- 60歳の男性。 1年前からの頻尿と排尿困難とを主訴に来院した。直腸診で前立腺は鶏卵大で、硬結を認めない。尿所見と血液所見とに異常を認めない。PSA 2.4ng/ml(基準4.0以下)。排尿日誌で1回排尿量 200-250mg、昼間排尿回数 10回、夜間排尿回数 2回。国際前立腺症状スコア15点(軽症0-7、中等症8-19、重症20-35)。QOLスコア 4点(軽症0-1、中等症2-4、重症5-6)。腹部超音波写真(別冊No.12)を別に示す。前立腺の長径は53mm、短径は51mm及び前後径は52mmである。
- 次に行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I053]←[国試_104]→[104I055]
★リンクテーブル★
[★]
- 60歳の女性。未経妊。51歳で閉経。子宮がん検診を定期的に受けている。半年前の検診では異常がなかったが、最近3か月間断続的に性器出血を認める。2年前から糖尿病で治療を受けている。身長 155cm、体重 75kg。経腟超音波検査で子宮内膜厚は35mm。子宮内膜組織のH-E染色標本(別冊No.13)を別に示す。
- 患者に対する説明で適切なの柱どれか。2つ選べ。
- a 「MRIで詳しく調べましょう」
- b 「子宮腔内を子宮鏡で調べましょう」
- c 「子宮頚部を拡大鏡で検査しましょう」
- d 「6か月間ほどホルモン補充療法をしましょう」
- e 「子宮がん検診で異常がないのでしばらく様子をみましょう」
[正答]
※国試ナビ4※ [104I054]←[国試_104]→[104I056]
[★]
- 55歳の男性。突然の左腰背部痛を主訴に来院した。数年来、高血圧と心房細動で外来通院中だが服薬は不規則である。脈拍 80/分、不整。血圧 158/98mmHg。尿所見: 蛋白 1+、潜血 2+。腹部造影CT(別冊No.11)を別に示す。
- 考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I052]←[国試_104]→[104I054]
[★]
[★]
- 英
- benign prostatic hyperplasia BPH, benign prostatic hypertrophy, prostatic hyperplasia
- 同
- 前立腺肥大
- 関
- 前立腺
定義
- 加齢に従い、前立腺の内腺が腫大し、尿路を圧迫して排尿障害を呈する疾患。
疫学
- 前立腺の肥大(内腺)は30-40歳代から始まり、50歳代には顕著となり、70歳代以降ではほぼ全例に認められるが、臨床症状を呈するのはこの一部である(10-20%)。
病因
病態
- 肥大した前立腺により尿路を刺激し、さらには閉塞して、ついには完全尿閉に至る。
重症分類
- 前立腺体積が20ml以下では軽症、前立腺体積が20-50ml以下では中等症、前立腺体積が50ml以上では重症
症状
- YN.E-86 SURO.258
- 病期は3つに分けられる:(1)第1病期 刺激期、(2)第2病期 残尿発生期、(3)第3病期 慢性尿閉期
病期
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病態
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症状
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第1病期
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刺激期
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腫大した前立腺による後部尿道(膀胱頚部、前立腺尿道)の刺激
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軽度の排尿困難、夜間頻尿、排尿時不快感
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第2病期
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残尿発生期
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残尿(50-150ml)の発生
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排尿困難(いきみながらの排尿)。残尿。急性尿閉(飲酒、抗コリン薬、長時間の乗り物の乗車)
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第3病期
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慢性尿閉期
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さらなる残尿(300ml以上)、膀胱の過伸展(排尿筋だけでは排尿できない)
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奇異性尿失禁、腎機能低下による尿毒症症状
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検査
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診断
- 参考1
- 病歴、理学的検査、尿検査、血清クレアチニン測定、PSA測定、尿流測定、残尿測定、排尿時における排尿筋圧、尿流率同時測定法、内視鏡検査、画像診断(超音波検査法、静脈性腎盂造影法、排尿時膀胱尿道造影法、逆行性尿道造影法など)などにより行う。
- 診断のステップ
- 1. 病歴、理学的検査(直腸診)、尿検査、血清クレアチニン測定、PSA測定 → 排尿障害の症状が前立腺肥大症によるものと考えられるか判断
- 2. 国際前立腺症状スコアの評価:(≦7点)経過観察。(≧8点)尿流測定、残尿測定、PFSを施行 → 尿道閉塞の程度を把握し治療
- 3. (治療する場合)QOLスコアを考慮して治療方法を選択。
- 4. (追加検査)内視鏡検査、画像診断法:ルーチン検査法ではない。外科的治療の準備や合併疾患の疑診例に対して実施する。
治療
- SURO.258 参考1 参考3
-
- α1ブロッカー:プラゾシン(副:起立性低血圧)、タムスロシン(副:血圧を下げないが、射精障害がある) ← 肥大した前立腺の圧迫の他に膀胱頚部、尿道、前立腺の平滑筋(α1受容体)の過剰収縮によっても排尿困難が起きているため、尿道内圧を下げ症状緩和しうる。
- 抗アンドロゲン薬:クロルマジノン、アリルエストレノール。前立腺の縮小作用。(副:性器脳障害、肝機能障害)
- 5α還元酵素阻害薬:前立腺の縮小作用。
- その他:漢方製剤(猪苓湯、八味地黄丸)、花粉製剤、アミノ酸製剤 ← 自覚症状の改善にとどまる
- 加熱療法:ハイパーサーミア(前立腺内加熱温度45℃以下)と高温度療法(前立腺内加熱温度45℃以上)がある。熱源はマイクロ波、RF波、レーザー波などがある。レーザー療法、温熱療法の長期成績は未確立。
- 出典不明
- 第1期:薬物療法:α遮断薬、抗アンドロゲン薬、漢方薬
- 第2期:手術療法:経尿道的前立腺切除術、前立腺被膜下摘出術
参考
- 1. 2001年 前立腺肥大症 ガイドライン
- 2. 日本Endourology・ESWL学会によるBPHガイドライン
- http://jsee.umin.ac.jp/images/guideline.pdf
- 3. [信頼度不明]前立腺肥大症の漢方治療【百花園漢方薬局】
- http://www.est.hi-ho.ne.jp/abes/hyakkaen21/tokusiyu26.htm
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