜脂肪織炎の一例
- 白澤 友宏,斉藤 満,川野 道隆 [他]
- 山口医学 = Yamaguchi medical journal 62(2), 111-115, 2013-05
- NAID 40019722297
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- 大腸憩室。少し聞き慣れない言葉かもしれませんが、最近日本でも徐々に増えている病気です。時に虫垂炎、いわゆる盲腸と間違えられることもある、腹痛を起こす病気です。憩室症、憩室炎について解りやすく解説します。
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[★]
- 次の文を読み、58~60の問いに答えよ。
- 57歳の男性。便潜血検査で異常を指摘され精査のため来院した。
- 現病歴:50歳時に大腸ポリープで内視鏡的切除術を受けた。その後、特に症状を認めないためそのままにしていた。先日、同僚が大腸癌で手術を受けたため、自分も癌ではないかと気になり自宅近くの診療所を受診した。尿検査、血液検査および腹部超音波検査で異常はなく、便潜血検査で陽性を指摘され受診した。
- 既往歴:28歳時に急性虫垂炎で手術。
- 生活歴:喫煙は20本/日を25年間。飲酒はビール350ml/日を35年間。2年前から禁煙、禁酒している。
- 家族歴:父親が大腸癌のため89歳で死亡。
- 現症:身長165cm、体重67kg。体温36.6℃。脈拍72/分、整。血圧130/84mmHg。呼吸数14/分。右下腹部に軽度の圧痛と手術後の瘢痕とを認める。筋性防御と反跳痛とを認めない。腫瘤を触知しない。
- 検査所見:血液検査:赤血球420万、Hb 13.4g/dl、Ht 42%、白血球8,200、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白7.2g/dl、アルブミン3.8g/dl、総コレステロール230mg/dl、AST 36IU/l、ALT 36IU/l。CRP 0.03mg/dl。これまでの臨床経過と既往歴から下部消化管内視鏡検査を行った。下行結腸の内視鏡像(別冊No.6)を別に示す。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107B057]←[国試_107]→[107B059]
[★]
- 72歳の男性。左下腹部痛と発熱とを主訴に来院した。生来便秘がちであった。一昨日、少量の排便後に左下腹部痛が生じた。昨夜から腹痛が増悪し、38.6℃の発熱が出現したため受診した。体温 37.6℃。脈拍 84/分、整。血圧 142/86mmHg。呼吸数 24/分。腹部は平坦で、左側腹部に圧痛を認めるが、筋性防御と反跳痛とは認めない。血液所見:赤血球 382万、Hb 12.8g/dL、Ht 35%、白血球 18,300(桿状核好中球 45%、分葉核好中球 32%、好酸球 2%、好塩基球 1%、単球 6%、リンパ球 14%)、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.3g/dL、アルブミン 3.7g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 30IU/L、ALT 42IU/L、LD 238IU/L(基準 176~353)、ALP 350IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 60IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 62IU/L(基準 37~160)、CK 50IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 10mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.0mg/dL、血糖 110mg/dL、総コレステロール 210mg/dL、トリグリセリド 130mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 6.5mg/dL。腹部超音波検査で多数の大腸憩室と左側腹部の液体貯留を認める。腹部造影CT(別冊No. 27)を別に示す。
- 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D055]←[国試_109]→[109D057]
[★]
