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- acute prostatitis
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急性前立腺炎 |
|
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
N41.0 |
ICD-9 |
601.0 |
DiseasesDB |
10801 |
MedlinePlus |
000519 |
eMedicine |
med/2845 |
急性前立腺炎(きゅうせいぜんりつせんえん)とは、前立腺が細菌に感染して起こり、急激に発症する急性の前立腺炎の事である[1]。正確には急性細菌性前立腺炎(きゅうせいさいきんせいぜんりつせんえん)とも言われる[2]。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 診断方法
- 4 治療
- 5 脚注
- 6 参考文献
- 7 関連項目
- 8 関連画像
原因
前立腺炎は多くが原因が解明されていないが、この急性前立腺炎は原因が解明されている[1]。
尿道、血管、リンパ腺を通ってきた細菌が原因になるもので、多くの場合は尿道を通して感染が起こる。細菌としては大腸菌、緑膿菌等の腸内細菌が主なもので、その他には腸球菌やブドウ球菌のような球菌によって起こる場合もある[1]。
発症するのは20歳代から60歳代にかけての男性に多い[1]。
症状
主な症状として高熱、下腹部痛、会陰部痛、排尿困難、頻尿、膀胱炎とそれを併発した事による排尿痛、残尿感、筋肉痛、関節痛がある[3]。
通常は40度前後の高熱が出て、血液中の白血球が増える。また下腹部や会陰部(肛門の前辺り)などに痛みを起こし、それにより歩行や座位が難しくなる事が多く、通常は入院して絶対安静にして治療する事になる。炎症のため前立腺が腫れる事になり、真中を通っている尿道が圧迫されて前立腺肥大症に似たような症状が出る[1]。
また膀胱炎を併発したような場合には尿に膿が混ざるようになり、排尿痛、頻尿、残尿感などというような膀胱炎のような症状が出る[1]。
炎症が激しい場合には敗血症にまで進展し、この場合には多臓器不全などで死亡する事もある[3]。
診断方法
急性前立腺炎の診断方法として直腸診、尿と精液の検査、超音波検査の3つがある[4]。
直腸診の場合、前立腺は直腸から触れる事ができるので、直腸から前立腺を触れて見る。その際に硬く腫れた前立腺を触れ、圧痛があると急性前立腺炎と認められる[5]。
尿や精液の検査の場合、前立腺からの分泌物である前立腺液に膿が混ざるようになる。射精した後や前立腺をマッサージした後に尿を調べてみると、尿の中に膿が見られる。このため炎症が激しい場合には精液が黄色くなる。しかし炎症が激しい場合は、マッサージなどのような操作は細菌を血液中に押し込んで敗血症を併発したりする危険性があるため、このような診断は行なわない。膀胱炎を併発している場合には、尿の中に膿である白血球が認められるようになる[5]。
超音波検査の場合、腫れた前立腺が認められ、時には膿が溜まっているのが見られる。精液や前立腺液を培養して細菌を調べ、その細菌に有効な薬を検査する[5]。
治療
治療に関してであるが、普通は入院して絶対安静にして点滴などを行なう。細菌が感染して起こるのが原因であるから、治療は抗菌剤が主体となる。前立腺に薬がたくさんいくような、前立腺に効果のある薬剤を使う。治療期間は1か月から2か月が目安である。また、高熱がある場合には解熱剤の投与を行なう。このように薬物療法により保存的に治療が行なわれる[5]。
ただし前立腺が化膿して膿が溜まっているような場合には、会陰部の方から針を刺したり、切開して排膿することがある[5]。
脚注
註釈
出典
- ^ a b c d e f 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年、p.130
- ^ 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年、p.128
- ^ a b 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年、p.131
- ^ 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年、p.133
- ^ a b c d e 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年、p.132
参考文献
- 細井康男 『専門医が解説する前立腺肥大とガンの最新治療』日本書院本社、2012年
関連項目
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- SY9-3 急性精巣上体炎と急性前立腺炎における現状と課題(9.尿路性器感染症研究・診療における現状と課題,シンポジウム,第99回日本泌尿器科学会総会)
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[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106C003]←[国試_106]→[106C005]
[★]
- 英
- pollakiuria, pollakisuria, frequent urination, frequent micturition, urinary frequency
- 関
- 尿、乏尿、無尿、頻尿症、尿意頻数、排尿回数、機能性膀胱容量
定義
- 正常者の排尿回数は24時間で5~6回で就寝中は0~1回である。
- 就寝中の頻尿を夜間頻尿(夜間多尿症)、起床から就寝までの頻尿を昼間頻尿と呼ぶ。
- 排尿回数が異常に多いこと
- 1. 昼間頻尿を8回以上、夜間頻尿(夜間多尿症)を2回以上(日本泌尿器科学会排尿障害臨床試験ガイドライン)
- 2. 1日10回以上、就眠時 2回以上の排尿
原因
鑑別疾患
[★]
- 英
- strangury, stranguria, dysuria
- 同
- 有痛性排尿
[show details]
[★]
- 英
- prostate (KL,KH,N,Z), prostate gland
- ラ
- prostata
- 同
- 前位腺、摂護腺
解剖
- くるみ大の大きさ。体積は5ml(??)程度が普通で、大きい場合、前立腺肥大症や前立腺癌などが考えられる
- 膀胱の直下にある栗の実に似た固い器官
- 内腺と外腺からなる。現在では、central zone CZ,transitional zone TZ,peripheral zone PZという分け方が一般的。
組織
- 円柱上皮と立方上皮が2相構造を呈している → 多列円柱上皮? : 前立腺肥大症ではこの構造が保たれ、前立腺癌ではこの構造が乱れる。
- 30-50個からなる複合管状胞状腺の集合体からなる。(HIS.427)
- 管状胞状腺の内腔に前立腺石(アミロイド小体)を認める。(HIS.428)
機能 (KL.446)
- 特有の臭気を有する乳白色の液で、クエン酸や、デヒドロゲナーゼ、亜鉛を含み、精液の15-30%を構成する。
- 分泌はジヒドロテストステロンに制御されている(HIS.428)
発生学的な関係 (KH.258,264 N.362,368)
臨床関連
- inner, periurethral glandsに見られる。肥大はinner region(central and transitional region)で著明
- outer region(peripheral) glandsで起こる → 尿路の閉塞は初期に出づらい。
参考
- http://img4.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/2d/5d/zr750soyokaze/folder/1188086/img_1188086_27786171_0?1242055767
[★]
- 英
- prostatitis
- 関
- 前立腺
分類
- 最も多い
前立腺炎のためのNIH分類
型
|
分類
|
|
症状
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I
|
急性細菌性前立腺炎
|
発熱、排尿痛、全身倦怠で急激に発症
|
II
|
慢性細菌性前立腺炎
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Iが慢性化したもの。再発性細菌感染としての症状を認める。
|
III
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慢性非細菌性前立腺炎
|
頻尿・残尿感、排尿時痛(不快感)、ソケイ部・会陰部・尿道部痛など多彩。
|
慢性骨盤内疼痛症候群/前立腺関連疼痛症候群
|
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A 炎症性
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B 非炎症性
|
IV
|
無症候性炎症性前立腺炎
|
たまたま採取した前立腺液中に白血球を認めて発見されるなど、偶然発見されることがあるが、現時点では積極的に治療の必要はない。
|
[★]
- 関
- 炎光、炎症
[★]
- 英
- acute
- 関
- 急性的、鋭い、鋭形、急性型
[★]
- 英
- adenitis
- 関
- リンパ節炎