- 67歳の女性。下血を主訴に来院した。5日前から時々下腹部痛を自覚していたが、昨夜、突然暗赤色の下血をきたした。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。血液所見:赤血球422万、Hb 13.2g/dl、Ht 43%、白血球 10,200、血小板 38万。血液生化学所見:総蛋白 8.2g/dl、尿素窒素 16mg/dl、クレアチニン 0.7mg/dl、総コレステロール 202mg/dl、総ビリルビン 1.2mg/dl、AST 22IU/l、ALT 30IU/l、LD<LDH> 286IU/l(基準176~353)、ALP 202IU/l(基準115~359)。CRP 1.4mg/dl。下部消化管内視鏡写真を以下に示す。
- 下血の原因はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I043]←[国試_103]→[103I045]
[★]
- 70歳の男性。大腸がん検診で便潜血反応陽性であったため、精密検査を勧められて来院した。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。腹部は平坦、軟で、圧痛を認めない。血液所見:赤血球 410万、Hb 3.2g/dl、Ht40%、白血球 7,200、血小板 19万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dl、アルブミン 4.0g/dl、AST 20IU/l、ALT 18IU/l、LD 312IU/l(基準176-353)、ALP 275IU/l(基準115-359)。CRP 0.1mg/dl。注腸造影写真(別冊No.16)を別に示す。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D041]←[国試_105]→[105D043]
[★]
- 英
- autosomal dominant polycystic kidney disease, ADPKD
- 同
- 常染色体優性嚢胞腎、成人型嚢胞腎 adult polycystic kidney disease APKD APCD、adult-type polycystic kidney disease
- 関
- 腎嚢胞
[show details]
遺伝
疫学
病因
病態
- 腎臓にサイズが大きめの嚢胞が多発し(⇔常染色体劣性嚢胞腎 ARPKD)、腎実質を圧迫して腎機能を低下させる。
症状
- SURO.125
合併症
参考
uptodate
- 1. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎の遺伝学および嚢胞成長のメカニズム - uptodate [3]
- 2. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎の診断およびスクリーニング - uptodate [4]
- 3. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎の腎外症状 - uptodate [5]
- 4. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎の腎症状 - uptodate [6]
- 5. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎における高血圧 - uptodate [7]
- 6. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎における尿路感染症 - uptodate [8]
- 7. [charged] 常染色体優性多発性嚢胞腎の経過および治療 - uptodate [9]
- 8. [charged] 小児における常染色体優性多発性嚢胞腎 - uptodate [10]
[★]
- 英
- hematochezia, melena, bloody stool, hemorrhagic stool
- 関
- 下血、消化管出血
[show details]
血便
定義
- 曖昧かもしれない。文献によって定義が異なる。
- 血液の付着または混入が肉眼で確実に認められる糞便。
- 赤い血液の混じった便 (消化器疾患ビジュアルブック p.12) → つまりは大腸由来の出血(大腸出血)を示唆。だが、小腸出血が多量ならばあり得るけどな。
原因
[★]
- 英
- diverticular bleeding, diverticular hemorrhage
- 同
- 憩室性出血、出血性憩室
- 関
- 憩室症、大腸憩室症、大腸憩室、結腸憩室症、結腸憩室
[show details]
原因
- 結腸憩室症の合併症として生じうる。右側型に多い。
- 憩室周囲の血管の破綻。 (消化器疾患ビジュアルブック p.131)
症状
- 憩室出血では下血がみられるが、腹痛は伴わないとされる(QB.A-229)
検査
- 造影CT:活動性出血がある場合には腸管内への造影剤漏出が認められる ← ダイナミック造影CTをとるといいらしいよ。
[★]
- 英
- diverticulitis
- 関
- 大腸憩室症、大腸憩室
- ICD10
- K57.3
- 穿孔又は膿瘍を伴わない大腸の憩室性疾患
部位による分類
- 盲腸憩室炎
- 回盲部憩室炎
- 上行結腸憩室炎
- 横行結腸憩室炎
- 下行結腸憩室炎
- S状結腸憩室炎
- 直腸憩室炎
症状
国試
[★]
- 英
- pseudodiverticululm
- 同
- 偽憩室、憩室様膨隆 sacculation
- 関
- 大腸憩室、大腸憩室
[show details]
仮性憩室 : 約 1,380 件
偽性憩室 : 42 件
偽憩室 : 約 998 件
偽憩室疾患 : 24 件
-偽憩室
[★]
- 英
- colonic diverticulosis
- 同
- 結腸憩室症
- 関
- 憩室炎、大腸憩室
概念
疫学
- 日本では3/4が右側結腸に生じる。40歳以上の中高年に発生。日本では男性に多くみられる (YN.A-61)。欧米では左側に多い(60-90%)が、日本では右側に多い(70%)(NSU. 548)。
- 若年社では右側に多く(90%以上)、加齢と共に左側が増加する(NSU. 548)。
病型
- 右側型:憩室が盲腸~上行結腸にあるもの
- 左側型:憩室が下行結腸からS状結腸にあるもの
- 両側型:右側型+左側型
リスクファクター
病態
- 結腸の過剰な分節運動により慢性的な腸管内圧の上昇を来たす。
- 結腸壁には結腸動脈から分岐した直動脈の分枝が分布している。
- 腸管壁に直動脈が貫通する部位は物理的に脆弱であり、腸管内圧の上昇で粘膜が脱出することで仮性憩室が形成され、これが憩室となる。
症状
- (腸管運動異常に関連した症状)腹痛、腹部不快感、腹部膨満感、便秘、下痢
合併症
治療
- 憩室の存在自体は治療の対象とならない。
- 憩室により症状がある場合に治療対象となりうる。
保存療法
- (腸管壁の運動異常に伴う症状)繊維分の多い食事摂取、下剤
手術療法
- 腸管穿孔
- あらゆる止血術に反応しない腸管出血
- 悪性疾患が否定できない場合
参考
- http://www.coloproctology.gr.jp/topics/2009/02/12/post-19.php
[★]
- 同
- colon diverticulitis, colonic diverticulitis
- 関
- 憩室炎
国試
[★]
- 英
- large intestine (Z)
- ラ
- intestinum crassum
小腸と比べたときの大腸の特徴 (M.149)
- 結腸ヒモという縦走筋繊維からなる3本の太い帯を有する
- 結腸膨起という結腸ヒモの間の膨らみを有する
- 腹膜垂という脂肪の塊を含む
- 内径は小腸よりも大きい
大腸を構成する部位
- 盲腸
- 結腸(上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)
- 直腸
- (虫垂)
生理
1)膨起性往復運動 haustralshuttling movement
2)(単一)膨起性移送運動 segmentalhaustralpropulsion
3)多膨起性移送運動 multihaustralpropulsion
1) 2)により内容物のゆっくりした移動(5cm/hr)
→ 48hrで上行結腸よりS状結腸へ
4)総蠕動mass movement(mass peristalsis,maSS PrePulsion)
1-3回/日、強い蠕動→結腸内容物が直腸へ移動(→排便誘発)
5)収縮回数:直腸 > S状結腸 のため内容物はS状結腸へ移動
(通常は、直腸に内容物(-))
6)胃大腸反射 gastro-colonic reflex
小腸大腸反射 ileo-colonic reflex:胃、小腸に内容物-→結腸に総蠕動(+)
*排便
1)解剖
①内肛門括約筋internalanal
②外肛門括約筋externalanal
sphincter---平滑筋
sphincter山-一横紋筋
2)排便のメカニズム
i)総蠕動一糞便直腸へ
ii)直腸内圧〉20Ⅷ舶g ⇒ 直腸壁伸展⇒ 仙髄排便中枢(S2-4)
⇒ ①高位中枢(便奇形成)
②排便反射defecation reflex
内肛門筋弛緩
外肛門筋収縮(一過性)
直腸蠕動運動(⇒内圧をさらに高める)
iii) 内圧45-55mmHg以上
内容物200ml以上
便意による排便動作 外肛門筋弛緩
腹筋、横隔膜収縮
[★]
- 英
- diverticulum
[★]
- 英
- ventricle、ventriculus、ventriculi、ventricular
- 関
- 胃、腔、心室、心室性、脳室
[★]
- 英
- intestinal diverticulum